【J-REIT有報レポート 平和不動産リート投資法人】資産回転から内部成長へ――レントギャップを利益に変えられるか

作成日付:2026年8月29日


※本記事はAIによる分析をベースに作成しています。投資判断はご自身の責任において行ってください。詳細は記事末尾の免責事項をご確認ください。

はじめに:このシリーズについて

J-REIT研究ラボでは、J-REIT各銘柄の有価証券報告書を主な資料として、決算説明資料やその後のIRも確認しながら、投資法人の状態をできるだけ丁寧に見ていきます。

投資のプロ向けに難しい用語を並べることよりも、個人投資家や投資初学者の方が「このREITは今どんな状態なのか」を理解しやすくすることを目的としています。

今回は、平和不動産リート投資法人の第49期(2026年5月期)を確認します。

今回の大きなテーマは、運用会社が打ち出した**「資産回転から内部成長へ」**という変化です。

平和不動産リートはこれまで、物件の売却益を活用しながら分配金を伸ばしてきました。しかし現在は、不動産価格の上昇と金利上昇によって、新しく物件を買うだけでは利益を伸ばしにくい環境になっています。

その一方、既存物件では市場賃料が大きく上昇し、契約賃料との間にかなりの差が生まれています。

そこで今後は、保有物件の賃料増額やバリューアップ投資を通じて、既存ポートフォリオそのものを成長させる方向へ比重を移そうとしているようです。


この銘柄はどんなJ-REIT?

  • 名称:平和不動産リート投資法人
  • 証券コード:8966
  • タイプ:オフィス・レジデンス複合型
  • スポンサー:平和不動産株式会社
  • 資産運用会社:平和不動産アセットマネジメント株式会社
  • 第49期末保有物件数:136物件
  • オフィス:46物件
  • レジデンス:90物件
  • 取得価格総額:約2,650億円
  • 総資産:約2,857億円
  • 第49期末稼働率:97.6%
  • 格付:JCR AA-(安定的)

平和不動産リートは、オフィスとレジデンスをほぼ半分ずつ保有する複合型J-REITです。

スポンサーの平和不動産は、日本橋兜町・茅場町などで不動産事業を展開しており、REITに対して物件供給、ウェアハウジング、PM・BM、財務、人材など幅広いサポートを行っています。

第49期末ではオフィス46物件、レジデンス90物件の計136物件を保有しています。決算後の公募増資と追加取得により、取得価格ベースの資産規模は約2,784億円まで拡大しています。


直近決算期の指標確認

第48期と第49期を比較します。

指標第48期第49期コメント
総資産約2,729億円約2,857億円資産取得により拡大
純資産約1,332億円約1,347億円増加
DPU3,950円3,990円21期連続増配
巡航EPU※2,508円2,587円本業ベースでは改善
LTV47.0%48.5%期末は上昇
賃貸NOI約60.7億円約64.1億円増加
NOI利回り約4.9%約4.9%おおむね横ばい
FFO約41.9億円約43.4億円増加
1口当たりFFO3,350円3,470円増加

※ここでの巡航EPUは、決算説明資料で示される「譲渡益等を除く1口当たり利益」を参考にしています。

有価証券報告書を見ると、総資産、賃貸NOI、FFOはいずれも増加しています。賃貸事業そのものは比較的順調に成長していると考えられます。

一方、第49期のEPUは4,536円ですが、この中には約25億円の不動産売却益が含まれています。そのため、本業の実力を見る場合には、表面上のEPUだけでなく巡航ベースの利益も確認しておきたいところです。


