ユナイテッド・アーバン投資法人(8960)決算速報レポート

作成日:2026年7月16日

データソース:

  • ユナイテッド・アーバン投資法人 2026年5月期(第45期)決算短信
  • ユナイテッド・アーバン投資法人 2026年5月期(第45期)決算説明資料

目次

基本情報

投資法人の特徴

ユナイテッド・アーバン投資法人は、商業施設、オフィスビル、ホテル、住居、物流施設、ヘルスケア施設など、幅広い用途の不動産へ分散投資する総合型J-REITです。

資産運用会社は丸紅リートアドバイザーズ株式会社で、丸紅グループのネットワークを活用しつつ、スポンサー案件だけに依存しない独自の物件取得ルートも持っています。

2026年5月末時点の保有資産は143物件、取得価格総額は7,289億円、テナント数は3,003です。期末稼働率は97.8%で、用途・地域の分散を通じてポートフォリオ全体の収益安定化を図っています。

今回の決算では、商業施設を中心とする4物件を383億円で取得する一方、Luz武蔵小杉とアプリーレ新青木一番館を合計164億円で譲渡しました。取得物件の収益寄与、既存物件の増賃、売却益、一時金収入などにより、DPUは過去最高の4,592円となっています。

ただし、中期的には金利上昇と修繕費増加が見込まれています。そのため、低利回り・築古物件を売却し、築浅・高利回り物件へ入れ替えながら、売却資金をバリューアップ投資へ再配分する戦略を進めています。


1.決算サマリー

第44期・第45期比較

指標前期:2025年11月期当期:2026年5月期増減一言コメント
営業収益28,180百万円30,839百万円+2,659百万円取得物件・売却益・一時金が寄与
営業費用14,462百万円14,538百万円+76百万円物件増加に対して費用増は限定的
営業利益13,717百万円16,300百万円+2,583百万円売却益増加を主因に大幅増益
純利益12,287百万円14,618百万円+2,330百万円前期比19.0%増益
EPU4,012円4,569円+557円売却益・解約金を含め増加
DPU4,142円4,592円+450円過去最高を更新
巡航EPU相当約3,613円約4,009円約+396円売却益相当を控除したラボ試算
自己資本比率49.1%50.3%+1.2pt公募増資で財務余力が改善
有利子負債額329,953百万円338,953百万円+9,000百万円取得に伴い増加
賃貸NOI18,928百万円21,175百万円+2,247百万円新規取得・歩合賃料等が寄与
修正NOI利回り5.4%5.5%+0.1pt収益性は小幅改善
FFO14,894百万円16,774百万円+1,880百万円売却益控除後でも増加
債務平均残存年数3.2年3.3年+0.1年ほぼ横ばい
平均調達金利0.72%0.91%+0.19pt金利上昇の影響が顕在化
固定債務比率81.4%77.1%▲4.3pt変動金利の活用で低下
期末稼働率99.2%97.8%▲1.4ptなお高水準だが一部空室が発生
格付JCR AA・安定的JCR AA・安定的変わらず高い信用力を維持

※営業費用は「営業収益-営業利益」により算出。

※巡航EPU相当は、EPUから決算説明資料に示された売却益の1口当たり寄与額を控除した当ラボ試算です。第45期にはUUR心斎橋ビルの解約金収入や歩合賃料の収受時期による影響が残るため、厳密な巡航利益を示すものではありません。

※FFOは決算説明資料記載値です。算式は「当期純利益+減価償却費+繰延資産償却費-不動産等売却損益+減損損失」です。

主要財務指標では、NOIが前期の189億円から212億円へ、FFOが149億円から168億円へ増加しました。一方、DSCRは12.2倍から12.1倍へわずかに低下しています。

決算サマリー所見

第45期は、数字だけを見れば明確な増収増益決算です。

営業収益は前期比9.4%増、営業利益は18.8%増、当期純利益は19.0%増となりました。DPUも4,142円から4,592円へ10.9%増加し、過去最高を更新しています。

増益要因は一つではありません。

新規取得物件の利益寄与が1口当たり273円、既存物件の増益が81円、売却益の増加が489円ありました。さらに、UUR心斎橋ビルの解約金収入が383円分寄与しています。

