【ホテルREIT月次レポート2026年7月 第二弾】~霞ヶ関ホテルリートはRevPAR+20%、星野は横ばい――7銘柄が示す「ホテル一括り」の限界

2026年7月のホテルREIT月次調査、第二弾です。

第一弾では、ジャパン・ホテル・リート、インヴィンシブル、いちごホテルリート、スターアジア、投資法人みらいの5銘柄を確認しました。

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その結果見えてきたのは、ホテル市場全体が一様に悪化しているというより、

大阪の一部ホテルでは万博反動以上の弱さが見られる一方、札幌・福岡・東京・名古屋などでは堅調なホテルも多い

という状況でした。

今回は残る2銘柄、星野リゾート・リート投資法人と霞ヶ関ホテルリート投資法人の7月実績を加えます。

7銘柄がそろったことで、ホテルREITを「インバウンド関連」というひと括りで見る難しさが、さらに見えてきました。


目次

霞ヶ関ホテルリート――RevPARは前年同月比+20.5%

まず霞ヶ関ホテルリートです。

変動賃料導入済み11物件の2026年7月実績は、

指標2025年7月2026年7月増減
客室稼働率62.8%74.8%+12.0pt
ADR26,714円27,011円+1.1%程度
RevPAR16,772円20,209円+20.5%
売上高238百万円287百万円+49百万円

かなり強い結果です。

特徴的なのは、ADRが大幅に上がったわけではないことです。

ADRは前年から297円の上昇にとどまる一方、客室稼働率が62.8%から74.8%へ12ポイント上昇

この稼働率改善によってRevPARが大きく伸びています。

しかも運用会社によると、変動賃料導入済み11物件すべてでRevPARが前年同月を上回ったとのことです。

一部ホテルだけが平均を押し上げたというより、ポートフォリオ全体に改善が広がった点は注目できます。


上場前の2025年7月とも比較できる

霞ヶ関ホテルリートは2025年8月13日に上場しています。

したがって2025年7月時点では上場REITではなく、当時の「月次IR」がないこと自体は不自然ではありません。

一方、今回の2026年7月資料では前年同月のホテル運営実績が併記されています。

そのため、

2025年7月 RevPAR 16,772円
→2026年7月 20,209円

という比較は可能です。

第一弾では大阪の一部ホテルが2024年すら下回っていることを確認しましたが、霞ヶ関ホテルリートを見る限り、少なくとも同社の多人数向けホテルでは2026年も需要を十分取り込めているようです。


霞ヶ関ホテルリートの強さは「稼働率上昇型」

ここはJHRなどとは少し違います。

JHRは高いADRを維持しながらRevPARを伸ばしていました。

一方、霞ヶ関ホテルリートはADR27,011円と元々単価が高い一方、今回の伸びの中心は稼働率です。

つまり、

「さらに価格を上げた」というより、「高い単価を維持しながら空室を埋めた」

と見る方が近そうです。

favなどは複数名で利用する客室を中心とするホテルであり、一般的なビジネスホテルとは商品構成が異なります。

ホテル市況が地域だけでなく、客室タイプや利用人数、顧客層によっても分かれてきていることを示唆する数字かもしれません。


星野リゾート・リート――全体RevPARは▲0.2%

一方、星野リゾート・リートはほぼ横ばいでした。

2026年7月のポートフォリオ全体は、

指標2025年7月2026年7月前年比
客室稼働率78.0%78.8%+0.8pt
ADR21,464円21,214円▲1.2%
RevPAR16,747円16,719円▲0.2%
売上高6,192百万円6,261百万円+1.1%

RevPARはほぼ前年並みです。

ただし、この数字も中身を見る必要があります。


星野運営と、それ以外で動きが逆

星野リゾート・リートでは、星野リゾート運営物件と、それ以外のオペレーター運営物件を分けて開示しています。

星野リゾート運営物件

客室稼働率:75.4%、前年▲3.8pt
ADR:51,856円、+4.5%
RevPAR:39,077円、▲0.6%

星野リゾート以外運営物件

客室稼働率:79.8%、+2.1pt
ADR:12,856円、▲2.3%
RevPAR:10,260円、+0.4%

となりました。

非常に対照的です。

星野運営施設では、客数を減らしながら単価を上げる

それ以外のホテルでは、単価を若干落としながら稼働率を上げる

結果として双方ともRevPARはほぼ前年並みとなっています。

ホテルの運営戦略がかなり違うことが数字から見えます。


関西はやはり弱い。ただしOMO7大阪には改善の兆し

星野リゾート・リートも、関西エリアの弱さを明記しています。

大阪・関西万博関連需要を前年に先取りした反動、中国からの渡航自粛要請、さらに台風や酷暑などが需要の伸び悩みにつながったとしています。

ここまでは第一弾で見た他のホテルREITと同じです。

ただし、OMO7大阪については少し興味深いコメントがあります。

中国需要が厳しい状況の中でも、主要OTAへの販売強化などにより、中国客の宿泊室数が2025年11月以降で最多となったとしています。

大阪全体が苦戦していても、販売チャネルや商品力によって差が出始めている可能性があります。

まさに第一弾で考えた、

「万博という共通の追い風がなくなり、個別ホテルの実力差が出やすくなった」

という仮説と整合します。


グランドハイアット福岡は取得以来最高のRevPAR

もう一つ目立つのが福岡です。

星野リゾート以外の運営物件であるグランドハイアット福岡は、旺盛な国内需要に加え、グローバル会員基盤を背景とする米国客などを取り込み、7月として取得以来最高のRevPARを更新しました。

