作成日付:2026年7月29日
※本記事はAIによる分析をベースに作成しています。投資判断はご自身の責任において行ってください。詳細は記事末尾の免責事項をご確認ください。
はじめに:このシリーズについて
本シリーズでは、J-REIT各銘柄の有価証券報告書を主資料として、決算説明資料やその後の開示情報も確認しながら、投資法人の状態をできるだけ正確に整理します。
対象は投資のプロだけではありません。個人投資家や投資を始めたばかりの方にも分かるように、分配金の数字だけでは見えにくい部分を、できるだけ平易に確認していきます。
今回取り上げるのは、証券コード8975のいちごオフィスリート投資法人です。
第41期は表面上では減益・減配となりました。しかし、本業の賃貸事業は改善しており、その後には都心4物件を非常に高い価格で売却しています。
注目すべきなのは、売却益によって大きく増える次期分配金だけではありません。
物件売却後の巡航利益を、賃料上昇や再投資によってどこまで回復できるか。ここが今後の重要な確認点です。
この銘柄はどんなJ-REIT?
- 名称: いちごオフィスリート投資法人
- 証券コード: 8975
- タイプ: 中規模オフィス主体型J-REIT
- 決算月: 4月・10月
- スポンサー: いちご株式会社
- 資産運用会社: いちご投資顧問株式会社
- 保有物件数: 87物件
- 取得価格総額: 約2,225億円
- 鑑定評価額: 約2,888億円
- 賃貸可能面積: 約26万㎡
- 期末稼働率: 97.3%
- テナント数: 1,036件
- ポートフォリオPML: 3.7%
いちごオフィスは、東京都心を中心とした中規模オフィスを主力としています。
大型オフィスを数棟保有するタイプではなく、多数の中規模ビルとテナントに分散している点が特徴です。最大テナントでもポートフォリオ全体に占める割合は小さく、特定企業の退去が全体を大きく揺らす構造にはなっていません。
一方で、築年数の経過した物件や、借地、区分所有などの事情を持つ物件も含まれます。
そのため、単純に保有を続けるだけではなく、共用部改修、セットアップオフィス化、設備更新、テナント誘致などを繰り返しながら収益力を維持・向上させる運用が重要になります。
いちごグループは、この既存不動産の価値向上を「心築」と呼んでいます。
直近決算期の指標確認
| 指標 | 第40期 | 第41期 | 増減・状況 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 2,443.6億円 | 2,454.9億円 | 約11.3億円増加 |
| 純資産 | 1,047.8億円 | 1,032.3億円 | 約15.5億円減少 |
| DPU | 2,715円 | 2,376円 | 339円減少 |
| 巡航EPU | 1,992円 | 2,033円 | 41円増加 |
| 簿価LTV | 51.0% | 51.6% | 0.6ポイント上昇 |
| 鑑定LTV | 44.8% | 43.9% | 0.9ポイント低下 |
| 賃貸NOI | 57.89億円 | 59.39億円 | 約1.50億円増加 |
| NOI利回り | ― | 5.3% | ポートフォリオ全体 |
| 1口当たりFFO | 2,639円 | 2,687円 | 48円増加 |
| 1口当たりNAV | 106,287円 | 109,528円 | 3,241円増加 |
第41期は営業収益、営業利益、当期純利益、DPUが前期を下回りました。

ただし、主因は賃貸事業の悪化ではなく、前期より不動産売却益が減少したことです。
実際には、賃貸NOIは過去最高を更新し、巡航EPUも前期比で増加しました。表面上の分配金は下がりましたが、本業利益は改善したとみられます。
注目ポイント1 本業の内部成長は比較的強い
第41期では、テナント入替時の賃料増額が進みました。
増額入替となった49件の平均増額率は27.2%、既存テナント90件の契約更新時の平均増額率は12.3%でした。
もちろん、全テナントの賃料が一律に27%上がったわけではありません。増額できた契約を対象とした平均値である点には注意が必要です。
それでも、契約稼働率97.3%を維持しながら、平均賃料坪単価を上げている点は評価できます。
平均賃料坪単価は、全物件で2024年4月期の約15,100円から、第41期には約16,300円まで上昇しています。都心6区でも約18,300円から19,400円へ上昇しました。

オフィス市況の改善が、実際の収益に反映され始めていると考えられます。
注目ポイント2 「心築」は実際に収益向上につながっている
いちごオフィスでは、セットアップオフィス化や共用部の改修などに資金を投じています。
