作成日:2026年6月19日
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NTT都市開発リート投資法人 第47期(2026年4月期)決算短信
NTT都市開発リート投資法人 第47期(2026年4月期)決算説明資料
資金の借入(金利決定)に関するお知らせ(2026年4月27日)
投資法人の特徴
NTT都市開発リート投資法人は、東京経済圏を中心に、オフィスとレジデンスを主な投資対象とする複合型J-REITです。
もともとはプレミア投資法人として上場した歴史を持ち、その後、NTT都市開発グループのスポンサーサポートを受ける形で現在の体制となっています。2026年4月期末時点の保有資産は、オフィス25物件、レジデンス36物件、秋葉原UDXを裏付資産とする優先出資証券1銘柄の合計62件です。取得価格総額は2,952億円、用途別ではオフィス64.1%、レジデンス29.1%、その他6.8%となっています。
本投資法人の特徴は、NTTグループとの関係を活かした安定性と、東京都心を中心とするオフィス・レジデンスの賃料成長余地を併せ持つ点にあります。特に今回の決算では、オフィス・レジデンス双方で入替時・更新時の賃料増額が進み、内部成長の強さが確認されました。
一方で、金利上昇局面に入ったことで、従来の低利借入が順次高い金利へ置き換わるリスクも見えています。固定金利比率は高く、短期的な耐性はありますが、借換え時の金融費用増加は中期的なEPU成長目標にとって無視できない論点です。
1. 決算サマリー
第46期・第47期比較
| 指標 | 前期:2025年10月期 | 当期:2026年4月期 | 増減 | 一言コメント |
|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 13,217百万円 | 12,975百万円 | ▲242百万円 | 賃貸事業収益減少で減収 |
| 営業費用 | 8,654百万円 | 7,213百万円 | ▲1,441百万円 | 前期の売却損剥落が大きい |
| 営業利益 | 4,562百万円 | 5,762百万円 | +1,199百万円 | 売却損剥落と賃貸事業損益改善が寄与 |
| 純利益 | 3,883百万円 | 5,115百万円 | +1,232百万円 | 前期比では大幅増益 |
| EPU | 2,586円 | 2,640円 | +54円 | 売却益控除後の資料定義ベース |
| DPU | 3,140円 | 3,140円 | 変わらず | 売却益500円を分配し横ばい |
| 巡航EPU相当 | 2,586円 | 2,640円 | +54円 | 実質的な売却益控除後EPU |
| 自己資本比率 | 47.6% | 47.8% | +0.2pt | ほぼ横ばいで安定 |
| 有利子負債額 | 147,250百万円 | 147,250百万円 | 変わらず | 借入残高は横ばい |
| 賃貸NOI | 6,911百万円 | 6,973百万円 | +61百万円 | 賃料増額と費用減が寄与 |
| NOI利回り | 5.0% | 5.0% | 横ばい | 償却後利回りは3.8% |
| FFO | 約5,464百万円 | 約5,530百万円 | 約+66百万円 | ラボ計算。売却損益調整後では小幅増 |
| 債務平均残存年数 | 3.8年 | 3.7年 | ▲0.1年 | やや短期化 |
| 平均調達金利 | 0.84% | 0.92% | +0.08pt | 金利上昇が反映され始める |
| 固定債務比率 | 93.9% | 90.3% | ▲3.6pt | 高水準ながら低下 |
| 期末稼働率 | 98.2% | 98.6% | +0.4pt | オフィス稼働率が99.8%へ上昇 |
| 格付 | JCR AA 安定的 | JCR AA 安定的 | 変わらず | 高格付を維持 |
※本投資法人の決算説明資料におけるEPUは「1口当たり当期純利益(売却益を除く)」と定義されています。そのため、本レポートでは実質的な巡航EPUに近い指標として扱います。ただし、修繕費、秋葉原UDX受取配当、金利費用などの期ごとの変動要因は含まれるため、完全に平準化された巡航利益ではありません。
