【高配当研究所】インソース(6200)上場10周年の記念配当で利回り4.5%——ROE32%・自己資本比率81%の「教育×AI」企業を配当逆算で解剖する

情報基準日:2026年7月30日(株価は2026年7月29日終値774.0円)

目次

配当利回り約4.5%、記念配当の「化粧」を落として見えるもの

サービス業(教育サービス) / 東証プライム / 企業研修専業(講師派遣型・公開講座の二本柱)

本レポートの前提

本レポートの株価(774.0円)は2026年7月29日終値です(前日比+14.0円/+1.84%)。同社は7月21日に上場10周年記念配当5.50円の実施、あわせて自己株式取得(上限300万株・20億円)と400万株の消却を決議しています。決算は2026年9月期第3四半期(1-3Q)までの開示に基づいており、通期決算はまだ確定していません。

はじめに

「高配当研究所」へようこそ。当ラボでは、配当生活・FIRE(経済的自立と早期退職)を目指す方々に向けて、高配当株の銘柄分析を行っています。私(所長)は読者の皆さんと同じ目線から素朴な疑問を投げかける役割を担っています。

本日は、企業研修専業の株式会社インソース(Insource Co., Ltd.、証券コード:6200)について、エキスパート投資アナリストの車野蔵人(くるまの くろうど)さんに解説していただきます。

2026年9月期は上場10周年の記念配当5.50円を含む年間35.00円(前期25.00円)を予想し、配当利回りは約4.52%。ただし記念配当を除いた普通配当29.50円ベースでは3.81%まで下がります。「では来期はどうなるのか」「ROE32%・自己資本比率81%という異例の財務体質をどう評価するか」——そこが最大の論点です。ぜひ最後までお付き合いください。

会社概要

項目内容
正式名称株式会社インソース(Insource Co., Ltd.)
証券コード6200(東証プライム)
本社東京都千代田区神田小川町(駿河台本社)
上場2016年7月21日 → 2026年7月21日で上場10周年
代表者代表取締役執行役員社長 舟橋 孝之(創業者・元SE・自身6.52%保有)
主な事業教育サービス事業(単一セグメント):講師派遣型研修48.1%/公開講座24.3%/ITサービス13.1%/その他14.5%
時価総額659億78百万円(みんかぶ様・IRBANK様)
決算期9月期(連結)
従業員数788名(2026年6月末)/グループ7社・国内28拠点
特徴研修コンテンツ5,149種類をデータベース化。講師・営業・テキスト開発を分離した仕組み化により営業利益率38%超

どんな会社か

社会人向けの企業研修を、講師派遣型(オーダーメイド)と公開講座(1名から参加可)の二本柱で提供する教育会社です。研修コンテンツを5,000種類以上データベース化し、講師・営業・テキスト開発を分離した「仕組み化」によって営業利益率38%超という異例の高収益を実現しています。近年は学習管理SaaS「Leaf」(有料919組織・アクティブユーザー546万人)やAIアプリ群でストック収益化を進め、「AI活用を1億人に」を掲げて研修会社から生産性向上インフラ企業への転換を図っている、と整理できます。

主要財務指標一覧

※数値の出典:2026年9月期3Q決算短信、3Q決算説明資料、配当予想の修正リリース(2026年7月21日)、みんかぶ様・IRBANK様

指標26/9期 1-3Q実績26/9期 通期予想前期(25/9期)
売上高11,582百万円(+8.9%)16,000百万円(+10.3%)14,506百万円
営業利益4,448百万円(+3.7%)6,380百万円(+6.7%)5,979百万円
営業利益率38.4%(▲1.9pt)39.9%41.2%
経常利益4,502百万円(+4.6%)6,430百万円(+7.2%)
純利益3,077百万円(+6.2%)4,400百万円(+6.5%)4,131百万円
EPS(1株当たり純利益)36.63円(累計)52.39円(予)49.20円
BPS(1株当たり純資産)160.72円
ROE32.58%(予)33.07%
ROA26.5%(予)25.57%
自己資本比率81.3%77.3%
有利子負債実質ゼロ(固定負債は資産除去債務99百万円のみ)
年間配当(1株当たり)35.00円(普通29.50+記念5.50)25.00円
配当性向66.8%(普通配当のみでは56.3%)50.8%
DOE(株主資本配当率)21.8%(普通配当のみ18.4%)18.7%
配当利回り(参考)約4.52%(774円ベース・みんかぶ様)/普通配当のみでは約3.81%2.6%
PER(連・予)14.78倍(IRBANK様)
PBR(連)4.82倍(IRBANK様)
現在株価(参考)774.0円(2026年7月29日終値)
みんかぶ目標株価869円(株価診断:割安/アナリスト:買い/個人予想:売り)
進捗率の見方

営業利益の通期進捗率は69.7%で一見遅れて見えますが、前期も1-3Q時点で71.8%(4,291/5,979)でした。4Q(7〜9月)は新人研修の反動後に高採算案件が集中し営業利益率が43%台に跳ねる季節性があるため、進捗は前期並みで概ね軌道上と考えられます。

