【高配当研究所】日本国土開発/1887/利回り4.9%・株主の5割が「安定」と答える銘柄の実像──DOE配当の下支えと営業CFマイナスの綱引き
配当利回り約4.9%、株主の5割が「安定」と答える銘柄の実像をアナリストに聞いてみた
建設業 / 東証プライム / 中堅ゼネコン(土木・建築・不動産・太陽光発電)
※本レポートの株価(511円)は2026年10月23日終値です。配当利回り・PBR等の指標はIRBANK様の数値を採用しています。中間配当の基準日は11月30日で、権利付最終日は11月26日(木)と考えられます(決算短信P.1から推定)。
目次
はじめに
「高配当研究所」へようこそ。当ラボでは、配当生活・FIRE(経済的自立と早期退職)を目指す方々に向けて、高配当株の銘柄分析を行っています。私(所長)は読者の皆さんと同じ目線から素朴な疑問を投げかける役割を担っています。
本日は、土木に強みを持つ中堅ゼネコンの日本国土開発株式会社(JDC CORPORATION、証券コード:1887)について、エキスパート投資アナリストの車野蔵人(くるまの くろうど)さんに解説していただきます。
同社の株主アンケートでは、当社のイメージとして「安定」と答えた株主が50.0%と最多でした(株主アンケートP.11)。一方で、営業CFは直近4期中3期がマイナスで、当ラボのスクリーニング基準では本来「見送り」に該当します。それでもあえて取り上げたのは、「営業CFマイナス=本業不振」と機械的に判断できない、学びの多い題材だからです。「安定」のイメージとデータの実像——そのギャップが今回の最大の論点です。ぜひ最後までお付き合いください。
会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|
| 正式名称 | 日本国土開発株式会社(JDC CORPORATION) |
| 証券コード | 1887(東証プライム) |
| 本社 | 東京都港区虎ノ門(株主アンケートP.12) |
| 主な事業 | 土木・建築・不動産・エネルギー(太陽光発電) |
| 時価総額 | 約456億円(IRBANK様・かぶたん様) |
| 決算期 | 5月期 |
| 上場 | 2019年(かぶたん様) |
| 事業の特徴 | 建機・重機を自社保有し、シールド工事や独自の「回転式破砕混合工法(ツイスター)」を展開。売上の約7割は建築事業(物流施設・オフィス・食品工場中心)。不動産開発と太陽光発電(自社開発累計127MW)の関連事業も育成中(中期経営計画P.9・P.14) |
主要財務指標一覧
※ 数値の出典:決算短信P.1、IRBANK様・かぶたん様
| 指標 | 2026年5月期(実績) | 2027年5月期(予) |
| 売上高 | 1,352億円 | 1,370億円(+1.3%) |
| 営業利益 | 約71.5億円※ | 63億円(▲11.9%) |
| 純利益(親会社帰属) | 54.5億円 | 40億円(▲26.6%) |
| EPS(1株当たり純利益) | 68.37円 | 50.12円 |
| BPS(1株当たり純資産) | 898.79円 | — |
| ROE | 7.66% | 5.58%(予) |
| 自己資本比率 | 45.1% | 46.2%(1Q末) |
| 営業CF | ▲45.7億円 | — |
| 年間配当(1株当たり) | 25円(特別配当5円含む) | 25円(全額普通配当) |
| 配当性向 | 36.6% | 約49.9% |
| 配当利回り(参考) | — | 4.89%(IRBANK様) |
| PER/PBR | 7.48倍(実績) | 10.2倍/0.57倍 |
| 現在株価(参考) | 511円(2026年10月23日終値) |
| みんかぶ目標株価 | 687円(買い) |
※営業利益の2026年5月期実績は、会社予想6,300百万円と増減率▲11.9%からの逆算値です。
補足データ(1Q末、決算短信P.4〜5)
・有利子負債:短期154.7億円+長期201.8億円=約356.5億円
・現金預金:223.2億円 → ネット有利子負債は約133億円
・D/Eレシオ:約0.50倍(中計の上限0.7倍以内、中期経営計画P.20)
※PBRはみんかぶ様が0.64倍、IRBANK様が0.57倍と差があります。BPSの基準時点の違いによるものと考えられ、本レポートでは最新決算を反映したIRBANK様の値を採用しています。
EPS推移と配当の関係
「安定銘柄」は本当に安定なのか?EPSから確かめる
配当利回り4.9%と、そこまで高配当と言うわけでもないですが、株主アンケートでは半数の方が「安定銘柄」と答えているそうですね。安心して持ち続けられる銘柄と考えてもよいのでしょうか?