※FFOは、当ラボにて「当期純利益+減価償却費-不動産等売却益+不動産等売却損」により概算しています。
決算サマリー所見
第47期は、表面的には営業収益が前期比で減少した一方、営業利益・純利益は大きく増加しました。これは前期に計上されていた不動産等売却損が剥落したことが大きな要因です。
一方で、より重要なのは、資料定義上のEPUが2,586円から2,640円へ54円増加した点です。売却益を除いた実力ベースでも小幅ながら改善しています。オフィス・レジデンス双方で賃料増額が進んだこと、修繕費が減少したことが寄与しました。
ただし、DPU3,140円のうち、EPUは2,640円であり、残り500円は売却益を原資としています。つまり、当期DPUは安定しているように見えますが、完全に巡航利益だけで構成されているわけではありません。
第48期以降はDPU3,100円を維持する予想ですが、第48期は圧縮積立金70円、第49期は圧縮積立金180円の取崩しを前提としています。売却益を一部内部留保し、将来のDPU安定化に使う方針は合理的ですが、分配金の質を見るうえでは、EPUとDPUの差を丁寧に確認する必要があります。
2. 外部成長戦略
第47期の外部成長は、大きく資産規模を拡大するというより、ポートフォリオの質を高めるための入替が中心です。
第47期には、大阪市所在のレジデンス「La Douceur都島高倉町」を1,140百万円で取得しました。一方で、築古オフィスであるランディック第2新橋ビルの一部を売却し、不動産等売却益1,239百万円を計上しています。
また、決算後には大阪市浪速区のレジデンス「ミラージュパレス難波クルヴァ」を1,050百万円で取得する予定です。これにより、第47期から第48期にかけて、築浅レジデンス2物件、合計21.9億円を取得する形となります。
主な外部成長施策
- 築古オフィスの売却によるポートフォリオの若返り
- 売却資金を活用した築浅レジデンスの取得
- 取得物件は大阪市内の住宅で、いずれも築浅
- 課題物件の売却により、将来の修繕費・資本的支出の負担を軽減
- NTT都市開発との連携により、スポンサー・NTTグループ保有不動産の取得機会を拡大
第45期以降の入替効果として、売却資産の平均築年数37.9年に対し、取得資産の平均築年数は3.7年とされています。また、売却によって第47期から第49期にかけて修繕費3.6億円、資本的支出12.7億円の削減効果が見込まれています。
この入替戦略は、単なる分配金確保のための売却ではなく、ポートフォリオの若返り、修繕コスト削減、資本効率改善を同時に狙うものと見られます。
ただし、資産規模は第47期末で2,952億円、前期比12億円減少しています。したがって、現時点では「外部成長で大きく拡大する局面」ではなく、「課題物件を売却し、内部成長力の高い資産へ入れ替える局面」と整理するのが適切です。
3. 内部成長戦略
今回の決算で最も評価できるのは、内部成長です。
第47期は、オフィス・レジデンスの双方で賃料改定が強く、特に入替時賃料増減率が大きく上昇しました。本投資法人は、中期目標達成に向けて「稼働率よりも賃料を優先する方針」に切り替えたことを明記しています。
賃料改定動向
| 項目 | 第47期実績 | コメント |
|---|---|---|
| オフィス入替時賃料増減率 | +10.7% | 入替時の9割超で賃料増加 |
| オフィス更新時賃料増減率 | +2.5% | 更新時も金額ベースで上昇 |
| レジデンス入替時賃料増減率 | +15.2% | 過去最高水準。2期連続で大幅上昇 |
| レジデンス更新時賃料増減率 | +2.0% | 更新時も上昇基調 |
| ポートフォリオ全体の月額賃料増加 | +16百万円 | 年率2.0%上昇ペース |
オフィスについては、相場賃料の上昇により、保有物件の賃料ギャップが拡大しています。これは、既存契約賃料が市場賃料に対して低い、いわゆるアンダーレントの状態が広がっていることを意味します。
このアンダーレントは、今後の賃料増額余地としてはポジティブです。ただし、オフィス賃料は住宅と違い、契約更新時期やテナントとの交渉に左右されるため、すぐに全額がEPUへ反映されるわけではありません。
