今回は、人材サービス大手「株式会社クイック(4318)」の2027年3月期 第1四半期決算について、継続チェックの観点から確認していきます。
所長ダル








① 会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 株式会社クイック(QUICK CO.,LTD.) |
| 証券コード | 4318(東証プライム市場) |
| 代表者 | 代表取締役会長 川口 一郎 |
| 本社 | 大阪市(TEL 06-6366-0919) |
| 主な事業 | 人材サービス(人材紹介・派遣)、リクルーティング、地域情報サービス、HRプラットフォーム、海外の5セグメント |
| 海外拠点国 | 米国・メキシコ・英国・オランダ・ドイツ・ベトナム・タイ |
| 時価総額 | 488億円(2026/8/26、かぶたん様) |
| 決算期 | 3月期(当期は第47期) |
| 現在株価 | 863円(’26/8/26終値、かぶたん様) |
出典:決算短信、決算説明資料、かぶたん様、IRBANK様
※設立年は添付資料からは確認できませんでした。当期が第47期であることから1980年前後の設立と考えられますが、次回、有価証券報告書等で確認したい項目です。






② 主要財務指標
1Q実績(連結、単位:百万円)
| 項目 | 27/3期1Q | 26/3期1Q | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,376 | 9,863 | +5.2% |
| 売上総利益 | 7,741 | 7,218 | +7.2% |
| 販管費 | 4,770 | 4,378 | +9.0% |
| 営業利益 | 2,971 | 2,840 | +4.6% |
| 経常利益 | 2,992 | 2,852 | +4.9% |
| 特別利益合計 | 0 | - | - |
| 特別損失合計 | 2 | 94 | ▲97.9% |
| 親会社株主帰属四半期純利益 | 2,057 | 1,880 | +9.4% |
| 1株当たり四半期純利益 | 36.77円 | 33.50円 | +9.8% |
財政状態
| 項目 | 26/3期末 | 27/3期1Q末 |
|---|---|---|
| 総資産 | 25,946百万円 | 26,292百万円 |
| 現金及び預金 | 13,283百万円 | 13,216百万円 |
| 投資有価証券 | 3,636百万円 | 4,489百万円 |
| 短期借入金 | 80百万円 | 100百万円 |
| 純資産 | 19,379百万円 | 20,114百万円 |
| 自己資本比率 | 74.7% | 76.5% |
| BPS | 345.24円 | 361.88円 |
通期予想・株価指標
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 通期売上高予想 | 34,800百万円(+2.6%) | 短信表紙 |
| 通期営業利益予想 | 4,110百万円(▲10.3%) | 短信表紙 |
| 通期純利益予想 | 2,805百万円(▲32.5%) | 短信表紙 |
| 通期予想EPS | 50.27円 | 短信表紙 |
| 年間配当予想 | 38.00円(中間19円・期末19円) | 短信表紙 |
| 予想配当性向 | 約75.6% | 38÷50.27(当方試算) |
| PER(実績) | 11.49倍 | IRBANK様 |
| PER(予想) | 17.04倍/17.1倍 | IRBANK様/かぶたん様 |
| PBR | 2.38倍 | IRBANK様・かぶたん様 |
| 配当利回り | 4.40%/4.42% | かぶたん様/IRBANK様 |
| ROE(実績/予想) | 22.05%/13.95% | IRBANK様 |
| ROA(実績/予想) | 16.03%/10.67% | IRBANK様 |
③ 継続チェックメモ項目評価
毎回チェックする基本項目
| チェック項目 | 判定基準 | 今回実績 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 前期339億円を下回らない/通期計画進捗 | 1Q 10,376百万円、通期計画34,800百万円に対し進捗29.8% | ○ |
| 営業利益 | 通期計画に対する進捗 | 1Q 2,971百万円、進捗72.3% | ◎(注釈付き) |
| 営業利益率 | 13%台を維持しているか | 1Q単体28.6%(前年28.8%)/通期計画ベースでは11.8% | △ |
