今回は、乗用車・小型商用車の製造・販売を手がける「マツダ(7261)」の2027年3月期 第1四半期決算(2026年8月4日発表)について、継続チェックの観点から確認していきます。分析基準日は2026年9月29日で、株価は同日終値1,107.5円です。
所長ダル








① 会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | マツダ株式会社(Mazda Motor Corporation) |
| 証券コード | 7261(東証プライム、輸送用機器) |
| 設立 | 1920年(東洋コルク工業として創立)【要確認:設立年の有価証券報告書での確認】 |
| 主な事業 | 乗用車・小型商用車の製造・販売。北米が売上・利益の柱。トヨタと資本提携しており、トヨタは31,928千株・5.06%を保有する第3位株主(有報 大株主の状況) |
| 時価総額 | 約6,997億円(9/29、かぶたん様) |
| 発行済株式数 | 631,803,979株(自己株式996,926株を含む)(短信2P 注記) |
| 決算期 | 3月期(第1四半期=4〜6月) |
| 現在株価 | 1,107.5円(9/29終値、前日比▲50円/▲4.31%、みんかぶ様・かぶたん様) |
出典:決算短信、決算説明資料、決算参考資料、質疑応答、有価証券報告書、みんかぶ様、かぶたん様、IRBANK様
分析基準日の9月29日は配当の権利落ち日にあたります。当日の株価▲50円には、中間配当25円の落ち分が含まれます。
大株主の状況(2026年3月末)では、上位はほぼ信託銀行口と海外カストディ口で、事業会社はトヨタ(5.06%)のみです。大量保有報告書は野村系(計約7.0%)、三井住友トラスト系(計約6.7%)、三菱UFJ系(計約5.1%)で、いずれも国内金融グループです(有報 大株主の状況 注記)。アクティビストの名前は、今回の資料の範囲では確認できません(3月末以降の提出分は未確認=偶発的─)。












② 主要財務指標
2027年3月期 第1四半期実績(2026年4〜6月)
| 指標 | 1Q実績 | 前年同期 | 通期予想 | 進捗率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆2,857億円(+16.9%、1Q過去最高) | 1兆998億円 | 5兆5,000億円 | 23.4% | 短信1P、説明資料6P |
| 営業利益 | 328億円 | ▲461億円 | 1,500億円 | 21.9% | 短信1P、説明資料6P |
| 営業利益率 | 2.6% | ▲4.2% | 2.7% | ─ | 説明資料6P |
| 経常利益 | 428億円 | ▲343億円 | 1,400億円 | 30.6% | 短信1P |
| 純利益(親会社株主帰属) | 296億円 | ▲421億円 | 900億円 | 32.9% | 短信1P |
| EPS | 46.97円 | ▲66.79円 | 142.67円 | 32.9% | 短信1P |
| BPS | 約3,040円 | ─ | ─ | ─ | IRBANK様・短信1Pより算出 |
| ROE | 予想4.69%(前期実績1.84%) | ─ | ─ | ─ | IRBANK様 |
| 自己資本比率 | 43.3%(劣後ローン資本性考慮後44.0%) | 前期末42.5% | ─ | ─ | 短信1P・添付2P |
| 営業CF | ▲406億円 | ▲1,411億円 | ─ | ─ | 短信添付8P |
| ネット・キャッシュ | 3,719億円 | 2,897億円(前年6月末) | ─ | ─ | 説明資料8P |
配当関連
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 年間配当予想 | 55円(中間25円・期末30円、修正なし) | 短信1P |
| 増配コミット | なし(方針は「安定的な配当の実現と着実な向上」、前回メモ記載) | ─ |
| 配当性向(予想) | 約38.6%(55÷142.67) | 当方算出 |
| 配当利回り | 4.96%(予想年55円÷1,107.5円) | みんかぶ様 |
| 1Q配当支払額 | 189億円(前期末配当30円分) | 短信添付9P |
| 配当履歴 | 30→35→35→35→35→0(2021/3)→20→45→60(特別5含む)→55→55→55(予) | 説明資料26P |
※同社は1Qでも四半期連結CF計算書を開示しています(短信添付8〜9P)。


















