今回は、建築断熱用硬質ウレタンフォーム大手「日本アクア(1429)」の2026年12月期 中間期決算について、継続チェックの観点から確認していきます。
所長ダル








① 会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 株式会社日本アクア(Nippon Aqua Co., Ltd.) |
| 証券コード | 1429(東証プライム) |
| 設立年月日 | 2004年11月29日 |
| 代表者 | 代表取締役社長 中村 文隆 |
| 本店所在地 | 東京都港区港南2-16-2 太陽生命品川ビル20階 |
| 主な事業 | 建築断熱用硬質ウレタンフォームの開発・製造・販売・施工/住宅省エネルギー関連部材の開発・製造・販売 |
| 主力製品 | アクアフォーム、アクアフォームNEO/LITE、アクアモエンNEO、アクアハジクン、U-MAX(新) |
| 資本金 | 19億3百万円 |
| 従業員数 | 765名(単体、2026年6月末現在) |
| 時価総額 | 267億3,044万円(’26/8/7時点、IRBANK様) |
| 決算期 | 12月期(非連結) |
| 現在株価 | 769円(’26/8/7終値、みんかぶ様・かぶたん様) |
| 事業の特徴 | 現場発泡ウレタン原料の国内シェア約44.4%(2023年度出荷金額ベース)。原料調達から施工・リサイクルまで一気通貫 |
出典:決算短信、決算説明資料(p10・p29・p31・p32)、みんかぶ様、IRBANK様、かぶたん様
なお、2013年マザーズ上場、2018年東証一部、2022年プライム市場移行という沿革をたどっています(説明資料p31)。2025年度は「JPX日経中小型株指数」の構成銘柄に選定されています(短信5ページ)。






② 主要財務指標
中間期実績(’26年1月1日〜6月30日)
| 指標 | 前中間期(’25年12月期) | 当中間期(’26年12月期) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 15,983百万円 | 16,972百万円 | +6.2% |
| 売上総利益 | 3,492百万円 | 3,838百万円 | +9.9% |
| 売上総利益率 | 21.9% | 22.6% | +0.8pt |
| 営業利益 | 1,091百万円 | 1,179百万円 | +8.0% |
| 経常利益 | 1,102百万円 | 1,150百万円 | +4.4% |
| 中間純利益 | 748百万円 | 755百万円 | +1.1% |
| 1株当たり中間純利益 | 23.44円 | 23.48円 | +0.2% |
| 営業CF | 880百万円 | 1,431百万円 | +62.6% |
財政状態
| 項目 | 前期末(’25年12月) | 当中間期末(’26年6月) |
|---|---|---|
| 総資産 | 25,810百万円 | 25,557百万円 |
| 純資産 | 11,633百万円 | 11,278百万円 |
| 自己資本比率 | 45.1% | 44.1% |
| 有利子負債(短期借入金) | 4,800百万円 | 5,000百万円 |
| 現預金 | - | 2,758百万円 |
通期予想・株主還元関連
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 通期売上高予想 | 37,000百万円(+9.9%) | 短信1ページ |
| 通期営業利益予想 | 2,900百万円(+4.5%) | 短信1ページ |
| 通期経常利益予想 | 2,910百万円(+4.1%) | 短信1ページ |
| 通期当期純利益予想 | 1,972百万円(+4.1%) | 短信1ページ |
| EPS(予想) | 61.84円 | 短信1ページ |
| BPS | 350.72円 | IRBANK様 |
| ROE(予想) | 17.48% | IRBANK様 |
| 年間配当予想 | 35.00円(期末一括) | 修正なし(短信1ページ) |
| 配当性向(予想ベース) | 約56.6% | 35円÷61.84円(当方試算) |
| 配当利回り | 4.55%(株価769円) | みんかぶ様・IRBANK様 |
| PER(予) | 12.54倍 | IRBANK様 |
