今回は、二輪・四輪の大手「本田技研工業(ホンダ、7267)」の2027年3月期 第1四半期決算について、継続チェックの観点から確認していきます。今回は①1Q決算、②業績予想の上方修正、③2026ビジネスアップデート(中期経営方針)、④2026年7月31日の日米協調介入による為替環境の変化——この4点を合わせて評価します。
所長ダル








① 会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 本田技研工業株式会社(HONDA MOTOR CO., LTD.) |
| 証券コード | 7267(東証プライム市場) |
| 代表者 | 取締役 代表執行役社長 三部 敏宏 |
| 主な事業 | 二輪事業/四輪事業/金融サービス事業/パワープロダクツ事業及びその他 |
| 会計基準 | IFRS |
| 決算期 | 3月期(第1四半期=4〜6月) |
| 現在株価 | 1,623.5円(’26/8/6 前場終了時点、みんかぶ様・かぶたん様) |
| 時価総額 | 7兆3,593億円(かぶたん様、’26/8/6 11:30時点) |
| 発行済株式数 | 4,533,000千株(自己株式639,983千株を含む) |
| 期中平均株式数 | 3,892,689千株(前年同期4,202,222千株、▲7.4%) |
出典:決算短信、決算説明資料、2026ビジネスアップデート資料、みんかぶ様、かぶたん様、IRBANK様
期中平均株式数が前年同期比▲7.4%となっているのは、前期までの自己株式取得によるものです。この効果はEPSを押し上げる方向に働きますが、後述のとおり当第1四半期の自己株式取得はゼロとなっています。
② 主要財務指標
当第1四半期実績(’26年4月1日〜6月30日)
| 指標 | 2026/3期1Q | 2027/3期1Q | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 53,402億円 | 60,615億円 | +13.5% |
| 営業利益 | 2,441億円 | 5,307億円 | +117.4% |
| 営業利益率 | 4.6% | 8.8% | +4.2pt |
| EV関連損失 | △1,220億円 | なし | - |
| 調整後営業利益 | 3,661億円 | 5,307億円 | +44.9% |
| 税引前利益 | 2,923億円 | 6,050億円 | +107.0% |
| 親会社帰属四半期利益 | 1,966億円 | 4,509億円 | +129.3% |
| EPS | 46.80円 | 115.84円 | +69.04円 |
| 期中平均為替(米ドル) | 145円 | 159円 | 14円円安 |
通期見通し(2026年8月5日 上方修正)
| 指標 | 26/3期実績 | 前回見通し | 今回見通し |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 217,966億円 | 231,500億円 | 241,500億円 |
| 営業利益 | △4,143億円 | 5,000億円 | 6,500億円 |
| 親会社帰属当期利益 | △4,239億円 | 2,600億円 | 4,000億円 |
| EPS | △106.06円 | 66.79円 | 102.75円 |
| EV関連損失 | △14,536億円 | △5,000億円 | △5,200億円 |
| 調整後営業利益 | 10,393億円 | 10,000億円 | 11,700億円 |
| 為替前提 | 151円 | 145円 | 155円 |
| 年間配当 | 70円 | 70円 | 70円(変更なし) |
修正理由は為替前提の見直しのみです。決算説明資料の増減要因分析では、販売影響・売価/コスト影響・諸経費・研究開発費のすべてが「-」表示となっており、為替影響+1,700億円だけが動いています。この点は本レポートの主要論点に直結します。
株式指標
| 指標 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| PER(予) | 15.8倍 | かぶたん様 |
| 調整後PER(参考試算) | 約8.3倍 | EV関連損失を税後で戻した当方試算 |
| PBR | 0.51倍 | BPS逆算値。みんかぶ様表示は0.62倍 |
| BPS | 3,175.29円 | IRBANK様 |
| ROE(予) | 3.24% | IRBANK様 |
| ROA(予) | 1.16% | IRBANK様 |