③ 継続チェックメモ項目評価
最初に確認:CF計算書の有無
同社は1Qでも四半期連結CF計算書を開示しています(短信添付8〜9P)。運用ルールでは1Qの営業CFは構造的─として扱う想定ですが、同社は制度上の標準を上回る開示をしているため、今回は実体のある数値として判定します。この開示姿勢は、経営方針の透明性でプラス材料になります。






毎回チェックする基本項目
| 項目 | 1Q実績 | 判定基準 | 判定 | 解説 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆2,857億円(進捗23.4%) | 通期進捗25%前後 | ○ | 1Q過去最高。為替(USD160円)が押し上げに寄与した可能性があります |
| 営業利益 | 328億円(進捗21.9%) | 上期黒字化/通期進捗25%前後 | ○ | 前年上期は▲539億円(1Q▲461・2Q▲78)。2Qの前年ハードルは低く、上期黒字化の可能性は高いと考えられます |
| 営業利益率 | 2.6% | 予想2.7%へ回復方向か | ○ | ほぼ計画線です。ただし自動車メーカーとしては依然低い水準です |
| 簡易EBITDA | 636億円(328+減価償却308) | 前年同期比で回復 | ◎ | 前年同期は約▲171億円(▲461+290)で、800億円超の改善です(決算参考資料) |
| 営業CF | ▲406億円 | 配当支払(189億円)を上回るか | △ | 下回っています。ただし前年同期▲1,411億円から約1,000億円改善しています。主因は新型CX-5立ち上げ期の棚卸資産増加▲508億円と考えられます(短信添付8P) |
| 年間配当予想 | 55円・修正なし | 減配・方針変更の予告がないか | ○ | 据え置きです。予想配当性向は約38.6%で、前期の98.9%から正常化の見込みです |
| EPS | 46.97円(進捗32.9%) | 通期予想142.67円 | ○ | 営業外の上乗せ(純額約100億円)と税負担の軽さで、営業利益より進捗が速いです |
| グローバル販売台数 | 30.4万台(+1.2%、進捗23.0%) | 通期計画132.4万台(+8.3%) | △ | 通期計画の+8.3%に対し1Qは+1.2%にとどまります。2Q以降の新型CX-5の加速が前提です |
| 前提為替 | 1Q実績 USD160円/EUR185円 | 通期前提 USD155円/EUR180円 | ○ | 1Qは計画より円安でした。ただし足元では円高圧力が出ています(後述) |












基本項目は、営業黒字転換と簡易EBITDAの大幅改善を受けて○◎が中心です。一方で、営業CFは配当支払を下回っており、グローバル販売台数も通期計画に対して1Qは出遅れています。営業CFは前年同期比では約1,000億円改善しています。
注意点①:本業の稼ぐ力(営業CF vs 配当)
| チェック項目 | 結果 | 判定 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 営業CFは配当総額を上回っているか | ▲406億円 vs 支払189億円 | △ | 1Q単独では下回っています。1Qは季節的にCFが弱い傾向があるため、判定の本番は中間(中間配当総額 約158億円)と通期(約347億円)です |
| 運転資本が営業CFを圧迫していないか | 棚卸資産▲508億、仕入債務▲212億、その他流動負債▲374億、その他投資等▲192億 | △ | 棚卸資産は6,961億→7,537億円(+576億円)に増えました(BS4P)。新車立ち上げに伴う一時的な積み増しなら2Q以降に解消するはずで、中間期に確認が必要です |
| 上期営業利益の進捗 | 1Q 328億円 | ○ | 残り3四半期で約1,172億円(四半期平均約390億円)が必要です。1Q水準がやや上振れれば届く計算です |
| 変動要因の計画比 | 次の表参照 | △ | 外部要因の進捗が先行し、自力要因(コスト改善)は遅れています |
| 利益の質(一時的押し上げ) | Q&Aで「特筆すべき一過性要因はない」と回答 | ○ | 関税還付の影響も軽微と説明されています(質疑応答1P) |
| 経常利益への依存 | 経常−営業=+100億円(受取利息74・為替差益57・持分法42) | ○ | 前期(為替差益474億円)ほど営業外に依存していません |
| 単体(本体)営業損益 | 四半期では単体非開示。代替として日本セグメント:▲139億円(前年同期▲642億円) | ○ | 構造的─のため、日本セグメントで代替しました。赤字は大幅に縮小しましたが、黒字化はしていません(短信11P) |
| 販管費 | 2,213億円(+69億円、+3.2%)vs 売上+16.9% | ○ | 販管費の伸びは売上を大きく下回っています。広告宣伝費は計画▲231億円のうち1Qで▲94億円(41%)を使っています |


















