【J-REIT有報レポート 大和証券リビング投資法人】住宅への再転換と、売却益でつなぐ「利益の谷」

作成日付: 2026年7月28日


※本記事はAIによる分析をベースに作成しています。投資判断はご自身の責任において行ってください。詳細は記事末尾の免責事項をご確認ください。

はじめに:このシリーズについて

J-REIT研究ラボでは、有価証券報告書や決算説明資料、その後に公表されたIRをもとに、各投資法人の状態をできるだけ丁寧に確認しています。

このシリーズの目的は、専門家向けに難しい言葉を並べることではありません。個人投資家や投資初学者の方が、J-REITの収益構造や分配金の中身を理解し、投資判断の一助とできるように整理することです。

今回は、大和証券リビング投資法人の第40期有価証券報告書を確認します。

第40期は増収増益となりましたが、本業の賃貸利益は減少しています。一方、住宅では大幅な賃料増額が進み、投資法人はヘルスケア施設を売却しながら、都市型の賃貸住宅へ資産を入れ替えています。

数字だけを見ると少し分かりにくい決算ですが、現在は住宅中心の成長モデルへ移行する途中と考えると、全体像をつかみやすくなります。


この銘柄はどんなJ-REIT?

  • 名称:大和証券リビング投資法人
  • 証券コード:8986
  • タイプ:賃貸住宅・ヘルスケア施設複合型J-REIT
  • 決算月:3月・9月
  • スポンサー:大和証券グループ本社
  • 資産運用会社:大和リアル・エステート・アセット・マネジメント
  • 第40期末保有物件数:238物件
  • 第40期末取得価格総額:約3,942億円
  • 第40期末総資産:約4,010億円
  • 第40期末稼働率:98.4%
  • 賃貸住宅比率:76.0%
  • ヘルスケア施設比率:24.0%

大和証券リビング投資法人は、もともと住宅特化型REITとして上場しました。

2020年に日本ヘルスケア投資法人を吸収合併し、現在は賃貸住宅と有料老人ホームなどのヘルスケア施設を組み合わせて運用しています。

ただし、現在は再び住宅の比率を高める方向へ動いています。

決算説明資料では、賃貸住宅比率を3年程度で90%程度まで引き上げる方針が示されました。今後は、住宅・ヘルスケア複合型というより、住宅を中心にヘルスケア施設を一部保有するREITへ変化していく可能性があります。

有報提出後にも住宅取得が続いており、グランカーサ葛西の取得後は、取得価格ベースのヘルスケア施設比率が22.2%まで低下します。


直近決算期の指標確認

指標第39期第40期コメント
総資産4,001億円4,010億円ほぼ横ばい
純資産1,876億円1,883億円小幅増加
DPU2,700円2,630円70円減配
EPU2,758円2,877円売却益増加で上昇
巡航EPU(ラボ推計)約1,990円約1,930円売却益を除くと弱含み
総資産LTV51.2%51.1%高めの水準
賃貸NOI99.80億円97.74億円減少
NOI利回り約5.0%約5.0%横ばい
FFO約74.1億円約71.8億円減少
1口当たりFFO3,105円3,011円94円減少
期末稼働率98.0%98.4%回復
DSCR8.4倍7.7倍低下継続

第40期の営業収益は149.93億円、当期純利益は68.66億円となり、前期から増加しました。

一方、賃貸事業収入は126.36億円から125.34億円へ減少し、賃貸NOIも99.80億円から97.74億円へ低下しています。

つまり、第40期は、

売却益によって最終利益は増えたものの、本業の賃貸収益はやや弱かった

と整理できます。主要指標でも、1口当たりFFOは3,105円から3,011円へ低下し、DSCRも7.7倍まで下がりました。

DPUは2,630円と前期比70円の減配ですが、利益不足だけが原因ではありません。

売却益などの一部を圧縮積立金や配当積立金へ積み立て、将来の分配金安定化に備えています。このため、当期純利益は増えた一方で、分配金は減少しました。


注目ポイント1:住宅賃料の伸びはかなり強い

第40期の住宅運営で最も注目したいのは、賃料増額です。

まず全体感として、入替時と更新時の賃料増額率の推移を見ると、直近3期で上昇傾向がかなり鮮明になっています。

入居者が入れ替わった住戸では、入替時賃料が平均+13.2%上昇しました。更新時にも+4.4%の賃料増額を実現しています。

地域別の入替時賃料上昇率は、

  • 東京23区:+16.7%
  • 関東・東京23区外:+16.0%
  • 福岡:+15.6%
  • 近畿:+9.2%
  • 札幌:+7.9%
  • 仙台:+4.1%
  • 愛知:+2.0%

となっています。

特に東京圏と福岡で強い賃料上昇が確認できます。東京23区の都心5区では+19.3%まで上昇しました。

更新時も、対象住戸の85%に賃料増額を打診し、72%が応諾しています。

退去後の入替時だけでなく、既存入居者との契約更新時にも増額できていることから、保有住宅の競争力は比較的高いと考えられます。

ただし、賃料増額がそのまま利益増加になるわけではありません。

第40期の平均ダウンタイムは67.3日で、広告宣伝費や原状回復費も増加しました。賃料を高く設定するほど、空室期間が長くなったり、募集費用が増えたりする可能性があります。