一方で、販管費・営業外損益が119円、増資による希薄化が205円、売却物件の利益減少が69円のマイナス要因となりました。

したがって、増益のすべてが継続的な賃料成長によるものではありません。ただし、NOIとFFOも増加しているため、単に物件を売却して利益を作っただけの決算とも言えません。

今回の決算は、売却益と一時金で表面DPUを押し上げつつ、取得物件と既存物件の内部成長によって基礎収益力も一定程度高めた決算と評価できます。


2.外部成長戦略

ユナイテッド・アーバン投資法人は、単純な資産規模拡大ではなく、資産入替えによるポートフォリオの質的改善を重視しています。

中期成長戦略では、第43期から第48期までの6期間で600~900億円の資産入替えを行う計画です。

2027年11月期までに予定される累計取得額は733億円、累計譲渡額は624億円となっており、資産入替え目標の下限600億円は早期に達成する見込みです。

資産入替えの内容

項目取得物件譲渡物件
取得・譲渡価格733億円624億円
平均築年数15年26年
NOI利回り4.8%3.2%
償却後利回り4.2%2.5%
想定売却益146億円

築古かつ低利回りの物件を売却し、築浅で利回りの高い物件へ入れ替える構造になっています。利回りだけでなく、減価償却後の利益率も改善するため、今回の資産入替えは比較的わかりやすい質的改善と評価できます。

第45期の取得物件

  • モレラ岐阜の準共有持分50%を180億円で追加取得
  • イオンタウン守谷を168億円で取得
  • カワサキロボットサービス神戸玉津事業所を10.9億円で取得
  • LIMNO鳥取の敷地を24億円で取得

取得価格の合計は382.9億円、想定NOI利回りは5.0%、平均築年数は19年です。

一方、第45期にはLuz武蔵小杉とアプリーレ新青木一番館を合計163.5億円で譲渡し、17.9億円の売却益を計上しました。

決算後の取得

2026年6月には、次の5物件を約120億円で取得しています。

  • バウンシー・バイ・リーガ福岡博多
  • Grand STAY博多駅北
  • グリッズ東京上野駅前ホテル+ホステル
  • エクラシア立川一番町
  • エクラシア武蔵村山

平均築年数は4年、鑑定NOI利回りは5.2%、鑑定償却後利回りは4.4%です。取得価格合計119.7億円に対し、鑑定評価額は146億円で、鑑定価格を約18%下回る取得となっています。

この取得により、含み益は31億円、1口当たりNAVは964円増加する試算です。

自ら開発する新しい取得手法

バウンシー・バイ・リーガ福岡博多は、外部の開発物件を完成後に取得するのではなく、UUR自身が土地を取得し、開発主体としてホテルを建設した案件です。

土地取得額23億円、建築工事費等22億円に対し、鑑定評価額は63億円で、取得時点で約18億円の含み益が生じています。

工事着手前にホテルオペレーターと賃貸借予約契約を締結し、大手デベロッパーとプロジェクトマネジメント契約を結ぶことで、開発・リーシングリスクの抑制も図っています。

完成物件の取得競争が激しくなるなか、自ら開発に関与して取得原価を抑える手法は有効です。ただし、今後同様の案件を増やす場合には、工事費上昇や工期遅延など、従来のJ-REITより開発リスクを多く負う可能性があります。


3.内部成長戦略

内部成長では、オフィスの賃料増額、ホテル収益の拡大、商業施設の区画再編、住居の賃料改定を進めています。

オフィスビル

オフィスは今回の決算における最も強い内部成長材料です。

第45期のオフィス期末稼働率は98.6%で、前期の97.8%から0.8ポイント改善しました。入居面積が退去面積を2,443㎡上回り、各地域で空室の埋め戻しが進んでいます。

賃料増額実績は次のとおりです。

項目第44期第45期
賃料増額総額9,166千円/月14,139千円/月
改定増額率+5.8%+8.7%
入替増額率+6.8%+13.0%
オフィス賃料ギャップ9.9%16.0%

都心6区だけでなく、大阪圏や仙台など地方都市でも増額改定を実現しています。

賃料ギャップ16%は、現在の契約賃料が市場賃料を相当程度下回っていることを意味します。契約更新やテナント入替えを通じて、今後も増賃余地が残っていると考えられます。

