2026年10月14日、アパレル大手のワールド(3612)とTSIホールディングス(3608、以下TSIHD)が経営統合を発表しました。2027年3月1日(予定)に、両社は同じ持株会社の完全子会社になります。
そこで気になるのが、「統合までの間に受け取れる配当は、どちらの株から入るかで違うのか?」という点です。調べてみると、計算上は約41円もの差が見えてきました。今回は所長と車野が、この差の正体と、数字の裏にある注意点を、できるだけ丁寧に整理していきます。
※本記事は特定の銘柄の売買をおすすめするものではありません。「どちらを買うべきか」ではなく、「何を比べるべきか」を考える材料としてお読みください。 ※数値は2026年10月16日の終値ベースです。株価は日々変わるため、記事内の差額や比率も日々変動します。
1.同じ未来に、2つの入口
所長ダル














2.統合の基本をおさらい






・株式移転比率:ワールド1株に対してIU株1株、TSIHD1株に対してIU株0.8株が割り当てられる予定です。
・上場廃止:両社とも2027年2月25日に東証での上場を廃止する予定です。
・新会社の上場:IUが2027年3月1日に東証プライム市場へ新規上場(テクニカル上場)する予定です。
いずれも「予定」で、両社の臨時株主総会(12月24日開催予定)での承認や、関係当局の許認可が前提になっています。






3.株価は統合比率どおりに並んでいる















4.今から受け取れる配当は、大きく違う






一方、ワールドは同じ条件で「1株あたり36円を限度」と合意されています。ワールドは中間配当をすでに支払っており、8月末に権利が確定済みですので、今から買って受け取れるのは期末の分だけです。






TSIHDの70円との差は、70円-28.8円=41.2円になります。TSIHDの株価(1,253円)に対しては、約3.3%に相当します。






【TSIHDを500株買う場合】
購入額は626,500円。3月1日に受け取るIU株は400株。受け取れる配当は、70円×500株=35,000円(税引前)。
【ワールドを400株買う場合】
購入額は625,200円。3月1日に受け取るIU株は同じく400株。受け取れる配当は、36円×400株=14,400円(税引前)。
購入額はほぼ同じで、受け取るIU株も同じですが、配当の差は約20,600円です。配当には20.315%の税金がかかりますので、税引後の差は約16,400円になります。






5.なぜこの差が残っているのか(リスクの整理)






①70円は「上限」であって、保証ではない
統合契約の文言は「70円を限度として配当を行うことができる」です。「必ず70円を払う」という約束ではありません。
TSIHDの2027年2月期は、年間の営業利益75億円という目標を掲げています。ところが、当ラボの概算では、上期の営業利益は計画に対して約17%下回っており、第2四半期単独では赤字だった可能性があります。目標に届くには、下期だけで営業利益約65億円(前年下期の約1.8倍)が必要とされています。ハードルは低くないと考えられます。






②統合が実現しなかった場合の下値リスク
統合が破談になった場合、両社は単独の会社に戻ります。当ラボの試算では、TSIHDの中立的な株価は1,222円で、現在の株価をやや下回ります。ワールドの適正レンジは1,500~1,700円で、現在の株価はその範囲内にあります。あくまで試算ですが、破談時に株価が下がる余地は、TSIHDのほうがやや大きいと考えられます。
統合契約には、移転比率の算定の基礎となる条件に重大な変更が生じた場合、両社が協議して比率を変更することがある、という条項もあります。12月24日の臨時株主総会で承認されるかどうかも、現時点では確定していません。






③配当の権利付最終日が、通常と異なる可能性
通常は、配当の権利を得る最終日(権利付最終日)まで株を買えば受け取れます。今回は、配当の基準日である2月末が、上場廃止予定日(2月25日)より後になります。
権利付最終日は、東証の規則で決まるため、現時点では確定していません。参考までに、一部の情報サイトには2027年2月24日と表示されていますが、統合発表前からの自動計算と見られ、確定情報ではありません。上場廃止日の前営業日が最終売買日となるのが一般的ですので、権利付最終日と最終売買日が近い、あるいは同じ日になる可能性もあります。日程には余裕がないかもしれません。この点は東証の発表を待ち、必ず証券会社などで確認する必要があります。






④単元未満株の問題
TSIHD株を100株持っていても、受け取るIU株は80株、つまり単元(100株)に届きません。TSIHD株が125株以上あれば、IU株が100株以上になり、単元に届きます。
単元未満になった場合も、東証では売却できませんが、会社に買い取りを請求したり、買い増して1単元にしたりする方法が用意される予定です。1株に満たない端数は、現金で精算されます。5の倍数の株数で持っていれば、端数は出ません(5株×0.8=4株)。「単元未満=損」と決めつける必要はありませんが、手続きが増える点は意識しておきたいところです。






⑤TSIHDの信用買い残の多さ
かぶたん様の情報では、TSIHDの信用倍率は24.35倍で、買い残は1か月でほぼ倍増しました。信用取引で買った分は、将来返済のために売られる可能性があります。株価の上値を抑える要因になるかもしれません。
⑥税金の扱い
株式移転で新会社の株を受け取る際は、一般的には課税されない扱いが多いとされています。ただ、端数の現金精算などは扱いが異なる場合もあります。個別の事情によって違いますので、証券会社や税務の専門家に確認していただくのが確実です。