説明資料では、代表例として次のような成果が示されています。
- いちご恵比寿グリーングラス
投資額2,900万円、年間賃料増加額2,300万円 - いちご渋谷道玄坂ビル
投資額4,200万円、年間賃料増加額1,200万円 - いちご聖坂ビル
投資額1億2,600万円、年間賃料増加額2,900万円 - いちご新横浜ビル
投資額6,200万円、年間賃料増加額1,200万円
開示されている計算では、20%を超える投資効率となった事例が多く、一部では非常に高い数値が示されています。
ただし、この投資効率に空室期間、仲介費用、フリーレントなどがどこまで含まれているかは、資料だけでは完全には分かりません。
そのため、示された数値をそのまま最終的な投資利回りとみなすのではなく、実際の稼働率回復と合わせて確認する必要があります。
それでも、改修投資が賃料や鑑定評価額の上昇につながっていること自体は確認できます。
注目ポイント3 含み益は厚い
第41期末の不動産帳簿価額は約2,211億円、鑑定評価額は約2,888億円です。
差額となる含み益は約677億円、含み益率は30.6%でした。
含み益は現金ではありませんが、保有物件を売却したときに利益として実現できる可能性があります。
今回、その実現力を示したのが、決算後に発表された都心4物件の売却です。
注目ポイント4 都心4物件を非常に高い価格で売却
いちごオフィスは、次の4物件を合計142.2億円で売却しました。
- いちご半蔵門ビル
- いちご西池袋ビル
- いちご九段ビル
- いちご人形町ビル
4物件の想定帳簿価額は合計約68.7億円、鑑定評価額は合計90.9億円でした。
これに対し、売却価格は142.2億円です。
売却価格は帳簿価額の約2.1倍、鑑定評価額の約1.56倍となり、売却益は約58.7億円を見込んでいます。
少なくとも価格面では、物件を安値で処分した取引ではありません。
半蔵門ビルは稼働率が79.4%まで低下していましたが、鑑定評価額23億円に対して42.1億円で売却されました。
空室を埋めて保有を続けるよりも、好条件で売却して利益を確定する方が投資主に有利と判断した可能性があります。
注目ポイント5 第42期DPU5,683円の中身
2026年10月期のDPU予想は5,683円です。
ただし、その大部分は4物件の売却益によるものです。
| 項目 | 2026年10月期予想 |
|---|---|
| DPU | 5,683円 |
| 巡航EPU | 1,841円 |
| 売却益相当 | 約3,840円 |
| NOI | 59.40億円 |
表面上のDPUは大幅に増えますが、巡航EPUは第41期の2,033円から1,841円へ低下します。
売却した4物件の賃貸収入は失われますが、既存物件の賃料増額やフリーレント終了、船橋ビルの通期寄与により、NOI全体では売却前と同水準を維持する計画です。
それでも巡航EPUが低下するのは、主に支払利息やその他費用が増えるためです。
したがって、5,683円というDPUだけを見て、分配金の基礎体力が大幅に上昇したと考えるのは慎重であるべきです。
気になる点1 売却後の巡航EPU回復には時間がかかる
2027年4月期の巡航EPU予想は1,941円です。
2026年10月期の1,841円からは回復しますが、第41期の2,033円には届きません。
会社予想には、今後の賃料改定効果や、4物件の売却代金を使った再投資効果が織り込まれていません。
このため、予想には一定の保守性があると考えられます。
一方で、現時点では売却後の利益減少を埋める具体的な取得案件が確定していないとも読めます。
スポンサーには18物件、取得時簿価約813億円のパイプラインがありますが、実際にいちごオフィスが取得する価格や利回りは示されていません。
物件を高く売れる市場では、買う側にとって取得価格も高くなりやすいため、再投資の難易度は低くありません。
気になる点2 金利負担が内部成長を削る可能性

第41期末の平均借入金利は1.16%まで上昇しました。
金利固定化比率は、2025年4月期の91.8%から第41期には81.7%へ低下しています。
一方、簿価LTVは51.6%まで上昇しました。
鑑定評価額を基準とするLTVは43.9%であり、含み益を考慮すると一定の余裕があります。しかし、簿価LTVはJ-REITとして低い水準とはいえません。
今後も毎期、まとまった規模の借換えが続きます。
賃料を引き上げても、支払利息の増加がそれを上回れば、巡航EPUは伸びにくくなります。
いちごオフィスの財務が直ちに危険ということではありませんが、数字の方向としては慎重に確認したいところです。
気になる点3 CAPEX負担は軽くない