賃料上昇率だけでなく、空室損失や募集費用を差し引いたNOIが増えているかを確認する必要があります。


注目ポイント2:ヘルスケア施設から住宅へ大きく転換

大和証券リビングは、ヘルスケア施設を売却し、築浅の都市型住宅を取得しています。

ポートフォリオ構成の変化を図で見ると、現在の資産入替が「小さな調整」ではなく、住宅比率を大きく高める方向で進んでいることが分かります。

図:住宅・ヘルスケア比率の変化
※取得価格ベース
※3年後目標は賃貸住宅比率90%程度をもとに当ラボ作成

第40期末時点では住宅76.0%、ヘルスケア24.0%でしたが、直近では住宅77.8%、ヘルスケア22.2%まで変化しています。会社が掲げる3年後の住宅比率90%程度という目標まで考えると、今後も住宅取得とヘルスケア売却が継続する可能性が高そうです。

決算説明資料では、

  • 年間80億円程度の物件売却
  • 1口当たり売却益500~700円程度
  • 賃貸住宅比率を3年で90%程度へ引き上げ
  • 中期的に成長期待の高い住宅へ集中

という方針が示されました。

住宅への転換には一定の合理性があります。

住宅は入居者の入替や更新のたびに賃料を見直しやすく、インフレ環境でも収入を増やせる可能性があります。売却時の買い手も比較的多く、資産入替の自由度も高いと考えられます。

一方、ヘルスケア施設は長期固定賃料で安定していますが、オペレーターの採算が悪化しても、REIT側の契約稼働率にはすぐに表れません。

第40期末のヘルスケア施設は、契約上の稼働率は100%ですが、定員ベースの平均入居率は78.7%でした。

個別には入居率が40~60%台の施設もあります。現在の賃料支払いに問題がなくても、人件費や食材費、光熱費が上がれば、将来的にオペレーターの負担が重くなる可能性があります。

このため、ヘルスケア施設を売却できるうちに整理し、賃料成長力のある住宅へ移す戦略は理解できます。


注目ポイント3:含み益1,105億円は大きな強み

第40期末の不動産帳簿価額は約3,803億円、鑑定評価額は約4,908億円です。

差額となる含み益は約1,105億円あります。

これは大和証券リビングの大きな強みです。

ただし、含み益の大部分は住宅から生じています。

  • 住宅の含み益:約1,057億円
  • ヘルスケア施設の含み益:約49億円

昔から保有している都心・都市部の住宅は取得簿価が低く、不動産価格や賃料の上昇によって大きな含み益を抱えています。

一方、近年取得した築浅住宅は、取得価格と鑑定評価額との差が小さいものも多くあります。

つまり、現在の厚い含み益は、過去に割安で取得した住宅による部分が大きいと考えられます。

年間80億円程度の売却を続けても、当面は含み益を活用できるでしょう。

しかし、優良な含み益物件を売却した後、新しく取得した住宅にも同じような含み益が育つかは分かりません。

今後のポイントは、含み益を単に取り崩すのではなく、その資金で次の収益力と資産価値を持つ住宅を取得できるかです。


注目ポイント4:分配金は守れるが、巡航利益は低下局面

会社予想では、1口当たり当期純利益は、

  • 2026年3月期実績:2,877円
  • 2026年9月期予想:2,474円
  • 2027年3月期予想:1,913円

へ低下します。

一方、DPU予想は、

  • 2026年9月期:2,510円
  • 2027年3月期:2,410円

です。

2027年3月期はEPU1,913円に対してDPU2,410円となり、約500円の差が生じます。

この差は、不動産売却益と内部留保の取崩しで補う予定です。

第40期末には約95億円、会社資料の概数では約100億円の内部留保があります。分配金を急激に減らさず、資産入替の途中を乗り切るための緩衝材としては強力です。

ただし、内部留保は使えば減ります。

売却益と内部留保を使っている間に、住宅の賃料増額や新規取得物件の稼働率改善によって、巡航EPUが回復する必要があります。

DPUが維持されていることと、本業の利益が成長していることは分けて考えたいところです。


注目ポイント5:低稼働の築浅住宅を取得し、自ら埋める

大和証券リビングは、竣工直後で稼働率が十分に上がっていない住宅を取得するケースがあります。

有報後に取得したグランカーサ葛西は、

  • 所在地:東京都江戸川区
  • 取得価格:12.33億円
  • 鑑定評価額:13.00億円
  • 取得価格/鑑定評価額:94.9%
  • 築年月:2026年2月
  • 賃貸可能戸数:34戸
  • 取得時稼働率:80.9%
  • 鑑定NOI:約4,770万円
  • 取得価格ベースNOI利回り:約3.9%