| PBR | 2.19倍 | IRBANK様 |
| みんかぶ様目標株価 | 752円 | みんかぶ様 |
※配当予想の修正は「無」です(短信1ページ)。中間期末配当は0.00円で、従来どおり期末一括払いとなっています。









③ 継続チェックメモ項目評価
毎回チェックする基本項目
| チェック項目 | 前回実績(’25年12月期) | 当中間期 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 33,670百万円 | 16,972百万円(+6.2%) | ○ |
| 経常利益 | 2,794百万円 | 1,150百万円(+4.4%) | ○ |
| 経常利益率 | 8.3% | 6.8%(前年同期6.9%) | △ |
| EPS | 59.42円 | 23.48円(前年23.44円) | △ |
| 売上総利益率 | 23.0% | 22.6%(前年同期21.9%) | ◎ |
| 営業CF | 1,510百万円 | 1,431百万円(配当支払1,127百万円) | ○ |
| 年間配当予想 | 35円(累進配当) | 35円・修正なし | ○ |
売上高は中間期計画15,921百万円に対し+1,051百万円の上振れ着地で、前年比・計画比ともに上回っています(説明資料p13)。一方でEPSは+0.2%とほぼ横ばいで、経常+4.4%に対し最終利益の伸びが鈍いのは法人税等が357百万円→393百万円へ増加したことが主因と考えられます(短信8ページ)。
今回の最大の評価点は売上総利益率です。注意点①(ナフサ)の最重要指標が前年同期比で0.8pt改善しました。後述のとおりナフサ価格が過去最高を大幅に更新するなかでの改善であり、素直に評価できる内容と考えられます。営業CFも1,431百万円と前年同期880百万円から大幅に改善し、棚卸資産の減少235百万円、売上債権の減少308百万円が寄与しています(短信9ページ)。
基本項目は増収増益・配当据え置き・営業CF改善と、おおむね良好な内容です。売上総利益率の改善は特筆に値します。ただし経常利益率とEPSが△判定にとどまり、利益の伸びが売上の伸びに追いついていない点は留意が必要と考えられます。
注意点①:ナフサ価格リスク
| チェック項目 | 実績 | 評価 |
|---|---|---|
| ナフサ輸入CIF価格に急騰の兆しはないか | Jun 2026速報値121,981円/kl(説明資料p9)。前回確認時の約63,663円/klから約1.9倍、過去最高84,817円/kl(May 2022)を約44%上回る | × |
| 売上総利益率が前年比で大幅低下していないか | 22.6%(前年同期比+0.8pt改善)。20%割れ警戒ラインからは距離あり | ◎ |
| 為替が大幅な円安方向に動いていないか | 米ドル月中平均160.8円(Jun 2026)。米ドル感応度0.898と高い | × |
| 原料調達先の多様化・備蓄状況に言及はあるか | 国内シェア約44.4%の調達力、米・日・韓・西・独・中など複数国サプライヤー体制、全国26の備蓄拠点を明示(説明資料p10・p11) | ◎ |
| 原料高騰分を施工単価へ転嫁できているか | 2026年6月より販売価格改定を実施(短信4ページ)。戸建部門の価格効果+5.8%、施工単価YoY+6% | ◎ |
原料指標そのものは完全に警戒領域に入りましたが、粗利率は逆に改善しました。これは①価格改定(6月実施のため中間期にはわずか1か月分しか寄与していない)、②備蓄在庫による調達コストのタイムラグ、③原料販売部門の利ざや拡大、が重なった結果と考えられます。会社も説明資料p11で一気通貫体制を図示したうえで「現時点で業績予想の修正は不要と判断」と明記しています。
裏を返せば、高値で仕入れた原料が原価に乗ってくるのは下期以降です。価格改定の効果がこれを上回れるかどうかが7〜12月の最大の焦点になると考えられます。


















総合判定は△(構造は良好、ただし最大級の警戒継続)と考えられます。原料指標は完全に警戒領域ですが、調達力・備蓄・価格転嫁という3つの防御策が実際に機能していることが数字で確認できました。次回Q3決算では「売上総利益率22%台の維持」を最優先で確認すべき項目と考えられます。
注意点②:配当性向の高さと累進配当方針の持続性
| チェック項目 | 実績 | 評価 |
|---|---|---|