第41期の資本的支出は約19.8億円でした。
2026年10月期は約21.9億円、2027年4月期も約20億円を計画しています。
築年数の経過した中規模オフィスを多く保有しているため、競争力を維持するには継続的な設備更新や改修が必要です。
心築による賃料上昇は強みですが、投資を止めても同じ収益が続くわけではありません。
そのため、巡航EPUを見る際には、会計上の利益だけではなく、建物への継続的な資金投入も考える必要があります。
気になる点4 低稼働物件は残っている
ポートフォリオ全体の稼働率は97.3%ですが、個別には80%台の物件もあります。
- いちご聖坂ビル:80.8%
- いちご新横浜ビル:81.4%
- いちご天神ノースビル:81.5%
- いちご渋谷イーストビル:82.8%
- いちご博多駅東三丁目ビル:84.3%
低稼働物件には、改修やリーシングによる改善余地があります。
一方で、工事を実施しても空室が長期化すれば、投資回収に時間がかかります。
今後は賃料増額率だけでなく、改修後の稼働率と空室期間も確認したいところです。
スポンサーの状況
スポンサーのいちご株式会社は、2027年2月期第1四半期に親会社株主帰属純利益を前年同期比で増加させました。
ただし、利益増加には不動産や子会社株式の売却益が大きく寄与しています。
スポンサー自身も、不動産を取得し、収益力を高め、適切な時期に売却する資産回転型の事業モデルを採っています。
中規模オフィスの取得、改修、セットアップオフィス化に関するノウハウは継続的に蓄積されており、いちごオフィスにとってスポンサーの実務能力はプラスと考えられます。
一方、スポンサー本体も借入金と支払利息が増加しており、自己資本比率は低下しています。
財務不安があるという水準ではありませんが、非常に保守的なスポンサーというより、資本効率を重視して積極的に事業を動かす会社と見るのが適切でしょう。
熊本の保有物件について
いちごオフィスは熊本市内に「いちご熊本ビル」を保有しています。
第41期末時点では、稼働率100%、帳簿価額約15.7億円、鑑定評価額約17.6億円でした。
2026年7月28日に熊本地方で地震が発生しましたが、本記事作成時点では、同物件について業績に重大な影響を与える被害は確認されていません。
今後、追加点検や開示が行われる可能性はあるため、念のため公式発表を継続確認する必要があります。
まとめ
いちごオフィスの第41期は、売却益の減少によって表面上は減益・減配となりました。
しかし、本業の賃貸NOIと巡航EPUは改善しています。
テナント入替や契約更新時の賃料増額、セットアップオフィス化、共用部改修など、内部成長の取り組みには一定の成果が確認できます。
また、都心4物件を帳簿価額や鑑定評価額を大きく上回る価格で売却した点も、資産売却の判断力として評価できます。
一方、売却後の巡航EPUは一時的に低下します。
2026年10月期のDPU5,683円は魅力的に見えますが、その大部分は一時的な売却益です。
今後の評価を左右するのは、次の点です。
- 売却代金をどのように再投資するか
- 巡航EPUを第41期の2,033円以上へ戻せるか
- 賃料上昇が金利負担の増加を上回れるか
- CAPEX後の稼働率が改善するか
- スポンサーパイプラインを投資主に有利な条件で活用できるか
いちごオフィスは、単に不動産を保有して分配金を出す銘柄ではありません。
物件価値を高め、好条件で売却し、投資主へ還元するという、比較的動きの大きいJ-REITです。
今回の売却によって「売る力」は示されました。
次に確認したいのは、売却後の資金を使って、本業利益を再び積み上げる「戻す力」です。
免責事項
【AIによる作成について】
本記事は、AIによる分析をベースに作成しています。AIは決算説明資料および有価証券報告書を参照して分析を行っていますが、読み取りの誤り・解釈の相違・情報の欠落が生じる可能性があります。本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、その正確性・完全性を保証するものではありません。
【投資に関する免責事項】
本記事は特定の銘柄への投資を推奨・勧誘するものではありません。投資にはリスクが伴い、投資元本が保証されるものではありません。J-REITへの投資においては、分配金の減少・投資口価格の下落・上場廃止などのリスクがあります。投資に関する最終的な判断はご自身の責任において行ってください。投資判断に際しては、必要に応じて証券会社・ファイナンシャルプランナーなど専門家へのご相談をお勧めします。


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