レジデンスについては、入替時賃料増減率+15.2%、更新時+2.0%と強い数字です。特に、ファミリー・ワイドタイプを中心に賃料上昇が進んでおり、分譲マンション価格高騰による賃貸需要の強さも追い風になっていると考えられます。
バリューアップ施策
レジデンスの専有部リノベーションも好調です。
第47期のリノベーション実績は、工事実施戸数19戸、工事金額177百万円、成約戸数13戸、月額賃料変動率+45.5%、ROI17.9%です。第44期から第47期の累計でも、月額賃料変動率+45.1%、ROI21.5%と高い成果が出ています。
また、対象住戸は従来の60㎡以上から40㎡以上へ拡大され、毎期15〜20戸程度を実施する方針です。
これは成功施策の横展開として評価できます。一方で、建築費や内装工事費が上昇している環境では、今後も同じROIを維持できるかは確認が必要です。
修繕費コントロール
第45期から第47期にかけて、外壁修繕やLED化を中心とした大規模修繕を集中実施してきました。これが一巡するため、第48期は修繕費が大幅に減少する見込みです。
第48期EPUが2,640円から3,030円へ急増する最大要因も、この修繕費減少です。第47期から第48期へのEPU増加要因では、内部成長+412円のうち、修繕費の減少が+306円を占めています。
したがって、第48期のEPU急増は、賃料成長だけによるものではなく、修繕費の反動減が大きい点には注意が必要です。
4. 財務戦略
財務指標
| 指標 | 第47期末 | コメント |
|---|---|---|
| 有利子負債額 | 147,250百万円 | 前期比横ばい |
| 総資産LTV | 47.9% | 管理可能な水準 |
| 時価ベースLTV | 38.1% | 含み益を考慮すれば余裕あり |
| 平均残存年数 | 3.7年 | やや短め |
| 平均金利 | 0.92% | 前期比+0.08pt |
| 長期有利子負債比率 | 94.6% | 高水準 |
| 固定金利比率 | 90.3% | 金利耐性は高い |
| 格付 | JCR AA 安定的 | 高格付を維持 |
| コミットメントライン | 50億円 | NTT・TCリースと契約 |
財務面は、見た目には安定しています。総資産LTV47.9%、時価ベースLTV38.1%であり、含み益を考慮すれば一定の余裕があります。また、固定金利比率90.3%と高く、短期的な金利上昇に対する耐性もあります。
ただし、金利上昇の影響はすでに見え始めています。
第47期に返済した長期借入83億円の平均金利は0.63%でした。一方、第47期に調達した長期借入83億円の平均金利は1.68%です。つまり、借換えにより金利負担は明確に上昇しています。
さらに、2026年4月27日に公表された借入では、15億円・5年固定で適用金利2.475%となっています。金額自体は小さいものの、今後の借換え環境を示すシグナルとしては重く受け止める必要があります。
日銀が政策金利を1.0%へ引き上げたことも踏まえると、低金利時代に調達した0%台の借入が、今後1%台後半から2%台へ置き換わっていく可能性があります。
この点は、NTT都市開発リートの信用力が低下したというより、日本の金利環境そのものが変わった結果と見るべきです。ただし、投資法人のEPUにとっては、どちらの理由であっても支払利息増加という形で影響します。
固定金利比率の高さは防波堤になりますが、満期が来ればその時点の金利で借り直す必要があります。したがって、今後は「固定比率が高いから安心」だけではなく、「いつ、いくら、何%で借り換えるのか」を見る必要があります。
5. 次期・次々期業績予想
業績予想比較
| 指標 | 当期:2026年4月期実績 | 次期予想:2026年10月期 | 次々期予想:2027年4月期 | 一言コメント |
|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 12,975百万円 | 12,080百万円 | 11,938百万円 | 売却益剥落で減収 |
