今回は、関西地盤の老舗ゼネコン中堅「淺沼組(1852)」の2027年3月期 第1四半期決算について、継続チェックの観点から確認していきます。
所長ダル








① 会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 株式会社淺沼組 |
| 証券コード | 1852(東証プライム) |
| 代表者 | 代表取締役社長 浅沼 誠 |
| 本社 | 大阪市(TEL 06-6585-5500) |
| 主な事業 | 建設事業(建築・土木)、その他(メンテナンス・不動産事業等) |
| 事業特性 | 関西地盤の老舗ゼネコン中堅。全国展開。官公庁建築に実績、リニューアルに積極的(みんかぶ様・かぶたん様) |
| 時価総額 | 707億円(かぶたん様、’26/8/6 15:30時点) |
| 発行済株式数 | 80,786,290株(27/3期1Q短信2P) |
| 決算期 | 3月期 |
| 現在の中計 | 中期3ヵ年計画(2024〜2026年度)の最終年度(27/3期1Q短信2P) |
| 現在株価 | 875円(’26/8/6 15:30時点、みんかぶ様・かぶたん様) |
出典:決算短信、補足資料、みんかぶ様、かぶたん様、IRBANK様
なお、設立年については確認資料に記載がないため今回は「-(確認不能)」とし、次回、有価証券報告書での確認を予定しています。






② 主要財務指標
当第1四半期実績(27/3期1Q/百万円)
| 項目 | 26/3期1Q | 27/3期1Q | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 42,707 | 37,369 | ▲12.5% |
| 売上総利益 | 4,005 | 4,421 | +10.4% |
| 完成工事総利益率 | 9.0% | 11.5% | +2.5pt |
| 販管費 | 2,893 | 2,734 | ▲5.5% |
| 営業利益 | 1,112 | 1,687 | +51.7% |
| 営業利益率 | 2.6% | 4.5% | +1.9pt |
| 経常利益 | 1,085 | 1,703 | +56.9% |
| 親会社株主帰属四半期純利益 | 712 | 1,138 | +59.8% |
| EPS | 8.84円 | 14.10円 | +59.5% |
| 受注高(連結) | 56,122 | 66,241 | +18.0% |
| 受注高(個別) | 55,162 | 64,223 | +16.4% |
| 繰越工事高(個別) | 205,844 | 270,268 | +31.3% |
財政状態・指標
| 項目 | 前期末(26/3期末) | 当1Q末(27/3期1Q) |
|---|---|---|
| 総資産 | 118,176百万円 | 108,641百万円(▲8.1%) |
| 自己資本 | 49,759百万円 | 48,504百万円(▲2.5%) |
| 自己資本比率 | 42.1% | 44.6%(+2.5pt) |
| BPS | 616.39円 | 600.83円(IRBANK様、8/5時点) |
| 現預金 | 23,890百万円 | 27,550百万円(+3,660百万円) |
| 借入金(社債含む) | - | 14,135百万円 |
| ネットキャッシュ | - | 約13,400百万円(補足資料1P) |
通期予想・株主還元関連
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 通期売上高計画 | 175,500百万円(+0.1%) | 進捗21.3%(補足資料3P) |
| 通期営業利益計画 | 7,780百万円(+7.9%) | 進捗21.7% |
| 通期純利益計画 | 5,180百万円(±0.0%) | 進捗22.0% |
| 通期EPS計画 | 64.22円 | 1Q短信1P |
| ROE(通期計画) | 10.3% | 26/3期実績10.9% |
| ROIC/WACC | 8.0%/4.5% | 補足資料3P |
| 年間配当予想 | 45円(中間17円・期末28円) | 修正なし(1Q短信1P) |
| 配当性向(予想) | 70.1% | 1Q短信1P |
| 配当利回り | 5.14% | みんかぶ様・かぶたん様 |
| PER(予) | 13.6倍 | かぶたん様 |
| PBR | 1.42〜1.45倍 | みんかぶ様・かぶたん様 |
| みんかぶ様目標株価 | 677円 | 株価診断「割高」・個人予想「売り」・アナリスト対象外 |