| 配当性向は70%を超えていないか | 通期予想ベースで35円÷61.84円=約56.6%。前回分析時の約59%から低下 | ○ |
| 累進配当制度・配当性向方針に変更・修正の言及はないか | 短信5ページで累進配当制度の導入を改めて記載。「安定的な株主還元方針に変更はありません」と明言。配当予想の修正も無 | ○ |
| 営業CFは配当総額を上回っているか | 営業CF1,431百万円>配当金支払額1,127百万円(カバー率約1.27倍)。前年同期は880百万円<1,084百万円でマイナスカバー | ○ |
| EPS予想が前年実績を大幅に下回っていないか | 61.84円(前年59.42円比+4.1%)。40円台の警戒ラインからは距離あり | ○ |
配当性向・CFカバー率ともに前回より改善しており、この注意点は優先度を下げてよい段階に入ったと考えられます。一方で、配当は34円→35円→35円(予想)と据え置きであり、「累進=減配しない」は守られているものの「増配」は止まっている点は押さえておきたいところです。中間純利益+1.1%という水準では、大幅増配の原資が生まれにくい構図と考えられます。


















総合判定は○(懸念は前回より後退)と考えられます。配当性向56.6%、営業CFカバー率1.27倍、累進配当方針の明文維持と、3点そろって前回より改善しました。一方で増配は止まっており、配当の「水準維持」は堅い一方「成長」は当面期待しにくい構図と考えられます。
継続ウォッチ①:GX ZEH義務化の進捗
| チェック項目 | 実績 | 評価 |
|---|---|---|
| GX ZEH義務化の延期・撤廃・見直しはないか | 短信2ページで2027年4月からの断熱等級「6」引き上げ予定を明記。説明資料p18のロードマップでも2027年Q2からの適用開始を図示。変更・延期の言及なし | ◎ |
| 断熱等級6の受注比率は増加傾向にあるか | 通期目標「約25%」は維持(説明資料p5・p18)。ただし中間期時点の実績値は非開示 | - |
| 気密測定サービスの施工比率は増加しているか | 2026年約40%予想を維持。「大きく伸長」との定性記述のみで中間期実績の比率は非開示 | - |
| 高等級案件の施工単価は実際に上昇しているか | 戸建部門の施工単価YoY+6%(Q1+3%→Q2+8%と加速)、価格効果+5.8%。施工棟数は+1.8%(説明資料p19) | ◎ |
| 「まるっとアクアフォーム」の受注拡大状況 | ウレタン断熱ボード「U-MAX」の自社製品化を2026年7月9日公表(短信4ページ)。東レグループ(一村産業)と業務提携し国内外4拠点体制を計画、2029年に売上100億円計画 | ◎ |
単価上昇が実証された点は強気シナリオの前提を補強します。一方で、等級6比率・気密測定比率という進捗を測る2つの数値が中間期に開示されなかったため、「20%未満なら強気シナリオ見直し」という判定は今回下せません。Q3または通期決算での実績値開示を必須確認項目とします。


















総合判定は○(政策・単価は良好、比率の実績開示待ち)と考えられます。政策の確度と単価上昇の実証という2点は確認できた一方、断熱等級6比率と気密測定比率の中間期実績が非開示のため、浸透度は未確認の状態です。数字が出るまで強気シナリオは「土台は確認済み、進捗は未確認」と整理しておくのが妥当と考えられます。
継続ウォッチ②:建築物部門の回復状況
| チェック項目 | 実績 | 評価 |
|---|---|---|
| 建築物部門売上高は前年比プラスを維持しているか | 4,542百万円、前年同期比▲5.7%(▲273百万円)(説明資料p20) | × |
| 着工遅延の主因は改善方向にあるか | 減収理由は「大型案件が基礎工事段階にあり、施工面積の減少で前年同期比減収」。短信2ページでも「2026年度後半以降、主に2027年以降に本格化する見通し」と記載 | △ |
| 受注残高・受注高に回復の兆しはあるか | 具体的な開示なし。定性的に「データセンターや商業施設、高層マンション等の案件を着実に施工」(短信2ページ) | - |
| アクアモエンNEOの施工拡大に進捗はあるか | 説明資料p18のロードマップで「施工の比重拡大」は2026年Q4以降の施策と位置づけ。中間期の進捗記載なし | △ |