一方、賃料ギャップは一度に解消できるものではありません。強引な増額は退去を招く可能性があるため、稼働率とのバランスを取りながら段階的に進める必要があります。

ホテル

ホテルポートフォリオの第45期RevPARは12,141円で、前年同期比2.6%増となりました。

大阪圏は万博特需の反動などで弱含みましたが、首都圏や沖縄など他地域が下支えしました。また、中国人訪日客は大幅に減少したものの、韓国、台湾、東南アジアなどからの訪日需要が補完し、訪日客総数は前年並みを維持しています。

第44期・第45期合計のホテル共込賃料は120.5億円で、前年の109.0億円から10.5%増加しました。第46期・第47期合計では125.8億円、前年比4.4%増を予想しています。

今後は福岡で変動賃料型ホテルを取得し、インバウンド需要を収益へ取り込む方針です。

ただし、ホテル収益は景気、為替、航空便、国際関係、大型イベントの反動などの影響を受けます。ホテル比率の上昇は収益成長余地を高める一方、ポートフォリオの利益変動性を高める可能性があります。

商業施設

アクティオーレ町田では、退去したフィットネスジム区画を分割し、新たなテナントを誘致しました。

5階から7階の賃料総額は前テナント比約3倍、全館の賃料総額は約36%増加する見込みで、想定ROIは39%です。

空室を単純に従来用途で埋め戻すのではなく、区画分割や用途変更を行うことで、物件価値そのものを引き上げています。

バリューアップ投資

約3年間で150~200億円のバリューアップ投資を予定し、ROI10%以上を目標としています。

主な計画は次のとおりです。

  • ロワジールホテル&スパタワー那覇:約80億円
  • ロイヤルパインズホテル浦和:約25億円
  • ホテルヒューイット甲子園:約7億円
  • SS30:約10億円
  • UURコート志木:約5億円
  • アクティオーレ町田:約3億円
  • アルボーレ仙台:約2億円

特にロワジールホテル&スパタワー那覇では、プール温水化、サウナ増設、客室改装、ラウンジ新設、レストラン改装などを2026年冬から2029年春にかけて進めます。

大規模な投資だけに、ADR上昇や外来利用増加が計画どおり実現するか、改修前後のNOIを継続して確認する必要があります。


4.財務戦略

財務指標

指標第44期第45期コメント
有利子負債総額3,299億円3,389億円物件取得に伴い増加
総資産LTV45.2%44.4%公募増資により低下
時価LTV35.3%34.6%含み益が財務余力を支える
加重平均金利0.72%0.91%金利上昇が顕在化
平均有利子負債コスト0.88%1.00%1%台へ上昇
加重平均残存期間3.2年3.3年ほぼ横ばい
固定金利比率81.4%77.1%変動金利比率が上昇
格付JCR AAJCR AA見通しは安定的

第45期には公募増資で233億円を調達しました。その結果、物件取得を進めながら総資産LTVを45.2%から44.4%へ引き下げています。

総資産LTVが1%上昇する場合の新規借入余力は約143億円とされています。取得機会があれば、一定の外部成長を追加借入で行える水準です。

金利上昇への対応

第45期の期中調達額は397億円、期中調達の表面金利は1.56%でした。前期の1.01%から0.55ポイント上昇しています。

運用会社は当面、

  • 借入期間を3~5年程度へ短期化する
  • 変動金利借入を柔軟に活用する
  • LTVを低位に保つ
  • 返済期限を分散する

ことで金融コストを抑える方針です。

しかし、固定金利比率は81.4%から77.1%へ低下しました。

長期固定で借りれば現在の高い金利を長期間固定することになります。一方、短期・変動で借りれば目先のコストを抑えられる反面、政策金利上昇の影響を早く受けます。

どちらが正解というより、金利上昇局面における難しい選択です。

決算短信では、有利子負債に係る支払利息等を第46期19.82億円、第47期23.06億円と予想しています。半年間で3.24億円増加する見込みで、金利負担は今後もEPUを押し下げます。