| 株主資本比率 | 35.89% | IRBANK様(短信の親会社所有者帰属持分比率35.9%) |
| 配当利回り | 4.31% | かぶたん様・みんかぶ様 |
| 配当性向 | 68.1%(70円÷102.75円) | 当方試算 |
| 信用倍率 | 4.61倍(7/31時点) | かぶたん様 |
| みんかぶ様目標株価 | 1,588円 | みんかぶ様 |












③ 継続チェックメモ項目評価
毎回チェックする基本項目
| チェック項目 | 判定基準 | 今回実績 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 通期進捗25%前後か | 60,615億円/241,500億円=25.1% | ○ |
| 営業利益(実額) | - | 進捗81.6%(※判定保留) | - |
| 調整後営業利益 | 通期進捗25%前後か | 45.4% | ◎ |
| 調整後営業利益率 | 6%台を維持しているか | 8.8%(前年同期6.9%) | ◎ |
| 【質】為替・関税を除く実質増減 | プラスを確保しているか | △44億円 | × |
| EPS | - | 進捗112.7%(※判定保留) | - |
| R&D調整後営業CF | 年間配当総額(約2,725億円)超か | 7,371億円(1Qのみ) | ◎ |
| 年間配当予想 | 70円維持・方針変更の予告なしか | 70円維持、修正なし | ○ |
※営業利益・EPSの進捗率が突出して見えるのは、通期見通しに織り込まれたEV関連損失△5,200億円が1Qで一切計上されていないためです。単純な進捗率での評価は誤読を招くため判定を保留しています。また今回から、量の指標だけを単独で見て評価しない「両方向型」の考え方に基づき、「為替・関税を除く実質増減」を基本項目に追加しました。
調整後営業利益・調整後営業利益率・R&D調整後営業CFはいずれも◎水準で、量の面では申し分ない決算です。ただし為替・関税を除いた実質増減は△44億円にとどまり、事業活動そのものの寄与という「質」の面では慎重な見方が必要と考えられます。配当予想は70円で据え置かれています。
注意点①:四輪の「稼ぐ力」の質(継続ウォッチから格上げ)
営業利益が黒字転換したこと自体は事実ですが、その利益が反復可能な実力によるものか、当期限りの外部環境によるものかで、来期以降の見え方が根本的に変わります。とくに今回は上方修正の根拠が為替のみであるため、この分解が投資判断の中心になると考えられます。
| 事業 | 調整後営業利益増減 | うち為替影響 | うち関税影響 | 実質(差引) |
|---|---|---|---|---|
| 連結 | +1,645億円 | +908億円 | +781億円 | △44億円 |
| 二輪 | +449億円 | +285億円 | △16億円 | +180億円 |
| 四輪 | +997億円 | +522億円 | +816億円 | △341億円 |
| チェック項目 | 実績 | 評価 |
|---|---|---|
| 二輪事業の営業利益率18%以上を維持しているか | 20.5%(前年同期19.9%)、四半期として過去最高。実質でも+180億円の増益 | ◎ |
| 四輪事業は実力ベースで改善しているか | 営業利益は△296億円→+1,921億円へ黒字転換(量は◎相当)。為替・関税を除くと実質△341億円。販売奨励金△288億円で台数維持にインセンティブを積む構図 | △(総合) |
| 中国市場の減少は止まったか | 四輪アジア127千台(前年同期202千台、△75千台。うち中国△74千台) | × |
| 北米での販売・収益は堅調か | 四輪北米461千台(+4千台)、北米所在地別営業利益622億円→2,454億円(+294.2%) | ○ |
| HEV小売台数は増加しているか | グローバル249千台(+24千台)、中国除く239千台(+33千台) | ○ |
| 金融サービス事業は安定しているか | 営業利益1,058億円(+24.5%)、営業利益率10.3%(前年同期10.2%) | ○ |
| パワープロダクツ事業 | 752千台(△9.2%)、営業損益△11億円(前年同期△2億円)で赤字拡大 | × |
| 研究開発費の水準 | 通期研究開発支出11,900億円(前回見通し比+200億円)、1Q実績2,384億円(+92億円) | ○ |


