営業利益変動要因:1Q実績と通期計画の比較(単位:億円、説明資料7P・25P)
| 要因 | 1Q実績 | 通期計画 | 進捗 | コメント |
|---|---|---|---|---|
| 台数・構成 | +434 | +698 | 62% | うち販売奨励金▲209(計画0)、関税影響+203(計画+137を1Qで超過) |
| 為替 | +413 | +798 | 52% | 1QのUSD160円が効いています |
| 原材料・物流費 | ▲240 | ▲817 | 29% | ほぼ計画ペースです |
| コスト改善 | +157 | +776 | 20% | 構造的原価低減+119(計画+481の25%)、ベースCI+38(計画+295の13%) |
| 成長投資 | ▲98 | ▲305 | 32% | ─ |
| 固定費他 | +123 | ▲166 | ─ | 品質関連費▲25(計画▲269)。下期に費用が集中する可能性があります |


















1Qの改善+789億円のうち、為替(+413)と関税影響(+203)の合計616億円、約78%が外部環境要因です。コスト改善は+157億円(約20%)でした。前回メモの問題意識「回復は実力か、外部要因か」については、1Q時点でも外部要因主導の構図は変わっていないと考えられます。販売奨励金が計画ゼロに対して1Qだけで▲209億円に達しており、米国での値引き競争が続けば台数増が利益に結びつきにくくなる可能性があります。
営業CFは1Q単独で配当支払を下回っていますが、前年同期比では約1,000億円改善しており、主因は新型CX-5立ち上げ期の在庫積み増しと考えられます。一方で、営業利益改善の約78%は外部環境要因で、自力の指標であるコスト改善の進捗は20%にとどまります。判定の本番は中間決算と考えられます。
注意点②:配当の原資(手元資金・借入・単体の配当可能利益)
| チェック項目 | 結果 | 判定 | 解説 |
|---|---|---|---|
| ネット・キャッシュ(前年同期比) | 3,719億円(前年6月末2,897億円、前期末4,430億円) | ○ | 前期末からは▲711億円ですが、前年同期比では+822億円です。季節要因を考慮すれば健全と考えられます(説明資料8P) |
| 有利子負債 | 8,429億円(前期末比▲72億円) | ○ | 増加は止まっています。長期借入の新規調達は40億円にとどまりました(CF計算書9P) |
| 現金及び現金同等物 | 1兆2,148億円(▲784億円) | ○ | 換算差額+183億円を含みます |
| 単体の繰越利益剰余金 | 四半期非開示 | ─(構造的) | 通期(有報)で確認します。連結利益剰余金は9,521→9,628億円(+107億円=純利益296−配当189) |
| 自己資本比率 | 43.3%(考慮後44.0%) | ○ | 40%以上を維持しています |
| 政策保有株式売却での穴埋め | 投資有価証券3,161→3,058億円(評価差額の減少が主因) | ○ | 売却で配当を補う動きは見られません。投資有価証券評価損16億円を計上しています |
| 配当方針の文言 | 変更の言及なし | ○ | 予想修正も「無」です |
| 低PBR対策(自己株取得等) | 言及なし | △ | PBR0.36倍が続くなかで、資本政策の言及はありません |
追加で浮上した論点:劣後ローンの借り換え(短信10P 追加情報)
7月21日に既存の劣後ローン700億円を期限前弁済し、新規の劣後ローン700億円(R&I資本性クラス3・50%)で借り換えています。1Q末の「1年内返済予定の長期借入金」が554億→1,224億円に膨らんでいるのは、この返済予定分の振替が主因と考えられます。資本性は維持されており、配当原資の観点では中立です。なお、新ローンの利息繰延条項は「普通株式への配当を行う場合等を除き」繰延可能という設計で、配当と劣後ローン利息が連動する構造である点は覚えておく価値があります。
























