アドバンス・レジデンス投資法人(3269)決算速報レポート~賃料成長は金利上昇を超えられるか――内部成長力が試される住宅REIT

作成日:2026年9月26日

データソース:

  • アドバンス・レジデンス投資法人 2026年7月期(第32期)決算短信
  • アドバンス・レジデンス投資法人 2026年7月期(第32期)決算説明会資料

目次

投資法人の特徴

アドバンス・レジデンス投資法人は、賃貸マンションを主な投資対象とする住宅特化型J-REITです。2010年に旧アドバンス・レジデンス投資法人と日本レジデンシャル投資法人が合併して誕生し、「長期安定的な利益分配の実現」を基本方針としてきました。

2026年7月期末時点で保有物件は289物件、取得価格総額は約5,053億円と、住宅特化型J-REITでは最大級の資産規模を有します。長期安定運用に加え、近年は賃料増額、専有部リノベーション、資産入替、負ののれん・内部留保の活用など、複数の施策を組み合わせて1口当たり収益力の向上を図っています。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算短信 32期

今回の決算では、この「安定型住宅REIT」という従来の姿に加えて、金利上昇を賃料成長と資産運用力で吸収するREITという方向性が一段と鮮明になりました。


結論と総評

2026年7月期は、営業収益205億60百万円、営業利益98億92百万円、当期純利益87億14百万円となり、前期比では減収減益となりました。主因は不動産売却益が16億73百万円から10億13百万円へ減少したことです。

しかし、今回の決算を単純な「減収減益」と見ると実態をかなり見誤ります。

売却益を除いた1口当たり当期純利益は、

2,645円 → 2,700円

へ増加。

FFOPUも、

3,948円 → 4,017円

へ増加。

賃貸NOIも、

144億1百万円 → 148億56百万円

へ増加しています。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

つまり、表面上の利益は売却益減少により落ちていますが、賃貸事業そのものの収益力は改善しています。

内部成長は特に強く、入替賃料変動率は+18.7%、更新賃料変動率は+4.4%。専有部リノベーションでは入替賃料変動率+36.2%、想定ROI15.4%を記録しました。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

一方で最大の論点はやはり金利です。

第32期に返済した負債の支払金利は0.64%だったのに対し、新規調達金利は2.12%。ポートフォリオ全体の平均支払金利も0.78%から0.94%へ上昇しています。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

したがって今回の決算は、

「賃料成長が金利上昇を上回れているか」

を見る決算だったと考えます。

現時点では賃料・NOI・FFOPUの伸びが金融費用の増加を吸収しており、まだ内部成長側が優勢です。

ただし、借換金利が2%台へ入ってきたことで、今後のハードルは確実に高くなっています。


今回読み取った「行間」

今回特に注目した行間は以下の通りです。

  • 「11期連続増配」と「基礎利益の成長」は分けて考える必要がある
  • FFOPUを前面に出した背景には、リノベーション型運用への移行がある
  • 稼働率低下の一部は、賃料を上げるために意図的に発生させている空室
  • 金利対策は「ひたすら長期固定」から「期間・固定比率・コストの最適化」へ
  • 外部成長はAUM拡大よりも資産入替・1口当たり価値向上へ
  • 売却益を全額分配せず、内部留保する資本配分が重要になっている
  • 巡航EPUだけでは現在のADRの収益力を完全には捉えにくい
  • 金利のある時代に合わせ、住宅REITそのものの運用モデルが変化し始めている可能性

詳細は後述します。


1.決算サマリー

第31期・第32期比較

指標前期:2026年1月期当期:2026年7月期増減一言コメント
営業収益20,653百万円20,560百万円▲93百万円売却益減少が主因
営業費用10,397百万円10,668百万円+271百万円賃貸費用・運用報酬等増
営業利益10,256百万円9,892百万円▲363百万円売却益減少の影響
純利益9,219百万円8,714百万円▲504百万円前期比▲5.5%
EPU3,232円3,055円▲177円売却益減少
DPU3,220円3,225円+5円11期連続増配
巡航EPU相当2,645円2,700円+55円売却益除外後では増益
自己資本比率49.3%48.6%▲0.7pt総資産増加
有利子負債額245.2億円※252.4億円※+72億円取得資金等で増加
賃貸NOI14,401百万円14,856百万円+454百万円本業は明確に増益
NOI利回り約5.8%約5.9%約+0.1ptラボ簡易計算
FFO11,262百万円11,458百万円+196百万円キャッシュ創出力は改善
債務平均残存年数4.3年4.3年横ばい3年以上を維持
平均支払金利0.78%0.94%+0.16pt金利上昇が顕在化
固定金利比率91.9%91.8%▲0.1pt依然高水準
期中平均稼働率95.7%95.9%+0.2ptリノベ工事影響下でも改善
格付JCR AA / R&I AA-JCR AA / R&I AA-変わらずいずれも安定的