EPS推移と配当の関係

高配当株の「落とし穴」とEPSの関係

所長ダル
配当利回り4.5%は、そこまで飛び抜けた高配当というわけでもないですね。この水準だと「無理のない配当」と考えて安心してよいのでしょうか、それとも別の見方が必要でしょうか。
車野アナリスト
良い着眼点です。利回りの絶対水準よりも「その利回りがどこから来ているか」を見る必要があります。インソースの4.52%は、業績不振で株価が下がってできた利回りではなく、EPSが7年で約5.3倍に伸びるなかで会社が配当性向を40%から50%へ引き上げ、さらに上場10周年の記念配当を乗せた結果として現れた数字です。配当はあくまでEPS(1株当たり純利益)の範囲内から支払われますから、EPSが伸びている会社の高利回りと、EPSが縮んでいる会社の高利回りは、まったく意味が違います。
所長ダル
なるほど。ということは、この銘柄の場合は「利回りが低すぎないか」ではなく「利回りの中身が来期も残るか」を見るべきということでしょうか。
車野アナリスト
おっしゃる通りです。4.52%のうち0.71ポイント分は上場10周年の記念配当5.50円によるもので、これは原則として当期限りです。一方でEPSの成長率は前期の+23.1%から今期予想+6.5%へ急減速しており、2026年5月には通期予想の下方修正も出ています。「一過性の上乗せ」と「成長の減速」が同時に起きている期ですので、EPSの推移を過去から追いかける作業がいつも以上に重要になります。それでは実際のデータを見てみましょう。

EPS推移表(過去実績+今期予想/株式分割調整後)

出典:IRBANK様、2026年9月期3Q決算短信

決算期EPS(円)1株配当(円)配当性向(%)備考
2019年9月期9.934.0040.3
2020年9月期5.31(▲46.5%)4.6387.2コロナ影響で大幅減益も減配せず増額。方針の粘り強さを示す期
2021年9月期18.71(+252.4%)7.7541.4V字回復
2022年9月期26.53(+41.8%)10.7540.5
2023年9月期31.79(+19.8%)13.0040.9株式分割実施(表示は調整後)
2024年9月期39.98(+25.8%)20.0050.0配当性向50%方針へ引き上げ
2025年9月期49.20(+23.1%)25.0050.8DOE18.7%
2026年9月期(予)52.38(+6.5%)35.0066.8普通29.50+記念5.50(上場10周年)。普通配当のみでは性向56.3%/DOE18.4%
読み取りポイント

2019年から2026年でEPSは約5.3倍、配当は8.75倍。増配ペースがEPS成長を上回っているのは、配当性向を40%から50%へ切り上げた「二段ロケット」の効果です。赤字期・無配期は一度もなく、コロナで利益がほぼ半減した2020年9月期にも減配せず増額しています。

一方で2026年9月期はEPS成長が+6.5%へ急減速しています(前期+23.1%)。前期後半の採用増による人件費増が主因で、2026年5月7日に通期予想を売上・利益とも下方修正済みです。

配当性向が方針の50%から66.8%へ乖離している理由は2つです。①記念配当5.50円の上乗せ、②「配当性向50%」と「DOE18%」の二階建て方針のもとで、DOE基準(BPS160.72円×18%=28.9円)が性向基準(52.39円×50%=26.2円)を上回り、DOE側が実質的な下限として効いているためです。

このEPS推移から何が言えるか

車野アナリスト
このEPS推移から、三つの点が読み取れます。まず「増配余地」についてです。DOE18%方針のもとでは純資産の増加がそのまま配当の下限を押し上げます。BPS160.72円に18%を当てはめると28.9円で、これが実質的な配当のフロアとして機能しています。加えて400万株(発行済の4.7%)の消却が予定されており、株数減は1株当たり配当の押し上げに直結します。
車野アナリスト
次に「成長減速リスク」です。EPS成長率は+23.1%から+6.5%へ落ち、通期予想の下方修正も出ました。さらに先行指標である前受金(人財育成スマートパックの未使用分)の伸びが1Q+19.2%→1H+10.2%→3Q+4.2%と明確に鈍化しています。
車野アナリスト
最後に「評価水準」です。PBR4.82倍・PER14.78倍はROE32.58%を前提にすれば理論的には正当化できますが、成長鈍化が続けばバリュエーション調整による株価下落が利回りメリットを上回る可能性があります。この銘柄は「高配当株」ではなく「高ROEの成長株が配当性向を切り上げた結果、たまたま利回りが4%台に見えている銘柄」と整理するのが正確と考えられます。
所長ダル
要するに「27年9月期の普通配当が29.5円を維持できるか」と「成長が再加速するか」の2点が分かれ目、ということですね。しっかり追いかけていきます。