ネットキャッシュ3,719億円(前年同期比+822億円)、有利子負債の増加停止、自己資本比率43.3%と、配当原資を支える財務面は良好です。政策保有株式の売却で配当を補う動きも見られません。一方で、営業CFで配当を賄えているかは、中間決算以降の確認となります。
引き続き良好なら安心できる項目
| 項目 | 1Q末 | 維持ライン | 判定 | 前回比 |
|---|---|---|---|---|
| 自己資本比率 | 43.3% | 40%以上 | ○ | ↑(42.5%→43.3%) |
| D/Eレシオ | 約0.44倍(8,429÷19,179) | 0.5倍以内 | ○ | ↓(0.45→0.44) |
| ROE | 予想4.69% | 予想通り回復、中期8%台 | △ | 1Q純利益進捗は32.9%で順調。ただし8%台は遠い水準です |
| ネット・キャッシュ | 3,719億円 | 期末3,000億円以上 | ○ | 期中値のため参考扱い。前年同期比では改善 |
| 配当方針 | 55円維持 | 変更・撤回なし | ○ | → |
| IR開示品質 | 1QでもCF計算書・変動要因表・Q&Aを開示 | 開示の後退がないか | ◎ | 制度上の標準を上回る開示です |
自己資本比率43.3%、D/Eレシオ約0.44倍、ネットキャッシュ3,719億円と財務面は良好で、IR開示品質は◎です。ROEは予想4.69%で、中期8%台は遠い水準です。
継続ウォッチ:その他
| 項目 | 結果 | 判定 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 新型CX-5 | 6月末受注:欧州2万台超・日本1万台超(計画超過)。米国は1Q前年割れ | △ | 前回メモの欧州1.5万台超から上積みされています。一方、米国では新技術の訴求不足を同社自身が認めており、6月以降は改善傾向と説明しています。ハイブリッド設定がない点は弱みです(説明資料15P、質疑応答1P) |
| 欧州EV | MAZDA6e出荷本格化、CX-6eは今夏〜今秋導入 | ○ | 欧州1Q販売+11.6%(説明資料23P) |
| 北米・関税 | 米国107千台(+7.4%)、北米セグメント利益412億円(前年▲32億円) | ○ | CX-50ハイブリッドとMAZDA3が牽引しています。関税15%前提に変化の言及はありません |
| 為替 | 1Q USD160円。9/28時点では157円台 | △ | 下記「外部環境」参照 |
| 原材料・物流費 | ▲240億円(通期計画の29%) | ○ | 計画ペース内です。中東情勢による原油高リスクは同社も認識しています |
| 中国 | 18千台(+0.5%) | ○ | EZ-60が牽引しています |
| 特別損失の再発 | 特別損失30億円(前年同期89億円)、大型損失なし | ○ | 前期のクレジット資産評価損のような損失は再発していません |
| 固定費・原価低減 | コスト改善進捗20% | △ | 自力改善の遅れは注意点①と共通の論点です |
| 設備投資・研究開発費 | 設備投資200億円(計画1,500億円の13%)、R&D 400億円(25%) | ○ | 設備投資は下期偏重と考えられます |
| ダイキョーニシカワ連動 | 国内生産188千台(+12.5%) | ◎ | 新型CX-5の国内生産立ち上げが主因と考えられます。取引先にとって追い風の数字です(決算参考資料 行40) |
| 大株主・アクティビスト | 有報時点で該当名なし | ─(偶発的) | 3月末以降の大量保有報告書はEDINETで要確認です |
| 従業員・人員施策 | 特別退職金の支払15億円(前期計上分の支払) | ○ | 新たな特別退職費用の計上はありません |
| その他市場 | 56千台(▲14.0%)、豪州▲22% | × | 燃料高で廉価BEV・HEVに需要が流れています。新型CX-5とMAZDA6eを7月に投入済みで、2Qで回復するかを確認します |


