※有利子負債額は2,452億円→2,524億円の意味です。

営業収益・利益、NOI、FFO、巡航EPU相当などを見ると、売却益の減少によって表面利益は低下した一方、基礎的な賃貸収益は成長していることが分かります。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

平均残存年数3年以上、固定化比率80%以上を財務方針としており、第32期末の固定比率は91.8%と高い水準です。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

※営業費用は「営業収益-営業利益」により当ラボ算出。

※巡航EPU相当は説明資料記載の「1口当たり当期純利益(売却益除く)」を採用。

※NOI利回りは「当期NOI×2÷取得価格総額」による当ラボ簡易計算であり、厳密な物件NOI利回りとは異なります。


決算サマリー所見

最も重要なのは、純利益▲5.5%なのに、基礎収益は成長していることです。

不動産等売却益は16億73百万円から10億13百万円へ約6億59百万円減少しました。

その一方で既存物件の賃貸事業収入は+4億77百万円、うち賃料・共益費収入だけで+4億48百万円増加しています。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

したがって、今回の減益を「住宅REITの収益力が悪化した」と解釈するのは適切ではありません。

むしろ今回注目すべきは、

EPU 3,055円

よりも、

売却益除外後EPU 2,700円

FFOPU 4,017円

NOI 148億56百万円

の方でしょう。


2.外部成長戦略

アドバンス・レジデンスは、単純な資産規模拡大よりも、資産入替によるポートフォリオの質改善を重視しています。

第32期には、

  • レジディア松陰神社前
  • レジディアときわ台
  • レジディア武蔵小山
  • レジディア横濱戸部

の4物件、取得価格合計69億円を取得。

一方で、

  • レジディア文京湯島Ⅱ
  • レジディア徳川

を売却しました。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算短信 32期

さらに次期にはレジディア東日暮里、レジディア亀戸Ⅱ、レジディア桜新町を取得予定です。

外部成長戦略の特徴は以下の通りです。

  • 築年数が経過した物件を売却する
  • 東京23区を中心に取得する
  • 賃料改定余地のある物件を重視する
  • リノベーションによる付加価値向上余地も取得判断に組み込む
  • スポンサーだけでなく第三者・ブリッジファンドも活用する
  • AUM拡大だけでなく、収益力・築年数・資本効率を重視する

上場来では、取得資産169物件の加重平均NOI利回りは5.4%、売却資産68物件は4.7%となっており、収益力の低い資産から高い資産への入替を進めてきた構図です。

また第32期末の含み益は約3,041億円、含み益率64.6%と非常に大きく、資産売却による含み益の実現余地は依然として厚い状態です。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