良い視点です。利回りの高さよりも「安定」というイメージで選ばれている銘柄だからこそ、その中身を確かめる必要があります。配当はあくまで会社が稼いだ利益から支払われるものですので、まずはEPS(1株当たり純利益)の推移を見てみましょう。結論から言うと、この会社のEPSは2019年5月期の139.99円から長期的には右肩下がりで、2024年5月期には赤字も経験しています。
えっ、赤字の年もあったのですね。それでも「安定」と感じている株主が多いというのは、少し不思議に思えます。
そこがこの銘柄の面白いところです。同社は配当性向ではなく「DOE(株主資本配当率)」で配当を決めているため、利益が大きく振れても配当額は比較的ぶれにくい仕組みになっています。株主の皆さんが感じている「安定」は、事業の安定というより「配当額の安定」に近いと考えられます。実際のデータを見てみましょう。
EPS推移表(過去実績+今期予想)
出典:IRBANK様(EPS・配当・配当性向)、決算短信P.1(配当内訳)
| 決算期 | EPS(円) | 1株配当(円) | 配当性向(%) | 備考 |
| 2019年5月期 | 139.99 | 32.0 | 22.9 | 上場期。期中に予想27.5円→32円へ修正 |
| 2020年5月期 | 91.37 | 28.0 | 30.6 | 中間配当を開始(10円) |
| 2021年5月期 | 88.92 | 26.0 | 29.2 | 予想23円→26円に上方修正 |
| 2022年5月期 | 84.48 | 26.0 | 30.8 | |
| 2023年5月期 | 38.94 | 26.0 | 66.8 | 大幅減益でも配当を据え置き |
| 2024年5月期 | △86.22 | 22.0 | — | 土木・建築で大幅損失。26→22円に減配 |
| 2025年5月期 | 16.61 | 22.0 | 132.4※1 | DOE方針で配当を維持(※1参照) |
| 2026年5月期 | 68.37 | 25.0※2 | 36.6 | 予想22→23→25円。特別配当5円を含む(※2参照) |
| 2027年5月期(予) | 50.12 | 25.0 | 49.9 | 特別配当5円分を普通配当に組み込み |
※1【2025年5月期の配当性向132.4%について】同社の配当方針は配当性向ではなくDOEです。利益が落ち込んだ年でも、DOEの下限(2.5%)で配当を守った結果、配当性向が100%を超えたと考えられます。
※2【2026年5月期の25円配当について】期末に特別配当5円を含んでおり、普通配当は20円でした(決算短信P.1注記)。2027年5月期予想は全額普通配当25円のため、普通配当ベースでは25%の実質増配となります。
読み取りポイント
EPSは上場以降、長期的には右肩下がりで、2024年5月期には赤字・減配(26→22円)を経験しました。一方、DOE方針のもとで赤字翌期も配当を維持し、2026年5月期には特別配当を普通配当化する形で実質増配を予定しています。2027年5月期予想25円は、2026年5月期末の株主資本682.6億円(決算短信P.5、1株あたり約855円)に対しDOE約2.9%に相当し、中計の目安(2.5〜3.0%)の範囲内です。
このEPS推移から何が言えるか
このEPS推移から、三つの点が読み取れます。まず「配当の下支え」です。DOE方針により、株主資本が約680〜700億円ある限り、配当はおおむね21円(DOE2.5%)〜30円(DOE3.5%)のレンジで推移しやすい構造と考えられます。
次に「業績変動リスク」です。土木事業は2023〜2025年5月期に3期連続の大幅損失を出しており(中期経営計画P.3)、今期の予想も減益です。EPSが伸び悩めば、DOEの引き上げも足踏みする可能性があります。
最後に「今後の注目ポイント」です。中計は「収益回復を前提に」DOEを順次引き上げるとしています(中期経営計画P.22)。土木事業の採算回復が、増配シナリオの前提条件と言えるでしょう。