外部環境(為替):9月上旬には円高進行で自動車株が売られ、同社株も大幅続落となった局面がありました(外部報道:Fisco、2026年9月8日)。足元では28日の東京市場でドル・円は1ドル=157円台半ばで推移しており(外部報道:株式新聞Web、2026年9月28日)、通期前提の155円はまだ上回っています。一方、日米首脳会談でトランプ米大統領から円安への懸念が示されたとの報道もあり(外部報道:OANDA証券、2026年9月28日)、下期の円高リスクは1Q時点より高まっている可能性があります。
新型CX-5は欧州・日本で計画超過、米国は前年割れと明暗が分かれています。為替は足元157円台と前提155円を上回る一方、円安是正圧力により下期の円高リスクは高まっている可能性があります。その他市場(豪州▲22%)は×で、2Qで回復するかを確認します。
即座に見直しが必要なシグナル(発生状況)
| シグナル | 状況 | 判定 |
|---|---|---|
| 減配予告・配当方針変更 | なし | ○ |
| 通期営業CFが2期連続で配当総額未達 | 未判定(通期で確認) | ─(構造的) |
| 営業利益予想の大幅下方修正(1,000億円以下) | 据え置き | ○ |
| 自己資本比率40%割れ/ネットキャッシュ2,000億円割れ | 43.3%/3,719億円 | ○ |
| 米国関税の引き上げ | 言及なし | ○ |
| 140円台の円高定着 | 157円台(ただし円安是正圧力あり) | △ |
| 新型CX-5の計画未達・品質問題 | 米国は前年割れ、欧日は計画超過。品質問題は報告なし | △ |
| BEV・協業関連の大型損失 | なし | ○ |
シグナルの発動はありません。ただし、140円台の円高定着(足元157円台だが円安是正圧力あり)と、新型CX-5の計画未達・品質問題(米国は前年割れ、欧日は計画超過)の2点が△となっており、引き続き注視が必要と考えられます。
④ 配当継続性スコア(5項目評価)
| 評価項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| 配当の中身 | ○ | 55円すべて普通配当で、記念・特別配当はありません。赤字の前期も55円を維持しており、予想配当性向も38.6%へ正常化する見込みです。ただし2021年3月期の無配実績は、景気循環株としての記憶として残しておくべきと考えられます |
| 本業の稼ぐ力 | △(実体) | 営業黒字転換・EBITDA大幅改善は評価できます。一方で、改善の約78%が為替・関税という外部要因で、コスト改善の進捗は20%、販売奨励金も計画外に膨らんでいます。利益率2.6%も業界水準では低いままです |
| 財務の健全性 | ○ | 自己資本比率43.3%、ネットキャッシュ3,719億円(前年同期比+822億円)、D/E 0.44倍。劣後ローンも資本性を維持したまま借り換え済みです |
| 配当の原資 | △(実体) | 1Q営業CF▲406億円が配当支払189億円を下回りました。前年同期比では約1,000億円改善し、主因は立ち上げ期の在庫積み増しと考えられますが、「営業CFで配当を賄えている」ことはまだ実証されていません |
| 経営方針の透明性 | ○ | 配当予想の据え置きを明示し、1QからCF計算書・変動要因表・Q&Aを開示しています。米国CX-5の苦戦も自ら説明しており、開示姿勢は良好です |






