今回は、ふるさと納税ポータル「ふるなび」を運営する「アイモバイル(6535)」の2026年7月期 第3四半期決算について、継続チェックの観点から確認していきます。
所長ダル


① 会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 株式会社アイモバイル |
| 証券コード | 6535(東証プライム) |
| 設立 | 2007年8月17日 |
| 本社所在地 | 東京都渋谷区渋谷三丁目26番20号 |
| 主な事業 | コンシューマ事業(ふるさと納税ポータル「ふるなび」等)、インターネット広告事業(アドネットワーク、アプリ運営「オーテ」等) |
| 連結子会社 | オーテ株式会社(100%) |
| 決算期 | 7月期(連結) |
| 時価総額 | 約286億円(’26/6/19時点) |
| 現在株価 | 492.0円(’26/6/19終値) |
出典:決算短信表紙、決算説明資料、みんかぶ様






② 主要財務指標
| 指標 | ’25年7月期Q3累計 | ’26年7月期Q3累計 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 18,651百万円 | 19,208百万円 | 103.0% |
| 営業利益 | 3,971百万円 | 3,377百万円 | 85.0% |
| 経常利益 | 3,959百万円 | 3,491百万円 | 88.2% |
| 親会社株主帰属四半期純利益 | 2,905百万円 | 2,438百万円 | 83.9% |
| EPS(四半期) | 50.33円 | 43.48円 | – |
出典:決算短信
通期予想に変更はなく、売上高220億円(前期比102.2%)、営業利益45億円(同108.9%)、当期純利益31.2億円(同105.5%)、通期予想EPS55.67円のまま据え置かれています(決算短信)。
| 項目 | 前期末(’25年7月期) | 当第3四半期末 |
|---|---|---|
| 総資産 | 27,264百万円 | 34,623百万円 |
| 純資産 | 16,221百万円 | 17,146百万円 |
| 自己資本比率 | 59.3% | 49.4% |
| 現金及び預金 | 20,496百万円 | 22,636百万円 |
| 預り金 | 4,769百万円 | 13,511百万円 |
出典:決算短信
配当については、’26年7月期予想で年27.00円(期末のみ、変更なし)、配当利回り5.49%(PER連、IRBANK様)、配当性向は前期(’25年7月期)実績で50.6%(IRBANK様)となっています。自己資本比率は前期末59.3%から3Q末49.4%へと約10ポイント低下していますが、これは預り金の急増(前期末47億円→3Q末135億円、+87億円)によるものと考えられ、ふるさと納税の寄附受入金に伴う一時的な未払金的性質の科目であり、構造的な財務悪化ではない可能性があります。念のため通期決算での推移を確認したいところです。









③ 継続チェックメモ項目評価
注意点①:本業の稼ぐ力(インターネット広告事業の不振)
| チェック項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| インターネット広告事業は通期で黒字化(計画60百万円)できているか | △(4Q次第) | 3Q累計のセグメント利益は24百万円(前年同期121百万円から▲79.8%)。前年同期比では大幅減益ですが、通期計画60百万円に対する進捗率としては4Qでの上積みが必要な水準です。 |
| 大口顧客の予算縮小は続いているか | △(継続中) | 決算短信では「アドネットワーク事業における大口顧客の予算縮小や、広告需要等の減少の影響が依然として大きい」と明記されており、構造的な逆風は継続中と考えられます。 |
| 「アドネットワークOEM」等新収益モデルの貢献 | ○(進捗あり) | 「アドネットワークOEM」の提供・拡大が進められており、決算説明資料でも「1st Party Dataを活用した高付加価値収益化モデル」として注力領域に位置付けられています。 |
| アプリ運営事業(オーテ社)は堅調か | ○(黒字転換) | トリマ・ハルメクとの協業により「好調なトリマとの提携に加え、ハルメクとも協業を開始し、シニア層へリーチを拡大」(決算説明資料)。営業利益も3Qは48百万円とプラス着地しており(前年同期は▲50百万円)、改善が見られます。 |
| コンシューマ事業の利益率は改善しているか | △(回復途上) | 3Q累計の利益率は19.6%(前年23.5%)と低下していますが、第1四半期の戦略的プロモーション費用の先行投入が要因とされ、会社側は「第2四半期以降はプロモーション費用の適正化が進み、利益率は着実に回復し、持続的な収益性改善への軌道に乗っております」と説明しています。 |