※当第1四半期は四半期連結キャッシュ・フロー計算書が作成されていません。営業CFの実額確認は第2四半期以降に持ち越しとなります。代替指標として、現預金は23,890百万円から27,550百万円へ3,660百万円増加しており、資金繰り悪化の兆候はありません。












③ 継続チェックメモ項目評価
判定記号は継続チェックメモの定義に従います。◎=期待以上/○=想定通り/△=境界線・確認不完全/×=悪い方向に逸脱/-=確認不能。
毎回チェックする基本項目
| チェック項目 | 27/3期1Q実績 | 判定基準(前回設定) | 評価 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 37,369百万円(▲12.5%) | 前年比プラスを維持しているか | △ |
| 営業利益 | 1,687百万円(+51.7%) | 営業利益率4%台を維持・改善 | ◎ |
| 営業利益率 | 4.5%(前年2.6%) | 4%台を維持、できれば改善傾向 | ◎ |
| 親会社株主帰属純利益 | 1,138百万円(+59.8%) | 増益基調が続いているか | ◎ |
| EPS | 14.10円(前年8.84円) | 通期64.22円並みを維持 | ○ |
| 営業CF | 四半期CF計算書は未作成 | 配当総額(約36億円)を上回るか | - |
| 年間配当予想 | 45円(配当性向70.1%)修正なし | 減配・方針変更の予告がないか | ○ |
売上高について、旧基準「前年比プラス維持」では×評価になりますが、減収の中身は前年同期の大型工事(倉庫)完工の反動によるもので、需要減退型の減収ではないと考えられます。実際、売上総利益は+10.4%と増加しており、減収増益の典型パターンといえます。通期計画も据え置かれています。
工事進行基準の建設業では四半期売上の前年比が工期の巡り合わせに大きく左右されるため、新基準として「通期進捗率20%以上、かつ通期計画の据置または上方修正」への変更が提案されています。この新基準では進捗21.3%・計画据置で△〜○相当となりますが、基準変更の初回にあたるため今回は両論併記のうえ△としています。
営業利益・利益率は前年同期2.6%から4.5%へ1.9pt改善し、通期計画4.4%をすでに上回っています。要因は完成工事利益率の改善(+2.5pt)による売上総利益額の増加と、貸倒引当金繰入額等の減少による販管費の減少(▲5.5%)の2つです。ただし販管費減の一部は引当金戻入という非経常的な要素を含むため、この改善幅がそのまま通期継続するとまでは考えにくい点には留意が必要です。
売上高は前年大型工事の反動による減収で、実態は減収増益の典型パターンと考えられます。営業利益・利益率・純利益はいずれも大幅に改善しており、基本項目のうち4項目が◎評価となりました。営業CFのみ1Q時点では確認不能で、2Qへの持ち越しとなります。
注意点①:配当性向70%の構造的リスク
| チェック項目 | 結果 | 評価 |
|---|---|---|
| EPSは前期(64.24円)を下回っていないか | 1Q進捗22.0%(前年13.7%)、通期計画64.22円据置 | ○ |
| 配当性向70%方針の継続が明言されているか | 27/3期予想 配当性向70.1%、修正の有無「無」 | ○ |
| 完成工事利益率(前期10.8%)は維持・改善傾向か | 11.5%(+0.7pt、前年同期比+2.5pt) | ◎ |
| 販管費の増加が売上の伸びを上回っていないか | 販管費▲5.5%(うち人件費は個別で▲8.7%) | ○ |
懸念の中核だった「利益連動配当ゆえの減配バッファの薄さ」については、1Q時点でむしろバッファが厚くなる方向に動いています。完成工事利益率は個別ベースで建築11.3%(+3.0pt)、土木11.5%(+1.1pt)と両部門で改善しており(補足資料2P)、通期計画の完成工事利益率11.2%を1Q時点ですでに上回っています。
一方で構造そのものは変わっていません。EPSが下がれば配当も自動的に下がる設計であり、この点は引き続き注意点として維持すべきと考えられます。ただし後述の自己株式取得・消却により、EPSの下支え要因が新たに加わりました。






配当性向70%のEPS連動構造という注意点そのものは維持していますが、完成工事利益率の改善によって減配バッファは前回よりむしろ厚くなっていると考えられます。自己株式の消却によるEPS押し上げ効果も、この項目にとってはプラス材料です。
注意点②:海外M&A拡大によるリスク
| チェック項目 | 結果 | 評価 |
|---|---|---|