第一弾でも、

  • いちごホテルの博多
  • スターアジアの福岡
  • 投資法人みらいの博多

などで強い数字が見られました。

複数のREITを横断すると、7月の福岡はかなり堅調だったと考えられます。


7銘柄を並べるとどう見えるか

ここまでで月次開示対象のホテルREITがそろいました。

ここまで第一弾・第二弾に分けて各銘柄を見てきましたが、2026年7月の月次開示対象ホテルREITを一覧にすると、全体像がより分かりやすくなります。

各投資法人で集計対象となるホテル数や施設タイプ、賃料体系などが異なるため、ADRやRevPARの絶対額を単純に順位付けすることはできません。

そのうえで、稼働率・ADR・RevPAR・前年同月比を並べると、2026年7月のホテル市況が一方向ではなかったことが確認できます。

銘柄集計対象稼働率ADRRevPAR前年比
ジャパン・ホテル・リート投資法人(JHR)変動賃料等導入29ホテル83.1%21,806円18,119円+5.1%
インヴィンシブル投資法人国内ホテル101物件86.3%15,100円13,039円+1.2%
いちごホテルリート投資法人22ホテル合計※84.4%9,684円8,175円-1.6%
スターアジア不動産投資法人前年比較可能な15ホテル88.0%13,727円12,086円+2.1%
投資法人みらいスマイルホテル5物件86.0%8,546円7,316円-1.0%
星野リゾート・リート投資法人ポートフォリオ全体78.8%21,214円16,719円-0.2%
霞ヶ関ホテルリート投資法人変動賃料導入済み11物件74.8%27,011円20,209円+20.5%
  • JHRは変動賃料等導入29ホテルベース。
  • インヴィンシブルは国内ホテル101物件ベース。
  • いちごホテルは閉館ホテル除外後の22ホテル合計。
  • スターアジアは「前年比較が可能な15ホテル」ベース。
  • 投資法人みらいはスマイルホテル5物件ベース。
  • 星野リゾート・リートはポートフォリオ全体ベース。なお、内部では「星野リゾート運営物件」と「それ以外運営物件」で動きに差があります。
  • 霞ヶ関ホテルリートは2025年7月の単独月次IR自体は見当たりませんが、2026年7月資料に前年同月実績が併記されているため、前年比の記載は可能です。

一覧で見ると、RevPARが前年同月を上回ったのは、JHR、インヴィンシブル、スターアジア、霞ヶ関ホテルリートの4銘柄でした。

一方、いちごホテル、投資法人みらい、星野リゾート・リートは前年割れとなりましたが、下落幅はいずれも2%未満です。

特に目立つのは霞ヶ関ホテルリートで、RevPARは前年同月比+20.5%。ADRの上昇は限定的だったものの、客室稼働率が62.8%から74.8%へ12ポイント上昇したことが大きく寄与しました。

一方、星野リゾート・リートはRevPAR▲0.2%とほぼ前年並みでした。ポートフォリオ全体では大きな変化がないように見えますが、星野リゾート運営物件ではADR上昇・稼働率低下、星野リゾート以外の運営物件ではADR低下・稼働率上昇と、中身は異なる動きとなっています。

RevPAR比較

銘柄2026年7月RevPAR前年比
霞ヶ関ホテルリート20,209円+20.5%
JHR18,119円+5.1%
星野リゾート・リート16,719円▲0.2%
インヴィンシブル13,039円+1.2%
スターアジア12,086円+2.1%
いちごホテル8,175円▲1.6%
投資法人みらい7,316円▲1%

※各投資法人で対象ホテル、賃料体系、客室単価、施設タイプなどが異なるため、RevPARの絶対額は単純比較できません。

それでも前年比を見ると、7銘柄中4銘柄が前年を上回り、3銘柄は小幅なマイナス

全国的なホテル需要崩壊を示すような数字ではありません。

むしろ最大+20.5%から▲1.6%までばらついています。

そのまま記事に差し込める形で整えます。

働率低下、星野リゾート以外の運営物件ではADR低下・稼働率上昇と、中身は異なる動きとなっています。

横並びにしてみてみえたこと

7銘柄を横並びにすると、2026年7月のホテル市況を「好調」「不調」の二択で整理するのは難しそうです。

もっとも高い伸びとなった霞ヶ関ホテルリートはRevPAR+20.5%でしたが、JHRは+5.1%、スターアジアは+2.1%、インヴィンシブルは+1.2%と、プラス圏でも伸び幅にはかなり差があります。