所長×アナリスト対談

テーマ① そもそも企業研修は誰が買っているのか——「中小零細ではピンとこない」の正体

所長ダル
正直に申し上げると、企業研修という事業がいまひとつ実感できません。私の周りの中小企業では、外部の研修会社に発注したという話をあまり聞かないのですが。
車野アナリスト
その実感は正しいと思います。理由は単純で、実際にその市場にはあまり売られていないためです。1-3Qの売上構成比を見ると、こうなっています。
区分1-3Q売上構成比
MM(中堅企業)34.6%
EB(大企業)24.7%
GB(小規模企業)20.8%
公共19.8%
車野アナリスト
業種別でも製造21.4%・官公庁関連18.0%・情報通信14.0%が上位です。主戦場は「中堅以上の組織」と「官公庁」であり、読者の実感とのズレはここに起因すると整理できます。
所長ダル
では、大きな組織はなぜ毎年お金を払い続けるのでしょうか。景気が悪くなれば真っ先に削られそうな費目に見えてしまいます。
車野アナリスト
三つの構造があると考えられます。第一に、機械的に発生する研修があります。社員5,000人規模なら毎年150人前後の新卒が入社し、新人研修は毎年必ず必要になります。昇進者が出れば新任管理職研修も毎年発生します。ドメイン別で「採用・新人教育」1,409百万円、「階層別教育」1,605百万円が大きいのはこれが理由で、人事制度に組み込まれた定期発注ですから景気で消えにくい性質を持ちます。
車野アナリスト
第二に、法令・開示要求で「やらないと困る」ものがあります。ハラスメント防止措置は事業主義務、安全衛生教育も業種により義務です。加えて2023年3月期以降、有価証券報告書での人材育成方針・研修時間の開示が求められています。インソース自身が説明資料で「従業員1人当たりの研修時間24時間51分」を開示していますが、顧客企業も同じことをやらねばならない、という裏返しの構造です。
車野アナリスト
第三に、官公庁は予算が先に決まっています。年度予算に研修費が計上済みで、執行しないと翌年削られます。景気に関係なく発注されるため、官公庁関連が1-3Qで+15.7%、顧客当たり平均売上高+15.2%と伸びている一因と考えられます。
所長ダル
自前でやってしまえば安く済みそうにも思えますが、なぜ外注するのでしょうか。
車野アナリスト
必要な研修テーマは数百種類にのぼり、社内で全て開発するのは非現実的です。インソースは5,149種類を保有し、月30本の新作を継続開発しています。もう一つは「社外の人が言うから聞く」効果です。人事部長が説くより外部講師の方が受け入れられる——非効率ですが組織の現実であり、これが外注需要の底流にあると考えられます。

テーマ② 需要の「形」——大口契約ではなく、薄く広く

所長ダル
大企業と数億円の契約を結んでいるイメージを持っていましたが、実際はどうなのでしょうか。
車野アナリスト
まったく逆の構造です。1-3Qの年間取引額別の顧客数を見てください。
年間取引額顧客数(組織・1-3Q)
1,000万円以上124
500〜1,000万円271
100〜500万円2,034
10〜100万円5,960
車野アナリスト
顧客1組織あたりの平均売上高は919千円(1-3Q)。累計お取引先52,118組織のうち、直近1年で利用があったのは16,488組織(約32%)です。つまり「約1.6万社から年平均92万円ずつ集めるモデル」です。公開講座は1名から参加可能で、1人あたり平均単価23.5千円、1開催あたり受講者数9.1人。中小企業が社員1〜2名を送り込む使い方も含まれています。
所長ダル
取引先が非常に分散しているということですね。これは強みと考えてよいのでしょうか。
車野アナリスト
両面あります。強みは、1社が離脱しても業績に影響が出ないことです。弱みは、1社当たり単価が低いため営業効率がすべてを決めることです。営業320名の1人当たり売上高は37.0百万円で、1-3Qは前年同期比▲2.6%と低下しています。ここは注視すべき数字と考えられます。

テーマ③ 営業利益率38%の本当の理由——「設備が軽い」だけではない

所長ダル
営業利益率38%というのは驚きの水準です。設備がいらない事業だからでしょうか。
車野アナリスト
設備の軽さは事実ですが、それだけなら人材派遣やコンサルティングも同じで、利益率は数%から十数%にとどまります。インソースが異例なのは売上総利益率76.3%という、ソフトウェア企業に近い水準です。四つの仕組みがあると整理できます。
車野アナリスト
一つ目は、コンテンツが「一度作れば何千回でも売れる固定費」であることです。ハラスメント防止研修のテキストを1回開発すれば、年間何百回実施しても開発費は増えません。講師派遣型の年間研修実施回数は25,579回で、実施回数が増えるほど1回当たり原価が薄まります。限界利益率がソフトウェアに近い構造です。
車野アナリスト
二つ目は、講師・営業・テキスト開発の分離です。通常の研修会社は講師が営業も教材作成も兼ねますが、インソースは分業させ、講師を登壇に専念させることで登壇回数を最大化しています。累計登壇2,000回超の講師が24名、1,000〜1,999回が72名います。
車野アナリスト
三つ目は、前受金による運転資金の内部調達です。「人財育成スマートパック」でポイントを先売りし、後から研修を消費させる仕組みで、3Q末残高は1,269百万円。顧客の資金で運転資金を回している状態であり、実質無借金・現預金8,218百万円という財務の強さの一因です。
車野アナリスト
四つ目は、全コンテンツのデータベース化による高速カスタマイズです。ゼロから作らず組み合わせるため、オーダーメイド研修でも原価が膨らみません。
所長ダル
なるほど、「研修会社」というよりソフトウェア会社に近い収益構造だということですね。