| T3 Internationalの業績貢献は計画通りか | 2026/6/16取得完了・議決権80%。1Qは貸借対照表のみ連結で損益は未反映 | - |
| SINGAPORE PAINTSの業績は底打ち・回復傾向か | 個別開示なし | - |
| Evergreen Engineeringの業績は継続しているか | 個別開示なし | - |
| のれん(前期末679百万円)の増減・減損リスク | 766百万円へ増加(T3で119百万円発生、償却43百万円) | ○ |
| 関係会社整理損のような一時的損失の再発 | 特別損失は固定資産除却損0百万円のみ。該当なし | ○ |
T3 Internationalの取得原価は8,000千シンガポールドル、発生したのれんの金額は119百万円(暫定)、取得関連費用は82百万円(概算)です。総資産1,086億円の会社にとって、規模としては小さい案件であり、仮に減損が起きても財務インパクトは限定的と考えられます。
ただし取得原価の配分が当第1四半期連結会計期間末時点で完了していないため、のれん額・償却期間ともに暫定的な数値にとどまります。2Q以降でのれん金額が上振れしないか、償却期間が何年に決まるかは要確認と考えられます。また損益計算書には被取得企業の業績が含まれていないため、T3の収益性は今回まったく評価できていません。SINGAPORE PAINTS、Evergreen Engineeringについても1Q短信・補足資料では個別開示がなく、いずれも確認不能です。
この項目は確認不能が3件あり、注意点としての優先順位は下げられません。ただし懸念の性質は「悪化の確認」ではなく「情報不足」へと変わっていると考えられます。海外子会社の実態は有価証券報告書または通期決算での確認が必要です。
継続ウォッチ→注意点へ格上げ:受注急増に伴う施工キャパ・地域分散リスク
| チェック項目 | 結果 | 評価 |
|---|---|---|
| 繰越工事高(前期末2,406億円)は大きく減少していないか(目安2,000億円割れ) | 1Q末 2,702億68百万円(前年同期比+31.3%) | ◎ |
| 受注高の減少は計画通りの「選別受注」か、需要減少か | 1Q受注高は逆に増加(連結+18.0%、個別+16.4%) | ◎ |
| 国内民間建設投資の需要は継続しているか | 民間受注617億52百万円(+30.9%)、構成比96.2% | ◎ |
| 建設資材価格・労務費の動向 | 完成工事利益率が改善しており、価格転嫁は進捗 | ○ |
前回メモでは「27/3期は受注高の減少計画(選別受注)」を前提にウォッチしていましたが、1Qの実績は計画とまったく逆方向に振れました。通期受注計画(個別)156,000百万円に対し、1Qだけで64,223百万円と進捗41.2%、連結でも通期計画165,400百万円に対し66,241百万円と進捗40.0%に達しています。会社側は国内建築における事務所(データセンター)や教育研究施設等の大型工事の受注により、前年同期比+10,119百万円(+18.0%)と好調に推移していると説明しています。
ここで継続チェックメモの「両方向型指標」の特則を適用します。受注高は下振れ(需要減退)も上振れ(施工キャパ超過)も懸念となる典型的な両方向型指標であり、「量」だけを見て◎を付けるのは禁じ手です。セットで見る「質」の指標として、完成工事総利益率は11.5%(前年同期9.0%、+2.5pt)、工事損失引当金は117百万円(前期末131百万円から減少)と、いずれも改善しています。量が大幅超過し、かつ質の指標が改善しているため、特則の表に従い判定は◎となります。
ただし◎で終わらせず、上振れ側のリスクは注意点として新設すべきと考えられます。理由は次の3点です。
- 関東への極端な集中:1Q受注の地域別構成は関東・甲信越が49,566百万円で77.2%(前年同期25.0%)。近畿は11,488百万円で17.9%(前年64.2%)へ大きく低下。繰越工事高でも関東109,786百万円(前年同期58,878百万円)と倍増し、全体の40.6%を占める
- 大型案件への集中:1Q受注のうち50億円以上の案件が4件で38,660百万円=全体の78.0%。繰越工事でも50億円以上が21件140,477百万円=52.0%
- 官庁受注の急減:官庁受注は2,470百万円で前年同期比▲69.0%、構成比は14.4%から3.8%へ低下。民間比率96.2%


















以上より、この項目は「継続ウォッチ」から「注意点」へ格上げし、内容も「受注減少リスク」から「受注急増に伴う施工キャパ・地域分散リスク」へ方向を反転させるのが適切と考えられます。次回メモに反映します。