連結の調整後営業利益+1,645億円に対し、為替+908億円・関税+781億円で計+1,689億円。事業活動そのものの寄与は△44億円と、実質的にはトントンと考えられます。二輪は実質でも稼いでおり、四輪も大赤字から黒字圏へは復帰していますが、四輪の実質は△341億円、中国は依然として▲74千台と、改善したのは主に「量」であり「質」はまだ伴っていないと考えられます。
注意点②:為替感応度と業績前提(今回新設)
上方修正の唯一の根拠が為替である以上、為替が戻れば修正も戻ります。さらに2026年7月31日の協調介入により、為替の変動構造そのものが変わった可能性があります。日米の通貨当局が7月31日に円買いの協調介入を実施し、日本経済新聞が8月2日に報じ、日本政府関係者が事実を認めています。協調介入は2011年の東日本大震災直後以来15年ぶり、円買い方向の日米協調では1998年6月のアジア通貨危機時以来28年ぶりで、対ドル円相場は7月下旬に一時1ドル164円に迫り、およそ40年ぶりの安値水準にありました。8月3日には日米当局が追加の協調介入も辞さない姿勢を示しています(外部報道:日本経済新聞、NHK)。
| 日付 | 水準 |
|---|---|
| 7/23 | 163.99円(高値) |
| 7/30 | 日本単独介入との報道 |
| 7/31 | 日米協調介入 |
| 8/3 | 155.24円(安値) |
| 8/6 11:57 | 157.66円 |
| チェック項目 | 実績 | 評価 |
|---|---|---|
| 会社の通期前提は保守的か | 155円。1Q実績159円が確定済みのため、残り9ヶ月の平均が約153.7円あれば通期平均155円を達成できる。現在157.66円はこれを約4円上回る | ○ |
| 為替の変動リスクは対称か | 非対称(詳細は下記) | × |
| 感応度は把握できるか | 前提10円の円安(145→155円)で調整後営業利益+1,700億円、1円あたり約170億円 | ○ |
| 残り9ヶ月の平均 | 通期平均 | 前提155円との差 | 調整後営業利益への影響 | 通期営業利益イメージ |
|---|---|---|---|---|
| 160円(介入警戒圏) | 159.75円 | +4.75円 | +808億円 | 約7,310億円 |
| 158円(現状維持) | 158.25円 | +3.25円 | +553億円 | 約7,050億円 |
| 153.7円(損益分岐) | 155円 | ±0 | - | 6,500億円 |
| 150円 | 152.25円 | △2.75円 | △468億円 | 約6,030億円 |
| 145円 | 148.5円 | △6.5円 | △1,105億円 | 約5,400億円 |
| 140円 | 144.75円 | △10.25円 | △1,743億円 | 約4,760億円 |
| 135円 | 141円 | △14円 | △2,380億円 | 約4,120億円 |
※1円あたり170億円で単純計算した簡易試算です。実際は通貨構成や取引時期により異なると考えられます。












上振れ余地は約+800億円で頭打ち、下振れ余地は△2,400億円まで開いており、比率にしておよそ1対3の非対称と考えられます。1Q実績159円という「貯金」があるため足元では余裕がありますが、実質増減が△44億円という土台の上に、外部要因だけで積み上がった利益であることを踏まえると、来期以降の反復可能性には慎重な見方が必要と考えられます。
注意点③:配当の原資とキャピタルアロケーション
前期は△4,239億円の最終赤字下で70円配当を維持しました。DOE(調整後親会社所有者帰属持分配当率)3.0%目安という方針が、原資面で裏打ちされているかが継続性の核心になります。
| チェック項目 | 実績 | 評価 |
|---|---|---|
| R&D調整後営業CFは配当総額を上回るか | 1Qのみで7,371億円(前年同期5,830億円、+26.4%)。年間配当総額約2,725億円に対し四半期時点で2.7倍 | ◎ |
| 中期のCF計画は配当を賄えるか | 2026ビジネスアップデートで3年間のR&D調整後CF7兆円以上(EV関連損失除く)を見込むと明示 | ○ |
| DOE3.0%方針に変更はないか | 1Q説明資料・ビジネスアップデートのいずれでも維持を明言 | ○ |
| 中間35円・期末35円の方針に変更はないか | 変更なし(短信「直近に公表されている配当予想からの修正の有無:無」) | ○ |