テーマ④ 利回り4.52%の「0.71ポイント」は来期消える——記念配当の読み方

所長ダル
記念配当という言葉が出てきましたが、これは投資判断にどう影響するのでしょうか。
車野アナリスト
7月21日、上場10周年を記念して1株5.50円の記念配当が決議され、年間配当は29.50円から35.00円になりました。ここで注意が必要なのは、みんかぶ様に表示される配当利回り4.52%をそのまま恒常的な利回りだと信じてしまうことです。記念配当5.50円を除いた普通配当29.50円ベースの利回りは774円に対し3.81%で、差は0.71ポイントあります。
所長ダル
では実質的には3.81%の銘柄と考えるべきということでしょうか。
車野アナリスト
そこは少し丁寧に見る必要があります。注目すべきは、普通配当そのものが25.00円から29.50円へ+18.0%増配されている事実です。記念配当を抜いても実質増配であり、「記念配当だけの化粧」ではありません。ただし2027年9月期は、特別な理由がなければ記念配当は消える前提で計算すべきです。会社は記念配当のリリースで、記念配当とは別に方針(性向50%・DOE18%)に基づく株主還元を実施すると明記しており、方針配当と記念配当を分離して開示する姿勢は評価できると考えられます。

テーマ⑤ なぜ配当性向が66.8%なのか——「性向50%」と「DOE18%」の二階建て構造

所長ダル
配当性向66.8%というのは、方針の50%を大きく上回っていますね。無理をしているように見えてしまいます。
車野アナリスト
ここが本銘柄の最重要ポイントです。インソースの配当方針は「配当性向50%、株主資本配当率(DOE)18%を目標とする」という二階建てになっています。26年9月期予想で計算すると、性向基準ではEPS52.39円×50%=26.2円ですが、DOE基準ではBPS160.72円×18%=28.9円。DOE基準の方が高く、こちらが実質的に配当を規定しているのです。だから普通配当29.50円は性向56.3%となり、ここに記念配当5.50円が乗って最終的に66.8%になります。
所長ダル
DOEというのは、純資産に対して何%配当するかという指標でしたね。それが基準になると、どういう違いが出るのでしょうか。
車野アナリスト
決定的な違いが出ます。DOE基準は利益が減っても純資産が残っていれば維持されるからです。仮に業績が悪化してEPSが44円へ落ちても、DOE18%を守れば配当は28.9円が下限になります。逆に、その局面で会社が性向50%を優先すれば22円まで下がり得ます。減益局面でどちらを優先するかが、この銘柄の下値を決める分水嶺と考えられます。
ここだけは押さえたいポイント

「配当性向50%」と「DOE18%」は、高い方が実際の配当を決めます。現在はDOE基準が上回っており、これが配当のフロア(下限)として機能しています。一方で自己株式取得によって純資産が減ると、DOE基準の配当額そのものが目減りするというジレンマも同時に抱えています。株主還元の総額は増えても、1株配当の伸びは思ったほどでない可能性がある点は留意が必要と考えられます。

テーマ⑥ 生成AIは研修会社の敵か味方か——「AI代替不可能」という賭け

所長ダル
生成AIが普及したら、研修会社は不要になってしまうのではないかという心配があります。この点はいかがでしょうか。
車野アナリスト
会社は説明資料で正面から答えています。主張の骨格は、知識付与は生成AIで代替可能だが、ロールプレイング・グループワーク・気づきの体験は人と人の対話でしか成立せず代替不可能、というものです。実際、研修の講義とワークの比率は4対6でワーク偏重に設計されています。
車野アナリスト
数字はこの主張を裏付けつつあります。生成AI関連研修の3Q売上高は前年同期比2.7倍、DX関連研修は講師派遣型で+16.7%、公開講座で+24.8%増。DXサービスドメインは1-3Qで+24.0%と最速成長です。つまり現時点では、AIは需要を奪う側ではなく需要を作る側として働いていると読めます。
所長ダル
自社でもAIサービスを開発しているのですね。
車野アナリスト
AI-OJT・AI BOAT・AI-Plants・vNextなど7種のAIサービスを開発し、教育から伴走・実装・定着までを商品化しています。ただし正直に申し上げると、AI関連3サービスの売上見込みはFY26で0.6億円、FY27で4.8億円、FY28で11.5億円という計画で、主力のAI BOATは2026年7月リリース、現時点の実績はほぼゼロです。成長ストーリーの当たりハズレはあと1〜2年判明しません。この「未検証である」という状態そのものが、PBR4.82倍という高い評価水準と組み合わさったときの主要リスクと考えられます。