| 営業費用 | 7,213百万円 | 6,908百万円 | 6,781百万円 | 修繕費減少で低下 |
| 営業利益 | 5,762百万円 | 5,171百万円 | 5,156百万円 | 売却益剥落で減益 |
| 純利益 | 5,115百万円 | 4,448百万円 | 4,286百万円 | 当期比では低下 |
| 巡航EPU相当 | 2,640円 | 3,030円 | 2,920円 | 第48期は修繕費減で改善、第49期はUDX影響 |
| DPU | 3,140円 | 3,100円 | 3,100円 | 圧縮積立金取崩しで維持 |
第48期予想では、営業収益は12,080百万円へ減少します。これは当期に計上された不動産等売却益1,239百万円が剥落するためです。一方で、営業費用は6,908百万円へ減少し、修繕費の減少がEPUを大きく押し上げます。
第48期のEPUは3,030円と、当期2,640円から大きく改善する予想です。ただし、その主因は賃料成長だけではなく、大規模修繕一巡による修繕費減少です。
第49期は、EPUが2,920円へ低下する予想です。これは、秋葉原UDXの商業区画リニューアル工事の影響により受取配当金が減少すること、支払利息が増加することなどが主因です。
DPUは第48期・第49期とも3,100円を維持する予想ですが、第48期は圧縮積立金70円、第49期は180円の取崩しを前提としています。
第52期EPU3,100円目標について
本投資法人は、第52期、すなわち2028年10月期までにEPU3,100円へ引き上げる中期目標を掲げています。
この目標は、現時点では達成不可能な水準ではありません。第49期予想EPU2,920円から見ると、必要な上積みは180円です。発行済投資口数1,468,235口を前提にすると、金額換算では約2.6億円の利益上積みです。
オフィス・レジデンス双方の賃料増額、UDX影響の正常化、自己投資口取得による資本効率改善が重なれば、3,100円は射程圏内と考えられます。
ただし、目標達成の難易度は以前より上がっていると見ます。理由は金利です。
第47期時点でも借換えコストは上昇しており、さらに直近の5年固定借入では2%台半ばの金利が確認されています。政策金利1.0%の環境では、今後の借換えにより支払利息がさらに増える可能性があります。
したがって、EPU3,100円目標については、次のように見るのが妥当です。
達成可能性はある。ただし、余裕は大きくない。
到達できるかだけでなく、3,100円台を安定的に維持できるかが本当の論点である。
6. その他注目すべき点
1. ポジティブ:オフィス・レジデンス双方で増賃が進んでいる
今回の最大のポジティブ材料は、内部成長です。オフィス入替時+10.7%、レジデンス入替時+15.2%という数字は強く、更新時もプラスを確保しています。
特に、オフィスでは相場賃料の上昇によりアンダーレントが拡大しており、今後の更新時増額余地が見込まれます。レジデンスでは、ファミリー・ワイドタイプを中心に賃料上昇が続いており、バリューアップ施策も高いROIを示しています。
ただし、オフィスの賃料増額は契約更新タイミングに依存するため、住宅ほどスピーディーに反映されるとは限りません。
2. ポジティブ:自己投資口取得はNAVディスカウント局面では合理的
決算後に上限20億円の自己投資口取得を決定しました。取得上限は22,000口、発行済投資口数の1.50%です。取得した自己投資口は消却予定です。
これは、投資口価格が1口当たりNAVを下回る局面では合理的な資本政策です。新規物件を高値で取得するより、自分自身の投資口を買い戻す方が、1口当たり利益やNAVの改善に寄与しやすい場合があります。
ただし、これは同時に、外部成長環境が難しいことも示しています。物件を買うより自己投資口を買う方が効率的という判断は合理的ですが、REITとしてはやや皮肉な最適解でもあります。
3. ポジティブ:含み益が厚く、時価ベースLTVは低い
第47期末の含み益は788億円、含み益率は30.7%です。1口当たりNAVは150,663円まで上昇しています。
総資産LTVは47.9%ですが、時価ベースLTVは38.1%です。含み益を考慮すれば、財務の余力は一定程度あります。