| 純利益/EPS | 予想EPS50.00円を大きく下回らない、実力EPS45円割れなし | 1Q EPS 36.77円(通期予想50.27円に対し73.1%) | ◎ |
| 営業CF | 配当総額を上回るか | 1Q連結CF計算書は作成せず | -(構造的) |
| 年間配当予想 | 下限配当38円を下回らないか | 38.00円(中間19円・期末19円)、修正なし | ○ |
売上高の進捗29.8%は通期のちょうど4分の1弱です。ただし7月1日付でワークプロジェクト(保育士派遣・保育園運営)が連結から外れており、通期で約8億円の売上減少要因が2Q以降に効いてきます。1Qにはまだ同社の業績が含まれている点は割り引いて見る必要があると考えられます。
営業利益の進捗72.3%は一見すると絶好調ですが、会社は「人材紹介における入社・入職日が4月に集中(特に看護師)することから、1Qに利益が偏る傾向」と説明しています。前期26/3期は1Q営業利益2,840百万円に対し通期4,583百万円で進捗62.0%だったため、今期の72.3%はそれより高めです。ただし通期計画そのものが減益計画で分母が小さく、かつ下期に投資費用が集中する前提であるため、この進捗をもって上方修正を期待するのは早いと考えられます。「量」の指標単独で評価しないという原則に沿い、質(利益率・セグメント構成)を併せて確認した上での◎です。
営業利益率は1Q単体では28.6%と高水準ですが、これは季節性による見かけの高さです。判定基準の「13%台維持」は通期ベースの話であり、通期計画は4,110÷34,800=11.8%と、13%台を下回る計画になっています。これは意図的な投資による計画減益であり業績悪化ではありませんが、基準からは外れているため△としました。
純利益/EPSについては、1Q EPS 36.77円が前年同期33.50円から+9.8%となりました。しかも当1Qの特別利益はゼロ(投資有価証券売却益は百万円未満)であり、公表EPS=実力EPSと見てよい状態です。逆に前1Qには減損損失69百万円・関係会社清算損24百万円の特損94百万円があったため、純利益+9.4%のうち一定部分はこの特損剥落によるものと考えられます。営業利益+4.6%との差はここに説明がつきます。
営業CFについては、短信に「当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」と明記されています。2023年11月の金商法改正により2024年4月1日以後開始四半期から四半期報告書が廃止され半期報告書に一本化された経緯もあり、1Qでの非開示は日本の上場企業として標準的です。したがって構造的-として扱い、減点材料とはしません。
年間配当は38.00円で修正なし。株式分割考慮後で前期37.6円相当から+0.4円の実質増配となり、中間19円・期末19円と均等配分が明示されました。












基本項目は売上高○・営業利益◎(注釈付き)・純利益/EPS◎・年間配当○と、判定上は良好な結果が並びました。ただし営業利益率は通期ベースで基準の13%台を下回る計画となっており△、営業CFは1Q非開示のため構造的に判定不能です。1Qの好調さは季節性と分母の小ささに支えられている面があり、額面通りに受け取るのではなく中身を確認する姿勢が必要と考えられます。
注意点①:配当性向76%・配当原資の脆弱性
| チェック項目 | 判定 | 内容 |
|---|---|---|
| 営業CFが配当総額を上回っているか | -(構造的) | 1Q CF計算書非開示。中間期での検証を待つ |
| 投資有価証券の売却益が今期も特別利益として計上されていないか | ◎ | 特別利益は実質ゼロ。前期のような一時益への依存なし |
| 現預金・投資有価証券の残高が急減していないか | ◎ | 現預金13,216百万円(ほぼ横ばい)、投資有価証券は3,636→4,489百万円へ増加 |
| 法人税等支払額急増などの一時的要因の再発 | -(構造的) | CF非開示のため確認不能。未払法人税等は780→748百万円と微減 |
前回最も警戒していた「投資有価証券の売却が配当原資の実質的バッファとして常態化する」懸念は、1Q時点では顕在化していません。むしろ投資有価証券は853百万円増加しており、これはその他有価証券評価差額金が381→641百万円へ260百万円増えたこと(=時価上昇)と、追加取得の両方が寄与していると考えられます。現預金も132億円台を維持しています。