| データセンター・半導体工場など大型物件の受注状況 | データセンター案件に加え、中東情勢下のウレタン原料供給不安により他社施工業者からの切り替え案件を獲得(説明資料p20) | ○ |
前年同期比では減収ですが、中間期計画4,274百万円に対しては+268百万円(+6.3%)の超過です。売上総利益は997百万円と計画830百万円を+20.1%上回り、粗利率も22.0%(計画19.4%)と大きく上振れています。「量」は前年割れだが「質」は改善という組み合わせであり、下振れの原因が需要減退ではなく工程進捗のタイミングにある限り、×とまでは言えないと考えられます。
ただし通期計画10,948百万円(前年9,896百万円比+10.6%)に対する進捗は41.5%で、下期に6,406百万円(残り58.5%)を積む必要があります。この達成可否が分水嶺になると考えられます。


















総合判定は△(前年割れだが計画は超過、質は悪化していない)と考えられます。前年比▲5.7%という数字だけを取れば×ですが、計画比+6.3%・粗利率22.0%(計画19.4%)という質の指標は改善しています。メモの「2期連続前年割れなら回復シナリオ再評価」は引き続き有効と考えられます。
継続ウォッチ③:防水部門の拡大継続
| チェック項目 | 実績 | 評価 |
|---|---|---|
| 防水部門売上高は成長継続しているか | 563百万円、前年同期比▲10.0%、計画比▲25.8%(▲196百万円)。通期予想2,096百万円に対する進捗は26.9%(説明資料p21) | × |
| 非住宅分野の受注が拡大しているか | 非住宅338百万円は前年396百万円比▲58百万円、計画559百万円比▲221百万円。ただし引き合いは増加中との記載あり | × |
| FUKUGEN工法の認知度向上に言及はあるか | 短信2ページで防水性と遮熱性を兼ね備えた工法として市場優位性を高めている旨を明記。工場等の熱中症対策としての遮熱ニーズにも言及 | ○ |
| 防水事業の収益性は改善しているか | 売上総利益率14.6%(前年同期9.6%、+5.0pt)。ただし2026年目標19.9%(計画19.6%)には未達 | ○ |
未達の主因は「中東情勢の影響等を背景に、他社事情による前工程作業の遅れや関連資材の供給制約により、着工時期にずれが生じた」(短信2ページ)とされ、需要減退ではなく供給側要因と説明されています。ポジティブ材料として、国家的重要施設の受注確定を契機に同種施設・工場改修案件の引き合いが増加しているとされ、会社は通期計画に対して概ね順調との認識を示しています。
ただし通期2,096百万円を達成するには下期に1,533百万円(進捗残73.1%)が必要で、Q3計画574・Q4計画762(合計1,336百万円)を積み上げてもなお不足する計算になります。通期計画の未達は現時点で相応に織り込むべきと考えられます。もっとも防水部門の売上は全体の3.3%、粗利は2.1%にすぎず、全社業績への影響は限定的です。
総合判定は×(今回決算で最も評価の低い部門)と考えられます。粗利率が9.6%から14.6%へ+5.0pt改善した点は前進ですが、通期計画の達成には計画上の積み上げをもってしても届かない計算です。「新たな収益の柱」という位置づけは、少なくとも1年後ろ倒しになった可能性があると考えられます。
引き続き良好なら安心できる項目
| 項目 | 維持ラインの目安 | 当中間期 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 自己資本比率 | 40%以上 | 44.1%(前期末45.1%) | ○ |
| ROE | 15%以上 | 予想17.48%(IRBANK様) | ○ |
| 施工人員数 | 年+100名ペース | 認定施工店数の開示なし(工務社員265名、外国人特定技能・技能実習生166名) | - |
| 累進配当方針 | 変更なし | 維持中・変更の言及なし | ○ |
| EPS(予想) | 前年比プラス | 61.84円(据え置き) | ○ |
| 売上高成長率 | +10.8%トレンド | 通期予想+9.9% | △ |
自己資本比率は44.1%と1.0pt低下しましたが、これは配当支払1,127百万円により利益剰余金が減少したことが主因であり(短信3ページ)、資産の劣化ではありません。35%の危険水域からは十分な距離があります。