この含み益は単なる「安全余力」ではなく、今後の資産入替・内部留保・投資主還元を支える重要な資本でもあります。


3.内部成長戦略

今回最も強かったのが内部成長です。

入替賃料

第32期の入替賃料変動率は、

+18.7%

まで上昇し、過去最高を更新しました。

東京23区では+22.0%となり、ポートフォリオの主力地域で特に強い伸びとなっています。

原状回復住戸でも+15.1%、リノベーション住戸では+35%台まで賃料を引き上げています。


更新賃料

更新時賃料変動率も、

+4.4%

となりました。

更新時は入替と違い、既存入居者に対する賃料増額であるため、賃料上昇の持続性を見るうえで重要です。

増額打診率80.6%に対し、応諾率は74.3%。

つまり、かなり広い範囲で賃料増額を打診し、それでも多くの入居者が応じています。

これは現在の住宅賃貸需給がかなり締まっていることを示していると考えられます。


賃料ギャップ

さらに重要なのが、まだ既存契約賃料と新規成約賃料の差が残っていることです。

説明資料ではポートフォリオ全体の賃料ギャップを、

+12.6%

と試算しています。

これが解消された場合のEPU押し上げ余地は、

+484円/口

とされています。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

もちろん全住戸が一斉に入れ替わるわけではないため、直ちに484円増えるという意味ではありません。

ただし、現在の増賃が一時的なものではなく、まだ将来の改定余地を残していることを示す重要な数字です。


専有部リノベーション

第32期は292戸でリノベーション工事を実施。

成約済み190戸では、

  • 平均工事金額:4.8百万円
  • 入替賃料変動率:+36.2%
  • 想定回収期間:6.5年
  • 想定ROI:15.4%

となりました。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

これは取得利回りが4%前後まで低下している現在の不動産市場を考えると、かなり興味深い数字です。

新しい不動産を高値で取得するより、自分の保有物件に投資して15%程度の想定ROIを得られるのであれば、内部投資を優先する合理性があります。

対象住戸はポートフォリオの約4割ありますが、進捗はまだ約2割。

運用会社は未実施住戸について、リノベーション実施によるFFOPU押し上げ余地を+12.8%と試算しています。

ここは今後の大きな成長余地です。


4.財務戦略

今回最も警戒したい部分です。

第32期の返済・調達実績を見ると、

返済新規調達
金額176億円248億円
支払・調達金利0.64%2.12%
年限5.7年6.5年

となっています。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

これは現在のJ-REITが置かれている状況を非常に分かりやすく示しています。

0%台で借りた負債を、2%前後で借り換える時代になった。

その結果、平均支払金利も、

0.78% → 0.94%

へ上昇しています。

まだ1%未満ですが、今後も低金利時代に調達した負債の借換えが続くため、金融コストは上がる可能性があります。

一方で、

  • 平均残存年数4.3年
  • 固定化比率91.8%
  • 返済期限を1期200億円以内に分散
  • コミットメントライン200億円
  • JCR AA
  • R&I AA-

と、防御力は高い部類です。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

またLTV方針は、

総資産LTV53%以下、鑑定LTV50%以下

とされています。

第32期末総資産LTVは49.8%で、2027年7月期予想でも50.2%です。

したがって、現時点で財務危機を懸念する状況ではありません。

問題はむしろ、

賃料・NOIの成長速度が、金融費用の増加速度を今後も上回れるか

です。


5.次期・次々期業績予想

業績予想比較

指標当期:2026年7月期次期:2027年1月期予想次々期:2027年7月期予想一言コメント
営業収益20,560百万円20,385百万円20,521百万円売却益減少を賃貸収入が補う
営業費用10,668百万円約10,833百万円約11,068百万円コスト上昇継続
営業利益9,892百万円9,552百万円9,453百万円金融・運営コストが重い
純利益8,714百万円8,195百万円7,838百万円売却益剥落も影響
巡航EPU相当2,700円2,701円2,748円緩やかな成長
DPU3,225円3,253円3,258円増配継続予想

※営業費用は「営業収益-営業利益」による当ラボ計算。

次期2027年1月期では、売却益が10億13百万円から4億90百万円へ減少するため表面利益は低下します。

それでもNOIは、

148億56百万円 → 152億17百万円

へ増加する予想です。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

さらに2027年7月期は売却益を見込んでいませんが、NOIは157億1百万円、売却益除外後EPUは2,748円、FFOPUは4,098円まで増加する計画です。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

これは非常に重要です。

売却益がゼロになっても基礎収益は成長する予想だからです。

一方、DPU3,258円との差額は負ののれん・売却益等の還元によって補われます。

したがって、「DPUが増えるか」だけではなく、

売却益除外後EPUとFFOPUがどこまでDPUへ近づくか

を見る必要があります。


6.その他注目すべき点

①【ポジティブ】FFOPUが継続的に増加

FFOPUは、

  • 25.7期:3,900円
  • 26.1期:3,948円
  • 26.7期:4,017円
  • 27.1期予想:4,055円
  • 27.7期予想:4,098円

と増加を続ける計画です。

運用会社は年平均+2%以上を目標としています。

今後は賃料成長を年間+7%相当の成長要因とする一方、金融コスト▲3%程度、その他費用▲2%程度を吸収し、最終的にFFOPU+2%以上を残す構造を想定しています。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