なお、配当総額の想定額について判定基準を修正します。旧基準の配当総額28〜29億円は、分割前後の株数換算を取り違えた過大推計であったと考えられます。新基準は年間約21億円(中間約10.5億円)です。根拠は、6月30日時点の自己株控除後株式数55,571,000株(発行済56,552,028株-自己株981,028株)に自社株買いの進行を織り込み約55.3百万株と想定し、38円を乗じた額となります。したがって次回の検証ラインは「中間営業CFが約10.5億円を上回るか」となります。
注意点②:人材サービス事業の3期連続減益計画
| チェック項目 | 判定 | 内容 |
|---|---|---|
| 人材サービス事業の営業利益率が大きく低下していないか(10%割れは要注意) | ○ | 1Q 35.1%(2,649÷7,548)。前1Q 35.9%からほぼ横ばい |
| 人材サービス事業の売上が計画通り増収しているか | ○ | 売上7,548百万円(+2.5%)、通期計画23,655百万円に対し進捗31.9% |
| アンドプロ投資の成果が開示され始めているか | △ | 今期より新たにリリースした旗艦サイトと記載されたが、登録者数・売上寄与等の定量開示はなし |
主力の人材サービス事業は売上+2.5%、営業利益+0.2%とほぼ横ばい着地です。中身を見ると、人材紹介は製造業・IT・製薬・看護師いずれも堅調で増収、派遣は看護師派遣が拡大した一方で北陸エリアの縮小が響き全体では横ばい、とされています。IT関連費用の増加で利益が伸びなかった構図です。
売上進捗31.9%は通期計画に対して順調ですが、ここには7月1日に譲渡したワークプロジェクトの業績が丸々含まれている点に注意が必要です。会社は同社譲渡による通期約8億円の売上減少を織り込み済みで、「これを除いた実質的な売上成長率は約4%増」としています。
営業利益率35.1%は季節性による1Q特有の高さであり、通期計画では3,518÷23,655=14.9%(前期15.5%)です。10%割れという要注意ラインからは大きく距離があり、この注意点は懸念が後退したと判断できます。
アンドプロについては、FAQで「当期の支出は開発費用(資産計上されるもの)が大半」「費用となるプロモーション費用は来期以降」「本格的な利益貢献は2029年3月期から」と説明されました。投資の内訳と回収時期が言語化された点は前進ですが、KPIの定量開示はまだありません。












注意点③:実力EPS(特別利益除外後)の把握
| チェック項目 | 判定 | 内容 |
|---|---|---|
| 特別損益の有無・内容 | ◎ | 特別利益0百万円、特別損失2百万円。前1Qの特損94百万円から大幅減 |
| 実力ベースEPSが45円を明確に下回っていないか | ◎ | 1Q実力EPS=公表EPS 36.77円。通期予想50.27円 |
| 投資有価証券売却益が再度計上されていないか | ◎ | 計上なし(実質ゼロ) |
この注意点は今回で実質的に解消したと考えられます。当1Qは特別利益がほぼゼロで、公表EPS 36.77円がそのまま実力ベースの数字です。通期予想EPS 50.27円も一時益を織り込まない前提のため、警戒ライン45円を上回る見通しです。前回試算した「26/3期の実力EPS約59円」との比較では▲15%程度の減少にとどまるという読みも維持されています。注意点①②③のうち、③は降格候補と考えられます。
引き続き良好なら安心できる項目
| 項目 | 前回 | 今回 | 維持ライン | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 自己資本比率 | 74.7% | 76.5% | 65%以上 | ◎ |
| 現預金 | 13,283百万円 | 13,216百万円 | 100億円以上 | ○ |
| D/Eレシオ | 短期借入80百万円 | 短期借入100百万円 | 実質無借金 | ○ |
| リクルーティング事業 営業利益 | +29.6% | +90.9% | 二桁増益基調 | ◎ |
| OpenWork総合順位 | 15位 | - | 上位20位以内 | -(偶発的) |
リクルーティング事業は売上1,008百万円(+24.1%)、営業利益349百万円(+90.9%)と、当四半期の最大の牽引役になりました。「Indeed」「求人ボックス」等のアグリゲーション型求人サービスの好調と、AI面接等の新商材による客単価向上が要因と説明されています。利益率も22.5%→34.6%へ大きく改善しています。
一方、地域情報サービス事業(営業利益▲17.7%)とHRプラットフォーム事業(同▲16.3%)は2桁減益となりました。前者はポスティングにおける前年特需の反動、後者は「日本の人事部」オンライン広告での顧客のマーケティング予算縮小が原因とされています。この2セグメントは合計でも営業利益289百万円と全体の1割弱ですが、HRプラットフォームは通期計画自体が▲20.0%減益であり、構造的な逆風の可能性があります。