インターネット広告事業は引き続き厳しい環境ですが、アプリ運営事業の黒字転換や新収益モデルの進捗など、改善の兆しも見られます。総合評価は△(注意継続)と考えられます。
注意点②:その他留意すべき点(制度・競合リスク)
| チェック項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| ふるさと納税制度に関する新たな規制発表はないか | △(要監視) | 2026年5月22日、総務省からふるさと納税制度の持続的発展に向けた要請が発表され、会社が公式見解を開示しています。手数料引下げの自主実施や制度改正への適切な対応を表明する内容で、現時点で事業継続を脅かす内容ではないと考えられますが、要監視事項です。 |
| 会員数・契約自治体数は前年同期比で増加維持か | ○(順調に拡大) | 会員数は前年比115%、契約自治体数は1,573自治体(前年比+107自治体、カバー率88%)と、いずれも順調に拡大しています。 |
| 楽天・Amazon・さとふる等の競合動向に大きな変化はないか | △(直接言及限定的) | 資料内に直接的な競合言及は限定的ですが、市場シェア20%獲得を中期目標として掲げており、競争環境を強く意識した経営方針が継続しています。 |
| 独自エコシステム(ふるなびマネー等)の利用拡大 | ○(順調に拡大) | 「ふるなびマネー」の浸透・定着が図られており、同サービスは順調に利用が拡大していると説明されています。 |
| 寄附受付金額・件数は前年同期を上回っているか | ○(過去最高更新) | 決算短信で「寄附受付金額及び売上高は引き続き好調を維持し、過去最高を更新いたしました」と明記。寄附受付件数も前年同期比106%です。 |












制度面では総務省要請という新たな動きがあり要注視ですが、現時点で事業への直接的なマイナス影響は確認されていません。会員基盤・自治体連携は順調に拡大しており、総合評価は○(おおむね良好)と考えられます。
継続ウォッチ:季節性と下期業績
| チェック項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| 通期計画(売上220億円・営業利益45億円)の進捗は順調か | ○(計画達成ペース) | 売上高は「通期計画を達成するとともに、前年同期を上回り、過去最高の19,208百万円(前年同期比103.0%)」(決算説明資料)。営業利益は計画比88.9%とやや遅れ気味ながら、ふるさと納税の季節性(12月寄附集中・下期偏重)を踏まえると4Qでの上積みが見込まれます。 |
| グリーンエネルギー事業の進捗 | ○(拡大継続) | 3Q累計で新たに23ヶ所が稼働開始し、稼働中発電所は合計45ヶ所に到達。系統用蓄電池も2026年3月より需給調整市場へ参入し収益貢献を開始しています。 |
| 中期3か年計画(’27年7月期:売上263億円・営業利益50億円)への進捗 | ○(据え置きで進行中) | ’26年7月期計画(売上220億円・営業利益45億円)は据え置きで進行中であり、特段の下方修正はありません。 |
| 自己資本比率は回復傾向か | ×(要注意) | 前期末59.3%→3Q末49.4%へ約10ポイント低下しています。預り金の急増(47億円→135億円)が主因と考えられ、ふるさと納税寄附金の一時的な滞留によるものと推察されますが、注意すべき変化です。 |
| 配当性向50%方針に変更・修正の言及はないか | ○(変更なし) | 資本政策資料で「2024年7月期から2027年7月期までの4年間は配当性向50%を目安とした配当の実施」「連続増配計画」と明記されており、方針変更の言及はありません。 |









