【ホテルリート月次ウォッチ】2026年4月は失速か、それとも調整か――5銘柄のIRから見える実態

ホテルリートの月次開示を追っていると、単月の数字だけでは見えにくい変化が少しずつ浮かび上がってきます。

2026年4月の月次IRでは、中国からの訪日需要の弱含み、大阪・関西万博関連需要の反動、イースター休暇の期ずれ、中東情勢の影響など、いくつかの外部要因が各投資法人のコメントに登場しました。

一方で、数字を横断して見ると、ホテルリート全体が一斉に崩れているというより、銘柄ごと、地域ごと、オペレーターごとに濃淡が出ている印象です。

そこで今回は、2026年4月の月次開示が出ている主なホテル関連J-REIT5銘柄を横断し、ホテルリートの足元の調子を確認していきます。

なお、星野リゾート・リート投資法人と霞ヶ関ホテルリート投資法人については、4月分の月次開示タイミングが他銘柄より遅いため、今回は主に先行して開示された5銘柄を対象とします。星野リゾート・リートについては、参考として2026年3月分の内容にも一部触れます。

目次

2026年4月のホテルリートを見るうえでの前提

まず、2026年4月のホテルリート月次を見るうえでは、単純に「前年同月比でプラスかマイナスか」だけでは判断しにくい月だったと考えられます。

主な理由は3つあります。

1つ目は、中国からの訪日需要の弱含みです。

インヴィンシブル投資法人、ジャパン・ホテル・リート投資法人、投資法人みらいなど、複数の投資法人が中国からの訪日客減少、または渡航自粛の影響に言及しています。インヴィンシブルは、日中関係の悪化に起因する中国からの訪日客減少を4月実績の要因として挙げています。

2つ目は、イースター休暇の期ずれです。

インヴィンシブルは、イースター休暇の期ずれにより、欧米を中心とした一部のインバウンド需要が3月へ前倒しされた影響を受けたと説明しています。スターアジア不動産投資法人も、イースター休暇の期ずれにより訪日需要が3月下旬と4月上旬に分散したと述べています。

3つ目は、大阪・関西万博関連需要の反動です。

インヴィンシブルは大阪万博に伴う需要の剥落を挙げています。いちごホテルリート投資法人でも、大阪・関西万博の閉幕に伴う反動減が影響したと説明されています

つまり、2026年4月は、ホテル需要そのものの基調を見るにはややノイズの多い月だったといえます。

ただし、ノイズが多い月だからこそ、各投資法人の地力や運営力の差も見えやすくなります。ホテルは不動産でありながら、運営ビジネスの色が濃い資産です。同じホテルリートでも、どの地域に強いのか、どの客層を取り込めているのか、どのオペレーターが運営しているのかによって、月次の数字には差が出ます。

インヴィンシブル投資法人:国内はやや弱含み、海外と5月見通しが支え

インヴィンシブル投資法人の国内ホテル101物件ベースでは、2026年4月の客室稼働率は85.8%、前年同月比で+0.8ポイントとなりました。一方、ADRは14,666円で前年同月比△2.5%、RevPARは12,579円で△1.6%でした。売上高は9,276百万円で、前年同月比△0.1%です。

ここから見えるのは、稼働率は維持できているものの、単価面でやや押されたという構図です。

ホテル運営では、稼働率とADRのどちらが伸びているかを見ることが重要です。稼働率が上がってもADRが下がれば、RevPARは伸びにくくなります。インヴィンシブルの4月はまさにその形で、需要そのものが大きく崩れたというより、単価面で前年を下回った月と見るのが自然です。

一方、海外ホテルであるケイマン2物件は好調でした。2026年4月の客室稼働率は71.6%、ADRは718米ドル、RevPARは514米ドルで、RevPARは前年同月比+17.9%となっています。前年同月に改装影響があったことも背景にありますが、国内ホテルの弱さを一定程度補う材料といえます。

また、インヴィンシブルは2026年5月の国内ホテルRevPARについて、開示日時点で前年同月比+4.0%程度を見込むとしています。

したがって、インヴィンシブルについては、4月単月では国内ホテルがやや弱含んだものの、5月見通しまで含めると、極端に悲観する内容ではないと考えられます。

大型ポートフォリオであるがゆえに、地域・客層・イベント反動の影響が平均値に出やすい点には注意が必要です。

ジャパン・ホテル・リート:ADR主導で堅調、ただし料飲は横ばい

ジャパン・ホテル・リート投資法人は、今回の5銘柄の中では比較的強い内容でした。

変動賃料等導入29ホテルでは、2026年4月の客室稼働率が85.8%、ADRが21,133円、RevPARが18,131円でした。RevPARは前年同月比+4.1%、ADRは+4.6%、売上高は6,906百万円で+2.9%です。