株価・バリュエーション
| チェック項目 | 前回(26/6/25) | 今回(26/8/26) | 変化のポイント |
|---|---|---|---|
| 株価 | 703円 | 863円 | +22.8% |
| PER(実績) | 約9.5倍 | 11.49倍 | 上昇 |
| PER(予想) | 約14.1倍 | 17.04倍 | 上昇 |
| PBR | 2.04倍 | 2.38倍 | 上昇 |
| 配当利回り | 5.39% | 4.40% | 5%台を割り込む |
| みんかぶ様 目標株価 | 650円 | 695円(判定「売り」) | +45円へ上方更新も現株価を大きく下回る |
| みんかぶ様 理論株価 | - | 816.0円(8/25)判定「割高」 | 新規確認 |
| 証券アナリスト予想 | - | 0人(対象外) | 第三者の業績予想の裏づけなし |
| 初回試算との乖離 | 保守的691円にほぼ一致 | 中立844円をやや上回る | 保守的→中立を超える水準へ |
PBRは2.04→2.38倍へ切り上がり、初回試算のPBR2.0倍690円を大きく上回っています。IRBANK様によれば2010年以降のPBRレンジは0.45〜6.06倍で、2.38倍はレンジ内ではあるものの、初回分析時点の想定は超えています。
みんかぶ様の目標株価は650円→695円へ+45円の上方更新となりました。ただし現在株価863円との差は▲168円で、判定は「売り」です。一方、同じみんかぶ様の株価診断(8/25更新)では理論株価816.0円・「割高」判定となっています。目標株価も理論株価も現株価を下回っており、外部データは揃って「買い上がる局面ではない」ことを示唆していると考えられます。
前回試算(強気1,050円/中立844円/保守的691円/弱気491円)に対し、現在863円は中立シナリオ844円を約2%上回る位置にあります。約2か月で保守的→中立超えまで一気に進んだことになります。配当利回りは4.40%へ低下しました。減配ではなく株価上昇が原因であり企業側の問題ではありませんが、高配当株としての妙味という観点では基準から明確に外れています。
※みんかぶ様の個人投資家の株価予想は最終更新が2026年3月2日で、約6か月間更新が止まっているため、外部データ採否ルールに従い数値には言及しません。売買予想比率も投稿の更新日が特定できないため使用していません。証券アナリストの予想人数が0人(対象外)である点は、第三者による業績予想の裏づけが存在しないことを意味し、カバレッジの薄さとして記憶しておくべき事実と考えられます。


















信用需給ウォッチ(かぶたん様、単位:千株)
| 日付 | 売り残 | 買い残 | 信用倍率 |
|---|---|---|---|
| 07/24 | 58.9 | 143.7 | 2.44 |
| 07/31 | 49.7 | 137.0 | 2.76 |
| 08/07 | 44.4 | 136.6 | 3.08 |
| 08/14 | 51.2 | 134.8 | 2.63 |
| 08/21 | 43.8 | 131.1 | 2.99 |
信用倍率は2.44→2.99倍へ上昇しましたが、これは買い残が減る以上に売り残が減ったためで、質の悪い上昇ではないと考えられます。買い残は131,100株÷56,552,028株=0.23%で、要注意目安の2%を大きく下回ります。8/26の出来高93,400株に対し買い残131.1千株で約1.4倍と、過大とは言えません。株価上昇後に買い残が急増していないかという点では、143.7→131.1千株とむしろ減少しており、需給は良好と考えられます。総括すると、株価上昇は信用買いの膨張によるものではなく、需給面での過熱感は乏しいと考えられます。
継続ウォッチ:銘柄固有の注目ポイント
| チェック項目 | 判定 | 内容 |
|---|---|---|
| AVI JAPAN・村上系株主の保有比率変化 | -(偶発的) | 添付の大株主資料は2026年3月31日現在(AVI 3.29%+MURAKAMI TAKATERU 1.43%=計4.72%)で、前回分析時と同一時点のデータ。以降の変動は未確認 |
| 自社株買い進捗 | ◎ | 7月度228,700株・175百万円取得。累計780,700株・580百万円(枠1,000百万円の58.0%、150万株の52.0%) |
| 海外事業の拡大状況 | ◎ | 売上710百万円(+21.2%)、営業利益53百万円(+26.8%)と2桁増収増益。セグメント対象国にドイツが追加 |