| DOEの基準額はどう動いたか | 1Q末の親会社帰属持分12兆3,615億円からその他の資本の構成要素3兆1,494億円を除いた9兆2,120億円(前期末8兆7,700億円)。1株あたり約2,366円、その3.0%は約71円 | ◎ |
| 自己株式取得の状況 | 1Qはゼロ(前年同期3,632億円)。ただし中期計画とは整合 | △ |
| EV関連の取引先追加支出 | 3四半期連続「見積り不能」 | △ |
| エアバッグインフレーター関連引当 | 同じく「見積り不能」 | △ |
2026ビジネスアップデートで示された3年間のキャピタルアロケーションを整理すると、R&D調整後CF(EV関連損失除く)7兆円以上に対し、資源投入合計は6.2兆円(EV0.8兆円/ソフトウェア1.0兆円/ICE・HV4.4兆円)で、差引は約0.8兆円。これは3年間の配当総額(70円×約3,893百万株×3年=約0.82兆円)とほぼ同額です。つまり計画上、大規模な自己株式取得の原資は元々薄いことになります。












配当そのものの安全性は極めて高いと考えられます。1Qだけで年間配当総額の2.7倍のCFを生み、DOE基準額も約68円→約71円へ上昇し、現行70円は方針の下限に接近しています。一方で、還元の上積みは構造的に期待しにくいことが計画から読み取れます。自己株式取得ゼロの評価は計画との整合という点で△にとどめています。
注意点④:経営方針の透明性と中期計画
前回の継続チェックメモでは「四輪構造改革はビジネスアップデート待ち」として判断を保留していましたが、実際には2026年5月14日、通期決算と同日に開示済みでした。前回メモ作成時にこの反映ができておらず、本稿はその修正を含む改稿版となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 集中期間 | 今後3年間を四輪再構築に集中的に取り組む期間とする |
| 2029年3月期目標 | 営業利益1兆4,000億円以上(過去最高水準)への回復 |
| 2031年3月期目標 | ROIC 10% |
| 3本の柱 | 経営資源の戦略的再配分/ものづくり体質の徹底強化/外部リソースの戦略的活用 |
| 次世代HEV | 2027年から投入開始、2029年度までにグローバル15モデル、北米は2029年にDセグ以上の大型HEV |
| HEVシステム | 2023年モデル比でコスト30%以上低減、次世代PF+電動AWDで燃費10%以上向上 |
| 次世代ADAS | 2028年発売、5年間でグローバル15モデル以上に搭載 |
| バッテリー | L-H BatteryのEV用ラインの一部をHV向けに転用、モーター・インバーターの現地調達率を4倍以上へ(関税影響軽減) |
| 開発効率 | 「トリプルハーフ」=開発費・期間・工数を2025年比で半減。マイナーMCは本年度から、フルMCは2028年開始の開発から |
| 生産効率 | 今後5年間で約2割向上 |
| インド(四輪) | 2028年から戦略車投入、キャプティブファイナンス会社を2026年度中に事業開始予定 |
| インド(二輪) | 生産能力625万台→2028年に約800万台へ拡大 |
| 縮小判断 | カナダの包括的バリューチェーン構築プロジェクトは無期限凍結 |
| ガバナンス | 社外取締役の過半数化 |
| チェック項目 | 評価 |
|---|---|
| 四輪構造改革の数値目標・タイムライン(2029年3月期1兆4,000億円、3年集中期間を明示) | ◎ |
| 次世代HEV投入計画(時期・地域・モデル数・コスト削減率まで数値化) | ◎ |
| 開発コスト半減の具体策(「トリプルハーフ」として3指標の半減目標と適用開始時期を提示) | ○ |
| インド戦略(2028年戦略車投入、金融子会社設立まで具体化) | ○ |
| EV赤字の改善見通し(EV投資を3年0.8兆円に抑制、資源をHVへ再配分) | ○ |
| 自己株式取得(計画とは整合するが、当期の明示的な説明はなし) | △ |
| AFEELA(ソニー・ホンダモビリティ)(ビジネスアップデートにも記載なし。3四半期連続で言及なし) | - |
| EV追加支出・エアバッグ引当(3四半期連続で「見積り不能」) | △ |
| 業績修正の説明の明快さ(為替要因のみと明示し、他要因を数値ゼロで開示) | ○ |
| 災害影響の開示(熊本地震の生産休止日数を決算説明会冒頭で開示) | ○ |
| ガバナンス(社外取締役の過半数化を明示) | ○ |