とすると、表面上のDPUと本業利益との距離が分かりやすくなります。


注目ポイント1:賃貸事業そのものは成長している

第49期の不動産賃貸事業収益は約90.3億円となり、第48期の約85.7億円から増加しました。

NOIも、

約60.7億円

約64.1億円

へ増加しています。

オフィスだけでなく、レジデンス側も伸びており、売却益を除いた賃貸事業そのものが弱いわけではありません。

特に現在は賃料改定が進んでいます。

第49期の賃料収入年成長率は、

  • オフィス:4.2%
  • レジデンス:4.7%
  • ポートフォリオ全体:4.5%

まで上昇しました。

運用会社はこれを受け、従来5%としていた賃料収入年成長率の目標を6%へ引き上げています。


注目ポイント2:レントギャップがかなり大きくなっている

内部成長を考えるうえで重要なのが、契約賃料と市場賃料との差です。

第49期末の賃料ギャップは、

  • オフィス:▲10.5%
  • レジデンス:▲8.8%

まで拡大しています。

ここでのマイナスは、市場賃料より現在の契約賃料が低いことを示しています。

つまり、現在の契約賃料を市場水準へ近づける余地が残っているということです。

実際、第49期のオフィスでは、

  • 入替時賃料増減率:+23.0%
  • 更新時賃料増減率:+8.6%

レジデンスでも、

  • 入替時:+12.5%
  • 更新時:+7.3%

となっています。

興味深いのは、これだけ賃料を引き上げても、レントギャップ自体はむしろ拡大していることです。

契約賃料の上昇以上に、市場賃料が上昇しているためと考えられます。

現在の平和不動産リートには、既存ポートフォリオの中にまだ相当な内部成長余地が残っていると見ることができそうです。

とすると、「賃料を上げているのにギャップが拡大している」現在の状況が分かりやすくなります。


注目ポイント3:「内部成長重視」は現在の市場環境にも合っている

現在の不動産市場では、物件価格の上昇によって、新規取得物件のNOI利回りは低くなりやすい状況です。

直近取得物件を見ると、

  • 名古屋平和ビル:NOI利回り4.0%
  • HF上野稲荷町ビルディング:4.1%
  • HF北十条ビルディング:4.1%

となっています。

一方、第49期のバリューアップ投資では、短期回収型の平均ROIが**14.9%**となりました。

もちろんNOI利回りとバリューアップROIは計算方法が異なるため、単純比較はできません。

それでも、現在のように不動産価格が高く、新規借入金利も上昇している環境では、

高い価格で新しい物件を取得するだけでなく、既存物件へ投資して賃料を引き上げる方が資本効率の高いケースが増えている

と考えられます。

運用会社が「投資主還元の牽引役を資産回転から内部成長へ」としている背景には、こうした市場環境もありそうです。


注目ポイント4:外部成長をやめるわけではない

内部成長重視といっても、外部成長を停止するわけではありません。

NEXT VISION II+では、

年間150~200億円程度の物件取得

を目指しています。

また、取得する物件そのものにも内部成長余地を求めています。

例えば、

  • HF上野稲荷町:賃料ギャップ▲24.6%
  • HF北十条:▲14.0%
  • HF千葉富士見:▲14.7%
  • 名古屋平和ビル:▲10.2%

です。

つまり今後の外部成長は、

「今の収益力だけで物件を選ぶ」のではなく、「取得後に賃料を上げられる物件を買う」

という方向が強くなっています。

特にHF千葉富士見ビルディングは1982年築ですが、

  • NOI利回り:6.5%
  • 償却後利回り:5.7%
  • 対鑑定評価額:80.0%
  • 賃料ギャップ:▲14.7%

となっています。

築年数だけではなく、取得価格や現在利回り、将来の賃料増額余地まで含めて判断していることが分かります。


注目ポイント5:約702億円の含み益は大きな強み

第49期末の賃貸不動産は、

  • 帳簿価額:約2,611億円
  • 鑑定評価額:約3,313億円
  • 含み益:約702億円
  • 含み益率:26.9%

です。

平和不動産リートは、この含み益を物件売却によって実現し、分配金や内部留保、次の成長投資へ活用してきました。

第49期にもHF西新宿レジデンスWEST・EASTを売却し、約25億円の売却益を計上しています。

しかも物件を継続的に売却しているにもかかわらず、ポートフォリオ全体の含み益は増加しています。

これは資産回転戦略がこれまで比較的うまく機能してきたことを示す材料の一つと考えられます。


注目ポイント6:DPU4,000円台を見るときは「中身」を確認したい

第49期DPUは3,990円。

続く予想は、

  • 第50期:4,030円
  • 第51期:4,040円

です。

さらに2028年11月期までに4,200円を目標としています。

ただし、ここは少し丁寧に見ておきたいところです。

第50期予想EPUは2,590円、第51期は2,602円。

DPUとの差を、

  • 第50期:約19.3億円
  • 第51期:約19.3億円

の内部留保取崩しによって補う予定です。

したがって、

DPU4,000円台がそのまま現在の本業利益を示しているわけではありません。

第49期末には約67億円の内部留保があるため、短期的な分配金安定化余力は比較的大きいと考えられます。