なるほど、「配当がぶれにくい仕組み」と「事業そのものの安定」は分けて考える必要があるのですね。土木事業の回復を、しっかり追いかけていきたいと思います。
所長×アナリスト対談
テーマ① 株主の50%が「安定銘柄」と回答──データはどう語るか
株主アンケートで「安定」と答えた方が50%もいらっしゃるのは、会社にとって嬉しい結果ですよね。ただ、先ほどのお話を伺うと、少し気になるところもあります。
はい。「安定」と答えた株主は50.0%で、前回の44.1%から上昇しています(株主アンケートP.11)。購入理由は配当利回りが圧倒的です(同P.5)。また株主数は14,552名(2024年)から23,186名(2025年11月)へ約1.6倍に増えており(同P.2)、高配当目当ての個人株主が急増したと考えられます。
それだけ多くの方が、配当を目当てに株主になっているということですね。
その通りです。ただ財務データを見ると、2024年5月期の赤字と減配、土木事業の3期連続損失、営業CFは直近4期中3期がマイナスと、「安定」とは言い切れない面があります。株主の皆さんが感じている「安定」は「配当額の安定」であって、「事業の安定」とは別物だと整理しておくことが大切です。
テーマ② 営業CFマイナス=ダメ会社?「売るための発電所」が営業CFに乗る会社の読み方
営業CFがマイナスというのは、本業でお金を稼げていないということでしょうか?高配当株としては心配になってしまいます。
通常はそう判断しますし、当ラボのスクリーニングでも見送り基準に該当します。ただ、この会社には特殊な事情があります。販売用不動産192.9億円と販売用発電設備164.1億円、合計約356億円を、固定資産ではなく流動資産(棚卸資産)に計上しているのです(決算短信P.4)。
棚卸資産ということは、いずれ売るための在庫、という扱いなのですね。
そうです。そのため発電所や不動産を積み増すと、投資CFではなく営業CFのマイナスとして表れる構造と考えられます。中計では関連事業の3カ年セグメント利益を約120億円とし、不動産の売却益64億円が最大の柱です(中期経営計画P.13)。キャッシュフロー計画でも「投資等回収によるC/F」を約360億円と見込んでいます(同P.21)。
機械的に数字だけで判断せず、バランスシートの中身まで見ることが大切なのですね。
おっしゃる通りです。ただし注意点もあります。「回収」が実現するまでは、配当の原資としては不安定なままです。実際、2026年5月期の営業CF▲45.7億円では配当支払額17.7億円を賄えていません。10年累計では営業CF約341億円に対し配当支払は約189億円で長期的には賄えていますが(IRBANK様)、回収の進捗は継続して確認が必要です。
テーマ③ DOE配当は高配当投資家の味方か──「減配したのに配当性向132%」の謎
2024年5月期に減配したのに、翌期は配当性向132%で配当を維持しているのが不思議に思えます。これはどういうことなのでしょうか?
DOEの特徴がよく表れた例です。DOEは株主資本を基準にするため、赤字の年でも配当がゼロになりにくいのが長所です。反面、利益が大きく増えても配当が急には増えにくいという面もあります。中計のDOE目安は、2026年5月期2.5%→2027年5月期2.5〜3.0%→2028年5月期3.0〜3.5%と段階的に引き上げる計画です(中期経営計画P.22)。
DOEで考えると、配当の見通しが立てやすくなりそうですね。
はい。DOE2.5%(下限)なら約21円、3.5%(上限)なら約30円で、配当レンジは21〜30円とイメージしやすくなります。一点、細かいですが読者の皆さんに気づいていただきたいのが、中計資料内でのDOE表記の揺れです。P.7では「3.0〜3.5%」、P.22では「2.5〜3.5%」と記載されています。また「増配コミット」ではなく、あくまで「順次引き上げを目指す」という表現である点も押さえておきましょう。
テーマ④ 土木事業は復活するのか──利益25百万円、受注▲39.5%、そして「報道されない」広島の陥没事故
土木に強いゼネコンと伺いましたが、その土木事業は今どのような状況なのでしょうか?
