【高配当研究所】NTT(9432)/携帯契約177万件減でも過去最高益——有利子負債16.3兆円と「EBITDA4兆円」までの距離を読む

2026年8月6日、NTT株式会社(9432)が27/3期第1四半期決算を発表しました。営業収益3兆6,177億円(前年同期比+10.9%)と過去最高を更新し、増収増益を確保しています。ところが同じ四半期で有利子負債が3ヶ月で5,430億円増加し、支払利息は53.4%増加しました。決算翌日の株価は+2.39%の158.2円まで上昇し、みんかぶ様の目標株価155円を上回っています。今回は継続チェックとして、この「過去最高益」の中身と、財務面の変化を数字で分解していきます。

はじめにお断り

NTTの配当利回りは約3.41%(かぶたん様・みんかぶ様、2026/8/7時点)で、当メディアが想定する高配当水準(3.5%超)にはわずかに届きません。ただし16期連続増配(2026年度予想を含めれば17期連続)という実績があるため、以下は「高配当銘柄」としてではなく、成長性・競争力・割安感の視点で今仕込むべきかという観点の分析です。配当は参考値として扱います。

所長ダル
車野さん、NTTは過去最高の営業収益とのことですが、一方で有利子負債が3ヶ月で5,000億円以上も増えたと聞きました。手放しに喜べる決算ではなさそうですね。
車野アナリスト
所長、その理解で概ね正しいと思います。今回の1Qは、増収増益ではあるものの、稼ぐ力の中身と、借入コストの重さに注意が必要な四半期と申し上げるのが正確かと思います。順を追ってご説明します。
目次

はじめに

どこで稼いでいるか

1Qの営業収益3兆6,177億円の内訳(外部顧客ベース)は、総合ICT事業1兆5,422億円(42.6%)、グローバル・ソリューション事業1兆2,270億円(33.9%)、地域通信事業6,036億円(16.7%)、その他2,449億円(6.8%)です(決算短信P11)。ところが営業利益で見ると構造が一変します(決算短信P12、決算プレゼンP8)。

セグメント1Q営業利益前年同期利益構成比営業利益率
総合ICT(ドコモ等)2,462億円2,397億円57%15.2%
グローバル・ソリューション(NTTデータ等)635億円578億円15%5.0%
地域通信(NTT東西)985億円979億円23%12.9%
その他(不動産・エネルギー)234億円181億円5%5.3%

収益の34%を占めるグローバル・ソリューション事業が、利益では15%しか稼いでいません。逆に地域通信は収益16.7%に対し利益23%と高収益です。増収の主役(NTTデータ)が最も利益率の低い事業である──これが今のNTTの収益構造を読むうえで最初に押さえるべき点と考えられます。

さらに1段深く見ると、ドコモグループの内部でも構造転換が起きています(決算補足資料P5)。

ドコモ内訳1Q営業利益前年同期増減率
コンシューマ通信854億円1,046億円▲18.4%
スマートライフ(金融・決済等)910億円594億円+53.2%
法人698億円758億円▲7.9%

本業の携帯通信が2割近く減益となる一方、金融・決済が5割増益で通信を追い抜いた──これが今回の1Qで最も象徴的な数字と考えられます。

所長ダル
通信の売上高は伸びているのに、コンシューマ通信の利益が減っているというのは少し意外です。
車野アナリスト
はい。ドコモの1Q営業利益を分解すると、コンシューマ通信は854億円で前年から18.4%の減益、法人も7.9%の減益です。一方でスマートライフ、つまり金融・決済事業は910億円で53.2%の増益となり、金額でコンシューマ通信を上回りました。通信で守り、金融で攻めるという構図が、この四半期で数字としてはっきり表れたと考えられます。

なぜ今、NTT(9432)が話題なのか

2026年8月6日に発表された1Q決算で、営業収益3兆6,177億円(+10.9%)が過去最高を更新し、増収増益を確保しました。同時にIOWNのグローバル展開(チリ銅鉱山での遠隔オペレーション実証、インドでの光電融合デバイスPEC-2によるデータセンター省電力化調査)、全国広域分散GPU実証環境「GPU over APN Testbed」の提供開始(2026年7月)、100万量子ビットの光量子コンピューター実現に向けたOptQCとの資本業務提携(2026年8月)といったAI・量子関連の材料が並びました(決算プレゼンP10〜13)。決算翌日の8月7日、株価は前日比+2.39%の158.2円まで上昇し、みんかぶ様の目標株価155円を上回る水準に達しています。

会社概要

項目内容
正式名称NTT株式会社(NTT, Inc.)
証券コード9432(東証プライム)
代表者代表取締役社長 島田 明
決算期3月期(IFRS適用)
時価総額14兆3,251億円(かぶたん様・みんかぶ様・2026/8/7)
発行済株式数90,550,316,400株(うち自己株式9,125,733,186株=10.1%)
連結従業員数354,050人(2026年6月末)
事業セグメント総合ICT/グローバル・ソリューション/地域通信/その他(不動産・エネルギー等)
国内シェア国内通信事業最大手。持株会社制で地域電話独占、携帯・光回線高シェア
特殊事情NTT法により政府(財務大臣)が発行済株式の3分の1超を保有する義務あり

主要財務指標(2027年3月期1Q/2026年4-6月)