稼働率は前年同月比でやや低下していますが、ADRの上昇によってRevPARはプラスを確保しています。

これはホテルリートを見るうえで重要なポイントです。単に客室を埋めるだけでなく、適切な単価を取れているかどうかは、ホテル収益の質を見るうえで大きな意味を持ちます。

JHRの資料では、中国から日本への渡航自粛の影響があったものの、宿泊部門のRevPARは前年同月比+4.1%となったと説明されています。また、中東情勢の緊迫化による影響は現時点では軽微であり、5月度以降のRevPARも引き続き前年同月比で堅調な成長を見込むとされています。

一方で、料飲部門は前年同月並みにとどまりました。もちろん、業績予想通りの水準とされていますが、宿泊部門ほどの伸びは見られません。
ホテルリートを見るとき、つい客室稼働率やADR、RevPARだけに目が行きがちです。しかし、フルサービス型ホテルやリゾート型ホテルでは、料飲・宴会・その他売上も無視できません。宿泊部門が強くても、料飲部門が伸び悩めば、ホテル全体の収益拡大には一定の制約が出る可能性があります。

とはいえ、今回のJHRは、宿泊部門の数字を見る限り、引き続き好調組と評価しやすい内容です。

いちごホテルリート:弱含み。ただし特殊要因の仕分けが必要

いちごホテルリート投資法人は、今回の5銘柄の中では最も慎重に見るべき内容でした。

リニューアル工事に伴う全館閉館ホテルを除く24ホテル合計では、2026年4月の売上高が992.7百万円、前年同月比△7.8%。RevPARは8,596円で△8.3%、客室稼働率は82.8%で△5.2%、ADRは10,379円で△3.2%でした。

変動賃料導入19ホテル合計でも、売上高は前年同月比△9.3%、RevPARは△9.9%、稼働率は△6.0%、ADRは△4.1%と、主要指標がそろって前年を下回っています。

数字だけを見ると、かなり弱い印象を受けます。

ただし、ここで単純に「いちごホテルは不調」とだけ整理するのは危険です。資料上は、リニューアル工事に伴う全館閉館ホテルの影響があり、閉館ホテルを含む26ホテル合計では数字がさらに悪く見えます。また、大阪・関西万博の反動、中国からの渡航自粛、岡山・倉敷での一時的な宿泊予約制限など、複数の特殊要因が重なっています。

月次IRを見るときに重要なのは、表面上の前年比だけで判断しないことです。

例えば、工事による休館がある場合、稼働率や売上高は当然下がります。地域特有の一時要因があれば、そのエリアのホテルだけが大きく弱く見えることもあります。大阪関連の反動が出ている場合、前年のハードルが高すぎた可能性もあります。

一方で、いちごホテルの中にも堅調な物件はあります。固定賃料の5ホテル合計では、売上高が前年同月比+1.7%、RevPARが+1.8%、ADRが+3.4%とプラスを確保しています。

したがって、いちごホテルについては「弱含み」としつつも、工事・地域要因・特殊要因を分けて見る必要があります。構造的な悪化と決めつけるには、もう少し月次の推移を確認したいところです。

スターアジア不動産投資法人:オペレーター力と需要分散が支え

スターアジア不動産投資法人は、数字の派手さよりも、運営面の底堅さが見える内容でした。

前年比較が可能な15ホテル平均では、2026年4月の客室稼働率が90.9%、ADRが16,318円、RevPARが14,826円でした。RevPARは前年同月比+0.8%、累計では前年同期比+4.2%となっています。

単月のRevPAR成長率は大きくありませんが、稼働率90%超という水準は一定の強さを示しています。

スターアジアの資料では、北海道・仙台・名古屋・福岡エリアを中心に、イベント、国内観光、ビジネス、インバウンドといった多角的な需要を取り込んだと説明されています。また、ホテルオペレーターであるポラリスの販売力により、新入社員研修、イベント、工事の現場作業従事者などの団体予約を効率よく取り込んだとされています。

これはホテルリートを見るうえで非常に重要な視点です。

ホテルの収益は、インバウンドだけで決まるわけではありません。国内観光、ビジネス需要、イベント需要、団体需要、工事関係者の宿泊需要など、複数の需要をどれだけ柔軟に拾えるかが収益の安定性につながります。