2026ビジネスアップデートにより、3年計画の数値目標・キャピタルアロケーション・縮小案件・ガバナンス改革まで開示されており、経営方針の透明性は○と考えられます。残る課題は金額を見積れない2件と、自己株式取得の当期説明の欠如にとどまります。なお、中期計画は四半期資料に再掲されないため、今後は四半期ごとに直近の戦略説明会資料へ遡って確認する運用とします。
注意点⑤:中期計画の初年度としての1Q(今回新設)
2026ビジネスアップデートを踏まえると、今期は「3年計画の初年度」です。1Qの数字を計画の進捗として読み直す必要があります。
| チェック項目 | 実績 | 評価 |
|---|---|---|
| 設備投資は計画に沿って動き始めたか | 1Q設備投資909億円→6,062億円(+5,152億円)、通期見通し7,513億円→1兆2,800億円(+5,286億円)。理由はLGエナジーソリューションとの合弁会社の工場建屋取得で、L-H BatteryのHV転用方針と整合 | ○ |
| フリーCFの縮小は許容範囲か | 事業会社FCF 2,940億円→1,283億円。設備投資急増によるもの | △ |
| 関税対策は動いているか | 現地調達率4倍以上という方針を掲げており、関税影響が逆転した場合の備えは示されている | ○ |
| 2029年3月期1兆4,000億円への進捗 | 今期通期見通しは営業利益6,500億円。3年で2.15倍への引き上げが必要。1Qの実質が横ばいである点を踏まえると進捗を語れる段階にはない | - |
| トリプルハーフの進捗 | マイナーMCは本年度から適用開始とされているが、1Q資料に言及なし | - |






設備投資はビジネスアップデートの方針どおりに動き始めており、規律の逸脱ではなく計画の履行と考えられます。一方でフリーCFは縮小しており、2029年3月期目標への進捗は現時点では語れる段階にありません。中期目標は現在の株価にほとんど織り込まれていない参考値として位置づけるのが妥当と考えられます。
引き続き良好なら安心できる項目
| 項目 | 前回 | 今回 | 維持ラインの目安 | 評価 |
|---|---|---|---|---|
| 事業会社ネットキャッシュ | 2兆9,079億円 | 3兆3,318億円 | 2.5兆円以上 | ◎ |
| 事業会社現預金 | 4兆5,634億円 | 4兆8,900億円 | 4兆円以上 | ◎ |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 35.3% | 35.9% | 35%以上 | ○ |
| R&D調整後営業CF(1Q) | 5,830億円 | 7,371億円 | 四半期5,000億円以上 | ◎ |
| 二輪事業営業利益率 | 18.2%(通期) | 20.5% | 18%以上 | ◎ |
| DOE基準額 | 約68円 | 約71円 | 70円以上 | ◎ |
| 事業会社フリーCF(1Q) | 2,940億円 | 1,283億円 | プラス維持 | △ |
株価・バリュエーション(継続ウォッチ)
| チェック項目 | 数値 | 変化のポイント |
|---|---|---|
| 株価 | 1,623.5円(8/6 11:30) | 前日終値1,636.0円から△12.5円(△0.76%) |
| PER(予) | 15.8倍 | EV損失を除いた調整後ベースでは約8.3倍と試算 |
| PBR | 0.51倍 | IRBANK様の2010年以降レンジ(0.38〜1.53倍)の下限寄り |
| 配当利回り | 4.31% | 高配当水準を維持 |
| みんかぶ様目標株価 | 1,588円 | 現株価を△2.2%下回る。BPS×PBR0.50倍とほぼ一致 |
| みんかぶ様診断 | 株価診断「割安」/個人予想「売り」/アナリスト「買い」 | 評価が三分裂 |
| 日付 | 売り残(千株) | 買い残(千株) | 信用倍率 |
|---|---|---|---|
| 7/03 | 1,364.5 | 6,726.8 | 4.93 |
| 7/10 | 1,029.9 | 6,795.6 | 6.60 |
| 7/17 | 712.1 | 6,377.8 | 8.96 |
| 7/24 | 866.3 | 6,474.5 | 7.47 |
| 7/31 | 1,138.8 | 5,252.0 | 4.61 |












④ 配当継続性スコア(5項目評価)
| 評価項目 | 評価 | 前回→今回 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 配当の中身 | ○ | ○→○ | 年間70円はすべて普通配当。記念配当・特別配当の混入なし。2010年3月期13円→2026年3月期70円と長期の増配基調で、減配歴なし |
