所長ダル





本銘柄の配当利回りは0.86%(予想351円)で、高利回り銘柄ではありません。本記事では配当は参考値にとどめ、成長性と株価水準を中心に分析します。
① 会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | レーザーテック株式会社(Lasertec Corporation) |
| 証券コード | 6920(東証プライム/電気機器) |
| 設立 | 1960年(旧・日本自動制御)※一般情報 |
| 主な事業 | 半導体フォトマスクの欠陥検査装置。EUVマスクを露光と同じ波長の光で検査する装置(ACTIS)は世界で唯一の製品です(株探様)。検査・測定装置の単一セグメント(短信P.8) |
| 時価総額 | 3兆8,393億円(株探様、11/2) |
| 決算期 | 6月(12月末が中間配当基準日) |
なぜ今話題なのか
- 1Qは減収減益でしたが、AIデータセンター投資の拡大を受けて受注見通しを1,000億円上方修正しました。増額分の6割以上は、ロジック半導体工場(ファブ)向けの「ACTIS A200HiT」です(説明会書き起こしP.14)。
- 社長は、A200HiTの評価が終わる前から複数の顧客が量産用の台数を発注計画(フォーキャスト)に入れ始めたと説明しています(書き起こしP.15〜16)。「次の成長の波が来た」と市場が受け止めたと考えられます。
- 11/2の売買代金は2,772億円に達しました(株探様)。ゴールドマン・サックス証券が目標株価を71,000円に、SBI証券が60,900円に引き上げており、強気派が目立っています。