施工人員については、説明資料p16で2026年6月時点の認定施工店の人数が空欄となっており、合計人数が算出できませんでした。工務社員は267名→265名とほぼ横ばい、外国人特定技能・技能実習生は135名→166名と+31名です。技能実習生には法に基づく一時帰国があるため、6月時点の数値は期末と単純比較できない点に留意が必要です。次回、年末時点で1,350名前後に達しているかを確認します。
また、短期借入金は4,800百万円→5,000百万円と+200百万円増加しています(短信7ページ)。総資産比19.6%で、現預金2,758百万円に対し借入超の状態が続いており、今後は「使途」とセットで確認すべき項目と考えられます。
即座に見直しが必要なシグナル(該当チェック)
| シグナル | 判定 |
|---|---|
| 年間配当の減配予告・累進配当方針の変更 | 該当なし |
| 売上総利益率が20%を下回る | 該当なし(22.6%) |
| EPS予想が40円台以下 | 該当なし(61.84円) |
| 営業CFが2期連続マイナス | 該当なし(+1,431百万円) |
| GX ZEH義務化の延期・撤廃の正式決定 | 該当なし |
| 建築物部門が前年比▲20%超の大幅減収 | 該当なし(▲5.7%) |
| 自己資本比率が35%を下回る | 該当なし(44.1%) |
ナフサ価格ウォッチメモ(更新)
| 確認日 | ナフサCIF価格(円/kl) | 判定 | 所見 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月時点 | 約63,663(2025年12月速報値) | 参考値 | 前回分析時 |
| 2026年8月時点 | 121,981(Jun 2026速報値) | × | 説明資料p9。過去最高84,817(May 2022)を約44%上回る。米ドル160.8円も同時に円安方向。原料購入単価指数は201.2(2014年1月=100)と過去最高 |
即座の見直しを要するシグナルは点灯していないと考えられます。財務健全性・ROE・配当方針はいずれも良好な水準を維持しています。ただし原料指標そのものは観測史上最高値を大幅に更新しており、下期の粗利率が同社の耐性を測る試金石になると考えられます。
部門別売上(中間期/百万円)
| 部門 | 売上高 | 前年比 | 計画比 | 通期進捗 | 評価 |
|---|---|---|---|---|---|
| 戸建 | 8,125 | +7.6% | +1.7% | 47.5% | ◎ |
| 建築物 | 4,542 | ▲5.7% | +6.3% | 41.5% | △ |
| 防水 | 563 | ▲10.0% | ▲25.8% | 26.9% | × |
| 原料販売 | 1,269 | +43.4% | +28.4% | 53.4% | ◎(一過性懸念) |
| 副資材・機械・その他 | 2,473 | +17.3% | +29.5% | 55.2% | ◎(一過性懸念) |
出典:決算説明資料p25「業績概要」


















④ 配当継続性スコア(5項目評価)
| 評価項目 | 評価 | 前回→今回 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 配当の中身 | ○ | ○→○ | 全額普通配当35円。記念・特別配当の混入なし。累進配当制度に基づく期末一括払い。2018年10円→2026年35円と継続的に水準を切り上げてきた実績(説明資料p37) |
| 本業の稼ぐ力 | △ | ○→△ | 増収増益は確保したが、増収の主因が原料販売(+43.4%)と副資材・機械・その他(+17.3%)であり、いずれも中東情勢下の調達優位性という一過性要因の色彩が濃い。主力の建築物(▲5.7%)・防水(▲10.0%)は前年割れ。中間純利益+1.1%、EPS+0.2%と最終利益はほぼ横ばい |
| 財務の健全性 | ○ | ○→○ | 自己資本比率44.1%、有利子負債5,000百万円(総資産比19.6%)。ROE予想17.48%と株主資本コスト(同社推計5.6%)を大幅に上回る(説明資料p35) |
| 配当の原資 | ○ | ○→○ | 営業CF1,431百万円>配当支払1,127百万円(カバー率1.27倍)。配当性向56.6%。前年同期のCF不足状態から改善 |