運用会社としては、この内部留保を活用してDPUを安定させながら、その間に賃料増額やバリューアップによってEPUそのものを伸ばしていく方針と見られます。

今後はDPUだけでなく、巡航EPUがどの程度伸びているかを見ることが重要になりそうです。


気になる点:金利上昇はすでに利益を圧迫している

内部成長が順調な一方で、最も注意したいのが金利です。

支払利息は、

  • 第48期:約6.64億円
  • 第49期:約8.37億円

へ増加しました。

平均調達金利も第49期末で**1.437%**まで上昇しています。

最近の借入では2%台、3%台の固定金利も見られ、以前の0%台の借入が借換えを迎えるにつれて、平均調達金利がさらに上昇する可能性があります。

決算説明資料では、変動金利借入の基準金利が0.25%上昇した場合、

年間1口当たり約40円のマイナス影響

という試算も示しています。

一方、レントギャップ解消による効果は年間約100円/口と試算されています。

つまり今後は、

賃料成長が金利上昇をどこまで上回れるか

が重要なポイントです。

第49期末総資産LTV48.5%はやや高めですが、第50期期初の公募増資後は46.4%まで低下する見込みです。鑑定LTVも41.9%から39.8%へ低下する見込みで、現時点では財務危機を懸念する状況とは考えにくいでしょう。


気になる点:6年連続の公募増資

平和不動産リートは、第50期期初まで含めると6年連続で公募増資を行っています。

今回の増資では発行済投資口数が、

1,251,533口

1,343,533口

へ約7%増えています。

公募増資は、

  • LTV低下
  • 資産規模拡大
  • 流動性向上
  • 格付向上

などにつながります。

一方、投資口数が増えるため、資産規模やNOIが増えただけでは投資主価値が向上したとは言い切れません。

今後は、

1口当たりNAVや巡航EPUが増資前より成長できているか

を確認していく必要があります。

資産規模3,000億円という目標そのものより、1口当たりの利益成長を重視して見ていきたいところです。


気になる点:普通借地権を使った住宅取得

平和不動産リートでは、普通借地権を利用した築浅レジデンスも複数保有しています。

スポンサーの平和不動産は普通借地権を活用した住宅開発を継続しており、これまで開発に関与した10物件をREITが取得しています。

普通借地権には、

  • 所有権より取得価格を抑えられる
  • 利回りを高めやすい
  • 取得競争が比較的少ない

といったメリットがあります。

一方で、土地所有権付き物件とは権利構造や流動性が異なります。

ただし、現在のところスポンサーとの協働によって独自の取得ルートとして活用されており、単純に「借地だからリスクが高い」と見るよりは、平和不動産グループ独自のソーシング手法の一つとして見た方が実態に近そうです。


まとめ

平和不動産リート投資法人の第49期は、本業の賃貸事業が成長し、賃料増額も加速する比較的良好な決算でした。

特に注目したいのは、

「資産回転でDPUを伸ばす」段階から、「内部成長でEPUを伸ばす」段階へ移ろうとしていること

です。

現在の不動産市場では価格が高く、新しく物件を取得してもNOI利回りが低くなりやすい一方、既存ポートフォリオにはオフィス▲10.5%、レジデンス▲8.8%という大きなレントギャップがあります。

そのため、

高い価格で物件を買うだけでなく、現在持っている物件の賃料を上げ、バリューアップによって価値を高める

という戦略は、現在の市場環境に合ったものと考えられます。

一方で、まだ移行途中でもあります。

第50期・第51期のDPU4,000円台は、巡航EPUだけで支えられているわけではなく、内部留保の取崩しを利用する予定です。

そして金利上昇による金融費用の増加も続いています。

したがって今後の平和不動産リートを見るうえでは、

レントギャップをどの程度実際の賃料増額へ変換できるのか。

そして、

その内部成長が金利上昇を上回り、巡航EPUを持続的に伸ばせるのか。

この2点が重要になりそうです。

約702億円の含み益と約67億円の内部留保という余力を持っているため、短期的には戦略を実行する時間があります。

その時間を使って「内部成長の時代」を本当に実現できるのか。

今後は表面上のDPUだけでなく、巡航EPU、賃料成長率、レントギャップ、平均調達金利をセットで追いかけたい銘柄です。


免責事項

【AIによる作成について】
本記事は、AIによる分析をベースに作成しています。AIは決算説明資料および有価証券報告書を参照して分析を行っていますが、読み取りの誤り・解釈の相違・情報の欠落が生じる可能性があります。本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、その正確性・完全性を保証するものではありません。

【投資に関する免責事項】
本記事は特定の銘柄への投資を推奨・勧誘するものではありません。投資にはリスクが伴い、投資元本が保証されるものではありません。J-REITへの投資においては、分配金の減少・投資口価格の下落・上場廃止などのリスクがあります。投資に関する最終的な判断はご自身の責任において行ってください。投資判断に際しては、必要に応じて証券会社・ファイナンシャルプランナーなど専門家へのご相談をお勧めします。

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