正直に申し上げると、まだ厳しい状況です。1Qの土木事業は売上94.5億円に対しセグメント利益は25百万円(前年同期比▲68.3%、利益率0.3%)でした(決算短信P.9)。中計目標の23億円(2028年5月期、中期経営計画P.9)はまだ遠い状況です。個別の土木受注も26.6億円(▲39.5%)で、通期予想400億円に対する進捗はわずか6.7%、土木の繰越高も601.7億円(▲16.5%)と減っています(決算短信P.12〜13)。
受注が減っているのは心配ですね。明るい材料はあるのでしょうか?
建築の民間受注は260億円(+207.9%)と急増しており、全体の繰越高は1,831億円あります(決算短信P.12〜13)。また再発防止策では「リスクを価格に転嫁できない場合は受注しない」方針を掲げているため(中期経営計画P.10)、土木受注の減少はこの選別の結果である可能性もあります。
もう一つ、ぜひお伝えしたいのが広島の陥没事故です。2024年9月26日、広島市西区福島町で、シールド機の掘進中に機内へ異常な出水が起き、数分後に道路が陥没しました。施工は清水・日本国土開発・広成建設の共同企業体で、日本国土開発は2番目に名を連ねています。陥没は東西約40m×南北約30m×最大深さ約2mに及び、建物19棟に被害が出て、一時46世帯86人が避難しました(広島市)。
博多や八潮の陥没は覚えていても、広島の件は初耳という方が多いのではないでしょうか。
人的被害がなかったため、報道は地元中心でした。ですが工事費は約167億円から約194億円に膨らみ、工期も令和10年3月から令和13年3月へと3年延びています(広島市様)。原因究明は学識経験者による検討委員会で進行中で、同社の決算短信も業績への影響は「現時点では合理的に見積もることは困難」としています(決算短信P.8)。原因の結論次第で費用負担が決まる「時限的な不確実性」と考えられます。
| 事故 | 原因 | タイプ | 日本国土開発への意味 |
| 博多駅前(2016年11月) | 地下鉄工事中のトンネル内出水 | 工事起因 | 広島と同型。施工者の責任と費用負担が論点になる |
| 埼玉・八潮(2025年1月) | 老朽下水道管の破損 | インフラ劣化 | 下水道の全国点検の契機に。中計の「インフラリニューアル」需要の追い風 |
| 広島(2024年9月) | シールド掘進中の出水 | 工事起因 | 業績リスクとして決算短信に記載 |
同じ「陥没」でも、この会社にとってはリスクにも機会にもなり得るのですね。ニュースより決算短信の「追加情報」のほうが正直、というわけですね。
まさにその通りです。大きく報道されないリスクは、決算短信の「追加情報」欄に書かれていることが多いのです。四半期ごとにこの欄をチェックすることが、高配当株を守る習慣になると考えられます。
テーマ⑤ 信用倍率19倍・支払利息+56%──高配当人気の裏に潜む需給と金利の罠
株価の動きや需給の面で、気をつけておいたほうがよいことはありますか?