資本政策

運用会社は、投資口価格に応じて増資と自己投資口取得を使い分ける方針です。

  • DPU・NAVが増加する場合は公募増資を検討
  • NAV倍率が0.8倍前半で推移する場合は自己投資口取得を検討

この方針からは、NAV倍率が0.8倍後半や0.9倍程度の場合、自己投資口取得よりも物件取得やバリューアップ投資を優先する可能性が高いと考えられます。


5.次期・次々期業績予想

業績予想比較

指標当期:2026年5月期次期予想:2026年11月期次々期予想:2027年5月期一言コメント
営業収益30,839百万円32,066百万円31,642百万円心斎橋ビル売却益で高水準
営業費用14,538百万円15,291百万円15,315百万円修繕費・減価償却費等が増加
営業利益16,300百万円16,775百万円16,327百万円次々期は減益予想
純利益14,618百万円14,770百万円14,017百万円金融費用増加が重荷
巡航EPU相当約4,009円約3,284円約3,323円売却益相当控除後のラボ試算
DPU4,592円4,640円4,500円年間9,000円超を維持

※営業費用は「営業収益-営業利益」により算出。

※巡航EPU相当は、予想EPUからUUR心斎橋ビルの売却益による1口当たり押し上げ額を控除した当ラボ試算です。その他の一時要因は残るため、厳密な巡航EPUではありません。

第46期予想

第46期は営業収益320.7億円、純利益147.7億円、DPU4,640円を予想しています。

UUR心斎橋ビルの第1回分割譲渡による売却益42.6億円が計上され、DPUを1口当たり1,331円押し上げる見込みです。

新規取得物件の利益寄与は18円ありますが、

  • UUR心斎橋ビルなど売却物件の利益減少:▲411円
  • 既存物件利益減少:▲202円
  • 販管費:▲28円
  • 営業外損益:▲100円

が見込まれています。

既存物件利益の減少には、歩合賃料の収受時期、修繕費、公租公課などが影響します。

第47期予想

第47期は営業収益316.4億円、純利益140.2億円、DPU4,500円を予想しています。

UUR心斎橋ビルの売却益33.8億円がDPUを1,057円押し上げます。賃料・共益費は1口当たり213円増加する一方、修繕費が156円、支払利息等が101円のマイナス要因となる見込みです。

また、DPU4,500円には一時差異等調整積立金77百万円と配当準備積立金305百万円の取崩しが含まれます。予想EPUは4,380円であり、DPUとの差額120円は内部留保によって補われる形です。

年間DPU

第45期4,592円と第46期予想4,640円の合計は9,232円で、前年比13.2%増となる見込みです。

第47期以降も年間DPU9,000円超を継続する方針ですが、2029年5月期まではUUR心斎橋ビルの売却益が毎期1,000円程度DPUを押し上げます。

そのため、表面DPUだけでなく、売却益控除後の利益水準を併せて確認する必要があります。


6.その他注目すべき点

1.ポジティブ:資産入替えの内容は合理的

取得物件の平均築年数15年に対し、譲渡物件は26年です。NOI利回りも取得4.8%、譲渡3.2%となっており、築古・低利回り物件を築浅・高利回り物件へ交換しています。