B-→B-(据え置き)
判定の考え方:今回は5項目すべてが実体で確認できた回です(1QのCF開示があるため、構造的─の項目はありません)。したがって運用ルール上は格上げが可能な回ですが、実体を伴う△が2項目(稼ぐ力・原資)残っています。前回メモの昇格条件(通期営業CF>配当総額、単体営業黒字化、自力改善主力での計画線着地)も、いずれも1Q時点では達成が確認できません。
据え置きの注釈(3点)
①数値だけを見ればB相当と考えられます。赤字から黒字への転換、ネットキャッシュの前年比改善、配当性向の正常化見通しは、前回から明確に改善しています。
②据え置いた理由:昇格判定の核心である「営業CFで配当を賄えるか」「改善が自力によるものか」が、1Qではいずれも否定側の数字(営業CFマイナス、外部要因78%)だったためです。業績や財務に問題が生じたからではありません。
③次回の格上げ条件(中間決算)は以下のとおりです。
- 中間(上期累計)営業CFが中間配当総額 約158億円を上回る
- 上期営業利益が黒字(目安:700億円以上=通期計画の約47%)
- コスト改善の上期累計が+310億円以上(通期計画776億円の40%)
上記3点を満たせばBとします。通期で営業CF>配当総額(約347億円)かつ計画線着地なら、B+を検討します。降格方向は、中間営業CFがマイナスのまま、または通期営業利益予想が1,000億円以下へ修正された場合で、C+を検討します。
クリックして評価ランクの説明を見る
S:非常に優れている/A:優れている/A-:Aの要件を満たすがBに近い注意点がある/B+:Bの要件を満たしAに近い水準にある/B:良好/B-:Bの要件を満たすがCに近い注意点がある/C+:Cの要件を満たしBに近い水準にある/C:やや懸念がある/C-:Cの要件を満たすがDに近い注意点がある/D:懸念が大きい/E:重大な懸念がある
※評価体系をS/A/A-/B+/B/B-/C+/C/C-/D/Eの11段階に変更しました。旧5段階(S/A/B/C/D)のA・B・C・Dの間にそれぞれ「+(プラス)-(マイナス)」ランクを新設しています。これは、同一ランク内でも「条件が揃えば上のランクに相当する」銘柄と「下のランクに近い懸念がある」銘柄を区別するためです。たとえばB-は「Bの要件は満たすが、Cに近い注意点を抱えている」状態を示します。
⑤ 適正株価試算(普通配当逆算法)
前提:現在株価1,107.5円(9/29終値)、予想配当55円、現在利回り4.96%、予想EPS142.67円。年初来高値は1,395円(2/18)、年初来安値は978.5円(5/12)で、現在値はその中間よりやや下に位置します。
シナリオ別試算
| シナリオ | 想定配当額 | 想定利回り | 適正株価(計算式) | 適正株価 | 前提 |
|---|---|---|---|---|---|
| 強気 | 65円 | 4.5% | 65÷0.045 | 約1,444円 | 来期EPSが150円台へ成長し、配当性向40%強で増配(2024年3月期の60円を上回る水準) |
| 中立 | 55円 | 4.5% | 55÷0.045 | 約1,222円 | 会社予想配当をそのまま使用 |
| 保守的 | 55円 | 5.0% | 55÷0.05 | 1,100円 | 増配なし・現状維持。市場が景気循環リスクを織り込み続けるケース |
| 弱気 | 35円 | 5.0% | 35÷0.05 | 700円 | 下記の前提条件 |
弱気シナリオ:「方針を曲げざるを得ない前提条件」
同社は配当性向の数値下限を公表していないため、「安定配当」方針を維持できなくなる条件で試算しました。以下の3つが重なるケースです。
- 通期営業利益が1,000億円以下へ下方修正される
- 営業CFが2期連続で配当総額を下回る
- ネットキャッシュの減少が続く
この場合、EPS約95円×配当性向約37%=約35円(2017〜2020年3月期の安定配当水準)への回帰を想定しました。
BPS×適正PBR倍率(2点セット確認)
BPS:3,040円(IRBANK様)
| PBR倍率 | 適正株価(計算式) | 位置づけ |
|---|---|---|
| 0.30倍 | 3,040×0.30 = 912円 | ─ |
| 0.36倍(現状) | 3,040×0.36 = 1,094円 | 現在のPBR水準 |
| 0.40倍 | 3,040×0.40 = 1,216円 | 中立シナリオ(1,222円)とほぼ一致 |
| 0.45倍 | 3,040×0.45 = 1,368円 | ─ |
中立シナリオ(1,222円)はPBR0.40倍とほぼ一致し、配当法とPBR法の整合は取れています。IRBANK様によると、2010年以降のPBRレンジは0.24〜2.57倍です。


