通期計画達成への進捗は順調ですが、自己資本比率の低下は次回(通期)決算で経過観察が必要です。総合評価は○(順調)と考えられます。
引き続き良好なら安心できる項目(更新版)
| 項目 | 前回(中間期末) | 今回(3Q末) | 評価 |
|---|---|---|---|
| 現金及び現金同等物 | 141億円 | 226億円 | ○ 大幅増加 |
| 自己資本比率 | 45.2% | 49.4% | ○ 中間期からは改善(ただし前期末比では低下) |
| ROE(予想) | 18.71% | 18.26%(IRBANK様) | ○ 高水準維持 |
| 配当性向(通期予想) | 約48.5% | 約48.5%(27円/55.67円) | ○ 50%方針内 |
| EPS(通期予想) | 55.62円 | 55.67円 | ○ 維持 |
④ 配当継続性スコア(5項目評価)
| 評価項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| 配当の中身 | ○ | 普通配当のみ(27円予想)、記念配当なし。2021年7月期以降連続増配中(13.3円→22円→26円→27円予想)。配当方針が明確で継続性が高いと考えられます。 |
| 本業の稼ぐ力 | △ | コンシューマ事業は好調維持(売上103.2%、利益86.1%)だが、インターネット広告事業は前年同期比で大幅減益(セグメント利益24百万円、前年121百万円)。全社営業利益も前年比85.0%と減益基調ですが、通期計画比では順調な進捗です。 |
| 財務の健全性 | △ | 現預金226億円・実質無借金は維持しているものの、自己資本比率が前期末59.3%→49.4%へ低下。預り金急増という一時的要因と考えられますが、通期決算での解消状況確認が必要です。 |
| 配当の原資 | ○ | キャッシュフロー計算書は四半期では未作成のため直接比較は困難ですが、現預金は226億円と潤沢で、親会社株主帰属四半期純利益も2,438百万円を確保。配当総額(27円ベースで約15億円程度)に対し十分な利益・現金水準と考えられます。 |
| 経営方針の透明性 | ○ | 総務省要請に対する見解を5月22日付で速やかに開示するなど、適時開示姿勢は良好です。配当性向50%方針・連続増配計画も資本政策資料で明確に提示されています。 |
B→B(変更なし)
前回(初回分析時)のB評価を維持するのが妥当と考えられます。売上高は通期計画達成ペースで進捗し、コンシューマ事業(本業の中核)は会員数・契約自治体数ともに拡大基調を維持しています。配当方針(27円・配当性向50%目安)にも変更の言及はなく、増配コミットも継続中です。一方で、インターネット広告事業の前年同期比減益が継続しており、構造的な不振の解消には至っていません。また自己資本比率の低下(59.3%→49.4%)は新たな観察ポイントとして浮上しており、通期決算での確認が必要な段階です。ただし自己資本比率低下は預り金(ふるさと納税の一時的な滞留資金)によるものと考えられ、有利子負債の増加など財務体質の本質的悪化を示すものではないと推察されます。現預金は226億円と潤沢で、配当原資に懸念はないと考えられます。
S:非常に優れている/A:優れている/A-:Aの要件を満たすがBに近い注意点がある/B:良好/B-:Bの要件を満たすがCに近い注意点がある/C:やや懸念がある/C-:Cの要件を満たすがDに近い注意点がある/D:懸念が大きい/E:重大な懸念がある
※2026年5月より評価体系をS/A/A-/B/B-/C/C-/D/Eの9段階に変更しました。旧5段階(S/A/B/C/D)のA・B・C・Dの間にそれぞれ「-(マイナス)」ランクを新設しています。これは、同一ランク内でも「条件が揃えば上のランクに相当する」銘柄と「下のランクに近い懸念がある」銘柄を区別するためです。たとえばB-は「Bの要件は満たすが、Cに近い注意点を抱えている」状態を示します。
⑤ 適正株価試算(普通配当逆算法)
前提:現在株価492.0円、PER(連)8.85倍、配当利回り5.49%(IRBANK様出典)
シナリオ別試算
| シナリオ | 想定配当額 | 想定利回り | 適正株価(計算式) | 適正株価 | 現株価比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 強気 | 30円(中期計画達成・増配トレンド継続を想定) | 4.5% | 30÷0.045 | 約667円 | +35.6% |
| 中立 | 27円(会社の次期予想配当そのまま) | 5.0% | 27÷0.050 | 約540円 | +9.8% |
| 保守的 | 27円(増配なし・現状の利回り水準を適用) | 5.49% | 27÷0.0549 | 約492円 | ±0% |
| 弱気 | 約14円(配当性向50%機械適用) | 5.5% | 14÷0.055 | 約255円 | ▲48.2% |
弱気シナリオの前提条件:インターネット広告事業の損失拡大やふるさと納税制度の規制強化等により当期純利益が前期比で大幅減少し、配当性向50%方針を維持した結果、EPSの低下に連動して配当額が減少するケースを想定しています(仮にEPSが28円程度まで落ち込み、配当性向50%を機械的に適用した場合の試算)。これは「方針を曲げざるを得ない」前提に基づく試算であり、現時点でその兆候が確認されているわけではありません。
BPS×適正PBR倍率(2点セット確認)
BPS:304.59円(IRBANK様)
| PBR倍率 | 適正株価(計算式) | 備考 |
|---|---|---|
| 1.0倍(解散価値水準) | 304.59×1.0 | 約305円(下値の目安) |
| 1.62倍(現状) | 304.59×1.62 | 約493円(現在株価とほぼ整合) |
| 2.0倍(成長評価シナリオ) | 304.59×2.0 | 約609円(ROE18%超の高収益性を踏まえた強気シナリオ) |
現状PBR1.62倍はほぼ現在株価492.0円と一致しており、市場は概ね現状のファンダメンタルズに基づいた評価をしている可能性があります。