指標数値前年同期/前期出典
営業収益3兆6,177億円(+10.9%・過去最高)3兆2,620億円決算短信P1
営業利益4,251億円(+4.9%)4,052億円決算短信P1
営業利益率11.8%12.4%決算短信より算出
EBITDA8,362億円(+4.3%)8,014億円決算プレゼンP7
EBITDAマージン23.1%24.6%決算補足資料P1
税引前四半期利益4,214億円(+7.6%)3,918億円決算短信P1
当社帰属四半期利益2,748億円(+5.8%)2,597億円決算短信P1
EPS(1Q)3.38円3.14円決算短信P1
EPS(通期予想)12.10円12.61円(前期実績)決算短信P1
BPS121.07円119.47円(前期末)決算短信P1
ROE(予想)9.94%(実績10.66%)IRBANK様
ROA(予想)2.06%(実績2.22%)IRBANK様
株主資本比率20.8%20.8%(前期末)/34.0%(2024年度)決算短信P1
営業CF(1Q)5,745億円(+482億円)5,263億円決算短信P8
現金及び現金同等物2兆3,874億円1兆9,219億円(前期末)決算短信P9
有利子負債16兆2,546億円(+5,430億円)15兆7,116億円(前期末)決算プレゼンP15
支払利息(1Q)650億円(+53.4%)424億円決算短信P8
のれん2兆1,444億円2兆797億円(前期末)決算短信P3
設備投資(通期予想)2兆4,300億円(1Q 5,118億円)2兆3,260億円決算プレゼンP17
減価償却費(通期予想)1兆8,700億円(+4.4%)1兆7,910億円決算補足資料P1
自己株式取得7月末実績331億円/枠2,000億円(進捗16.6%)決算プレゼンP18
配当(参考値)年5.40円予想・配当性向44.6%5.30円(前期・42.0%)決算短信P1

この四半期を読むうえで最重要の注意点

注意点1:増収の中身は「低採算事業の拡大」
営業収益は+3,557億円伸びましたが、内訳はグローバル・ソリューション事業+1,746億円(増収額の49%)、総合ICT+1,269億円、その他+563億円です(決算プレゼンP8)。一方の営業利益増加+200億円のうち、グローバル・ソリューションの貢献は+57億円にとどまります。結果として営業利益率は12.4%→11.8%、EBITDAマージンは24.6%→23.1%へ低下しました。売上が2桁伸びても利益が1桁しか伸びない構造が数字に表れています。

注意点2:金融費用が急増している
支払利息は1Qだけで650億円(前年424億円、+53.4%)、金融費用合計では711億円(前年493億円)です(決算短信P5、P8)。前回メモで「来期EPS減益の主因の一つ」と指摘した金融費用の重さが、四半期ベースで明確に確認できます。

所長ダル
有利子負債が3ヶ月で5,000億円以上も増えたのは、心配すべき水準なのでしょうか。
車野アナリスト
前回メモで最重要の注意点とした項目が、改善どころか悪化した形です。1Qの支払利息は650億円で前年から53.4%増加しており、通期予想でも営業利益がほぼ横ばいの中、税引前利益は5.2%の減益、当期利益は5.5%の減益という予想になっています。本業で稼いだ増益分を、借入のコストがそのまま食っている構図です。7月にはさらに1兆5,000億円規模の社債発行も後発事象として発生しており、2Q末の負債はさらに膨らむ可能性があります。

注意点3:携帯電話サービス契約数が177万件の純減
1Qの携帯電話サービス純増数は▲1,773千件、解約率は1.74%(前年同期0.84%)へ跳ね上がりました(決算補足資料P11)。ただしこれはFOMA(3G)サービスの終了によるもので、前期末に2,276千件あったFOMA契約が今期はゼロになっています。ハンドセット解約率は0.96%(前年0.69%)にとどまり、構造的な顧客流出とは異なる一過性の要因と読むのが妥当と考えられます。実際、モバイルARPUは3,920円→3,990円と上昇しています(決算補足資料P13)。

所長ダル
携帯電話の契約が177万件も減ったと聞くと、正直心配になります。
車野アナリスト
見出しだけですとそう感じられますが、内訳を見ますと前期末に227.6万件あったFOMA、いわゆる3Gサービスの契約がサービス終了でゼロになったことが主因です。実際にハンドセットの解約率は0.96%にとどまっており、モバイルARPUもむしろ3,920円から3,990円へ上昇しています。契約数の増減だけでなく、契約数×単価で見ることが大切と考えられます。

業績推移(過去5期+今期予想)

決算期営業収益(百万円)営業利益(百万円)営業利益率EPS(円)備考
2023.313,136,194※1,829,750※13.9%約13.6※増収増益。国内通信+海外データが安定成長
2024.313,374,569※1,922,929※14.4%15.09※営業利益・EPSともにピーク
2025.313,704,7271,649,57112.0%11.96ピークアウト。営業利益▲14.2%、当期利益▲21.8%
2026.314,409,1211,706,22111.8%12.61増収増益に復帰。NTTデータG完全子会社化・住信SBI連結化
2027.3(予)15,060,0001,710,00011.4%12.10増収も当期利益▲5.5%。金融費用増が主因
2027.3 1Q実績3,617,707425,14911.8%3.38増収増益。営業収益は過去最高を更新