受注の量(+16.4%、計画比進捗41.2%)と質(完成工事利益率+2.5pt、工事損失引当金の減少)が同時に改善しており、両方向型指標の特則に照らせば◎評価です。一方で関東への地域集中(77.2%)、大型案件への集中(受注の78.0%)、官庁受注の急減(構成比3.8%)という3つの上振れリスクが新たに生じており、「継続ウォッチ」から「注意点」への格上げが妥当と考えられます。
引き続き良好なら安心できる項目
| 項目 | 維持ラインの目安 | 当1Q | 評価 | 前回比 |
|---|---|---|---|---|
| 自己資本比率 | 40%以上 | 44.6% | ◎ | 42.1%→+2.5pt |
| ROE | 10%台を維持 | 通期計画10.3% | ○ | 10.9%→微減 |
| 営業CFカバレッジ | 2倍以上 | 1Q未開示 | - | - |
| 配当方針(配当性向70%以上) | 方針の変更・撤回がないか | 27/3期予想70.1%、修正なし | ○ | 維持 |
| 完成工事利益率 | 10%台を維持 | 11.5% | ◎ | 10.8%→+0.7pt |
自己資本比率44.6%は前連結会計年度末に比べて8.1%減少した総資産(1,086億41百万円)の圧縮(債権回収と工事未払金支払い)によるもので、資本の積み増しではなく分母の縮小が主因です。とはいえ財務健全性が改善していることに変わりはないと考えられます。ROEは通期計画10.3%と前期10.9%からの微減計画ですが、これは純利益横ばい計画に対して自己資本が積み上がるためで、自己株式取得(上限10億円)が実行されればROEの下支えになると考えられます。
新規項目:自己株式の取得および消却(8月6日決議)
前回メモには存在しない項目です。決算発表と同日に開示されました。
| 内容 | 詳細 |
|---|---|
| 取得株数上限 | 1,200,000株(発行済株式総数(自己株式除く)の1.49%) |
| 取得価額上限 | 10億円 |
| 取得期間 | 2026年8月7日〜8月31日(約3週間の短期集中) |
| 取得方法 | 東京証券取引所における市場買付 |
| 消却株数 | 900,000株(消却前発行済株式総数の1.11%) |
| 消却予定日 | 2026年9月11日 |
| 目的 | 資本コストや株価を意識した経営を一層推進し、市場評価の向上を図るため |
評価は◎(新規・ポジティブ)としています。注目すべき点が3つあります。1つ目は総還元性向が約89%に達することです。配当総額見込み約36.2億円(45円×80,520,639株)に自己株取得上限10億円を加えると約46.2億円となり、通期純利益計画5,180百万円に対して総還元性向は約89%となります。
2つ目は取得期間がわずか3週間である点です。1日あたりの平均出来高が445,500株(8/6、かぶたん様)であるため、10億円÷875円≒114万株を約17営業日で買うと1日平均約6.7万株となり、出来高の15%程度にあたります。期間中は需給の下支え要因になる可能性がありますが、逆に言えば9月以降はこの下支えが外れます。3つ目は取得だけでなく消却まで踏み込んでいる点です。金庫株のまま保有すれば将来の再放出懸念が残りますが、消却は不可逆で希薄化懸念を消すため、株主還元の本気度としては一段上の姿勢と考えられます。なお2026年7月31日時点の自己株式は265,651株で、期首(3月末)の59,474株から既に増えており、7月中にも一定の買付が行われていた可能性があります。






信用需給ウォッチ
| 日付 | 売り残(千株) | 買い残(千株) | 信用倍率 |
|---|---|---|---|
| 07/03 | 94.8 | 1,184.9 | 12.50倍 |
| 07/10 | 107.5 | 1,212.5 | 11.28倍 |
| 07/17 | 103.2 | 1,226.9 | 11.89倍 |
| 07/24 | 113.7 | 1,060.6 | 9.33倍 |
| 07/31 | 130.0 | 1,092.7 | 8.41倍 |
出典:かぶたん様(2026年8月6日時点)。信用倍率8.41倍は絶対水準としては依然高く、上値では利益確定売りが出やすい状態と考えられます。ただし7月初の12.50倍から一貫して低下しており、売り残が94.8千株から130.0千株へ増えていることから、買い残の整理と売り建ての増加が同時に進んでいる状況です。買い残は発行済株式数の1.35%で、2%の要注意ラインは下回っています。自己株式取得が8月7日から始まるため、買い残の重さと自社の買い需要がぶつかる形になります。需給面では期間中の下支え効果が期待できる一方、8月末で買い需要が止まる点は意識しておく必要があると考えられます。