一方で、スターアジアの中でも弱い物件はあります。例えば、KOKO HOTEL大阪なんば恵美須町はRevPARが前年同月比△43.3%、KOKO HOTEL大阪心斎橋も△18.0%となっています。

つまり、スターアジア全体としては底堅いものの、中身を見るとかなり濃淡があります。

ホテルリートは、ポートフォリオ全体の平均値だけでなく、どの地域・どの物件が全体を支えているのかを見る必要があります。スターアジアは、その意味で「オペレーター力」と「物件別のばらつき」の両方を確認できる銘柄といえそうです。

投資法人みらい:那覇・博多が牽引。ただし対象物件は限定的

投資法人みらいは、変動賃料比率が高いスマイルホテル5物件について月次開示を行っています。

2026年4月の5物件合計では、客室稼働率が93%、ADRが10,090円、RevPARが9,371円、売上高が215百万円でした。前年同月比では、ADRが103%、RevPARが102%、売上高が102%となっています。2026年4月期累計でも、RevPAR、ADR、売上高はいずれも前年同期を上回っています。

個別に見ると、スマイルホテル那覇シティリゾートとスマイルホテル博多駅前が全体を支えています。

スマイルホテル那覇シティリゾートは、2026年4月のRevPARが前年同月比126%、売上高が119%。スマイルホテル博多駅前は、稼働率100%、ADR119%、RevPAR121%、売上高120%でした。

資料でも、安定したインバウンド需要および国内需要により、主に那覇シティリゾートと博多駅前が堅調に推移したと説明されています。また、中国から日本への渡航自粛の影響が継続した逆風下でも、5物件合計の累計・平均実績はすべての指標で前年同期を上回ったとされています。

一方で、大阪天王寺は弱く、RevPARは前年同月比65%、売上高は66%にとどまりました。京都烏丸五条もRevPAR95%、売上高96%とやや弱含みです。

みらいについて注意したいのは、開示対象が5物件に限定されている点です。

資料上も、表に記載されている物件以外にも変動賃料を導入している物件はあるものの、変動賃料比率が20%未満であるため開示対象外とされています。

したがって、みらいの月次は「ホテルポートフォリオ全体」ではなく、「変動賃料感応度の高い一部物件の状況」として読むのが適切です。

参考:星野リゾート・リートの3月月次から見えること

今回の4月横断分析には含めませんが、参考として星野リゾート・リート投資法人の2026年3月月次にも触れておきます。

星野リゾート・リートの2026年3月実績では、ポートフォリオ全体の客室稼働率は78.7%で前年同月比+0.2ポイント、ADRは21,289円で+2.3%、RevPARは16,754円で+2.5%、売上高は5,686百万円で+0.7%となりました。

特徴的なのは、星野リゾート運営物件と星野リゾート以外運営物件で数字の出方が異なる点です。

星野リゾート運営物件では、客室稼働率が前年同月比△3.9ポイントとなる一方、ADRは+4.8%でした。RevPARは△0.2%、売上高は△2.3%です。一方、星野リゾート以外運営物件では、稼働率+1.5ポイント、ADR+4.8%、RevPAR+6.7%、売上高+4.4%と、より素直に強い数字が出ています。

星野リゾート・リートの資料では、中国政府による渡航自粛要請の影響は一部エリアで継続して見られるものの、他国からのインバウンド需要拡大によりおおむね補完されていると説明されています。また、中東情勢の悪化に伴う宿泊需要への直接的な影響は現時点で限定的としつつ、今後のエネルギー価格や物価動向が運営コストに与える影響は不透明としています。

このコメントは、ホテルリート全体を見るうえでも参考になります。

中東情勢については、宿泊需要への直接的な影響だけでなく、燃料費、食材費、物流費、人件費など、運営コスト面への波及を見ておく必要があります。ホテルリートの収益を見るときには、売上だけでなく、コスト上昇が収益性にどう影響するかも重要です。

2026年4月のホテルリートは「全面好調」でも「全面失速」でもない

ここまで5銘柄を横断して見ると、2026年4月のホテルリートは、ひと言で「好調」「不調」と片づけにくい月だったといえます。

JHRはADR主導でRevPARを伸ばし、引き続き好調感があります。

スターアジアは、地方・イベント・ビジネス・団体需要を取り込み、全体として底堅さを示しました。

みらいは、那覇と博多が牽引し、開示対象5物件合計では前年を上回りました。

一方、インヴィンシブルは国内ホテルでADRが低下し、RevPARも前年同月比でマイナスとなりました。ただし、稼働率は上がっており、5月見通しはプラスを想定しています。