※2023.3・2024.3の数値は今回の添付資料に未収録のため、当ラボ保有データおよび前回メモに基づく参考値です。

出典:2025年度決算短信P1、2026年度1Q決算短信P1、かぶたん様業績推移

2024年3月期が明確な山でした。営業利益1兆9,229億円・利益率14.4%・EPS15.09円が過去最高です。そこから利益率は一貫して低下しています。14.4%→12.0%→11.8%→今期予想11.4%。売上は13.4兆円→15.1兆円と+13%伸びているのに、営業利益はピークから約11%減の水準にとどまります。通信業は本来「増収=増益」になりやすいストック型ビジネスですが、NTTの場合はM&A(NTTデータG完全子会社化、住信SBIネット銀行連結化)による低採算・高負債の売上が積み上がる形の増収であり、利益率の希薄化が起きています。EPSは15.09円→12.10円予想と3期で約20%減となりましたが、自己株式取得により期中平均株式数が82,738百万株→81,424百万株(▲1.6%)へ減少しており、EPSを下支えしています(決算短信 注記事項(3))。

今1Qは連結範囲の重要な変更がなく(決算短信 注記事項(1))、前期比較は素直に可能です。ただし前期中に住信SBIネット銀行が新規連結されたため、会社は「ドコモSMTBネット銀行連結影響を除く」CFを開示しています。除外ベースの営業CFは5,643億円(前年5,263億円、+380億円)で、連結ベースの5,745億円と大きな差はなく、CFの改善は銀行連結による見かけ上のものではないと読めます。EPSの長期推移は15.09円(’24.3)→11.96円(’25.3)→12.61円(’26.3)→12.10円(’27.3予)という「踊り場」の形で、通期予想EPS12.10円に対し1Q実績3.38円で進捗率28.0%(前年同期は25.0%)と、前年を上回るペースであり、通期予想には上振れ余地があると考えられます。

継続チェックメモとの照合(27/3期1Q)

毎回チェックする基本項目

チェック項目前回(2026/3期)今回(2027/3期1Q・通期予想)評価
営業収益14兆4,091億円(+5.1%)1Q 3兆6,177億円(+10.9%)/通期15兆600億円予想
営業利益1兆7,062億円(+3.4%)1Q 4,251億円(+4.9%)/通期1兆7,100億円(+0.2%)
当期利益(当社帰属)1兆370億円(+3.7%)1Q 2,748億円(+5.8%)/通期予想9,800億円は据え置き
EPS12.61円1Q 3.38円(前年3.14円)/通期12.10円。進捗率28.0%
営業CF(配当総額の3倍以上)1兆4,852億円1Q 5,745億円(配当支払2,159億円の2.7倍)
年間配当予想5.30円実績/次期5.40円5.40円維持・修正なし(17期連続増配へ)

○が並びますが、注目すべきは「当期利益だけが△」という点です。1Q単体では+5.8%と増益ですが、会社の通期予想は当期利益9,800億円(▲5.5%)のまま据え置かれています(決算短信P1、修正の有無:無)。営業利益は+0.2%で横ばい予想なのに当期利益だけ5.5%減る──その差分が金融費用(支払利息)の増加であり、これが今のNTTの最大の構造的な重しと考えられます。営業CFは1Q 5,745億円で前年同期比+482億円と改善しました。四半期配当支払2,159億円に対して2.7倍で、前回メモの「3倍以上」ラインは通期で判断すべき項目ですが、四半期ベースでは2.7倍と余裕がやや薄い点は覚えておきたいところです。

注意点①:有利子負債の増大と財務レバレッジ

チェック項目評価内容
有利子負債残高(15兆7,116億円から横ばい〜減少か)×16兆2,546億円へ+5,430億円増加(決算プレゼンP15)。ノンリコース除きでも15兆4,580億円→16兆0,007億円
有利子負債/EBITDA倍率(4.2倍から改善傾向か)今回資料に数値開示なし。金融事業除き有利子負債は14兆537億円→14兆8,030億円へ増加しており、改善しているとは考えにくい(補足資料P2)
支払利息の増加がEPSを圧迫していないか×1Q支払利息650億円(前年424億円、+53.4%)。金融費用711億円(前年493億円)
追加の大型M&A・子会社化の発表米国WinWire子会社化(NTT DATA・5月)、OptQCと資本業務提携(8月)等。いずれも小規模で、1兆円級の案件はなし
データセンター投資(2026年度予想2兆4,300億円)の進捗1Q設備投資5,118億円(前年4,565億円)。通期予想2兆4,300億円を維持。DC事業単体の設備投資は1Q 1,012億円(前年717億円、+41%)

前回メモで「最重要の注意点」に指定した有利子負債は、改善どころか3ヶ月で5,430億円増えました。加えて後発事象として、2026年7月1日に海外市場で発行総額55億米ドル・38.5億ユーロ・4億英ポンドの無担保社債を発行しています(決算短信P13)。ざっくり1兆5,000億円規模の調達であり、2Q末の有利子負債はさらに膨らむ可能性が高いと考えられます。有利子負債/EBITDA倍率が今回の資料から消えた点も気になります。前回は明示されていた指標が四半期資料に載らないのは開示粒度の問題とも考えられますが、前回メモで最重要指標に指定した項目が追跡できなくなったという事実は記録しておくべきです。粗い試算では、金融事業除き有利子負債14兆8,030億円÷金融事業除きEBITDA(通期予想3兆4,300億円ベースの近似)で4.3倍前後となり、会社目標の3.5倍(2030年度)からはむしろ遠ざかっている計算になります。なお、「5倍を超えたら要警戒」という前回のウォッチラインには達していません。ここは冷静に見るべき点です。