即座に見直しが必要なシグナル(該当チェック)
| シグナル | 判定 |
|---|---|
| 年間配当の減配予告・方針変更 | 該当なし(予想45円据置、修正の有無「無」) |
| 営業CFが配当総額を下回る水準へ悪化 | 判定不能(1Q未開示、現預金は+36.6億円増) |
| 繰越工事高が前年同期比で減少に転じる | 該当なし(+31.3%増) |
| 自己資本比率が40%を下回る | 該当なし(44.6%) |
| 海外子会社で大型減損(10億円超) | 該当なし(特別損失の計上なし) |
| 死亡災害等の労災事案の再発 | 判定不能(添付資料に開示なし) |
危険シグナルの点灯は確認されませんでした。減配予告なし、繰越工事高は増加、自己資本比率44.6%、大型減損なしといずれも良好な状態です。営業CFと労災事案の2点のみ確認不能で、次回への持ち越し項目となります。
④ 配当継続性スコア(5項目評価)
| 評価項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| 配当の中身 | ○ | 27/3期予想45円は全額普通配当。記念・特別配当なし。25/3期41円→26/3期45円→27/3期45円と、増配後の水準を維持。中間17円・期末28円の内訳も明示済み |
| 本業の稼ぐ力 | ◎ | 営業利益+51.7%、営業利益率4.5%(通期計画4.4%を上回る)。完成工事利益率11.5%(+2.5pt)。減収は前年大型工事完工の反動で、質は改善 |
| 財務の健全性 | ◎ | 自己資本比率44.6%(+2.5pt)。現預金275億円に対し借入金141億円でネットキャッシュ約134億円。工事損失引当金117百万円と小規模 |
| 配当の原資 | ○ | 26/3期営業CF184億14百万円は配当総額36億32百万円の約5.1倍。1Q営業CFは未開示だが現預金+36.6億円増。ただし配当性向70.1%は高水準でバッファは薄い |
| 経営方針の透明性 | ◎ | 業績予想・配当予想ともに据置を明記。ROIC8.0%/WACC4.5%/株主資本コスト5.1%を開示。自己株取得・消却の理由と規模を同日開示 |
A-→A(引き上げ)
5項目すべてが○以上で、△はありません。前回A-からの引き上げ理由は次の4点です。①受注の質と量が同時に改善したこと(受注+16.4%かつ完成工事利益率+2.5pt、両方向型指標の特則に照らして◎に該当)。②財務が一段強化されたこと(自己資本比率42.1%→44.6%、ネットキャッシュ約134億円)。③株主還元の一段の踏み込み(配当性向70%に加え自己株取得10億円+消却90万株、総還元性向約89%)。④繰越工事高2,702億円(+31.3%)で向こう2〜3年の売上・利益の可視性が高まったことです。
Sとしなかった理由は3つの留保があります。1点目は配当性向70%のEPS連動構造が不変で、利益が落ちれば配当も落ちるバッファの薄さが解消していないこと。2点目は1Q営業CFが確認不能で、配当の原資を実測確認できていないこと(○の判定は26/3期実績と現預金増加による推定を含みます)。3点目は受注の集中リスクが新たに発生していること(関東77.2%、50億円以上案件78.0%、民間96.2%)です。「配当の原資」は配当性向70.1%という高水準を承知のうえでの○判定で、2Qで営業CFが中間配当総額(17円=約13.7億円)を明確に上回るかの確認が必須です。ここが崩れた場合はA-以下への差し戻しを検討します。
クリックして評価ランクの説明を見る
S:非常に優れている/A:優れている/A-:Aの要件を満たすがBに近い注意点がある/B+:Bの要件を満たしAに近い水準にある/B:良好/B-:Bの要件を満たすがCに近い注意点がある/C+:Cの要件を満たしBに近い水準にある/C:やや懸念がある/C-:Cの要件を満たすがDに近い注意点がある/D:懸念が大きい/E:重大な懸念がある
※評価体系をS/A/A-/B+/B/B-/C+/C/C-/D/Eの11段階に変更しました。旧5段階(S/A/B/C/D)のA・B・C・Dの間にそれぞれ「+(プラス)-(マイナス)」ランクを新設しています。これは、同一ランク内でも「条件が揃えば上のランクに相当する」銘柄と「下のランクに近い懸念がある」銘柄を区別するためです。たとえばB-は「Bの要件は満たすが、Cに近い注意点を抱えている」状態を示します。
⑤ 適正株価試算(普通配当逆算法)