いちごホテルは、主要指標がそろって前年を下回りました。ただし、工事・休館・地域要因・大阪関連需要の反動などを考慮する必要があります。

つまり、2026年4月のホテルリートは、全面的に強いわけではありません。しかし、需要が一気に崩れたと見るのもやや早計です。

むしろ、今後は「ホテルなら何でも強い」という局面から、銘柄差、地域差、オペレーター差を見極める局面に移ってきている可能性があります。

投資家が月次IRで見るべきポイント

ホテルリートの月次IRを見るとき、当ラボでは次の点を重視したいと考えています。

RevPARだけでなく、ADRと稼働率の内訳を見る

RevPARは便利な指標ですが、それだけを見ると中身が分かりません。

RevPARが上がっていても、ADRが上がっているのか、稼働率が上がっているのかで意味は変わります。

ADR主導の改善であれば、単価を取れている可能性があります。稼働率主導の改善であれば、需要の厚さは確認できますが、単価上昇余地には注意が必要です。

開示対象の変更や休館影響を確認する

月次資料では、開示対象ホテルが変わることがあります。大規模改装やリニューアル工事によって、一部ホテルが集計対象から外れたり、逆に含まれたりすることもあります。

前年比較をする際には、対象ホテルが同じかどうかを必ず確認したいところです。

外部環境コメントを複数社で照合する

中国からの訪日需要、中東情勢、イースター休暇、イベント反動などは、単独の投資法人のコメントだけで判断するより、複数社の月次IRを横断して見る方が実態に近づきやすいと考えられます。

例えば、中国要因についても、影響を受けている銘柄と、他国インバウンドや国内需要で補っている銘柄があります。

また、中東情勢についても、現時点では宿泊需要への直接的な影響は限定的とされる一方、今後のコスト面への影響は注意が必要です。

今月のまとめ

2026年4月のホテルリート月次を横断すると、ホテル需要はなお底堅さを残している一方で、銘柄ごとの濃淡がかなり見える月だったといえます。

中国からの訪日需要の弱含みは、一部のホテルリートにとって逆風となっています。ただし、JHR、スターアジア、みらいのように、ADR上昇や国内需要、ビジネス需要、団体需要、地域分散によって吸収している銘柄もあります。

中東情勢については、現時点で宿泊需要への直接的な影響は限定的とするコメントが見られます。ただし、今後はエネルギー価格や物価動向を通じて、ホテル運営コストに影響する可能性があります。

大阪・関西万博関連需要の反動は、一部の大阪関連物件に影響している可能性があります。前年のハードルが高かった銘柄や物件では、単月の前年比が弱く見えやすい点にも注意が必要です。

今回の月次から見えるのは、ホテルリートが「全面好調」でも「全面失速」でもないという現実です。

今後は、単にホテルリート全体をひと括りに見るのではなく、どの銘柄が、どの地域で、どの客層を、どのオペレーターによって取り込んでいるのかを確認することが重要になりそうです。

ホテルリートの月次IRは、決算資料ほど大きく注目されるわけではありません。

しかし、足元の需要変化を知るうえでは、かなり有用な資料です。特にホテルリートは変動賃料の影響を受けやすい銘柄も多く、月次の変化が将来の分配金や業績予想を見るヒントになることもあります。

当ラボでは、今後もホテルリートの月次開示を横断的に確認し、単月の数字に一喜一憂するのではなく、継続的なトレンドとして読み解いていきたいと考えています。

免責事項

【AIによる作成について】
本記事は、AIによる分析をベースに作成しています。AIは決算説明資料および有価証券報告書を参照して分析を行っていますが、読み取りの誤り・解釈の相違・情報の欠落が生じる可能性があります。本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、その正確性・完全性を保証するものではありません。

【投資に関する免責事項】
本記事は特定の銘柄への投資を推奨・勧誘するものではありません。投資にはリスクが伴い、投資元本が保証されるものではありません。J-REITへの投資においては、分配金の減少・投資口価格の下落・上場廃止などのリスクがあります。投資に関する最終的な判断はご自身の責任において行ってください。投資判断に際しては、必要に応じて証券会社・ファイナンシャルプランナーなど専門家へのご相談をお勧めします。

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