| 本業の稼ぐ力 | △ | ○→△ | 量は◎相当(調整後営業利益5,307億円、+44.9%、利益率8.8%)だが質が伴っていない。連結の実質増減は△44億円で、増益はほぼ全額が為替+908億円・関税+781億円という外部要因。四輪は実質△341億円の減益、中国は△74千台。加えてその外部要因の上振れ余地が政策的に制約された |
| 財務の健全性 | ◎ | ◎→◎ | 事業会社ネットキャッシュ3兆3,318億円(月商2.0ヵ月相当)、現預金4兆8,900億円、親会社所有者帰属持分比率35.9%へ改善 |
| 配当の原資 | ◎ | ○→◎ | R&D調整後営業CFが1Qだけで7,371億円、年間配当総額の2.7倍。中期でも3年7兆円以上を見込む。DOE基準額は約71円へ上昇 |
| 経営方針の透明性 | ○ | △→○ | 2026ビジネスアップデートで3年計画の数値目標・キャピタルアロケーション・縮小案件・ガバナンス改革まで開示済み。残る課題は見積り不能2件と自己株式取得の当期説明のみ |
B→A-(二段引き上げ)
「本業の稼ぐ力」に△があるため、シリーズのルールに従いA以上の判定は行いません。△とした理由は3点です。第一に、実質増減が△44億円である事実は動きません。増益+1,645億円のうち+1,689億円が為替と関税によるものです。第二に、その外部要因の上振れ余地に政策的な天井が設けられた可能性があります。日米が160円台で28年ぶりの円買い協調介入に踏み切り、追加介入も辞さない姿勢を示しており、会社前提155円はこの天井のすぐ下に位置します。為替による上振れ余地は約+800億円で頭打ちである一方、円高方向には▲2,400億円規模まで壁がありません。第三に、この「実質トントン」という状態が、追い風が最大級だった四半期の結果であるという点です。追い風が弱まる局面では、実質マイナスが表面化する可能性があると考えられます。
一方で、B+ではなくA-とした理由は、配当継続性という評価軸に限れば、前回B判定時から状況が明確に改善しているためです。前期は赤字下での配当維持でしたが、今期は1Qだけで年間配当総額の2.7倍のCFを創出しています。DOE3.0%の基準額が約68円→約71円へ上昇し、現行70円は方針の下限に接近しています。ネットキャッシュが3兆3,318億円へ拡大し、仮に営業利益が4,000億円台へ落ち込んでも配当2,725億円を脅かす水準ではありません。経営方針の透明性も、2026ビジネスアップデートの反映により○へ改善しています。
「本業の稼ぐ力」に付いた△が意味するのは「配当が危ない」ではなく「株価の上昇余地の根拠がまだ弱い」ということと考えられます。配当の受け取りやすさと株価の値上がり期待は別物であり、この銘柄は前者が強く後者が未証明という状態にあると整理できます。上方修正の条件は、2Q以降も四輪の実質改善(販売奨励金に頼らない台数維持)が確認され、かつ為替が160円圏で高止まりすることなく実質増減がプラスに転じることと考えられます。
クリックして評価ランクの説明を見る
S:非常に優れている/A:優れている/A-:Aの要件を満たすがBに近い注意点がある/B+:Bの要件を満たしAに近い水準にある/B:良好/B-:Bの要件を満たすがCに近い注意点がある/C+:Cの要件を満たしBに近い水準にある/C:やや懸念がある/C-:Cの要件を満たすがDに近い注意点がある/D:懸念が大きい/E:重大な懸念がある
※評価体系をS/A/A-/B+/B/B-/C+/C/C-/D/Eの11段階に変更しました。旧5段階(S/A/B/C/D)のA・B・C・Dの間にそれぞれ「+(プラス)-(マイナス)」ランクを新設しています。これは、同一ランク内でも「条件が揃えば上のランクに相当する」銘柄と「下のランクに近い懸念がある」銘柄を区別するためです。たとえばB-は「Bの要件は満たすが、Cに近い注意点を抱えている」状態を示します。
⑤ 適正株価試算(普通配当逆算法)
前提:現在株価1,623.5円(’26/8/6 11:30時点)、予想配当70円、現在利回り4.31%。
シナリオ別試算
| シナリオ | 想定配当額 | 想定利回り | 適正株価 | 現株価比 |
|---|---|---|---|---|
| 強気 | 76円(為替157〜160円圏で高止まりし通期営業利益7,000億円超。次世代HEV投入とトリプルハーフの効果が見え始め、市場が2029年3月期1兆4,000億円の実現可能性を織り込み始める。ただし介入の天井を踏まえると為替だけでは到達できず、事業側の実質改善が不可欠) | 4.0% | 約1,900円 | +17.0% |