② 主要財務指標
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 売上高(26/6期実績) | 2,304億85百万円 | 説明資料P.4 |
| 売上成長率 | 26/6期 △8.3% → 27/6期予想 +25.8% | 説明資料P.4 |
| 営業利益(26/6期) | 1,052億59百万円 | 説明資料P.4 |
| 営業利益率 | 45.7%(27/6期予想 43.1%) | 説明資料P.4 |
| 純利益(26/6期) | 774億85百万円(27/6期予想 900億円) | 説明資料P.4 |
| EPS | 実績862.98円/予想1,003.27円 | IRBANK様、短信P.1 |
| BPS | 2,669.93円(27/6期1Q末) | 短信P.1 |
| ROE | 実績31.4%/予想37.58% | IRBANK様 |
| ROA | 実績23.02%/予想24.56% | IRBANK様 |
| 自己資本比率 | 65.4%(前期末73.3%) | 短信P.1 |
| 営業CF | 26/6期 485億円/1Q単独 391億円 | IRBANK様、短信P.7 |
| 有利子負債 | なし(実質無借金。現預金1,107億円) | 短信P.3 |
| PER | 実績47.18倍(みんかぶ様)/予想40.59倍(IRBANK様) | ─ |
| PBR | 15.25倍 | IRBANK様 |
| (参考)配当 | 年351円(中間140円・期末211円)、利回り0.86%、配当性向約35% | 短信P.1 |
自己資本比率の低下は、前受金が427億円増えて負債が膨らんだことが主因です(短信P.2)。財務が悪化したわけではありません。
③ 業績推移
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 営業利益率 | EPS(円) | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2020/06 | 42,572 | 15,062 | 35.4% | 120.02 | EUV検査装置の本格出荷が始まった時期 |
| 2021/06 | 70,248 | 26,074 | 37.1% | 213.47 | |
| 2022/06 | 90,378 | 32,492 | 36.0% | 275.56 | 受注1,865億円 |
| 2023/06 | 152,832 | 62,287 | 40.8% | 511.89 | 受注3,237億円(ピーク) |
| 2024/06 | 213,506 | 81,375 | 38.1% | 655.04 | 受注2,727億円 |
| 2025/06 | 251,477 | 122,843 | 48.8% | 938.60 | 業績ピーク。一方で受注は1,052億円に急減(転換点①) |
| 2026/06 | 230,485 | 105,259 | 45.7% | 862.98 | 受注減の影響で減収。受注は2,375億円に回復 |
| 2027/06予 | 290,000 | 125,000 | 43.1% | 1,003.27 | 受注見通し4,000〜5,000億円(転換点②:再成長期) |
出典:IRBANK様(業績推移)、受注は説明資料P.11
この会社は「受注 → 生産 → 出荷 → 顧客の検収 → 売上」と進むため、受注から売上計上まで1年以上かかります。そのため、受注が急減した25/6期に業績はピークを付け、26/6期になって減収になりました。逆に今期の受注増は、主に28/6期以降の売上に効いてくると考えられます。
四半期の動き
| 26/6期1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 27/6期1Q | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 541 | 740 | 412 | 609 | 403 |
| 営業利益(億円) | 267 | 362 | 152 | 270 | 157 |
| 営業利益率 | 49.3% | 48.9% | 36.8% | 44.4% | 39.1% |
出典:説明資料P.3
1Qの通期計画に対する進捗率は、売上13.9%、営業利益12.6%と低めです(1on1 FAQ P.1)。残り3四半期で売上を平均832億円ずつ積み上げる必要があり、下期に大きく偏った計画です。ただし1Qの生産実績(販売価格ベース)は895億円で、売上403億円の2倍を超えています(短信P.10)。仕掛品も1,380億円まで積み上がっており(短信P.3)、会社は「想定通り検収いただける見込み」と説明しています(1on1 FAQ P.2)。
④ 事業・競争力の評価
| 項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 本業の稼ぐ力 | ○ | 営業利益率は40%超、ROEは30%超で、製造業としては突出した水準です。サービス売上は1Qに160億円(前年同期比+31%)となり、設置台数の増加に伴う安定収益に育ちつつあります(短信P.10)。ただし今期はMATRICSの性能改善の影響で、採算の低い装置が複数台売上計上される予定です。通期の営業利益率は45.7%から43.1%に下がる見込みです(説明資料P.4)。 |
| 財務の健全性 | ○(◎寄り) | 無借金で、現預金は1,107億円です。前受金870億円は、顧客の資金で生産を進められていることを意味します。設備投資は年57億円、減価償却費は36億円と小さく、身軽な資産構造です(説明資料P.4)。気になる点は、棚卸資産が1,855億円と総資産の約半分を占めていることです。 |
| 経営方針の透明性 | ○ | 中期経営計画で売上4,000〜5,000億円規模という財務目標を掲げています(1on1 FAQ P.2)。受注見通しをレンジで開示しているほか、1on1のFAQや説明会の書き起こしまで公開しており、IRは丁寧です。一方、機種別の採算や顧客別の売上は開示されていません。 |
市場環境
- AIデータセンター向けに、ロジック(GPU・CPU)とメモリー(HBM)の先端投資が拡大しています。ロジックとメモリーの各社で、High-NA EUV露光機の導入計画も具体化しています(説明資料P.11)。
- 回路が微細になるほど、従来のDUV光で検査する装置では見つけられない欠陥が増えます。その結果、EUV光で検査するACTISの導入先が、マスクメーカーから半導体工場そのものへ広がり始めています(書き起こしP.14、P.18)。
- 従来型(DUV)のMATRICSも前期の2倍強の受注見通しです。中国向けのDUV需要が、3か月前よりさらに強まったとされています(書き起こしP.16〜17)。
- 将来の上乗せ候補として、大判マスク(今期の受注見通しには未算入)、High-NA EUVの量産適用(2028年以降のパイロット生産のさらに1〜2年後)、テラファブ構想が挙げられています(書き起こしP.17、P.23〜24)。
リスク要因