テーマ⑦ コンテンツに「当たりハズレ」はないのか——資料にはっきり写っている

所長ダル
研修コンテンツというのは、映画や本のように当たりハズレがあるものなのでしょうか。それとも安定して売れるものなのでしょうか。
車野アナリスト
個別サービス単位では激しい当たりハズレがあり、資料にもはっきり写っています。ただし5,149種類のポートフォリオがあるため、1本のハズレが致命傷にならない構造です。その他事業の内訳(3Q単独・前年同期比)をご覧ください。
サービス3Q前年同期比
映像制作ソリューション+71.5%
動画レンタル+10.9%
動画販売▲9.2%
クラウド型eラーニングSTUDIO▲10.2%
オンラインセミナー代行▲16.9%(1-3Q)
Webマーケティング▲75.6%(45→11百万円)
車野アナリスト
同一社内で片方が+71.5%、片方が▲75.6%です。会社自身も説明資料で「不採算事業は段階的に縮小」と明記しており、ハズレの存在を経営が認めている一文と読めます。ドメイン別でも、DXサービスが1-3Q+24.0%(3Q単独+27.2%)の一方、コミュニケーションは▲5.1%(3Q単独▲12.4%)です。「傾聴」「報連相」といった定番テーマが縮小し、生成AI関連研修が2.7倍——テーマには寿命があることが数字に表れています。
所長ダル
最も気をつけて見るべき数字はどこでしょうか。
車野アナリスト
公開講座の「空振り」が最も雄弁だと考えます。
項目25/9期3Q26/9期3Q増減
実施回数3,683回4,490回+21.9%
受講者人数42,541人42,878人+0.8%
1開催当たり受講者数11.6人9.5人▲17.3%
売上総利益率75.0%71.7%▲3.4pt
車野アナリスト
開催を2割増やしたのに受講者はほぼ横ばいで、1講座あたり2人減少しています。公開講座は開催を決めた時点で講師と会場の原価が確定するため、集客できなくてもコストは発生します。結果、公開講座は4事業で唯一、売上総利益率がはっきり悪化しました。
所長ダル
それでも公開講座の新規コンテンツだけは目標を超えているのですね。
車野アナリスト
新規コンテンツの年間目標進捗率(1-3Q時点)は、公開講座104.8%、講師派遣型73.9%、動画・eラーニング72.4%です。公開講座だけが9か月で年間目標を超過しており、公開講座がテストマーケティングの場として機能している可能性があります。1名から参加できる形式なら、当たれば講師派遣型(1社当たり単価294.2千円)へ持ち込め、ハズレても損失は1回の開催コストで済みます。「ハズレを安く出す設計」と解釈できますが、1開催9.5人・総利益率▲3.4ptという数字は、その空振りコストが実際に効き始めている兆候とも読めます。
車野アナリスト
もう一つ明確な未達があります。DX講師の新規契約数が年間目標25名に対し1-3Qで6名(進捗24.0%)です。「AI活用を1億人に」を掲げる会社にとって、講師の供給制約は成長のボトルネックになり得る論点と考えられます。

テーマ⑧ 「満足度96.2%」はどこまで信じられるか

所長ダル
会社の資料には研修内容評価96.2%・講師評価94.3%という数字が載っていました。これは強みの証明と考えてよいでしょうか。
車野アナリスト
慎重に扱うべき数字だと考えます。研修直後のアンケートは構造的に高く出ます。目の前に講師がいる状況で答えますし、5点満点で3以上を満足に数えれば高い数字は作れます。そのまま鵜呑みにすべきではないと考えられます。
所長ダル
では、代わりに何を見ればよいのでしょうか。
車野アナリスト
行動で示された数字です。三つ挙げます。
指標数値なぜ信頼できるか
Leaf解約率約2%(25/9期年平均)払っているお金を止めるかどうかの判断。アンケートより誠実
講師派遣型の値上げ耐性平均単価+5.1%かつ実施回数+6.8%(3Q)値上げして客が減らないのは満足度の実質的証明に近い
リピート状況52,118組織中16,488組織が直近1年利用(約32%)ただし裏返せば3分の2は戻っていない

テーマ⑨ 人件費との綱引き——従業員45名減の予想修正をどう評価するか

所長ダル
今期の営業利益が+3.7%と伸び悩んだのは何が原因でしょうか。
車野アナリスト
人件費です。1H時点で総人件費は前年同期比+16.2%と売上の伸び(+8.0%)を大きく上回り、営業利益は+0.3%に沈みました。会社の打った手は三つあります。①2025年12月から中途採用を厳選、②価格改定の本格実施(講師派遣型で平均単価+14.4千円、公開講座+1.7千円、買い切り動画+14千円)、③生成AI活用による自社の生産性向上(グループ全体で665名がAIエージェント研修を受講済)です。
車野アナリスト
結果、3Q単独の総人件費増は+4.8%に鈍化し、営業利益は+11.0%へ回復しました。営業利益の前年同期比は1Q▲58百万円→2Q+66百万円→3Q+148百万円と明確な改善カーブを描いています。期末人員予想も815名から770名へ45名下方修正、総人件費予想は4,940百万円から4,750百万円へ190百万円圧縮されています。
所長ダル
人を45名減らして配当に回した、という見方もできてしまいそうですが、そう考えるべきでしょうか。
車野アナリスト
それは早計と考えられます。理由は四つあります。①全従業員を対象にAIエージェント研修を実施し665名(約85%)が受講済で教育投資自体は継続、②社員1人当たり売上高は25,225千円から28,286千円(3年で+12%)と生産性が実際に向上、③社員の自社株保有比率49.1%・従業員持株会と譲渡制限付株式で従業員が株主でもある、④女性育児休業取得率100%・男性62.5%、えるぼし2つ星・くるみん・健康経営優良法人2025を取得——という点です。従業員と株主の利害が自社株を通じて相当程度一致している構造で、同業の人材系企業と比べても健全な設計と考えられます。
車野アナリスト
ただし人員抑制が長期化すれば研修実施キャパシティの制約になり得ます。講師数と1人当たり売上の推移は継続確認が必要です。