株価・バリュエーション(継続ウォッチ欄)
| 項目 | 前回(6/5) | 今回(9/29) | 変化のポイント |
|---|---|---|---|
| 株価 | ─(前回メモに記載なし) | 1,107.5円 | 権利落ち日で中間配当25円分が落ちています |
| PER(実績) | ─ | 19.90倍 | 前期EPS55.64円ベース |
| PER(予想) | ─ | 約7.8倍 | EPS142.67円ベース |
| PBR | 0.37倍 | 0.36倍 | ほぼ横ばい |
| 配当利回り | ─ | 4.96% | 高配当としての妙味は維持されています |
| みんかぶ様目標株価 | ─ | 1,287円(買い) | +16%の上値余地 |
| 初回試算との乖離 | ─ | 保守的〜中立の間 | 市場は「保守的シナリオ寄り」で評価していると考えられます |
外部データ(採否ルール適用)
- みんかぶ様 理論株価(株価診断):「対象外」で表示なし。目標株価との比較はできません
- アナリスト予想:予想株価1,302円(9/29更新)、判断は「中立」。14人(強買3・買1・中立9・売1・強売0)がカバーしており、第三者予想の裏づけはあります。中立が過半で、強気派は少数です
- 個人投資家予想:予想株価1,250円(9/28更新、直近3ヶ月以内のため採用)、判断「買い」
- 売買予想比率:投稿の更新日が特定できないため、数値は使用しません






信用需給ウォッチ(かぶたん様)
| 日付 | 売り残 | 買い残 | 信用倍率 |
|---|---|---|---|
| 8/28 | 816.2千株 | 4,451.5千株 | 5.45倍 |
| 9/04 | 610.2千株 | 4,772.5千株 | 7.82倍 |
| 9/11 | 619.2千株 | 5,379.2千株 | 8.69倍 |
| 9/18 | 546.6千株 | 5,211.3千株 | 9.53倍 |
| 9/25 | 530.0千株 | 5,271.4千株 | 9.95倍 |
| チェック | 判定 | 解説 |
|---|---|---|
| 信用倍率が低下しているか | × | 5.45→9.95倍に悪化しています。9月上旬の急落局面で押し目買いの買い残が積み上がったと考えられます |
| 買い残の発行済株式比(2%超は要注意) | ○ | 約0.83%です |
| 買い残が直近出来高を上回らないか | ○ | 9/29の出来高は約698万株で、買い残約527万株は1日分以下です |
| 急騰後の買い残急増 | ○ | 急騰ではなく、下落局面での増加です |












業績面の改善とは別に、需給面では戻り局面で買い残の手仕舞い売りが上値を抑える可能性があります。
①外部目標株価との比較:みんかぶ様目標株価1,287円(買い)、アナリスト予想株価1,302円(中立、14人)、個人予想1,250円に対し、現在値1,107.5円は外部目標を14〜18%下回っています。当ラボの中立シナリオ1,222円とも約10%の乖離があります。理論株価は対象外のため比較できません。
②割高・割安感:予想PER約7.8倍、PBR0.36倍、利回り4.96%で、指標面では割安圏と考えられます。ただし利益の多くが為替依存であるため、市場は保守的シナリオ(1,100円)寄りで評価している可能性があります。
③長期投資家への視点:55円配当は赤字期にも維持されており、財務余力(ネットキャッシュ3,719億円)も十分です。一方で、景気循環株として2021年に無配となった実績があり、「営業CFで配当を賄える体質」への回復は未実証です。判断の本番は11月の中間決算で、営業CFと中間配当の比較が最重要の確認ポイントです。次回の決算発表日は2026年11月上旬頃の見込みです。
④強気シナリオの根拠:新型CX-5(台当たり利益が平均超)が米国でも2Q以降に立ち上がること、欧州・日本の受注が計画を超えていること、EV(MAZDA6e・CX-6e)が投入されること、日本セグメントの赤字が大幅に縮小したこと。コスト改善が下期に加速し、自力で1,500億円を達成できれば、来期の増配余地が生まれる可能性があります。
全シナリオが崩れる条件
- 米国関税率が15%想定から引き上げられる
- 円高が進み、USD140円台で定着して下期の為替効果が消える(米国の円安是正圧力は要注意)
- 新型CX-5の米国販売の不振が長引き、販売奨励金がさらに膨らむ/重大な品質問題・リコールの発生
- 中東情勢の悪化で原油・物流費が計画(▲817億円)を大きく超える
- 協業BEV(長安汽車)関連での大型損失、または前期のようなクレジット資産評価損の再発
まとめ

































免責事項
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情報基準日:2026年9月29日
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
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