- 業績サイクル:受注は25/6期に前期の約4割まで急減した実績があります(説明資料P.11)。株価は2025年8月8日に52週安値13,715円を付けた一方、2026年6月19日には52週高値58,580円を付けており、値動きは非常に大きいです。
- 検収のタイミング:今期の利益は下期に集中しています。検収が数週間ずれるだけで、四半期の数字が大きく振れます。
- リードタイムの長期化:ACTISの納期は1年強から約1.5年に延びました。原因は部材の長納期化で、材料不足にまで及んでいます(書き起こしP.20)。
- 顧客集中:半導体関連売上の95%弱がマスク検査です(1on1 FAQ P.1)。顧客は世界の先端ファブとマスクメーカー数社に限られると考えられます(顧客別の売上は非開示)。
- 地政学:中国のDUV向け需要が強いため、輸出規制が強化されれば影響を受ける可能性があります。
- 為替:海外売上比率は95.7%です(1Q、短信P.9)。想定レートは1ドル150円で、1円の円安で営業利益が9億円弱増えます(1on1 FAQ P.2)。1Qは為替差損が12.6億円発生しました(短信P.5)。
- 過去の空売りレポート:2024年6月に、海外の空売り投資家スコーピオン・キャピタルが不正会計を指摘するレポートを公表しました。特別調査委員会は「不正は認められなかった」と結論づけています。
総合評価:A-
- 事業の質(独占技術、40%超の利益率、無借金)だけを見ればS〜Aに相当すると考えられます。
- 一方で、現在の株価は会社予想EPS×現状PERの「中立シナリオ」とほぼ一致します。今期の好材料はおおむね株価に織り込まれていると考えられます。
- さらに、利益の大半は下期の検収次第、A200HiTの量産認定は来年初めから、という段階で、実績による裏付けはこれからです。
- 以上から、「成長株として今仕込む価値」は認めつつ、価格面の安全余裕が乏しいため1ノッチ下げてA-としました。押し目(後述の34,000円前後)で拾えればAに相当すると考えられます。
大株主と研究開発費
大株主:信託口(日本マスタートラスト20.59%、日本カストディ6.92%)が上位を占めます。創業家系とみられる個人・資産管理会社(内山洋氏3.13%、前田せつ子氏3.05%、UCHIYAMA HOLDINGS 1.64%、高橋はる香氏1.60%)は計9%強です(有価証券報告書)。ブラックロック・グループは計8.28%を保有しています(大量保有報告書)。いずれもパッシブ運用中心とみられ、現時点でアクティビストの影は確認できません。自己株式は4.93%です。
研究開発費:今期予想は200億円(+22.8%)で、1Qは売上の11.9%にあたります(説明資料P.3〜4)。減価償却費が年36億円と小さく、投資は費用(研究開発費)として先に計上される構造です。そのため回収期(28/6期以降)には利益率が上がりやすいと考えられます。
⑤ 適正株価試算(現株価40,720円、11/2終値)
EPS×PER法(4シナリオ)
| シナリオ | 想定EPS | 想定PER | 適正株価 | 現株価比 | 備考・前提条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 強気 | 1,400円(28/6期想定) | 45倍 | 63,000円 | +54.7% | 受注4,500億円が28/6期の売上約4,000億円に結びつき、営業利益率45%を維持する場合。A200HiTの量産認定が順調に進み、PERにプレミアムが付く前提です。 |
| 中立 | 1,003.27円(会社予想) | 40.6倍(現状) | 40,733円 | ±0.0% | 現株価は、会社予想の達成をちょうど織り込んだ水準です。 |
| 保守的 | 1,000円(28/6期も横ばい) | 28倍 | 28,000円 | △31.2% | 増益が一服する場合。PERは、みんかぶ様の類似銘柄比較の参考値27.78倍まで縮むと想定しました。 |
| 弱気 | 655円(24/6期水準) | 21倍 | 13,755円 | △66.2% | 受注崩落シナリオ。2025年8月の安値13,715円とほぼ同じ水準です。 |
- AI向け設備投資が減速し、受注が25/6期のように前期の半分以下に落ち込む
- A200HiTの量産認定(来年初めから)が不調で、発注計画に入っている台数が発注に至らない(書き起こしP.21)
- リードタイム長期化に備えた前倒し発注が一巡し、その反動で受注が急減する
- 中国向けDUV装置に対する輸出規制が強化される
BPS×適正PBR
| PBR倍率 | 適正株価 | 現株価比 |
|---|---|---|
| 12.76倍(過去2年平均、みんかぶ様) | 34,068円 | △16.3% |
| 13.11倍(類似銘柄比較の参考値、みんかぶ様) | 35,003円 | △14.0% |
ROEが30%を超える会社では、PBRが高く出るのは自然です。PBR法は割安かどうかの判定より、「過去の平均水準まで戻るとどこまで下がるか」という下値の目安として使うのが妥当と考えられます。
外部目標株価との比較
| 区分 | 目標株価 | 現株価比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| みんかぶ様 総合 | 39,469円(売り) | △3.1% | |
| └ アナリスト | 49,337円(買い) | +21.2% | 11/3時点、17人(強気8・買い1・中立6・売り0・強売2) |
| └ 個人 | 33,263円(売り) | △18.3% | 10/23時点 |
| └ 理論株価 | 27,159円(割高) | △33.3% | 11/2時点 |
| 株予報様 コンセンサス | 48,550円 | +19.2% | 2026/10/5時点(1Q決算前)、14人 |
| 決算後の個別証券会社の改定 | UBS 42,500円(中立)/GS 71,000円(買い)/SBI 60,900円(買いに格上げ)/マッコーリー 36,000円(アンダーパフォーム) | ─ | 11/2・10/26・10/15発表 |
みんかぶ様の総合目標(39,469円)とアナリスト予想(49,337円)の乖離は+25.0%で、目安の±15%を超えています。理由は次のとおりと考えられます。
- 理論株価(27,159円)は、過去2年平均や類似銘柄と比べた株価倍率で算出されるため、割高と判定され総合値を押し下げています。
- アナリストは、受注増が28/6期以降の利益を押し上げることを先回りして評価しています。
個別の目標株価も36,000〜71,000円と2倍近く開いており、「次の山がどこまで高いか」で見方が大きく割れている銘柄です。
- EUV露光そのものが代替技術に置き換わる、または競合がEUVマスク検査に本格参入し、独占が崩れる
- 中国向けの全面的な輸出禁止など、地政学ショックで顧客の設備投資そのものが止まる
- 会計・品質面の重大な問題が発覚する(過去の空売りレポートの再燃を含む)
所長×車野アナリスト 対談
テーマ①「売上25%減なのに株価8%高」――受注産業の決算はどこを見ればいいのか