テーマ⑩ PBR4.82倍で20億円の自社株買い——高評価での買い戻しは株主に得か

所長ダル
7月21日には自己株式の取得と消却も決議されたそうですが、株価が高い局面での自社株買いは損ではないかという気もします。
車野アナリスト
鋭いご指摘です。自己株式取得は上限300万株・20億円、さらに400万株(発行済の4.7%)の消却が決議されました。一般論として、PBRが高い局面での自社株買いは「割高な自社株を買う」ことになり価値破壊になり得ます。インソースのPBRは4.82倍です。
車野アナリスト
ただし反論の材料が三つあります。①ROE32.58%という資本効率が異常に高く、余剰キャッシュを寝かせるより1株利益を高める方が合理的、②現預金82億円に対し実質無借金・自己資本比率81.3%と資本が余剰気味で、ROEを維持するには純資産の膨張を抑える必要がある、③単なる取得でなく消却まで実行するため株数が恒久的に減り、1株当たり配当の押し上げに直結する——という点です。DOE18%方針との組み合わせでは、株数が減ればBPSが上がり1株配当も上がるという増配メカニズムが働きます。
所長ダル
懸念の側はどうでしょうか。
車野アナリスト
自己株買いで純資産が減ると、DOE基準の配当額そのものが目減りする点です。株主還元の総額は増えても、1株配当の伸びは思ったほどでない可能性があります。ここは通期決算での確認事項と考えられます。

テーマ⑪ 大株主構成とアクティビストリスク

所長ダル
株主構成についても伺いたいです。物言う株主が入ってくるような可能性はあるのでしょうか。
車野アナリスト
2026年3月31日現在の半期報告書ベースで見ると、アクティビストリスクは低いと考えられます。
株主名持株数(千株)比率
株式会社ルプラス25,35930.19%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)5,5976.66%
舟橋 孝之(社長)5,4806.52%
日本カストディ銀行(信託口)3,3093.94%
川端 久美子3,0123.58%
上位10名合計53,06563.18%
車野アナリスト
資産管理会社と見られるルプラス30.19%に社長6.52%と個人株主を加え、創業者側が40%近くを掌握しており、支配権に働きかける余地が限定的です。大量保有報告ベースではアセットマネジメントOne 4.30%、ニュートン・インベストメント・マネジメント・ジャパン 4.81%、野村アセットマネジメント 4.44%が名を連ねますが、いずれも運用機関でアクティビスト型ではありません。海外投資家比率は26.2%から27.8%へ上昇、株主数は9,192名から19,132名へ約2.1倍に急増しており、高配当化による個人株主の流入が進んでいます。

配当継続性スコア

評価ランクの凡例
クリックして評価ランクの説明を見る

S:非常に優れている/A:優れている/A-:Aの要件を満たすがBに近い注意点がある/B+:Bの要件を満たしAに近い水準にある/B:良好/B-:Bの要件を満たすがCに近い注意点がある/C+:Cの要件を満たしBに近い水準にある/C:やや懸念がある/C-:Cの要件を満たすがDに近い注意点がある/D:懸念が大きい/E:重大な懸念がある

※評価体系をS/A/A-/B+/B/B-/C+/C/C-/D/Eの11段階に変更しました。旧5段階(S/A/B/C/D)のA・B・C・Dの間にそれぞれ「+(プラス)-(マイナス)」ランクを新設しています。これは、同一ランク内でも「条件が揃えば上のランクに相当する」銘柄と「下のランクに近い懸念がある」銘柄を区別するためです。たとえばB-は「Bの要件は満たすが、Cに近い注意点を抱えている」状態を示します。

評価項目評価コメント
配当の中身(普通配当か・継続性)35.00円のうち5.50円は上場10周年記念配当(一過性)。ただし普通配当自体も25.00円→29.50円へ+18.0%増配しており、記念配当を除いても実質増配。翌期は普通配当ベースへ戻るため、35円を恒常配当と誤読するリスクがあります。
本業の稼ぐ力売上+8.9%、営業利益+3.7%。営業利益率38.4%は同業比で突出。営業利益の前年同期比は1Q▲58百万円→2Q+66百万円→3Q+148百万円と四半期ごとに回復基調。価格改定(講師派遣+14.4千円、公開講座+1.7千円)が浸透しています。
財務の健全性自己資本比率81.3%(前期末77.3%から改善)、実質無借金、現預金8,218百万円。ROE32.58%・ROA26.5%は極めて高水準です。
配当の原資通期配当総額は約28〜29億円(35円×約81〜84百万株)に対し純利益予想44億円。1H営業CF1,372百万円は同期の配当支払2,099百万円を下回りますが、年1回配当(期末)の支払と法人税支払11.1億円が上期に集中する期ズレによるもので、前期は現預金が57億円から82億円へ25億円積み上がっており本業CFで賄えていると考えられます。※3Q短信はCF計算書が未作成のため通期短信での確認が必要です。
経営方針の透明性配当性向50%・DOE18%を数値で明示。記念配当の内訳(普通29.50/記念5.50)を短信注記で開示。自己株式取得20億円(上限300万株)と400万株の消却(発行済の4.7%)も同日決議。中期経営計画「Road to Next 2028」も開示(ただし2026年11月に見直し予定と明記)。
総合スコアA-A-(○4つ・△1つ) 「配当の中身」に△が1つあるためA以上とはしていません。ただし△の内容は「記念配当という一過性要素が含まれる」という開示の明確さゆえに検出された△であり、隠れた減配リスクではありません。普通配当だけでも+18%増配、DOE18%という下限方針が明示され、財務は自己資本比率81%・実質無借金・ROE32%という極めて強固な状態です。
A評価ではなくA-に留めた3つの理由