| 経営方針の透明性 | ○ | ○→○ | 累進配当制度を短信本文で明記。中期経営計画の目標修正とその理由を開示。資本コスト・ROE・PBRの分解分析を説明資料p35で自主開示 |
A→A-(一段引き下げ)
数値そのものは前回より改善している項目が多く(粗利率+0.8pt、営業CFカバー率のプラス転換、配当性向の低下)、財務・還元姿勢に不安はありません。にもかかわらず一段引き下げるのは、「本業の稼ぐ力」を△としたためです。
△の理由は増収の内訳にあります。全社+989百万円の増収のうち、原料販売+384百万円と副資材・機械・その他+364百万円で748百万円(76%)を占めます。この2部門は中東情勢によるウレタン原料供給不安のなかで拡大したもので、供給不安が解消すれば剥落する性質の売上と考えられます。本来の主戦場である建築物・防水の2部門が同時に前年割れとなったことと合わせ、収益の質という観点では慎重に見るべきと考えられます。
一方でA-にとどめA以下に落とさなかった理由は3点です。第一に、剥落リスクのある部門を除いても戸建部門が単価主導で+7.6%成長しており、GX ZEH本番前の値上げ浸透が実証されたこと。第二に、ナフサが過去最高を44%上回るという極端な環境下で粗利率を改善させ、一気通貫体制という同社の強みが機能することを実地で証明したこと。第三に、配当の原資(営業CF)が前年同期の不足状態から明確に改善したことです。
次回A復帰の条件は、下期に売上総利益率22%台を維持し、かつ建築物部門が通期計画10,948百万円を達成することと考えられます。逆に、粗利率が21%を割り込むか、原料販売部門の反動減が全社増益を打ち消す場合はB+への引き下げを検討することになります。
クリックして評価ランクの説明を見る
S:非常に優れている/A:優れている/A-:Aの要件を満たすがBに近い注意点がある/B+:Bの要件を満たしAに近い水準にある/B:良好/B-:Bの要件を満たすがCに近い注意点がある/C+:Cの要件を満たしBに近い水準にある/C:やや懸念がある/C-:Cの要件を満たすがDに近い注意点がある/D:懸念が大きい/E:重大な懸念がある
※評価体系をS/A/A-/B+/B/B-/C+/C/C-/D/Eの11段階に変更しました。旧5段階(S/A/B/C/D)のA・B・C・Dの間にそれぞれ「+(プラス)-(マイナス)」ランクを新設しています。これは、同一ランク内でも「条件が揃えば上のランクに相当する」銘柄と「下のランクに近い懸念がある」銘柄を区別するためです。たとえばB-は「Bの要件は満たすが、Cに近い注意点を抱えている」状態を示します。
⑤ 適正株価試算(普通配当逆算法)
前提:現在株価769円(’26/8/7終値)、予想配当35円、現在利回り4.55%、予想EPS61.84円。過去の期末株価と配当から逆算した実績利回りは、2023年3.61%(887円/32円)、2024年4.40%(772円/34円)、2025年4.06%(863円/35円)で、3年平均は約4.0%です(説明資料p37より算出)。現在の4.55%は過去平均より高く、株価が相対的に安い位置にあることを示唆します。
シナリオ別試算
| シナリオ | 想定配当額 | 想定利回り | 適正株価(計算式) | 適正株価 | 現株価比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 強気 | 38円(2027年4月のGX ZEH適用でEPS70円台へ。U-MAXが2027年売上30億円計画を達成し、累進配当のもと3円増配) | 4.0% | 38÷0.040 | 約950円 | +23.5% |
| 中立 | 35円(会社予想の配当そのまま) | 4.0% | 35÷0.040 | 約875円 | +13.8% |
| 保守的 | 35円(増配なし・現状維持) | 4.55% | 35÷0.0455 | 約769円 | ±0% |
| 弱気 | 25円(累進配当方針を撤回し配当性向50%へ移行) | 5.0% | 25÷0.050 | 約500円 | ▲35.0% |
弱気シナリオ:「方針を曲げざるを得ない前提条件」
以下が複合的に発生した場合に限られると考えられます。
- ナフサ121,981円/kl水準が2027年まで常態化し、6月の価格改定でも吸収しきれず売上総利益率が20%を割り込む
- その結果、経常利益が2,910百万円→2,000百万円程度(▲31%)へ低下し、EPSが49円前後まで下落する