売却益を計上するだけでなく、将来の賃貸利益改善につながる入替えになっている点は評価できます。

2.ポジティブ:オフィスの増賃余地が大きい

オフィス賃料ギャップは16%まで拡大しました。

第45期には改定増額率8.7%、入替増額率13.0%を実現しています。今後も契約更新やテナント入替えを通じて、金利・修繕費増加を吸収する収益源になり得ます。

3.ポジティブ:含み益と内部留保が厚い

第45期末の1口当たりNAVは182,356円で、前期の179,361円から2,995円増加しました。

また、内部留保は94億円あります。内訳は一時差異等調整積立金62.9億円、配当準備積立金31.1億円です。

大口退去、物件売却損、減損、災害などが生じた場合にも、分配金の急変を抑える余力があります。

4.ネガティブ:DPUと巡航利益の差が大きい

第46期DPU4,640円のうち、UUR心斎橋ビルの売却益による押し上げは1,331円です。第47期DPU4,500円にも1,057円が含まれます。

売却益は正当な投資主還元策ですが、賃貸利益のみで年間9,000円を稼げているわけではありません。

投資判断では表面利回りだけでなく、売却益控除後のEPUと、その成長率を見る必要があります。

5.ネガティブ:金利上昇と修繕費増加が同時進行する

第47期は賃料・共益費の増加を見込む一方、修繕費と支払利息の増加が利益を相殺します。

特に今後3年間は150~200億円のバリューアップ投資、大規模修繕、ホテル改修が重なります。

工事の一部は資本的支出として費用化されませんが、減価償却費や工事期間中の逸失利益を通じてEPUへ影響する可能性があります。

6.中立:ホテルへの配分拡大

ホテルはインフレやインバウンド需要を取り込みやすい資産です。

一方で、中国人訪日客減少、大阪のイベント反動、為替変動、航空便、地政学など、外部要因の影響を受けやすい面があります。

総合型REITとして分散は効いていますが、ホテルを将来の成長ドライバーとするほど、収益変動性も高まります。

7.中立:自己投資口取得の発動条件は低い

自己投資口取得を検討する基準は、NAV倍率0.8倍前半です。

投資主還元策として明示したことは評価できますが、投資口価格がNAVから多少割安という程度では実施されない可能性があります。


7.専門家による「行間」の読解

1.年間DPU9,000円超は、巡航利益9,000円を意味しない

運用会社は年間DPU目標を8,000円超から9,000円超へ引き上げました。

ただし、その背景にはUUR心斎橋ビルの分割譲渡があります。第46期から第51期まで、毎期1口当たり約1,000円以上の売却益がDPUへ上乗せされます。

年間ベースでは約2,000円が売却益由来となるため、年間DPU9,000円のうち、賃貸事業を中心とする巡航利益はおおむね7,000円弱の水準と推測されます。

売却益を還元すること自体に問題はありません。ただし、「DPUが9,000円に成長した」という言葉から受ける印象と、利益の中身には差があります。

2.UUR心斎橋ビルの分割譲渡は、時間を買う政策

UUR心斎橋ビルの建物を先に譲渡し、土地持分を2029年5月まで6回に分けて売却します。

これは、1物件の含み益を複数期に分散し、DPUを長期間安定させる設計です。

同時に、売却益が続く約3年間を使って、オフィス増賃、ホテル改修、資産入替えなどで巡航利益を育てる時間を確保しています。

運用会社が2026年11月期から2029年5月期を「成長投資期間」、2029年11月期以降を「利益拡大期間」と呼んでいるのは偶然ではありません。

心斎橋ビルの売却益が終了する時点までに基礎利益を引き上げなければ、表面DPUが低下する可能性があります。

3.2029年11月期が実質的な成長戦略の判定時期

資料では、2029年11月期以降に賃貸事業利益の成長を加速させる計画です。

しかし、その時期にはUUR心斎橋ビルの売却益がなくなります。

したがって、2029年11月期以降に確認すべきなのは、DPUの絶対額だけではありません。

  • 売却益控除後EPUがどこまで伸びたか
  • 150~200億円の投資がROI10%を実現したか
  • オフィスの賃料ギャップをどこまで利益化できたか
  • ホテル改修後のADR・NOIが計画どおりか
  • 金利上昇を賃料成長で吸収できたか

これらが重要になります。

4.「金利上昇を収益成長で上回る」には複数の前提がある

資料15ページでは、政策金利が1%から2%へ上昇した場合でも、共込賃料の増加が支払利息増加を上回るイメージを示しています。

ただし、この試算には、

  • 保有物件賃料が年率1%上昇
  • バリューアップ投資ROI10%
  • 年間100億円の資産入替え
  • 取得・売却物件の利回り差1%

という前提があります。

いずれも現実離れした数字ではありませんが、すべてが継続的に達成される必要があります。

賃料が上がっても修繕費が想定以上に増える、ホテル改修が遅れる、取得競争で利回り差が縮小する、といった事態があれば、金利上昇を完全に吸収できない可能性があります。

5.変動金利の活用は、コスト削減ではなく時間分散でもある

固定金利比率は77.1%まで低下しました。

固定金利を増やせば将来の利払いは安定しますが、現在の高い長期金利を固定することになります。変動金利を使えば当初コストは抑えられますが、政策金利の影響を早く受けます。