6.配当がいくらまで減っても、差は残るのか






TSIHDの期末配当が約31円を上回る限り、配当面ではTSIHD側が上回る計算になります。当ラボの計算で、他のリスクは考えない単純比較です。






7.株主優待と、今後の日程






ワールドは、同じ株主番号で2回(6か月)以上続けて名簿に載っており、かつ100株以上持っている株主が対象です。8月末の名簿に載っていない方が今から買うと、2月末が初回になりますので、条件を満たさない見込みです。一方、TSIHDは、100株以上の保有で対象となり、保有期間は優待の冊数に影響する形です。
ただ、優待の価値は使い方で変わりますので、円に換算した比較は、あえてしていません。また、IU発足後の優待制度は、現時点では未定です。






・10月31日(土):臨時株主総会の議決権の基準日
・12月24日(木):両社の臨時株主総会
・2027年2月25日:両社の上場廃止
・2027年3月1日:IU設立、東証プライムに上場
ここで注意していただきたいのは、10月31日は総会の議決権の基準日であって、配当の基準日ではないという点です。10月31日が土曜日のため、議決権を得たい場合の買付期限は、10月末の週の中ほどになる見込みですが、正確な日付は証券会社の権利付最終日カレンダーで確認してください。


8.統合後の姿を、参考値で見てみる






IUが発行する新株は約1.22億株(121,858,487株の予定)です。203億円を割ると、1株あたり約167円になります。これは、ワールド単独の1株あたり利益(165~173円程度)と、ほぼ同水準です。
仮にIUがワールドと同じ水準の67円(中間31円+期末36円)を配当した場合、配当性向は約40%になり、ワールドの現在の方針と整合する数字です。なお、統合リリースでは、IUは配当性向またはDOE(株主資本配当率)を目安とした累進的な配当政策を基本方針にする予定とされています。






9.弱った者同士の統合か、補完し合う統合か






一方で、両社は「ブランドの顧客層や販路、価格帯がほとんど重ならない」と説明しています。ストリートやアメカジに強いTSIHDのブランド力と、ワールドの外部向けプラットフォームやリサイクル関連の事業が、補い合えるという考え方です。物流やシステムの共通化によるコスト削減も、期待されています。






10.入口ごとの「向き不向き」を整理する






【TSIHD側の入口が合いやすいと考えられる人】
・統合が成立する可能性は高いと考え、統合までの配当差を重視する人
・5の倍数の単元で買える資金がある人
【ワールド側の入口が合いやすいと考えられる人】
・破談時の下値や、本業の質を重視する人
・単元未満株の手間を避けたい人
・統合会社の中核となる側の株を持ちたい人
【すでにワールド株を持っている人】
理屈の上では、乗り換えも選択肢になり得ます。ただし、売買手数料、売却益への課税、価格変動のリスクがあります。ご自身で十分に検討したうえで、必要なら専門家にもご相談ください。






11.まとめ(結論ボックス)






① 価格面
株価は統合比率どおりに並んでおり、差は2.6円ほどです。市場は2社をほぼ同じ価値と見ていると考えられます。
② 配当面
今から受け取れる配当は、TSIHDから入るほうが約41円多い計算です(株価比で約3.3%)。ただし70円は「上限」であり、保証ではありません。
③ リスク面
この差には、70円の確度、破談時の下値、権利付最終日の未確定、単元未満株、信用買い残などの「リスクの値段」が、一部含まれている可能性があります。
④ 長期投資家の視点
3月1日以降は、同じIU株になります。長期の配当は、IUの配当方針(累進配当を基本方針とする予定)次第です。入口選びは「統合までの短期の損得」と割り切って考えるのがよさそうです。






【出典・データについて】
・株価:みんかぶ様(2026年10月16日終値ベース)
・信用取引の状況:かぶたん様
・財務データ等:IRBANK様、両社の決算短信
・統合に関するリリース(2026年10月14日開示)
・上記数値のうち「当ラボ計算」「当ラボ試算」と記載したものは、公開情報をもとに当研究所が算出した参考値です。
免責事項
■投資に関する免責事項 本記事は、情報提供を目的として作成したものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任と判断で行ってください。本記事の情報に基づいて生じたいかなる損失・損害についても、当研究所および執筆者は責任を負いかねます。
■AIによる作成に関する注意事項 本記事は、AI(人工知能)を活用して作成しています。内容の正確性には十分配慮していますが、誤りや最新でない情報が含まれる可能性があります。重要な判断の際には、必ず企業の公式開示資料や証券会社などの一次情報をご確認ください。
■数値・予定に関する注意事項 記事内の株価・配当・日程などは、2026年10月16日時点(一部は10月17日時点)の公開情報に基づくものであり、すべて予定・予想を含みます。統合の日程や条件、配当、株主優待の内容は、今後変更される可能性があります。「当ラボ計算」「当ラボ試算」とした数値は、公開情報をもとにした簡易的な参考値であり、将来の成果を保証するものではありません。権利付最終日など未確定の事項は、東京証券取引所や各社の発表をご確認ください。
■税務・手続きに関する注意事項 税金の扱いや単元未満株の手続き等は、個別の状況によって異なります。具体的な取り扱いは、ご利用の証券会社や税務の専門家にご確認ください。
■登場人物について 本記事に登場する「車野蔵人」および「所長」は、記事を分かりやすくするために設定した架空の人物です。実在する人物・団体等とは一切関係ありません








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