- 加えて建築物部門の大型案件が2027年もずれ込み、下期偏重の利益回収シナリオが崩れる
- この状況下で短期借入5,000百万円の借換えコストが上昇し、配当総額1,127百万円の維持がCF上困難になる
この場合、配当性向50%を適用すると49円×50%=約25円。減配銘柄としてリスクプレミアムが乗り、要求利回りが5.0%へ切り上がる想定です。なお同社は累進配当制度を短信本文で明文化しているため、このシナリオの実現には「方針撤回」という重大なイベントを伴う点にご留意ください。
BPS×適正PBR倍率(2点セット確認)
BPS:350.72円(IRBANK様、’26/8/7時点)
| PBR倍率 | 適正株価(計算式) | 位置づけ |
|---|---|---|
| 2.19倍(現状) | 350.72×2.19 = 768円 | 現在の実績PBR=現株価水準 |
| 2.3倍 | 350.72×2.30 = 807円 | 過去6年レンジ(2.3〜3.3倍)の下限 |
| 2.4倍 | 350.72×2.40 = 842円 | 2025年実績値 |
| 3.0倍 | 350.72×3.00 = 1,052円 | 2023年水準 |
普通配当逆算法(中立)875円と、BPS×適正PBR(2.3〜2.4倍)807〜842円は、約807〜875円のレンジに収れんします。現株価769円はこのレンジを下回っており、やや割安圏にあると考えられます。ただしBPSは中間期に配当支払で純資産が355百万円減少しているため、期末に向けて利益積み上げでBPSが回復する点も考慮が必要です。
信用需給ウォッチ
| 日付 | 売り残(千株) | 買い残(千株) | 信用倍率 |
|---|---|---|---|
| 07/03 | 57.3 | 575.4 | 10.04 |
| 07/10 | 69.3 | 502.6 | 7.25 |
| 07/17 | 54.6 | 499.2 | 9.14 |
| 07/24 | 47.1 | 517.5 | 10.99 |
| 07/31 | 49.1 | 510.6 | 10.40 |
出典:かぶたん様(’26/8/7時点)
信用倍率10.40倍は高水準で、買い残の整理は進んでいません。買い残510.6千株は発行済株式数34,760千株の約1.47%で2%の警戒目安内ですが、8月7日の出来高206,300株の約2.5日分にあたり、決算翌日の商いでも吸収しきれない規模です。買い残が厚く売り残が薄い状態では、上値で利益確定売りが出やすく、買い戻しによる踏み上げも期待しにくいと考えられます。好決算にもかかわらず8月7日の上昇が+1.32%にとどまった背景の一つと考えられます。





















全シナリオが崩れる条件
- 売上総利益率が20%を割り込んだ場合——ナフサ121,981円/klの高値仕入分が下期原価に乗り、6月の価格改定でも吸収しきれない事態。全シナリオが「調達力による原料耐性」を土台としているため、根拠そのものが失われます
- GX ZEH(2027年4月・断熱等級6)の延期または撤廃が正式決定された場合——強気シナリオの単価2.0〜3.0倍という前提が消滅します
- 累進配当制度の撤回・見直しが言及された場合——配当逆算法そのものが成立しなくなります
- 建築物部門の通期計画10,948百万円が大幅未達(▲15%超)となった場合——「基礎工事段階だから遅れている」という説明が「需要そのものが消えた」に変わることを意味します
- 中東情勢の正常化に伴い原料販売・副資材部門が急減した場合——今期増収の76%を占めた部門が剥落し、建築物・防水の回復が間に合わなければ通期37,000百万円の達成が困難になります
- 短期借入5,000百万円の調達環境が悪化した場合——国内金利上昇局面で借換えコストが上がると、配当と成長投資の両立が難しくなります
まとめ

































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情報基準日:2026年8月7日
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
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