注意点②:当期利益・EPSの減益トレンド

チェック項目評価内容
当期利益は予想9,800億円から回復傾向にあるか1Q進捗28.0%(前年同期25.0%)で予想上振れの余地はあるが、会社は通期予想を据え置き
EPS12円台を維持しているか1Q 3.38円(+7.6%)、通期予想12.10円
配当性向が50%を超えていないか2026年度予想44.6%(前期42.0%)。上昇傾向だが50%までは余裕あり
金融費用の増加が前期比で拡大していないか×支払利息+53.4%。明確に拡大
のれん減損リスクの言及のれん2兆1,444億円(前期末2兆797億円、為替・WinWire取得等で増加)。1Qの減損損失は35億円と小規模で、大規模減損の言及なし

通期予想を分解すると構図がはっきりします。営業収益は+4.5%、営業利益は+0.2%、税引前利益は▲5.2%、当期利益は▲5.5%です。営業利益から税引前利益に落ちる段階で819億円削られています。本業で稼いだ増益分を、借入コストが丸ごと食べている構図です。EPSを回復させるには、①金利負担のピークアウト、②借入の返済、③自己株式取得による株数削減、のいずれかが必要ですが、①②は当面期待しにくく、③の2,000億円枠は時価総額14兆円に対して1.4%にすぎません。

継続ウォッチ①:AIOWN・光電融合デバイスの商用化進捗

チェック項目評価内容
PEC-2の商用提供開始・進捗インドでPEC-2を用いたスイッチ導入によるDC省電力化の「実現可能性を調査」段階(決算プレゼンP10)。商用提供開始の明示はなし
IOWN APNの展開エリア拡大チリ銅公社の銅鉱山でIOWN APNによる重機遠隔オペレーション実証を開始。グローバル展開へ拡大(同P10)。ただし国内エリア展開の数値記載はなし
GS事業のAI関連売上・受注の具体数値NTTデータG受注高1兆4,603億円(前年1兆1,256億円、+29.7%)、受注残高8兆7,099億円(前年6兆4,782億円、+34.5%)と力強いが、AI関連の内訳数値は非開示(補足資料P6)
データセンター総受電容量の進捗[ – ]今回の添付資料に記載なし
「AIOWN」「PEC」の具体的な売上貢献数値[ – ]依然として登場せず。定性的な説明にとどまる

前回メモで「定性的な説明に留まり続ける場合は成長ストーリーの後退サイン」としたウォッチポイントですが、今回も売上数値は出ませんでした。ただし内容は前進しています。「GPU over APN Testbed」を2026年7月から全国8拠点(首都圏4・札幌・金沢・大阪・福岡)で提供開始し、低遅延100Gbps級の広域分散GPU環境を顧客と共同実証する場を用意しました(決算プレゼンP11)。IOWNエコシステム向け投資ファンド「IOWN AI Fund」の発表(6月)、100万量子ビット光量子コンピューター実現へOptQCと資本業務提携(8月)も同じ流れです。「技術は前に進んでいるが、収益にはまだ結び付いていない」──これが現在地と考えられます。実証・調査から商用売上への転換が2Q以降に見えるかどうかが最大の焦点です。

所長ダル
IOWNや量子コンピューターの話題は華やかですが、実際の収益にはどのくらい貢献しているのでしょうか。
車野アナリスト
正直に申し上げますと、現時点では技術的な前進はあっても、売上として計上された数値はまだ出てきていません。チリの銅鉱山での実証やインドでのデータセンター省電力化の調査、8月に発表されたOptQCとの光量子コンピューター分野での資本業務提携など、話題は豊富ですが「実現可能性を調査」という段階にとどまっています。ちなみに、みんかぶ様の目標株価155円は資産価値であるBPS121.07円のPBR1.28倍とほぼ一致しており、市場はこうした中期テーマの価値をまだ株価にほとんど織り込んでいないとも読めます。

継続ウォッチ②:2030年度EBITDA4兆円目標への進捗

チェック項目評価内容
連結EBITDAは前年比で改善しているか1Q 8,362億円(前年8,014億円、+4.3%)。通期予想3兆4,300億円(前期実績3兆4,233億円)
海外法人事業のEBITDA拡大×FY2025実績4,182億円→1Q 521億円、通期予想3,670億円(▲12.2%)。2030年度目標6,000億円から逆行(補足資料P2)
金融事業EBITDAの成長FY2025 716億円→1Q 280億円(年換算1,120億円ペース)。2030年度目標2,300億円に向け明確に加速。個別開示ベースでも1Q 425億円(前年263億円、+61.6%)
EBITDA4兆円目標の言及・修正2026年5月発表の中期財務目標を修正なく維持(補足資料P2)
分野FY2025実績FY2026予想FY2030目標目標までの差
連結EBITDA3兆4,233億円3兆4,300億円4兆円+5,700億円
バリュー分野1兆8,000億円1兆8,000億円2兆3,000億円+5,000億円
コネクティビティ分野1兆6,000億円1兆6,000億円1兆7,000億円+1,000億円