前提:現在株価875円(’26/8/6 15:30時点)、予想配当45円、現在利回り5.14%、想定利回りの基準は現在の実績利回り5.14%(みんかぶ様・かぶたん様)およびIRBANK様の5.2%を出発点とし、シナリオごとの市場評価の変化を反映させています。
シナリオ別試算
| シナリオ | 想定配当額 | 想定利回り | 適正株価 | 現株価比 | 前提条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 強気 | 50円 | 4.8% | 約1,042円 | +19.1% | 1Q進捗22.0%の勢いが持続し通期純利益が57億円程度(EPS約71円)へ上振れ。配当性向70%適用で50円。消却で株数1.11%減。受注好調が評価され利回りが4%台後半へ低下 |
| 中立 | 45円 | 5.0% | 約900円 | +2.9% | 会社予想配当をそのまま採用。通期計画達成。自己株取得で需給がやや締まり、利回りは現状よりわずかに低下 |
| 保守的 | 45円 | 5.5% | 約818円 | ▲6.5% | 増配なし・現状維持。自己株取得終了(8月末)後に需給の下支えが外れ、利回りが5%台半ばへ戻る |
| 弱気 | 32円 | 6.0% | 約533円 | ▲39.1% | 業績悪化。配当性向70%の下限方針は維持したまま減配 |
弱気シナリオ:「方針を曲げざるを得ない前提条件」
以下が複合的に発生した場合、45円の維持が難しくなる可能性があると考えられます。
- 関東の大型案件(データセンター・倉庫等)で工期遅延または採算悪化が生じ、工事損失引当金の積み増しが発生
- 資材価格・労務費の再上昇により完成工事利益率が11.5%→9%台へ低下
- 官庁受注の細り(1Q時点で構成比3.8%)が続き、民間設備投資の調整局面でクッションが効かない
- 結果として通期純利益が36億円程度(EPS約45円)へ減少し、配当性向70%を維持したまま配当は45円→32円へ低下
さらに方針そのものを曲げざるを得ない条件(参考・テールリスク)として、上記に加えて①営業CFが配当総額を下回る、②自己資本比率が40%を割り込む、③繰越工事高が2,000億円を割り込む、のいずれかが重なった場合、配当性向を50%程度へ引き下げる可能性があります。その場合はEPS45円×50%=23円、想定利回り6.5%で適正株価354円となり、これは現株価の約4割水準にあたります。
BPS×適正PBR倍率(2点セット確認)
BPS:600.83円(27/3期1Q末、IRBANK様8/5時点/自己資本48,504百万円÷80,726,816株で検算しても約600.8円)
| PBR倍率 | 適正株価(計算式) | 位置づけ |
|---|---|---|
| 1.0倍 | 600.83×1.0 = 601円 | 解散価値水準 |
| 1.2倍 | 600.83×1.2 = 721円 | 過去の中位圏 |
| 1.4倍 | 600.83×1.4 = 841円 | - |
| 1.45倍(現状) | 600.83×1.45 = 871円 | 現株価875円とほぼ一致 |
| 1.5倍 | 600.83×1.5 = 901円 | - |
| 1.6倍 | 600.83×1.6 = 961円 | 上位圏 |
配当逆算法の中立シナリオ900円と、PBR1.5倍の901円がほぼ一致します。現在の株価875円は、この900円前後という中立レンジのすぐ手前に位置していると考えられます。ただしIRBANK様によれば2010年以降のPBRレンジは0.18〜2倍で、現在の1.44倍はレンジの上位に位置しており、PBRの観点では割安感は乏しい水準です。















全シナリオが崩れる条件
- 配当性向70%以上という方針自体の撤回・修正(利益連動から定額配当への転換等)
- 大型案件での重大な工事事故・施工トラブル(50億円超案件が繰越工事の52.0%を占める)
- 金利上昇による不動産・物流施設投資の急停止(不動産業向けは繰越工事の44.5%)
- 海外子会社の想定外の大型減損(T3の取得原価配分が未完了、のれん金額は暫定)
- 中期3ヵ年計画(2024〜2026年度)終了後の次期中計で還元方針が後退(27/3期が最終年度、次期中計は2027年春頃判明見込み)
まとめ
























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情報基準日:2026年8月6日
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
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