二つあります。一つ目は需給です。信用買い残は1,255千株、信用倍率は19.11倍で、9月中旬の996千株から増え続けています。株価は全移動平均線を下回り、トレンドは下向きです(かぶたん様)。「高配当だから買う人が増える→信用買いが積み上がる→悪材料が出たときの売り圧力が大きくなる」という構図には注意が必要です。
二つ目は金利です。1Qの支払利息は108百万円から169百万円へ+56%増えました(決算短信P.6)。中計では借入残高を286億円から465億円へ増やす計画で(中期経営計画P.20)、金利上昇局面では利益を押し下げる要因になります。実際、経常利益の予想(57億円)が営業利益の予想(63億円)を下回っており、金融費用の重さがうかがえます(決算短信P.1)。
利回りの数字だけでなく、借入の増え方や信用残まで見ておく必要があるのですね。とても勉強になります。
その他
大株主・アクティビストリスク
有価証券報告書の大株主の状況(2026年5月31日現在)は次のとおりです。
| 順位 | 株主 | 持株比率 | 性格 |
| 1 | 日本マスタートラスト信託(信託口) | 8.36% | 信託口 |
| 2 | ザイマックスグループ | 7.28% | 不動産会社。事業上の関係が想定されます |
| 3 | みずほ信託(日本国土開発未来研究財団口) | 4.97% | 関連財団 |
| 4 | 従業員持株会 | 4.81% | 安定株主 |
| 5 | 西京銀行 | 4.10% | 取引先 |
| 6〜8 | アジア航測/日本基礎技術/須賀工業 | 計10.19% | 同業・取引先 |
上位株主にアクティビストは見当たらず、安定株主と取引先が中心のため、現時点のリスクは低いと考えられます。ただし、PBR0.57倍、自己株式が約9.85%(8,793千株)、現金223億円、そして中計の「政策保有株式の縮減」(中期経営計画P.22)と、物言う株主の関心を引きやすい条件はそろっています。自己株式の消却・追加取得の判断も今後の注目点です。
「人が資産」の観点(建設業として)
建設業では、人手不足の問題もよく耳にします。この会社はいかがでしょうか?
建設業にとって技術者の確保は生命線です。中計ではエンゲージメントスコア61.9pt→64pt、建設技術系資格の保有率63.1%→80%、4週8閉所100%を掲げています(中期経営計画P.16・P.18)。DOEの引き上げと「適正な給与水準の確保」(同P.18)を同時に掲げているため、収益回復が遅れた場合にどちらを優先するかが試される構図です。1Qの販管費は24.7億円(+15.6%)と、売上の減少に反して増えており(決算短信P.6)、人件費上昇の影響が出始めている可能性があります。
配当継続性スコア
評価ランクの凡例
S(○5つ):全項目良好。配当継続性について特段の懸念なし
A(○4つ△1つ):ほぼ良好。軽微な注意点あり
B(○3つ△2つ):概ね良好だが注意点あり。モニタリングが必要
C(○2つ以下または×あり):注意点が多い。投資前の慎重な検討が必要
D(×2つ以上):要注意。配当リスクが高い
※2026年7月より評価体系をS/A/A-/B+/B/B-/C+/C/C-/D/Eの11段階に変更しました。旧5段階(S/A/B/C/D)のA・B・Cの間にそれぞれ「+(プラス)、-(マイナス)」ランクを新設しています。これは、同一ランク内でも「条件が揃えば上のランクに相当する」銘柄と「下のランクに近い懸念がある」銘柄を区別するためです。たとえばB-は「Bの要件は満たすが、Cに近い注意点を抱えている」状態を示します。
| 評価項目 | 評価 | コメント |
| 配当の中身(普通配当か・継続性) | △ | 今期は全額普通配当25円で、特別配当を普通配当化した点は前向きです。一方、2024年5月期に26→22円の減配実績があります(IRBANK様)。DOEの下限で約21〜22円は下支えされる構造と考えられます。 |
| 本業の稼ぐ力 | △ | 建築事業は1Qセグメント利益19.8億円(+10.6%)と好調です。一方、土木事業は2023〜2025年5月期に3期連続の大幅損失(中期経営計画P.3)で、1Q利益も25百万円(▲68.3%)にとどまります(決算短信P.9)。今期予想も減益です。 |
| 財務の健全性 | ○ | 自己資本比率46.2%、D/E約0.50倍で、中計基準(40%以上・0.7倍以下)を満たしています。ただし借入残高を286億円→465億円へ増やす計画(中期経営計画P.20)で、今後は悪化方向が既定路線です。 |