2026年度予想は前期比ほぼ横ばい(+67億円)です。2030年度まで残り4年で5,700億円を積み上げる計画に対し、初年度は事実上足踏みという評価になります。さらに内訳を見ると明暗が分かれます。金融事業(716億円→2030年に2,300億円)は+61.6%の高成長で計画を上回るペースにある一方、海外法人事業は4,182億円→今期3,670億円へ12%減る予想で、2030年目標6,000億円との距離が広がっています。データセンター事業(グローバル・ソリューションセグメント分)も2,821億円→2,260億円の予想です。なお前期のデータセンター事業は2Q(7-9月)のEBITDAマージンが69.9%と異常値を示しており、何らかの一過性利益が含まれていた可能性があります。今期予想の減少はその反動という側面がありそうですが、資料からは断定できません。実力ベースでは1QのDC事業営業収益1,515億円(前年1,294億円、+17.1%)と伸びており、営業利益278億円(前年283億円)と横ばいであることのほうが重要な事実と考えられます。投資は増えているのに利益が伸びていない──DC事業の収益性は要監視です。ROIC(金融事業除き)は2025年度5.4%→2026年度予想5.0%へ低下、2030年度目標5.5%に対して逆行しています(補足資料P2)。

所長ダル
2030年度にEBITDA4兆円という目標は、順調に近づいているのでしょうか。
車野アナリスト
2025年度実績が3兆4,233億円、2026年度予想が3兆4,300億円ですので、初年度の増加はわずか67億円にとどまります。残り5,700億円を4年で積み上げる計画に対し、実質的には足踏みの状態と考えられます。ただし内訳を見ますと、金融事業のEBITDAは前年から61.6%増加しており計画を上回るペースです。一方で海外法人事業は12.2%の減少予想で、2030年目標からむしろ遠ざかっています。

継続ウォッチ③:傘下子会社の非上場化動向

チェック項目評価内容
TOB・非上場化の新規発表[ – ]今回の添付資料には該当する発表なし
NTT本体への財務影響[ – ]該当なし
TOBプレミアムの妥当性[ – ]該当なし

新規の非上場化案件はありませんでした。むしろ逆方向の動きとして、NTTマーケティングアクトProCXの合弁会社化(NTTデータ・NTT西日本、7月)が発表されています(決算プレゼンP13)。AIエージェントを中核とした次世代BPO事業の共同展開が目的とされ、グループ内の再編は「取り込む」から「組み替える」フェーズに移りつつある可能性があります。

継続ウォッチ④:NTT法・政府保有株に関する政策動向

チェック項目評価内容
NTT法改正に関する動き[ – ]添付資料の範囲では確認不可
固定電話の段階的移行の進捗加入電話+INSネット契約数は11,304千→10,321千(▲8.7%)、公衆電話は93,534→80,970個(▲13.4%)と着実に縮小(補足資料P12)
政府保有株売却の法改正動議[ – ]添付資料の範囲では確認不可

政策動向そのものは資料から読めませんが、レガシー(固定電話)の縮小は数字で確認できます。一方でフレッツ光は23,840千→24,035千(+0.8%)と微増、「フレッツ 光クロス」のエリアカバー率は80%を突破(6月)しており(決算プレゼンP13)、レガシーから光への移行は計画通り進行中と読めます。

引き続き良好なら安心できる項目

項目維持ライン今回評価
連続増配増配継続の方針言及5.40円予想を維持。17期連続増配へ(決算プレゼンP19)
配当方針変更・撤回の言及なし修正なし(決算短信P1「修正の有無:無」)
営業利益増益基調1Q 4,251億円(+4.9%)/通期1兆7,100億円(+0.2%)
EBITDA3兆4,000億円台維持通期予想3兆4,300億円
グローバル・ソリューション事業営業利益成長継続1Q 635億円(前年578億円、+9.9%)/通期予想943億円
自己株式取得(2,000億円枠)予定通り実行7月末実績331億円(進捗16.6%)。取得期間の経過率約25%に対しやや遅い
現金及び現金同等物2兆3,874億円(前期末1兆9,219億円)

自己株式取得の進捗は、2026年5月11日〜2027年3月31日という取得期間(約10.7ヶ月)のうち2.7ヶ月弱が経過した時点で16.6%です。枠を使い切らない可能性も視野に入れておくべきと考えられます。なお過去の取得実績を見ると、2022年5,103億円→2023年〜2025年は各2,000億円と、近年は規模が縮小して定額化しています(決算プレゼンP18)。NTTデータG完全子会社化に1兆3,472億円を投じた(前年1Qの財務CF内訳)ことを踏まえれば、還元よりも負債返済が優先される局面と読むのが自然と考えられます。

銘柄固有の注目ポイント

チェック項目評価内容
株主構成の変化[ – ]大株主一覧の添付がなく判別不可。ただしNTT法により政府(財務大臣)が発行済株式の3分の1超を保有する義務があり、外部からの敵対的圧力は構造的に働きにくい
特定顧客への依存「総収益の10%以上の営業収益が単一の外部顧客との取引から計上されるものはありません」と明記(決算短信P12)
為替感応度[ – ]NTTデータ海外セグメント売上7,921億円(1Q)と海外比率が相応にあるが、為替前提・感応度の開示なし
令和8年熊本地震の影響最大2市町村でモバイルサービス中断も約2日(7月30日)で復旧。業績への影響額の記載はなし(決算プレゼンP4)

即座に見直しが必要なシグナル:該当なし

前回メモの9項目を確認

減配予告・増配方針撤回→なし/配当性向2期連続50%超→44.6%予想で未達/有利子負債・EBITDA倍率5倍超→開示なしだが推計4.3倍前後で未達/当期利益2期連続マイナス成長→’26.3は+3.7%増益のため該当せず/EPS10円割れ→12.10円予想/総合ICT営業利益の大幅減少(前年比▲15%超)→1Q+2.7%増益/EBITDA4兆円目標の再延期・撤廃→維持/追加の超大型M&A(1兆円超)→なし/のれん大規模減損(2,000億円超)→なし。ただし「有利子負債の増加ペース」は前回想定を超えています。3ヶ月で5,430億円増、7月には1兆5,000億円規模の社債発行という流れは、警戒レベルを一段上げるべき変化と考えられます。