この含み益は、売却益創出、自己投資口取得、資本政策の柔軟性という意味で大きな武器です。
4. ネガティブ:金利上昇がEPU目標の余裕を削っている
平均金利は0.92%とまだ低い水準ですが、借換え時の金利は明らかに上昇しています。第47期調達分の平均金利1.68%、直近の5年固定借入2.475%は、今後の金融費用増加を示唆しています。
固定金利比率90.3%は安心材料ですが、これは現在の借入条件を一定期間固定しているだけであり、満期を迎えれば新しい金利で借り換える必要があります。
したがって、今後のEPU成長は、賃料増額が金利上昇をどこまで上回れるかに左右されます。
5. ネガティブ:第48期EPU急増は修繕費減少の影響が大きい
第48期EPUは3,030円へ大きく増加する見通しです。しかし、その主因は大規模修繕一巡による修繕費減少です。
第47期から第48期へのEPU増加要因では、修繕費減少が+306円と最大です。これは、内部成長の中でも一時的な反動増に近い性格を持ちます。
そのため、第48期EPU3,030円をそのまま恒常的な巡航実力と見るのは慎重でありたいところです。
6. 中立:NTTグループ依存は安定性と評価のクセを併せ持つ
NTTグループのオフィステナント比率は33.5%です。ドコモCS、NTTファシリティーズ、NTTファイナンス、NTTドコモビジネス、NTT東日本、NTTデータなど、グループ企業が上位テナントに並びます。
これは安定性の面では大きな強みです。スポンサーグループとの関係が強く、リーシングや物件取得機会にもプラスに働く可能性があります。
一方で、投資家目線では、マーケットでの独立した競争力と、グループ内需要による安定性をどう評価するかが論点になります。利害関係人取引やスポンサーとの物件入替については、引き続き透明性の高い説明が求められます。
7. 専門家による「行間」の読解
1. EPU目標3,100円は「達成できるか」より「維持できるか」が論点
第52期EPU3,100円目標は、数字だけ見ると達成可能性があります。第49期予想2,920円からの上積みは180円であり、金額換算では約2.6億円です。
しかし、第48期EPU3,030円は修繕費減少の寄与が大きく、第49期はUDX影響で2,920円へ低下します。
つまり、本当の論点は、どこかの期で3,100円に到達することではありません。金利上昇、修繕費、UDX影響を吸収したうえで、3,100円台を継続的に維持できるかです。
短期的な到達と、中期的な定着は別物です。ここを混同すると、目標達成の評価を誤りやすくなります。
2. 第48期EPU3,030円は“実力値”として少し強く見えすぎる
第48期EPUは3,030円と、目標3,100円にかなり近づきます。資料上も順調に進捗しているように見えます。
しかし、その増加要因の大部分は修繕費減少です。オフィス・レジデンスの賃料増額も寄与していますが、EPU急増の主役は修繕費の反動減です。
そのため、第48期だけを見て「もう巡航EPU3,000円台に乗った」と判断するのはやや早いです。第49期、第50期以降をならして見る必要があります。
3. 売却益と圧縮積立金を使ったDPU安定化は上手だが、完全巡航ではない
第47期DPU3,140円のうち、EPUは2,640円であり、売却益500円が分配されています。また、第48期・第49期のDPU3,100円維持には圧縮積立金の取崩しが使われます。
これは決して悪い運用ではありません。売却益を一部内部留保し、将来の分配安定に活用するのは、REITの資本政策として合理的です。
ただし、読者には「DPU3,100円=完全に巡航利益だけで出せる水準」ではないことを明確に伝える必要があります。
現状のDPUは、巡航EPU、売却益、圧縮積立金の組み合わせで安定化されていると見るべきです。
4. 金利上昇は、目標の“余白”を削る
NTT都市開発リートは高格付で、スポンサーも強く、固定金利比率も高いです。したがって、金利上昇への耐性は相対的にあります。
しかし、耐性があることと、影響がないことは違います。