①EPS成長率が+23.1%から+6.5%へ急減速し、2026年5月に通期下方修正を出したばかりであること。

②前受金(人財育成スマートパックの未使用分=先行指標)の伸びが1Q+19.2%→1H+10.2%→3Q+4.2%と明確に鈍化しており、先行需要の減速サインと読める可能性があること。

③PBR4.82倍・PER14.78倍という評価は高ROEで正当化される面がある一方、成長鈍化が続けばバリュエーション調整を通じた株価下落リスクが利回りメリットを上回りかねないこと。

ラボ独自考察:適正株価を考えてみた

⚠️ ご注意

※AIによる試算であり投資推奨ではありません。あくまで参考情報としてご覧ください。

評価手法:普通配当逆算法

計算式:想定配当(円)÷ 想定利回り(%)= 適正株価

普通配当:2026年9月期予想29.50円(別途、上場10周年記念配当5.50円あり)。2027年9月期の会社予想配当は未公表で、方針から逆算すると30円前後が中心線と考えられます。

シナリオ別 適正株価試算

シナリオ想定配当想定利回り試算 適正株価現株価比前提条件・備考
強気(成長回復・増配想定)33.0円3.6%約917円+18.5%27/9期純利益5,300百万円(+20%)を想定。中計線(28/9期純利益6,820百万円)に沿った成長回復に400万株消却による1株利益の押し上げ。配当性向50%適用。成長期待の回復で許容利回りが3.6%へ低下
中立(会社予想をそのまま使用)35.0円4.5%約778円+0.5%会社の当期予想配当35円をそのまま使用(記念5.5円含む)。現在の市場が要求している利回り水準4.5%を適用。現株価はほぼ理論値どおり。※許容利回り4.0%まで低下すれば875円
保守的(記念配当消滅・増配なし)29.5円4.3%約686円▲11.4%記念配当は当期限りで消滅、27/9期は普通配当29.5円据え置き(増配なし)。DOE18%が下限として機能し減配は回避される前提
弱気(業績悪化・方針変更想定)22.0円5.2%約423円▲45.3%下記「方針を曲げざるを得ない条件」を参照
弱気シナリオで「方針を曲げざるを得ない条件」

①生成AIによる社内研修の内製化が本格化し、公開講座・eラーニングの単価下落が始まる、②人件費増を価格改定で吸収しきれず営業利益率が30%割れ、③EPSが44円程度(▲16%)へ低下、④その状況下で会社が「DOE18%」より「配当性向50%」を優先して28.9円から22円へ引き下げる、⑤市場が成長株プレミアムを剥がし要求利回り5.2%へ——これら複数要因が重なるケースを想定しています。

💡 弱気シナリオの重要な緩衝材

インソースは「配当性向50%」と「DOE18%」の両方を目標に掲げています。DOE基準(BPS×18%)は利益が落ちても純資産が残っていれば維持されるため、業績悪化局面でDOE側を優先すれば配当は28〜29円が下限となり、この場合の適正株価は約556円(28.9円÷5.2%)となります。「弱気423円」と「DOE維持556円」のどちらになるかが、下値の分水嶺と考えられます。

合理的レンジの根拠(2点セット確認)

BPS=160.72円(IRBANK様)

PBR倍率適正株価現株価比考え方
3.5倍563円▲27.3%ROEが20%台へ低下した場合の水準
4.0倍643円▲16.9%成長鈍化がバリュエーションに織り込まれた場合
4.82倍(現状)775円±0%現在の市場評価
5.5倍884円+14.2%ROE32%が維持され成長が再加速した場合
2点セットでの結論

配当逆算法の中立778円とPBR現状評価775円がほぼ完全に一致します。現株価774円は「会社予想配当35円・PBR4.8倍」という現状前提のもとでは理論値ぴったりであり、割安でも割高でもない水準と考えられます。

ただし配当逆算法の下値(保守686円/弱気423〜556円)と、PBR法の下値(3.5〜4.0倍で563〜643円)はいずれも現株価を下回っており、上振れ余地(+15〜18%)よりも下振れ余地(▲11〜45%)の方が大きい非対称なリスク構造になっている点は留意が必要と考えられます。

全シナリオが崩れる条件(銘柄固有リスク)

! 要警戒シナリオ

①生成AIによる研修の内製化が本格化するケース 「AI代替不可能」という前提が崩れ、公開講座・eラーニングの単価と受講者数が同時に低下。現時点で公開講座のオンライン受講者は3Q単独で前年同期比▲11.2%、オンライン比率も52.7%から46.5%へ低下しており、対面回帰と読むか代替開始と読むかで解釈が分かれます。

②前受金の減少転落 人財育成スマートパックの未使用残(前受金)の伸びが1Q+19.2%→1H+10.2%→3Q+4.2%と鈍化中。マイナス転落なら先行需要の実質的な後退サインです。

③DOE18%方針の撤廃または引き下げ 本試算の全シナリオが依拠する配当の下限が消滅します。

④2026年11月発表予定の新中期経営計画での大幅下方修正 現中計「Road to Next 2028」は28/9期売上23,400百万円(CAGR17.3%)という高い目標ですが、会社自身が見直し予定と明記済みです。強気シナリオの根拠が失われます。