言い換えると、これからは「賃料が上がるだけ」でなく、その上昇分を金利とインフレに食われずどれだけ残せるかが重要です。


②【ポジティブ】含み益3,000億円超

第32期末の含み益は、

3,041億円

含み益率は、

64.6%

です。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

非常に大きな含み益ストックを持つため、

  • 資産売却
  • 売却益創出
  • 物件入替
  • 内部留保
  • 借入返済
  • 自己投資口取得

など複数の選択肢を持つことができます。

この「選択肢の多さ」は、金利上昇局面では大きな強みです。


③【ポジティブ】売却益を全額分配しない

第32期の売却益は1口当たり355円相当でしたが、全額を分配せず、一部を内部留保しています。

DPUを短期的に最大化するより、将来の分配安定化・資産取得・資本政策に使える資金を残す運用です。

第32期末の内部留保残高は1口当たり1,357円へ増加しました。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

今後、金利のある時代では、このようなキャッシュアロケーションの巧拙が従来以上に重要になると思われます。


④【ネガティブ】金利上昇は明確に利益を圧迫する

支払利息は決算短信上、

8億5百万円 → 9億95百万円

へ増えています。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算短信 32期

今後の借換えが2%前後で続くなら、金融費用の増加は避けにくいでしょう。

固定化比率が高いため時間的余裕はありますが、その猶予期間中に賃料を十分上げる必要があります。


⑤【中立】稼働率をどこまで犠牲にして増賃を取るか

第32期の平均稼働率は95.9%。

住宅REITとして非常に高い数字というわけではありません。

一方で、リノベーション工事だけで稼働率を約0.6ポイント押し下げているため、単純な空室増とは異なります。

問題は、

賃料を上げるための空室コストが、最終的に収益増として回収できるか

です。

現時点のリノベーションROI15.4%を見る限り結果は良好ですが、施工戸数を増やした後も同水準を維持できるかは継続確認が必要です。


7.専門家による「行間」の読解

1.「11期連続増配」だけを見ると、今回の決算を誤解する

DPUは3,220円から3,225円へ増加し、11期連続増配です。

一方、EPUは3,232円から3,055円へ減少しています。

この数字だけを見ると「利益が減ったのに積立金で増配した」と見えます。

しかし売却益を除いたEPUは、

2,645円 → 2,700円

へ増加しています。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

したがって実態は、

本業利益は増えたが、売却益減少により表面EPUが低下した

と見る方が適切です。

増配記録だけを過大評価するのも、積立金依存だけを強調するのも、どちらも少し違います。


2.巡航EPUだけでは実態を捉えにくくなっている

今回の決算では、

  • EPU:3,055円
  • 売却益除外後EPU:2,700円
  • FFOPU:4,017円
  • DPU:3,225円

と4つの数字に大きな差があります。

従来であれば「売却益を除いた巡航EPU」を重視すれば収益実力をある程度把握できました。

しかしADRはリノベーションを成長投資として拡大しており、減価償却費を伴いながら賃料とキャッシュフローを増やす運用へ移っています。

そのため今後は巡航EPUだけでなく、

NOI、FFOPU、AFFO、NAV/口、DPU

まで合わせて見る必要があると考えます。

巡航EPUの価値がなくなったわけではありません。

むしろ「何もしなかった場合の基礎利益」を測る重要な指標です。

ただし、それだけで現在のADRの運用力を評価するには情報が足りなくなっています。


3.リノベーションは「修繕」ではなく一種の内部開発

292戸を工事し、成約住戸の賃料が+36.2%、想定ROI15.4%。

これは単なる老朽化対応ではありません。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

現在の不動産取得市場では優良住宅の取得利回りが低下しており、新規物件取得だけでは収益成長が難しくなっています。

その中で既存物件に数百万円投資し、15%程度の想定ROIが得られるなら、

「外から買う成長」より「中で作る成長」

の方が合理的になる局面があります。

ADRは住宅REITでありながら、内部に小さな開発事業を持つような運用モデルになりつつあると考えられます。


4.稼働率95%台を単純に弱点とは言えない

リノベーションでは通常の原状回復より空室期間が長くなります。

つまり現在の空室には、

借り手がいなくて空いている部屋

と、

高い賃料で貸すため、意図的に工事している部屋

が混在しています。

この二つを同じ「空室」として評価すると実態を誤ります。

一方で、空室期間そのものはコストです。