| 配当の原資 | × | 2026年5月期の営業CFは▲45.7億円で、配当支払額17.7億円を賄えていません。直近5期の営業CFは平均で年▲18.8億円です。なお10年累計では営業CF約341億円に対し配当支払は約189億円で、長期では賄えています(IRBANK様)。 |
| 経営方針の透明性 | ○ | DOEの段階的引き上げ、ROEの年次目標、再発防止策(中期経営計画P.8・P.10)、株主アンケートの開示など、IRの姿勢は誠実と考えられます。減点要素として、四半期の説明資料がないこと、中計内でのDOE表記の揺れ、広島の陥没事故の影響が「合理的に見積もることは困難」(決算短信P.8)とされている点があります。 |
| 総合スコア | B | B(○2つ・△2つ・×1つ) ×が1つ(配当の原資)あるため本来はC帯の基準に該当しますが、DOE方針によって配当の下限が株主資本に紐づいている点を評価しBと判定しました。自己資本約717億円の厚みがある限り赤字の年でも配当が大きく削られにくく、実際に2025年5月期は配当性向132%でも配当を維持しています。また営業CFのマイナスには、将来売却して回収する販売用資産への投資が含まれている可能性があり、純粋な本業の赤字とは性質が異なると考えられます。 B+への格上げ条件:①土木事業の黒字定着(四半期でセグメント利益5億円以上が目安)、②関連事業の資産売却による営業CFのプラス転換。 |
ラボ独自考察:適正株価を考えてみた
⚠️ ご注意
※AIによる試算であり投資推奨ではありません。あくまで参考情報としてご覧ください。
評価手法:普通配当逆算法
計算式:想定配当(円)÷ 想定利回り(%)= 適正株価
普通配当:2027年5月期予想25円(全額普通配当)、特別配当・記念配当は今期なし
シナリオ別 適正株価試算
| シナリオ | 想定配当 | 想定利回り | 試算 適正株価 | 前提条件・備考 |
| 強気(DOE上限到達) | 30円 | 4.0% | 約750円 | 中計最終年度(2028年5月期)にDOE上限3.5%へ到達。株主資本約700億円×3.5%÷約80百万株≒30円 |
| 中立(会社予想をそのまま使用) | 25円 | 4.5% | 約556円 | 会社予想25円。中堅ゼネコン並みの要求利回り |
| 保守的(増配なし・現状維持) | 25円 | 5.0% | 約500円 | 25円据え置き。土木の不安が残り、市場が利回りプレミアムを上乗せする想定 |
| 弱気(DOE下限に後退) | 21円 | 5.5% | 約382円 | DOE下限2.5%×株主資本約680億円÷約80百万株≒21円 |
※中立と保守的は想定配当が同額(現在の普通配当=会社予想)のため、要求利回りの違いで差をつけています。
※弱気シナリオで「方針を曲げざるを得ない条件」:①広島の陥没事故で多額の損失が確定する、または土木事業の大型赤字が再発する、②その結果、中計の「収益回復を前提に順次引き上げ」(中期経営計画P.22)が撤回され、DOE下限2.5%に戻る、③赤字による株主資本の毀損が重なると、21円をさらに下回る可能性があります。
合理的レンジの根拠(2点セット確認)
| 根拠 | 計算・確認 |
| ①普通配当逆算法(中立シナリオ) | 25円 ÷ 4.5% = 約556円 |
| ②BPS × 適正PBR倍率 | BPS:898.79円(IRBANK様) PBR0.57倍 = 511円(現状) PBR0.6倍 = 539円(ROE5%台が続く場合) PBR0.7倍 = 629円(中計どおりROE8%に近づく途中段階) PBR0.8倍 = 719円(ROE8%の達成が見えてきた場合) 上場以降のPBRレンジは0.48〜1.21倍(IRBANK様) |
| 両者の一致確認 | ①中立シナリオ約556円と、②PBR0.7倍の約629円から、適正株価は550〜630円程度と考えられます。現株価511円はこのレンジの下限を下回り、保守的シナリオ(500円)付近に位置しています。 |
みんかぶ様の目標株価について
みんかぶ様の株価診断(理論株価)は「分析中・対象外」のため、比較軸の特定はできません。参考として、指標ごとに簡易試算すると次のとおりです。
| 試算方法 | 株価 |
| PER12倍×予想EPS50.12円 | 601円 |
| PBR0.7倍×BPS | 629円 |
| 利回り4.5%逆算 | 556円 |