第47期の借換えでは、返済した借入の平均金利0.63%に対し、新規調達は1.68%でした。さらに直近の5年固定借入では2.475%です。
この環境では、今後のEPU成長は、賃料増額で金融費用増を上回れるかの勝負になります。
金利が低かった時代のREIT分析では、賃料成長がそのままEPU成長に見えやすかった。しかし、現在は増賃しても、その一部を金利が削る構図です。ここは、今回の決算を読むうえで最も重要なマクロ要因です。
5. 「稼働率より賃料優先」は正しいが、短期的な見栄えは悪くなる可能性がある
本投資法人は、稼働率よりも賃料を優先する方針に切り替えたと説明しています。これはインフレ時代には合理的です。
ただし、賃料を優先すれば、短期的には空室期間やフリーレントが発生しやすくなります。特にオフィスでは、入替時に賃料を引き上げるほど、リーシング期間やCF稼働率への影響が出やすくなります。
したがって、今後は単純な期末稼働率だけで判断してはいけません。賃料単価、CF稼働率、フリーレント、更新時増額率をセットで確認する必要があります。
6. レジデンスのバリューアップは強いが、対象拡大後のROI維持が課題
レジデンスのリノベーションROIは非常に高く、今回の決算では明確なポジティブ材料です。
ただし、対象住戸を60㎡以上から40㎡以上へ拡大するということは、従来の大型住戸だけでは対象が限られてきた可能性もあります。
今後も高いROIを維持できるかは、工事費、賃料増額余地、入居者需要のバランスに左右されます。建築費が上昇している環境では、同じ工事をしても投資回収効率が低下する可能性があります。
7. 外部成長より自己投資口取得を選ぶ局面に見える
本投資法人は、築浅レジデンスを取得しているものの、資産規模は大きく拡大していません。むしろ、課題物件の売却と小型の築浅住宅取得を組み合わせる入替が中心です。
その一方で、上限20億円の自己投資口取得を決定しています。
これは、現在の投資口価格水準では、外部から物件を買うより、自身の投資口を買う方が投資主価値向上に資すると判断した可能性があります。
NAVディスカウント局面では非常に合理的ですが、外部成長による資産規模拡大が難しい局面にあることも示唆しています。
8. スポンサーの強さは魅力だが、スポンサー依存の見え方には注意
NTT都市開発との連携は、外部成長機会、テナント安定性、信用力の面で大きな強みです。NTTグループのCRE活用や開発物件の将来的な組入れ可能性も、本投資法人の魅力です。
一方で、スポンサーとの物件入替やグループ内テナント比率の高さは、投資家から見ると、独立性や取引条件の妥当性を確認したくなるポイントでもあります。
今回のように自己投資口取得や物件入替を積極的に行う局面では、スポンサーとの距離感、取得・売却価格の妥当性、投資主利益との整合性を丁寧に説明することが重要です。
9. 含み益は大きな武器だが、金利上昇局面では万能ではない
第47期末の含み益は788億円、含み益率は30.7%です。これは非常に大きな財務バッファです。
含み益があれば、売却益の創出、LTVコントロール、自己投資口取得などの選択肢が広がります。
ただし、金利上昇局面では、含み益があるから支払利息が減るわけではありません。また、キャップレートが上昇すれば、将来的に鑑定評価が下押しされる可能性もあります。
今のところ査定賃料は上昇しており、含み益は増加していますが、金利上昇が長引けば鑑定評価への影響も慎重に見ていく必要があります。
8. 免責事項
本記事は公開資料に基づく情報提供を目的としており、特定銘柄の推奨を目的としたものや投資勧誘、助言を行うものではありません。
情報の正確性について:作成にあたっては生成AIを活用しており、情報の正確性・完全性を保証するものではありません。投資検討の際は、必ず投資法人が発行する一次資料(決算短信等)をご確認ください。
自己責任の原則:投資に関する最終決定は、読者ご自身の判断と責任において行ってください。本記事の利用により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いかねます。


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