一方、前年割れとなった3銘柄も、いちごホテル▲1.6%、投資法人みらい▲1.0%、星野リゾート・リート▲0.2%と、いずれも小幅なマイナスにとどまりました。

この結果だけを見る限り、ホテル需要全体が急速に悪化している状況とは考えにくそうです。

むしろ第一弾で確認したように、大阪の一部ホテルでは万博需要剥落の影響が強く残る一方、札幌、福岡、東京、名古屋などでは堅調なホテルも見られます。

さらに今回加わった霞ヶ関ホテルリートでは稼働率改善が大きく寄与し、星野リゾート・リートでは運営主体によって「単価を上げる」「稼働を取る」という異なる動きが確認されました。

つまり2026年7月は、

「ホテルREIT全体が強いか弱いか」ではなく、「どの地域・どの客層・どの施設タイプが需要を取れているか」を見る局面

と捉える方が、実態には近そうです。

万博という大きな共通要因が薄れたことで、これまで以上に地域差、施設タイプ、価格帯、オペレーターの運営力といった個別要因が数字に表れやすくなっている可能性があります。

この傾向が一時的なものなのか、それとも今後のホテルREIT分析の基本形になるのか。8月以降の月次実績でも継続して確認していきたいところです。


2026年7月は「ホテルREIT」ではなく「ホテルごと」に見る局面

今回7銘柄を確認して、当ラボとして最も重要だと考えるのはここです。

これまでホテルREITは、

「インバウンド回復」
「円安」
「宿泊単価上昇」

といった共通テーマで語りやすいセクターでした。

しかし、2026年7月は状況が少し変わっています。

大阪の一部ビジネスホテルでは2024年を下回る。

一方、福岡や札幌では強いホテルがある。

霞ヶ関ホテルリートの多人数向けホテルは稼働率が急上昇。

星野運営施設ではADRを上げながら稼働率が低下。

同じ「ホテル」でも、まったく違う動きが出ています。

つまり今後は、

「ホテル需要は強いか弱いか」

ではなく、

「どの地域で、どの客層を、どの価格帯の商品で取り込んでいるか」

を見る必要がありそうです。


8月は再び弱含む可能性

ただし、次月については少し注意が必要です。

第一弾で確認したJHR、インヴィンシブルはいずれも8月RevPARの前年割れを見込んでいます。

星野リゾート・リートも、7月下旬の熊本地震や8月の台風によるキャンセルなどから、ポートフォリオ全体で前年を下回る見込みとしています。

したがって、

7月に回復したから、そのまま右肩上がり

と見るのはまだ早そうです。

8月は天候など一時的な要因も含まれるため、その後の9月以降まで確認して判断する必要があります。


まとめ――万博後に始まった「ホテルの選別」

2026年7月のホテルREIT7銘柄を通して見ると、ホテル需要全体が崩れている様子は今のところ確認できません。

むしろ、

大阪の一部ホテルでは厳しい状態が続く一方、福岡・札幌・東京などには強いホテルがあり、さらにホテルのタイプや運営戦略によっても差が広がっている

というのが実態に近そうです。

霞ヶ関ホテルリートはRevPAR+20.5%。

星野リゾート・リートは▲0.2%。

同じホテル特化型REITでも、ここまで違います。

万博という大きな共通の追い風がなくなったことで、これからはホテルそのものの競争力が数字に表れやすくなるのかもしれません。

ホテルREITを見るうえでは、「インバウンド」という大きな数字だけではなく、地域・価格帯・客層・オペレーター・ホテルタイプまで見る重要性が、以前より高まっているように思われます。

8月は一度数字が弱くなる可能性があります。

その先の9月以降、大阪が回復するのか。そして今回強かったホテルがその水準を維持できるのか。

当ラボでは引き続き月次データを追っていきます。


参考・出典

各投資法人公表の2026年7月度月次運営実績資料、2025年7月度資料等。霞ヶ関ホテルリートの上場日は2025年8月13日。

免責事項

本記事は、各投資法人が公表した月次運営実績等をもとに、J-REIT研究ラボが独自に分析・考察したものです。内容にはAIによる文章作成支援を含みますが、最終的な構成・判断は当ラボの確認に基づいています。

本記事は特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。将来のホテル需要、客室単価、分配金、投資口価格等を保証するものでもありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

各投資法人では対象ホテル数、ホテル構成、算出方法等が異なり、単純比較できない場合があります。また、月次数値は監査等を経ていない速報値を含みます。掲載情報の正確性には注意していますが、数値の転記ミスや解釈の誤りが含まれる可能性がありますので、投資にあたっては各投資法人の公式IR資料等をご確認ください。

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