運用会社が短期化・変動化を進めるのは、金利が永続的に上昇し続けるとは限らないという判断も含まれていると考えられます。

ただし、政策金利が想定より速く上昇した場合、固定金利比率低下が裏目に出る可能性があります。

6.公募増資はアクリーティブだが、効果は売却益ほど大きくない

第45期のDPU差異分析では、新規取得物件の利益寄与が273円、公募増資による希薄化が▲205円です。

差し引きでは68円のプラスとなるため、増資と取得はDPUに対してアクリーティブでした。

一方、売却益増加489円や解約金収入383円と比べると、増資による1口利益の押し上げ幅は限定的です。

増資の成果はDPUだけでなく、

  • LTV低下
  • 資産規模拡大
  • 将来の賃料成長
  • ポートフォリオの質的改善
  • NAV増加

を含めて評価する必要があります。

7.ロワジール那覇への80億円投資は、物件取得に近い規模

ロワジールホテル&スパタワー那覇への投資額80億円は、中小規模物件を新たに取得するのと同程度です。

ROI10%を目標とする場合、単純計算では年間8億円程度の収益改善が期待されることになります。

ただし、80億円の全額が増収投資ではなく、設備更新や維持修繕も含まれると考えられます。実際の追加NOIがどの程度になるかは、現時点では明確ではありません。

「ADRの飛躍的向上」という表現だけでなく、投資前後のNOIと資本コストを確認する必要があります。

8.取得パイプライン1,000億円は、確定した取得予定額ではない

取得パイプラインは約1,000億円ですが、スポンサー案件は約260億円です。

残りは独自ルートなどを通じて検討している案件と考えられます。パイプラインは、価格、投資口価格、資金調達環境、デューデリジェンスなどの条件が整えば取得できる候補であり、取得が確定しているわけではありません。

特に投資口価格がNAVを大きく下回る場合、公募増資による取得は1口当たりNAVを希薄化させる可能性があります。

パイプラインの大きさよりも、実際にどの利回り・資金調達条件で取得するかが重要です。

9.内部留保94億円は安心材料だが、DPUの実力を見えにくくする

第47期は内部留保を約3.8億円取り崩し、EPU4,380円に対してDPU4,500円を維持する計画です。

内部留保を使って分配金の変動を抑えることは、投資主にとって一定の安心材料です。

一方、DPUが巡航利益を上回る状態が長く続くと、本業利益の動きが表面DPUから見えにくくなります。

今後はDPUだけでなく、

  • EPU
  • 売却益控除後EPU
  • 内部留保取崩額
  • 賃貸NOI
  • FFO

を併せて確認する必要があります。


総評

ユナイテッド・アーバン投資法人の第45期決算は、売却益や一時金だけに依存した内容ではありません。

NOIは前期比22.5億円増、FFOは18.8億円増となり、オフィスの増賃、ホテルの変動賃料、新規取得物件の寄与など、賃貸事業にも改善が見られます。

また、低利回り・築古物件を売却し、より高利回りで築浅の物件へ入れ替えている点も合理的です。公募増資後にLTVを44.4%へ引き下げ、将来の投資余力を確保した財務運営も、総合型大手REITとして堅実と考えられます。

一方、年間DPU9,000円超という目標の一部は、UUR心斎橋ビルの売却益に支えられています。

今後3年間は売却益によって表面DPUを維持しながら、150~200億円のバリューアップ投資を行い、オフィス増賃とホテル収益を育てる期間です。

したがって、今回の決算を一言で表すなら、

「含み益を計画的に還元し、その時間と資金を使って、金利上昇後も稼げるポートフォリオへ組み替えている途中」

と考えられます。

現時点では戦略はおおむね順調です。ただし、本当に重要なのは、心斎橋ビルの売却益が終了する2029年以降も、賃貸利益だけで現在のDPU水準を支えられるかです。

短期的な分配金の安定性は高い一方、中長期的な評価では、売却益控除後EPU、バリューアップ投資の実績、金融費用の増加ペースを継続して確認する必要があります。


8.免責事項

本記事は公開資料に基づく情報提供を目的としており、特定銘柄の推奨を目的としたものや投資勧誘、助言を行うものではありません。

情報の正確性について:作成にあたっては生成AIを活用しており、情報の正確性・完全性を保証するものではありません。投資検討の際は、必ず投資法人が発行する一次資料(決算短信等)をご確認ください。

自己責任の原則:投資に関する最終決定は、読者ご自身の判断と責任において行ってください。本記事の利用により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いかねます。


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