事業・競争力の評価

本業の稼ぐ力:△

売上成長率は1Q +10.9%と高水準ですが、営業利益は+4.9%、EBITDAは+4.3%にとどまり、営業利益率は12.4%→11.8%、EBITDAマージンは24.6%→23.1%へ低下しました。増収の約半分が最も利益率の低いグローバル・ソリューション事業(営業利益率5.0%)によるものであり、規模は伸びているが収益性は薄まっているという評価になります。さらに深刻なのは、主力のコンシューマ通信が営業利益▲18.4%、法人が▲7.9%と本業側で減益している点です。全体を支えたのはスマートライフ(金融・決済)の+53.2%であり、通信会社としての稼ぐ力は明確に弱含んでいると考えられます。ROEは予想9.94%、ROIC(金融事業除き)は5.4%→5.0%へ低下しています。ただし明るい材料もあります。NTTデータグループの受注残高が8兆7,099億円(+34.5%)へ急拡大しており、これは今後2〜3年の売上を支える先行指標です。金融事業EBITDAの+61.6%成長、NTTアーバンソリューションズの営業利益292億円(前年85億円)も明確な改善材料です。

財務の健全性:△(前回○から格下げ)

格下げ理由は明快です。有利子負債が16兆2,546億円へ3ヶ月で5,430億円増加し、支払利息が+53.4%へ急増したためです。株主資本比率は20.8%で、2024年度の34.0%から大幅に低下したまま横ばいです。総資産47兆4,597億円のうち銀行業の貸出金が11兆1,032億円、銀行業の預金が11兆4,638億円を占めるため、金融事業のバランスシートが乗っている点を割り引いて見る必要はありますが、それを考慮しても財務レバレッジは高い水準にあります。一方、現金及び現金同等物2兆3,874億円、営業CF年1兆5,000億円規模、公益性の高い通信インフラという事業特性を踏まえれば、返済能力そのものに疑義があるわけではありません。2兆4,300億円の設備投資と2,000億円の自己株取得、4,400億円規模の配当を同時に実行できる余力は維持されています。×ではなく△としたのはこのためです。

経営方針の透明性:○

以下の点で高く評価できます。①2030年度EBITDA4兆円という明確な数値目標を掲げ、バリュー分野/コネクティビティ分野の内訳、事業別EBITDAの目標値まで開示している(補足資料P2)。②有利子負債/EBITDA倍率3.5倍程度(2030年度)という財務目標を明示している。③ROIC(金融事業除き)5.5%(2030年度)という資本効率の物差しを設定している。④決算補足資料でセグメント別・グループ会社別の損益を細目まで開示。ドコモ/NTTデータ/NTT東西/アーバンソリューションズを個別に追跡できる。⑤配当性向の推移を2003年度から一貫して開示(決算プレゼンP19)。残る懸念は2点です。①有利子負債/EBITDA倍率が今回の四半期資料から消えたこと、②AIOWN・PEC-2の売上貢献数値が依然として登場しないこと。特に①は前回メモで最重要指標に指定した項目であり、次回2Qで復活するかを確認したいところです。

市場環境コメント

国内通信市場は成熟し、価格競争が続く局面です。ドコモのコンシューマ通信が1Qで営業利益▲18.4%となったことは、モバイルARPUが3,920円→3,990円と上昇しているにもかかわらず利益が減っていることを意味し、顧客獲得コスト・端末販売コストの重さを示唆していると考えられます。ハンドセット契約数は53,084千→52,592千と微減しています。一方で成長領域は明確です。金融・決済は金融・決済取扱高1Q 4兆5,900億円(前年4兆500億円)、dポイントクラブ会員1億1,108万人、ドコモSMTBネット銀行の預金残高11兆4,996億円・住宅ローン残高9兆5,183億円と拡大しており、「ドコモの銀行」ブランドも公表されました(7月)。データセンター・AIはNTTデータの受注残8兆7,099億円(+34.5%)がAI・クラウド需要を反映していると考えられます。IOWN・量子は商用化前の段階ですが、光電融合・光量子コンピューターという長期テーマを国内で最も先行して抱えています。競合との比較では、KDDI・ソフトバンクも同様に非通信領域(金融・AI)へシフトしており、「通信で守り、金融とAIで攻める」という構図は業界共通です。NTTの差別化要因はIOWNという独自技術基盤と、政府保有という安定株主構造にあると考えられます。

リスク要因

押さえておきたい6つのリスク
  1. 金利上昇:最大のリスク。有利子負債16兆2,546億円に対し金利1%上昇=年1,600億円で当期利益予想の16%相当
  2. のれん減損:のれん2兆1,444億円。海外法人事業のEBITDAが今期▲12%予想で、海外事業の減損リスクは相対的に高まっている
  3. 設備投資の回収:2兆4,300億円、減価償却費1兆8,700億円(+4.4%)。IOWN・DC投資の回収は2028年以降が中心で、当面は償却負担が先行
  4. 国内通信の減益継続:利益の57%を占める総合ICTの中核が弱含むと金融の伸びで補いきれない可能性
  5. 政策リスク:NTT法改正・政府保有株の動向。固定電話義務撤廃はプラスだが、政府保有比率低下は需給悪化懸念
  6. アクティビストリスク:政府が3分の1超保有のため構造的にきわめて低い