となっています。

鑑定評価額より約5%低い価格で取得している点は悪くありません。

一方、稼働率80.9%で取得するため、取得後のリーシングリスクは投資法人が負います。

同様に、取得時点で稼働率が低かった築浅物件には、

  • グランカーサ住吉Ⅱ
  • グランカーサ曳舟Ⅱ
  • グランカーサ川口青木町公園
  • グランカーサ上野松が谷
  • グランカーサ一番町

などがあります。

安定稼働した物件を高値で買うのではなく、完成直後の物件を取得し、自ら賃料設定とリーシングを行う戦略です。

成功すれば満室化によるNOI成長を取り込めますが、募集が長引けば広告費や空室損失が増えます。

今後は、取得後6か月から1年程度でどこまで稼働率を上げられるかが重要です。


気になる点 冷静に見ておきたいリスク

金利負担が増えている

金利負担の上昇と、本業ベースの収益力との関係を並べてみると、足元では金融費用の増加が先行している様子が見えやすくなります。

第40期から第42期予想にかけて、金融費用率は1.2%から1.6%へ上昇する見通しです。一方、巡航EPUは第40期1,930円、第41期1,920円と横ばい圏にとどまり、第42期予想では1,410円まで低下するイメージとなります。賃料増額の追い風があっても、当面は金利負担の増加が先行しやすい構図と考えられます。

第40期末の総資産LTVは51.1%、金利固定化比率は51.7%です。

LTVは住宅系J-REITとしては高めで、借入金の約半分は金利変動の影響を受けやすい構造です。

有報後の借換えでは、日本政策投資銀行から10億円を固定金利2.00148%で調達しました。低金利時代の借入れが、満期を迎えるたびに1%台後半から2%前後へ置き換わり始めています。

別の7億円の借換えは、1か月TIBOR+0.47%の変動金利です。有利子負債総額は、有報後の追加借入れによって約2,102億円となりました。

賃料増額が強くても、金融費用の増加が上回ればEPUは伸びません。

売却によるNOI剥落

年間80億円程度の売却を続けると、売却益を得られる一方、賃料収入も失われます。

売却益だけを見るのではなく、売却後に失われたNOIを、新規取得物件と既存住宅の賃料成長で補えているかを確認する必要があります。

修繕費と資本的支出

第40期の資本的支出は14.28億円で、数年前より増加しています。

ポートフォリオには築20年以上の住宅も多く、外壁、防水、給排水、エレベーター、住戸設備などの更新負担は今後も続くと考えられます。

築古物件は大きな含み益を持つ一方、維持費も増えます。「直して保有する物件」と「価格が高いうちに売却する物件」の選別が重要です。

スポンサー系列との取引

大和証券グループからの物件供給やウェアハウジング機能は強みです。

ただし、スポンサーから物件を取得することが、そのまま投資主価値の向上につながるとは限りません。

取得利回り、借入コスト、取得時稼働率、取得後の修繕費を含めて判断する必要があります。

運用会社は住宅私募REITも運用しており、住宅物件の情報配分にはローテーションルールを設けています。利益相反防止の仕組みはありますが、上場REITにとって最も良い物件が常に優先されるとは限らない点は確認しておきたいところです。


まとめ

大和証券リビング投資法人は、厚い含み益と内部留保を持ち、住宅賃料の内部成長も強いJ-REITです。

特に、入替時賃料+13.2%、更新時+4.4%という実績は、住宅ポートフォリオの競争力を示しています。

一方で、第40期の賃貸NOIとFFOは減少しました。今後も金融費用の上昇や、資産売却によるNOI剥落が見込まれます。

会社は、ヘルスケア施設を縮小し、住宅比率を90%程度まで引き上げる方針です。この方向性には合理性がありますが、移行期間中は巡航EPUが低下し、売却益と内部留保への依存が大きくなります。

当ラボでは、現在の大和証券リビングを、

短期的なDPUは含み益と内部留保によって守りやすい一方、本格的な評価改善には巡航EPUの回復確認が必要な銘柄

と考えます。

今後の焦点は、売却益で分配金を作れるかではありません。

売却した資産の代わりに、賃料成長力があり、将来の含み益も期待できる住宅を積み上げられるかです。

住宅への再転換が成功すれば、インフレ環境に対応しやすいポートフォリオへ変化する可能性があります。一方、金利負担や取得物件のリーシングが想定以上に重くなれば、内部留保を取り崩す期間が長引く可能性があります。

DPUだけでなく、売却益を除いたEPU、賃貸NOI、金融費用、新規取得物件の稼働率を合わせて確認していきたいところです。

免責事項

【AIによる作成について】
本記事は、AIによる分析をベースに作成しています。AIは決算説明資料および有価証券報告書を参照して分析を行っていますが、読み取りの誤り・解釈の相違・情報の欠落が生じる可能性があります。本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、その正確性・完全性を保証するものではありません。

【投資に関する免責事項】
本記事は特定の銘柄への投資を推奨・勧誘するものではありません。投資にはリスクが伴い、投資元本が保証されるものではありません。J-REITへの投資においては、分配金の減少・投資口価格の下落・上場廃止などのリスクがあります。投資に関する最終的な判断はご自身の責任において行ってください。投資判断に際しては、必要に応じて証券会社・ファイナンシャルプランナーなど専門家へのご相談をお勧めします。

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