特にファミリー&ラージでは平均空室日数が長くなっているため、賃料増額を追うあまりリーシング期間が延びないかは注意が必要です。


5.「固定化比率が高ければ安心」という時代でもなくなってきた

ADRの固定化比率91.8%は非常に高い水準です。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

しかし今回、運用会社は「固定比率をもっと上げる」とは言っていません。

むしろ借入年限の短期化や固定・変動金利の最適化を掲げています。

これは、高金利局面で長期間金利を固定してしまうこと自体がコストになるからでしょう。

今後の財務運営は、

固定化=善、変動=悪

という単純なものではなく、

  • 金利水準
  • 借入期間
  • 満期分散
  • 固定比率
  • LTV
  • 将来の金利見通し

を組み合わせる必要があります。

ADRは現在、高い固定化比率を持っているからこそ、この最適化を試せる余地があります。


6.資産規模を増やすこと自体が成長ではなくなりつつある

不動産価格が高く、取得利回りが低い市場で、無理にAUMを増やす意味は薄くなっています。

ADRの今回の資産入替では、相対的に築年数の経過した物件を売却し、より築浅・賃料成長余地のある物件を取得しています。

つまり、

AUMを増やしたか

より、

1口当たりNOI・FFO・NAVが増えたか

を重視する方向です。

これは今後のJ-REIT全体にも共通するテーマになりそうですが、本稿ではADRの運用方針として確認するにとどめます。


7.含み益は「眺めるもの」から「使う資本」へ

含み益3,041億円は非常に大きい数字です。

従来であれば「NAVが厚い」「財務余力がある」と評価するだけでもよかったかもしれません。

しかし現在は、

含み益のある低成長物件を売却し、その資金をどこへ再配分するか

が重要になっています。

ADRでは売却資金を、

  • 新規取得
  • 借入返済
  • 投資主還元
  • 自己投資口取得

などに柔軟に振り向ける方針です。

これは不動産運用だけではなく、かなり「資本配分」に近い発想です。


8.DPU3,200円台を支える原資は複数ある

第32期DPU3,225円は、

  • 売却益除外後利益
  • 負ののれん定額活用
  • 負ののれん追加活用
  • 売却益等からの還元

を組み合わせて構成されています。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

次期・次々期も同様です。

したがって「DPUが安定している=利益だけで安定している」とは言えません。

ただしADRの場合、負ののれん残高は2027年7月期予想分配後でも214億円以上残る見込みであり、直ちに原資が枯渇する状況でもありません。

見るべきは残高そのものではなく、

負ののれんを使っている間に基礎EPU・FFOPUがどこまで成長するか

でしょう。


9.最大の勝負は「賃料成長速度 > 金融コスト上昇速度」

今回の説明資料で最も重要なのは、運用会社自身が収益構造をかなり明確に示したことです。

大まかなイメージでは、

賃料成長:+7%/年程度

に対し、

金融コスト:▲3%/年程度

その他:▲2%/年程度

を見込み、最終的にFFOPU年+2%以上を残す計画です。 アドバンス・レジデンス投資法人 決算説明資料 32期

これは裏返せば、

賃料成長が鈍化したときに、このモデルが一気に苦しくなる

ことも意味します。

現状では入替+18.7%、更新+4.4%、賃料ギャップ+12.6%と十分な余力があります。

しかし金利上昇が長期間続けば、金融コスト側のマイナスも積み上がります。

今後ADRを見るうえで最も重要な比較は、

NOI・FFOPUの成長率と、平均支払金利の上昇速度

になると考えます。


8.免責事項

本記事は、公開資料に基づく情報提供を目的としており、特定銘柄の推奨を目的としたものや、投資勧誘、助言を行うものではありません。

情報の正確性について:
本記事の作成には生成AIを活用しています。生成AIは、資料の読み取り、要約、比較、計算補助、文章作成等に利用していますが、内容に誤認、計算ミス、資料の読み違い、文脈の取り違え、情報の欠落等が含まれる可能性があります。また、生成AIの出力は必ずしも最新情報を反映しているとは限らず、公開資料の記載内容を完全に再現するものでもありません。投資検討の際は、本記事のみを根拠とせず、必ず投資法人が発行する決算短信、決算説明資料、適時開示、有価証券報告書等の一次資料をご確認ください。

推論・見解について:
本記事には、公開資料に基づく事実に加えて、当ラボによる推論、解釈、仮説、簡易計算等が含まれる場合があります。これらは将来の業績、分配金、投資口価格、不動産価格等を保証するものではありません。

自己責任の原則:
投資に関する最終決定は、読者ご自身の判断と責任において行ってください。本記事の利用により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いかねます。

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