目標株価687円はPBR0.76倍に相当し、これらより高めの水準です。アナリスト予想が「対象外」のため、個人予想(688円、買い89%)に大きく依存した数値と考えられます(みんかぶ様)。
全シナリオが崩れる条件(銘柄固有リスク)
| ! | 広島の陥没事故で多額の損失が確定し、株主資本が毀損するケース(DOEの下限配当そのものが縮小) |
| ! | 土木事業で大型の赤字工事が再発し、2024年5月期型の赤字に陥るケース |
| ! | 不動産市況の悪化や金利上昇で、販売用不動産・販売用発電設備(合計約356億円)の評価損や売却遅延が起き、「投資等回収C/F 360億円」の前提が崩れるケース |
| ! | 自己資本比率40%割れ、またはD/Eレシオ0.7倍超となり、成長投資と配当の両立が困難になるケース |
| ! | DOE方針の撤回・下限引き下げが行われるケース |
結論
① みんかぶ様の外部目標株価との比較
みんかぶ様の目標株価687円(現株価比+34%)は、アナリスト予想と株価診断が対象外のため、個人予想に依存した数値と考えられます。当ラボの中立シナリオ556円、BPS法629円と比べるとやや楽観的です。
② 当ラボが考える割高・割安感
511円は保守的シナリオ(500円)付近で、PBR0.57倍の割安圏です。ただしROE予想5.58%は資本コストを下回る可能性が高く、「理由のある割安」と考えられます。
③ 長期投資家への推奨視点(普通配当基準での評価)
DOE方針により、配当は21〜30円のレンジで下支えされる構造です。利回り約4.9%は魅力的です。一方で、営業CFで配当を賄えていない現状は、関連事業の資産「回収」が実現するまで続く可能性があります。配当の継続性はB評価が妥当と考えられます。
④ 強気シナリオの根拠
中計最終年度のDOE3.0〜3.5%(約26〜30円)、ROE8%目標(2026年5月期は7.66%と計画の3.0%を大きく上回る進捗)、建築の民間受注急増(+207.9%)、繰越高1,831億円、再エネのストック収益拡大(2030年に200MW目標)、そして国土強靭化・インフラ更新という国策の追い風が重なれば、増配シナリオが現実味を帯びると考えられます。
まとめ
- 2027年5月期予想配当は全額普通配当の25円で、普通配当ベースでは前期20円から25%の実質増配。配当利回りは約4.9%です。
- DOE方針(2.5〜3.5%)により、配当は株主資本に紐づいて21〜30円のレンジで下支えされる構造。自己資本比率46.2%・D/E約0.50倍と財務も中計基準内です。
- △ 営業CFは直近4期中3期がマイナスで、配当を賄えていません。販売用不動産・発電設備への投資が含まれる可能性はあるものの、「回収」の実現が前提です。
- △ 土木事業の低採算・受注減、広島の陥没事故(影響未定)、借入拡大と支払利息の増加、信用倍率19倍など、注意すべきリスクが複数あります。
- 💡 株主の5割が感じる「安定」は「配当額の安定」であり、「事業の安定」とは別物です。第2四半期決算(2027年1月頃)で中間配当10円と土木の採算を確認しながら、保有判断することが重要です。
出典・参照資料一覧
| No. | 資料名 | 備考 |
| 1 | 2027年5月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結) | 日本国土開発株式会社 |
| 2 | 中期経営計画(2025年7月公表) | 日本国土開発株式会社 |
| 3 | 株主アンケート結果 | 日本国土開発株式会社 |
| 4 | 有価証券報告書(大株主の状況、2026年5月31日現在) | 日本国土開発株式会社 |
| 5 | 株価情報・目標株価(みんかぶ様) | 1887 日本国土開発 株価情報(2026年10月23日時点) |
| 6 | 株式指標・配当情報・EPS推移・CF推移(IRBANK様) | 1887 日本国土開発 各種財務・配当データ |
| 7 | 株価・信用残・業績情報(かぶたん様) | 1887 日本国土開発 |
| 8 | 観音地区下水道築造3-1号工事の施工に伴う道路陥没事故について(広島市様) | 第1報・第10報・第13報 |
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情報基準日:2026年10月23日
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