| 中立 | 70円(残り9ヶ月平均153.7円以上を確保し会社見通しを達成。EV追加支出も現行見積り範囲内) | 4.0% | 約1,750円 | +7.8% |
| 保守的 | 70円(為替が150円前後まで戻り営業利益6,000億円程度に着地。熊本地震の減産影響が2Qに顕在化) | 4.31% | 約1,624円 | ±0% |
| 弱気 | 60円(配当性向70%程度=DOE基準額の低下を織り込んだ水準) | 5.0% | 約1,200円 | ▲26.1% |
為替だけで到達しうるのは保守的〜弱気方向であり、強気方向には事業側の実質改善が必要です。したがってシナリオの分布は下方に歪んでいると認識すべきと考えられます。
弱気シナリオ:「方針を曲げざるを得ない前提条件」
以下が重なった場合、70円の維持が難しくなる可能性があると考えられます。
- 追加の協調介入や米金融政策の転換により為替が140円割れまで進行し、上方修正分(+1,500億円)が全消滅して営業利益4,000億円台へ落ち込む
- 関税環境が逆転し、1Qの+781億円が剥落する
- 中東情勢悪化などで資材価格がさらに高騰する
- EV関連の取引先追加支出が数千億円規模で確定する
ホンダのDOE方針は「利益」ではなく「持分」を基準としているため、単年度の赤字だけでは直ちに減配とはなりません(前期△4,239億円の赤字でも70円を維持したのが実例です)。減配の経路は「赤字が持分そのものを削り、3.0%を掛ける母数が縮む」というもので、ネットキャッシュ3兆3,318億円という厚みを踏まえると、実現には複数年の大幅赤字が必要と考えられ、現時点で確率は高くないと考えられます。
BPS×適正PBR倍率(2点セット確認)
BPS:3,175.29円(IRBANK様)
| PBR倍率 | 適正株価 | 現株価比 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 0.38倍 | 1,207円 | ▲25.7% | 2010年以降レンジ下限。弱気シナリオ(1,200円)とほぼ一致 |
| 0.50倍 | 1,588円 | ▲2.2% | みんかぶ様目標株価と一致 |
| 0.51倍 | 1,619円 | ▲0.3% | 現在値 |
| 0.55倍 | 1,746円 | +7.5% | 中立シナリオ(1,750円)とほぼ一致 |
| 0.60倍 | 1,905円 | +17.3% | 強気シナリオ(1,900円)とほぼ一致 |
| 0.65倍 | 2,064円 | +27.1% | 四輪の実質改善が確認された場合の上値目途 |
| 1.00倍 | 3,175円 | +95.6% | 2029年3月期1兆4,000億円が視野に入った場合の理論値近辺 |
配当逆算法とBPS×PBR法が、強気1,900円≒0.60倍、中立1,750円≒0.55倍、保守的1,624円≒0.51倍、弱気1,200円≒0.38倍と4シナリオすべてでほぼ同水準に収束しており、試算の頑健性を示唆すると考えられます。









全シナリオが崩れる条件
- 為替が135円割れまで急速に円高進行し、為替・関税による年間2,000億円超の押し上げが消滅する場合
- 追加の協調介入が繰り返され、160円台が明確な上限として定着する一方で下値の切り下げが進む場合
- 米国の通商政策が変更され、1Qで+781億円の押し上げとなった関税影響が逆方向に振れる場合
- EV関連の取引先追加支出が1兆円規模で確定し、2期連続の大幅赤字となる場合
- エアバッグインフレーター関連で想定を大きく超える引当金の追加計上が必要となる場合
- 熊本地震のサプライチェーン影響が長期化し、四輪通期339万台の見通しが大幅未達となる場合
- 中国の減少が北米の販売台数にまで波及する場合
- 金融サービス事業(1Q営業利益1,058億円)で与信費用が急増し、収益の柱が崩れる場合
- 2029年3月期1兆4,000億円の目標が下方修正または撤回される場合
まとめ



























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情報基準日:2026年8月6日
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
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