全シナリオが崩れる条件
- インターネット広告事業(特にアドネットワーク領域)の損失が通期で確定し、かつ翌期以降も改善が見込めない場合
- 総務省によるふるさと納税制度の規制強化が、返礼品還元率の引き下げなど事業の収益構造そのものに影響する内容で正式決定された場合
- 配当性向50%方針自体が撤廃・引き下げられた場合
- 自己資本比率の低下が一時的要因(預り金)でなく、構造的な財務悪化に起因することが通期決算で判明した場合
まとめ


















「決算と同時に発表された自己株買い、その中身を読み解く」
2026年6月11日の決算発表と同じタイミングで、アイモバイルは自己株式取得枠の設定を発表しました。株価はこれを好感し、一時35円高の500円まで急騰しています(株式新聞報道)。
取得規模は上限120万株(発行済株式数の2.14%)・取得価額上限7億円、取得期間は2026年6月12日〜6月30日です。初日の6月12日には、ToSTNeT-3(東証の自己株式立会外買付取引)を通じて40万株・約1億9,680万円分が実際に買い付けられました。
ここで一点、注目しておきたいポイントがあります。この自己株買いの買付先(売り手側)が、市場の一般投資家ではなく、代表取締役会長の田中俊彦氏と代表取締役社長の野口哲也氏という、創業者2名であったという点です。会社の開示によれば、両氏の保有株式(それぞれ持株比率6.75%、6.46%)の一部売却について合意を得たうえで、その株式を会社が自己株式として買い取る、という形がとられています。
会社側はこの施策の目的を「特定の個人株主への依存度の低減」「中長期的なガバナンス体制の強化」「株式流動性の維持・向上」としており、資本コストを意識した経営の一環という位置づけです。
<考えられるポイント>
- 通常の自己株買い(市場からの吸い上げによる需給改善)とはやや性質が異なり、創業者の持株比率を引き下げる目的も込められていると考えられます
- 決算自体は増収減益で、サプライズ感のある内容ではなかったため、株価の急騰は決算内容よりもこの自己株買い発表が主因だったとみられます
- 創業者2名は引き続き経営トップ(会長・社長)を務めており、今回は持株比率の一部調整にとどまるとみられますが、今後さらなる売却の意向があるかどうかは、現時点の開示からは読み取れません
- 株主還元方針(配当性向50%+機動的な自己株取得)に沿った動きである一方、創業者の保有株式売却という側面も併せ持つ施策であるため、好材料と単純に捉えるだけでなく、背景まで見ておきたいところです
免責事項
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本記事は税務・法務上のアドバイスを提供するものではありません。税金・法律に関するご判断は、税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。
本記事における業界慣行への言及は、一般的な注意喚起を目的としたものであり、特定の企業の商品・営業活動を批判するものではありません。
情報基準日:2026年6月19日
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
© 高配当株研究所 ※本記事はAIによる分析を含みます。投資推奨ではありません。






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