自己株式取得は2026年5月7日〜10月31日の枠で、7月31日時点で金額ベース58.0%・株数ベース52.0%消化しています。平均取得単価は約742円で、現在株価863円を下回る水準で買えている計算になります。1Q中には552,000株・404百万円を取得済みです。10月31日という期限に対し進捗はほぼ想定線ですが、株価上昇により残枠での取得株数は当初想定より減る可能性があります。
そのほか、2026年8月24日に「JPX日経中小型株指数」構成銘柄への5年連続選定が公表されました。同指数は3年平均ROEと3年累積営業利益による定量スコアリングに、女性役員の選任や決算情報の英文開示等のガバナンス・ディスクロージャー要素を加えて200銘柄を選定するもので、指数連動ファンドへの組み入れによる流動性向上が期待される旨が記載されています。
大株主構成については、アトムプランニング16.91%+和納氏2.45%等の創業家系と、AVI JAPAN 3.29%+村上系1.43%の対比構図が確認できます(有報 大株主の状況、26/3/31現在)。






即座に見直しが必要なシグナル
| シグナル | 該当 |
|---|---|
| 配当が下限配当38円を下回る減配 | なし(38円維持) |
| 営業CFがマイナス転落/配当総額を明確に下回る | -(構造的・1Q非開示) |
| 実力ベースEPSが45円を下回る | なし |
| 人材サービス事業の営業利益率が10%割れ | なし |
| 自己資本比率が65%割れ | なし(76.5%) |
| アクティビスト株主の株主提案・敵対的行動 | 該当なし(今回資料の範囲では確認されず) |
発動シグナルはありません。財務健全性・自社株買い・海外事業はいずれも良好な水準を維持しており、前回警戒していた配当原資・人材サービス減益・実力EPSの3点も悪化していません。一方で株価上昇によりバリュエーションは切り上がっており、外部の目標株価・理論株価がいずれも現株価を下回る点には注意が必要と考えられます。
④ 配当継続性スコア(5項目評価)
| 評価項目 | 評価 | 根拠 |
|---|---|---|
| 配当の中身 | ○ | 普通配当のみ、記念配当・特別配当なし。年間38円(中間19円・期末19円)、分割考慮後で+0.4円の実質増配。下限配当38円の方針を維持 |
| 本業の稼ぐ力 | ○ | 1Q増収増益(売上+5.2%、営業+4.6%)。営業利益進捗72.3%。リクルーティング+90.9%・海外+26.8%が牽引し、主力の人材サービスも横ばい維持。前回の「○△」から改善 |
| 財務の健全性 | ◎ | 自己資本比率76.5%(前期末74.7%から改善)、現預金132億円、有利子負債は短期借入金1億円のみの実質無借金 |
| 配当の原資 | -(構造的) | 1Q連結CF計算書は作成せず。制度上1Qでの検証は不可能。ただし特別利益に依存しない純利益2,057百万円を計上し、現預金・投資有価証券とも減少していない点は間接的な安心材料 |
| 経営方針の透明性 | ◎ | 投資家質問へのFAQ形式回答を決算説明資料に新設。減益の要因・投資の費用/資産計上の別・回収時期・子会社譲渡の影響額まで具体的に説明。自己株買いの月次開示も継続 |
B+ → B+(格上げ保留)
スコア運用ルールの非対称ルールを適用しました。実体で確認できた4項目はすべて前回から改善または高水準を維持しており、数値だけを見ればA-相当と考えられます。しかし「配当の原資」が構造的-として未検証のまま残るため、格上げは行わず据え置きとします。
①数値だけを見れば何相当か:実体4項目(○○◎◎)から判断すればA-相当です。特に「本業の稼ぐ力」が前回の○△から○へ改善し、「財務の健全性」「経営方針の透明性」はいずれも◎水準にあります。
②なぜ据え置いたか:5項目のうち「配当の原資」が1Q営業CF非開示により未検証(構造的-)です。日本の上場企業では1Q・3QでCF計算書が付かないのは制度上標準的であり、同社固有の開示姿勢の後退ではありません。したがってこれは企業への減点ではなく、単に「まだ確認できていない」という状態です。
③次回、何がどうなれば格上げするか:中間(半期報告書)の中間連結営業CFが、中間配当総額約10.5億円(19円×約55.3百万株)を明確に上回ることが確認できればA-へ格上げします。目安として中間営業CF15億円以上であれば十分なバッファがあると判断できると考えられます。逆に中間営業CFが10.5億円を下回る場合は、「配当の原資」を実体を伴う△として扱い、B+据え置きまたは引き下げを検討します。
クリックして評価ランクの説明を見る