総合評価:B(前回A-から一段階引き下げ)

引き下げ理由は3点です。①有利子負債が改善どころか3ヶ月で5,430億円増加し、支払利息が+53.4%へ急増。前回メモで最重要注意点に指定した項目が悪化方向に動きました。加えて7月に1兆5,000億円規模の社債を追加発行しています。②収益性の希薄化:営業利益率12.4%→11.8%、EBITDAマージン24.6%→23.1%、ROIC 5.4%→5.0%予想。増収の主役が最も低採算な事業であり、規模拡大が利益率を押し下げる構図が定着しつつあります。③株価が割安圏を離れた:現在株価158.2円はみんかぶ様目標株価155円を上回り、PBR1.31倍・PER13.1倍。株価診断も「割高」となっています。

一方でB以下に下げない理由も明確です。1Qは増収増益で、営業収益は過去最高を更新。EPS進捗率28.0%は前年の25.0%を上回り、通期予想には上振れ余地があります。17期連続増配の見込みで、配当性向44.6%と方針変更を迫られる水準には達していません。金融事業EBITDA+61.6%と、2030年度目標に向けて最も高い伸びを示す分野が計画を上回るペースにあります。NTTデータG受注残高+34.5%という強力な先行指標もあります。EBITDA4兆円目標を修正なく維持し、財務目標・ROIC目標まで開示する透明性の高さ、政府保有という安定株主構造と、通信インフラという事業の代替不可能性も評価できます。

判定

「成長株として今仕込む価値があるか」という問いに対しては、事業内容は堅実だが成長株としては評価しづらく、増配継続に支えられたインカム+インフラ銘柄として、押し目を待って拾う対象というのが現時点の見方です。決算翌日に+2.39%上昇し目標株価を上回った今の水準で買い上がる局面ではないと考えられます。

適正株価試算

EPS×PER法(4シナリオ)

現在株価158.2円(みんかぶ様・2026/8/7 11:30時点)を基準としています。

シナリオ想定EPS想定PER適正株価現株価比前提条件
強気14.0円15.0倍210円+32.7%金融事業の高成長継続+金融費用ピークアウト。NTTデータ受注残8.7兆円が売上化し海外法人事業のEBITDAが反転。AIOWN・PEC-2の売上貢献が数値で登場しプレミアムPERが付く
中立12.10円13.1倍159円+0.2%会社予想EPSをそのまま採用。PERは現状水準を維持
保守的11.5円11.5倍132円▲16.4%国内通信の減益が続き、金融費用増が会社予想を上回る。PERは過去10年の中位以下(12倍割れ)へ収縮
弱気9.8円9.0倍88円▲44.4%下記条件が重なった場合

(参考)EBITDA4兆円達成シナリオ:2030年度にEBITDA4兆円(+16.7%)を達成した場合、減価償却費・金融費用が現状水準にとどまれば当期利益は1兆2,000億円前後、EPSは約15円相当。PER14倍でも株価210円程度となります。現在株価との差が「中期計画が完遂された場合の伸びしろ」ですが、初年度の2026年度予想が前期比ほぼ横ばい(+67億円)であることを踏まえると、4〜5年単位の話と捉えるのが現実的と考えられます。

弱気シナリオが現実になる条件(複数の同時発生)
  1. 金利がさらに上昇し、支払利息が年間3,000億円規模へ拡大(1Q実績650億円の年換算は2,600億円)
  2. 海外法人事業の不振が続き、のれん2兆1,444億円のうち大規模な減損計上に至る
  3. 総合ICT事業(利益の57%)の営業利益が前年比▲15%超となり、金融の伸びで補えなくなる
  4. EBITDA4兆円目標が再度延期・下方修正され、中期成長ストーリーへの信頼が失われる
  5. 配当性向が50%を超え、17期続いた増配方針の見直しが示唆される
  6. NTT法改正で政府保有株の売却が具体化し、大規模な需給悪化が生じる

BPS×適正PBR(2点セット)

BPS 121.07円(1Q末実績)を基準としています。

PBR倍率適正株価位置づけ
0.90倍109円悲観局面の目安(過去レンジ0.51〜1.65倍の下半分)
1.00倍121円解散価値。心理的な「床」
1.20倍145円押し目の第一目安
1.31倍159円現在水準
1.50倍182円業績・EBITDA進捗が確認された場合
1.65倍200円過去レンジ上限(IRBANK様・2010年以降0.51〜1.65倍)

EPS×PER法の中立シナリオ(159円)とBPS×PBR法の現在水準(159円)が完全に一致しており、現在の株価は「妥当だが、割安とは言えない」水準にあると考えられます。なお注意すべきは、BPSの構造的な低下です。1株当たり株主資本は123.54円(2024年度末)→119.47円(2025年度末)→121.07円(1Q末)と、NTTデータG完全子会社化によって一度切り下がっています。同じ株価でもPBRが構造的に高く出るようになった点は、過去レンジとの比較時に割り引いて考える必要があります。