テーマ②ACTISがマスク工場から半導体工場へ――顧客層が変わり始めた












テーマ③「納期1.5年」は良いニュースか悪いニュースか












テーマ④今期計画は下期勝負――1Q進捗13.9%をどう読むか












テーマ⑤PER40倍は高いのか――「中立=今の株価」が意味すること












結論
① なぜ今話題なのか:減収決算にもかかわらず、受注見通しの1,000億円上方修正(中央値4,500億円)で株価は8%高となりました。テーマはAI半導体、EUV、HBMです。
② 外部目標株価との比較:みんかぶ様の総合は39,469円で、現値とほぼ同じです。アナリスト予想は49,337円(+21%)、株予報様のコンセンサスは48,550円(10/5時点)です。個別の目標株価は36,000〜71,000円と大きく割れています。
③ 割高・割安感:予想PER40.6倍、PBR15.25倍で、過去2年平均(PER31.7倍、PBR12.8倍)より割高です。会社予想の達成はすでに株価に織り込まれていると考えられます。
④ 強気シナリオの根拠:A200HiTの工場向け採用、MATRICSの受注倍増、受注4,500億円が28/6期の売上約4,000億円につながる道筋です。PER45倍なら63,000円になります。
⑤ 最大のリスク:「受注の山の高さ」が想定に届かず、半導体サイクルが反転することです。
⑥ 「今仕込む」判断の目安:
- 価格面:PBRで過去平均の水準にあたる34,000〜35,000円前後は、比較的安全余裕のある水準と考えられます。現値付近で買うなら、時間を分けた分割買いが無難です。
- 条件面:2Q決算(2027年1月末予定)で、①上期売上が計画どおり伸びているか、②受注見通しが維持・上方修正されたか、③A200HiTの認定が順調に進んでいるか、を確認してから追加するのが無難です。
- テクニカル面:株価は25日線(約42,100円)を下回ったままです。上抜けてから、という考え方もあります。






まとめ
- 株価40,720円(11/2)、時価総額3兆8,393億円。予想PER40.59倍、PBR15.25倍
- 27/6期1Qは売上403億円(△25.5%)、営業利益157億円(△41.0%)。通期進捗は売上13.9%・営業利益12.6%で下期偏重
- 受注見通しを4,000〜5,000億円へ1,000億円上方修正。増額分の6割以上がACTIS(主にA200HiT)、MATRICSは前期比2倍強
- 無借金・現預金1,107億円・自己資本比率65.4%。前受金870億円、棚卸資産1,855億円
- 評価:稼ぐ力○/財務○(◎寄り)/透明性○ → 総合A-
- 適正株価:強気63,000円/中立40,733円/保守的28,000円/弱気13,755円。PBR法では34,068円・35,003円
- 配当は年351円・利回り0.86%(参考値)。配当性向35%目安の業績連動
- 信用倍率5.61倍、買い残1,447千株(発行済株式の1.5%)。10/9から4割強増えており注視(株探様)
- 次回の焦点:2Q決算での下期計画の消化状況、MATRICS低採算機の影響、受注見通しの更新、A200HiTの認定進捗
出典:レーザーテック 決算短信・決算説明資料・説明会書き起こし・1on1 FAQ、有価証券報告書、IRBANK様、みんかぶ様、株探様、株予報様、マネックス証券 銘柄スカウター
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情報基準日:20261104
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
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