S:非常に優れている/A:優れている/A-:Aの要件を満たすがBに近い注意点がある/B+:Bの要件を満たしAに近い水準にある/B:良好/B-:Bの要件を満たすがCに近い注意点がある/C+:Cの要件を満たしBに近い水準にある/C:やや懸念がある/C-:Cの要件を満たすがDに近い注意点がある/D:懸念が大きい/E:重大な懸念がある
※評価体系をS/A/A-/B+/B/B-/C+/C/C-/D/Eの11段階に変更しました。旧5段階(S/A/B/C/D)のA・B・C・Dの間にそれぞれ「+(プラス)-(マイナス)」ランクを新設しています。これは、同一ランク内でも「条件が揃えば上のランクに相当する」銘柄と「下のランクに近い懸念がある」銘柄を区別するためです。たとえばB-は「Bの要件は満たすが、Cに近い注意点を抱えている」状態を示します。
⑤ 適正株価試算(普通配当逆算法)
前提:現在株価863円(’26/8/26終値)、予想配当38円、現在利回り4.40%、予想EPS50.27円。前回と同じフレーム(想定利回り4.5%=人気化局面/5.5%=高配当株として評価される局面)を維持します。
シナリオ別試算
| シナリオ | 想定配当額 | 想定利回り | 適正株価 | 現株価比 |
|---|---|---|---|---|
| 強気 | 44円(1Q進捗(純利益73.3%)を受けて通期計画2,805百万円を上振れ、純利益3,200百万円・EPS約58円で着地。配当性向76%維持で44円へ増配) | 4.5% | 978円 | +13.3% |
| 中立 | 38円(会社予想の配当そのまま。指数採用継続・自社株買いによる需給改善で利回り4.5%が許容される前提) | 4.5% | 844円 | ▲2.2% |
| 保守的 | 38円(増配なし・現状維持。高配当株として利回り5.5%が要求される水準まで調整) | 5.5% | 691円 | ▲19.9% |
| 弱気 | 27円(下限配当38円の方針を曲げざるを得ない前提条件が複合するケース) | 5.5% | 491円 | ▲43.1% |
現在株価863円は中立シナリオ844円をわずかに上回る位置にあります。強気シナリオ978円までの上値余地は約13%ですが、強気シナリオは「会社計画の上振れ+増配」という二段構えの前提に立つ点に留意が必要と考えられます。
弱気シナリオ:「方針を曲げざるを得ない前提条件」
以下が重なった場合、下限配当38円の維持が難しくなる可能性があると考えられます。
- アンドプロ投資が28/3期以降も回収に至らず、実力EPSが35円前後まで低下する
- その状態で38円を維持すると配当性向が109%と原資超過になる
- 中間営業CFが配当総額を下回る状態が2期連続する
これらのいずれか複数が同時に発生し、配当性向80%を上限とする実質的な減配(27円)に踏み切るケースが弱気シナリオです。
BPS×適正PBR倍率(2点セット確認)
BPS:361.88円(27/3期1Q末、短信表紙)
| PBR倍率 | 適正株価 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 1.5倍 | 543円 | 下値の目安 |
| 2.0倍 | 724円 | 初回分析時の中心値 |
| 2.38倍(現状) | 861円 | 現在の水準 |
| 2.5倍 | 905円 | 上値の目安 |
普通配当逆算法の中立844円と、BPS×PBR2.38倍の861円はほぼ一致しており、現在株価863円は「中立シナリオがそのまま織り込まれた水準」と考えられます。前回はPBR2.0倍690円・保守的691円が一致していたことを踏まえると、この2か月で市場の評価はワンランク切り上がった格好です。









全シナリオが崩れる条件
- 中間決算で通期業績予想が下方修正される場合(下期の投資が想定以上に膨らみ営業利益4,110百万円すら未達となる可能性)
- 中間営業CFが中間配当総額約10.5億円を下回る場合
- アンドプロの開発費用の資産計上分(ソフトウエア+仮勘定1,733百万円)に減損の兆候が出る場合
- アクティビスト系株主(AVI 3.29%+村上系1.43%=4.72%、26/3/31現在)の行動が顕在化し、業績と無関係に株価が動く場合
まとめ



























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情報基準日:2026年8月26日
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
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