みんかぶ様目標株価との比較

みんかぶ様の目標株価は155円で、現在株価158.2円はこれを3.2円(+2.1%)上回っています。株価診断は「割高」、個人予想は「売り」、アナリスト評価は「買い」と割れています(みんかぶ様、2026年8月7日)。注目すべきは、この155円がBPS121.07円=PBR1.28倍とほぼ一致している点です。IRBANK様の表示PBR1.28倍(8月6日終値ベース)とも符合します。つまり市場は「現在の資産価値に対する妥当なプレミアム」までは織り込んでいるが、EBITDA4兆円・AIOWN商用化といった中期ストーリーはまったく織り込んでいないと読めます。裏を返せば、それらが数字として現れた時には伸びしろがあるとも言えます。なお、みんかぶ様のPBR表示は1.47倍で、IRBANK様(1.28倍)・かぶたん様(1.30倍)と乖離があります。BPS121.07円で計算すると158.2÷121.07=1.31倍となるため、実態に近いのは1.30倍前後と考えられます。乖離は自己株式10.1%という資本構成に起因する株式数の取り方の違いと推測されます。

「今仕込む」判断の目安となる株価水準

株価水準位置づけ
121円前後(PBR1.0倍・解散価値)心理的な「床」。ここまで下がれば下値余地はかなり限定的と考えられます
145円前後(PBR1.2倍)押し目の第一目安
158.2円(現在水準)中立シナリオ159円とほぼ一致。「妥当価格で買う」水準であり、大きな割安感はありません
155円(みんかぶ様目標株価)現在株価はすでにこれを上回っており、新規の仕込みには慎重さが求められます
182円(PBR1.5倍)業績・EBITDA進捗が確認された場合の上値目安
スタンスの整理

押し目を待っての分割投入が現実的と考えられます。買い増しを検討できる条件は、①有利子負債が16兆円台から横ばい〜減少に転じ、支払利息の増加率が鈍化する、②有利子負債/EBITDA倍率が資料に再登場し、4.2倍から改善している、③コンシューマ通信の営業利益が下げ止まり、前年比プラスに戻る、④AIOWN・PEC-2の売上貢献が具体的な数値として初めて開示される、⑤通期予想(当期利益9,800億円)の上方修正、のいずれかです。見送るべき条件は、配当性向が50%を超えた場合、海外法人事業の不振によるのれん減損が計上された場合、またはEBITDA4兆円目標の再延期が示唆された場合です。「事業内容は堅実だが割安ではない」というのが現在地であり、増配継続に支えられたインカム+インフラ銘柄として、時間をかけて押し目を拾う対象と整理できます。

全シナリオが崩れる条件

前提そのものが成立しなくなるケース
  1. AIOWN・光電融合の商用化競争で他社に決定的に先行される。NTTの技術優位という前提が崩れれば、成長ストーリーそのものが失われます
  2. 金融事業(成長の主エンジン)で大規模な信用コストが発生。ドコモSMTBネット銀行の住宅ローン残高9兆5,183億円に対し、金利上昇局面での貸倒れ・逆ざやが顕在化するケース
  3. NTT法改正により政府保有義務が撤廃され、大規模な株式売却が実施される(需給の激変)
  4. 大規模な通信障害・サイバー攻撃によるブランド毀損と行政処分
  5. 世界的な景気後退でNTTデータの受注残8.7兆円がキャンセル・凍結される事態

まとめ

  • 1Q営業収益3兆6,177億円(+10.9%)で過去最高を更新。ただし増収の半分は最も低採算のグローバル・ソリューション事業
  • 有利子負債は3ヶ月で5,430億円増加し16兆2,546億円へ。支払利息は+53.4%と急増、7月には1.5兆円規模の社債を追加発行
  • 携帯契約177万件減はFOMA終了による一過性要因。モバイルARPUはむしろ3,920円→3,990円へ上昇
  • ドコモの利益構造はコンシューマ通信▲18.4%に対しスマートライフ(金融)+53.2%と逆転
  • 2030年度EBITDA4兆円目標は初年度+67億円と足踏み。金融事業は計画超過、海外法人事業は逆行
  • 17期連続増配見込み・配当性向44.6%と余裕はあるが、株価158.2円はみんかぶ様目標株価155円をすでに上回る
  • 総合評価はB(前回A-から引き下げ)。押し目を待っての分割投入が現実的で、目安は121〜145円圏
所長ダル
車野さん、今日もありがとうございました。過去最高益という見出しの裏に、いろいろな事情が隠れているのですね。
車野アナリスト
はい。売上や増配といった良い数字と、有利子負債や金融費用といった重い数字が同時に進んでいるのが今のNTTの姿と考えられます。次回2Qでは、有利子負債/EBITDA倍率の開示が復活するか、そしてコンシューマ通信の減益が続くかを確認していきましょう。

免責事項

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AI(Claude/Anthropic社)を活用して作成したコンテンツです。情報の正確性・完全性を保証するものではなく、記載内容に誤りが含まれる可能性があります。

本記事は特定の有価証券への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。株式投資には価格変動リスクがあり、元本が保証されるものではありません。

本記事に記載されている将来予測・試算・適正株価に関する記述は、あくまで参考情報であり、実際の将来の業績・株価・配当を保証するものではありません。

本記事で参照しているみんかぶ様・IRBANK様・かぶたん様などの第三者提供データについて、当ラボはその正確性・完全性について責任を負いません。最新情報は各社の公式サイトおよび企業のIR情報をご確認ください。

本記事は税務・法務上のアドバイスを提供するものではありません。税金・法律に関するご判断は、税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。

情報基準日:作成日20260807

本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。

© 高配当株研究所 ※本記事はAIによる分析を含みます。投資推奨ではありません。

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