⑤主力顧客層の予算縮小 製造業21.4%・官公庁関連18.0%が売上の約4割。景気後退や公共予算縮減の直撃を受ける構造です。

⑥EBセグメント(大企業向け)の低迷長期化 1-3Q売上は▲0.4%、顧客当たり平均売上高は▲6.6%と唯一の減収セグメント。3Qは+0.3%で下げ止まったものの回復が本物か未確認です。

⑦人員抑制の反作用 45名減の人員計画が研修実施キャパシティ制約になり、増収機会を逃すケースです。

結論ボックス

① みんかぶ様の外部目標株価との比較

みんかぶ様の目標株価は869円で、現株価774円に対し+12.3%の上昇余地です。本試算の強気917円と保守的686円のちょうど中間より上に位置し、「成長がある程度回復する」ことを前提とした水準と読めます。みんかぶ様の株価診断は「割安」、アナリスト評価は「買い」ですが、個人予想は「売り」で見方が真っ二つに割れている点が示唆的です。本レポートの試算では中立778円が現株価とほぼ一致するため、869円は中立と強気の間の楽観寄りの想定と考えられます。

② 当ラボが考える割高・割安感

配当逆算法(中立778円)とBPS×PBR法(現状775円)が揃って現株価774円と一致しており、現水準はフェアバリューと考えられます。PER14.78倍は高収益・高成長企業としては特に高くなく、PBR4.82倍もROE32.58%を前提にすれば理論的には正当化されます(PBR=ROE×PER)。

ただし、①配当利回り4.52%のうち0.71ポイントは記念配当という一過性要素、②EPS成長が+6.5%へ減速、という2点を織り込むと、「利回りだけを見て割安」と判断するのは危険です。下値の厚みが薄い(PBR4.0倍で643円、▲16.9%)ことが最大の実務的リスクと考えられます。

③ 長期投資家への推奨視点(普通配当基準での評価)

この銘柄の本質は「高配当株」ではなく「高ROEの成長株が配当性向を切り上げた結果、たまたま利回りが4%台に見えている銘柄」と整理するのが正確と考えられます。長期保有の論点は3つあります。

第一に、DOE18%という下限方針は減益局面でも配当を支える強力な仕組みですが、自社株買いで純資産が減ればDOE基準の配当額そのものが目減りするというジレンマがあります。

第二に、7年でEPS5.3倍・配当8.75倍という実績は、コロナで利益が半減した2020年9月期にも減配しなかった(むしろ増額した)実績とセットで評価すべきで、この期の対応が経営の配当姿勢を最もよく物語っています。

第三に、生成AIとの関係は「脅威」と「事業機会」の両面を持ちます。現状の数字(生成AI関連研修3Q売上2.7倍、DXサービス+24.0%)は機会側に振れていますが、AI関連3サービスの売上計画(FY26 0.6億円→FY28 11.5億円)は初年度がほぼゼロベースで、まだ実証されていません。この計画の進捗を四半期ごとに追えるかどうかが、長期保有の可否を決めると考えられます。

配当受取だけを目的にするなら、27年9月期の普通配当(記念配当消滅後)が29.5円を維持できるかを確認してからでも遅くない、という判断もあり得ます。

④ 強気シナリオの根拠

1. 四半期ごとの利益改善カーブ 営業利益の前年同期比は1Q▲58百万円→2Q+66百万円→3Q+148百万円と明確に改善。3Q単独の営業利益率は37.4%で前年同期を+0.1pt上回り、総人件費の伸びも1H+16.2%→3Q+4.8%へ急減速しています。

2. 価格改定の浸透 講師派遣型研修の平均単価は前年同期比+14.4千円(+5.1%)、公開講座+1.7千円(+7.3%)、買い切り動画+14千円。値上げが受注減を招いていない(実施回数+6.8%、受講者数+0.8%)ことが重要です。

3. 提案金額が前年同期比69%増 AI-Plants活用で営業活動量が増加し、1-3Q累計27,091百万円。成約は提案から遅れて出るため、これは先行指標です。

4. ストック収益の積み上がり Leaf有料利用組織919組織(+10.2%)、アクティブユーザー546万人(+19.3%)、Leafリカーリング売上1,043百万円(+13.5%)。解約率は年平均約2%と低位、LTVは6,690千円です。

5. DXサービスの高成長 ドメイン別でDXサービスが1-3Q+24.0%(3Q単独+27.2%)と最速成長。生成AI関連研修の3Q売上は前年同期比2.7倍です。

6. 株数の恒久的減少 400万株(発行済の4.7%)の消却が2026年9月30日予定。DOE18%方針下では株数減が1株配当の押し上げに直結します。

7. 公共・官公庁の伸び 官公庁関連は1-3Q+15.7%、顧客当たり平均売上高+15.2%。予算執行が読みやすく収益の安定材料です。

まとめ

  • 2026年9月期は年間配当35.00円(普通29.50+上場10周年記念5.50)を予想し、利回りは約4.52%。記念配当を除いた普通配当ベースでも25.00円→29.50円の+18.0%増配で、一過性要素を抜いても実質増配です。
  • 配当方針は「配当性向50%」と「DOE18%」の二階建て。現在はDOE基準(BPS160.72円×18%=28.9円)が上回り、これが実質的な配当のフロアとして機能しています。自己資本比率81.3%・実質無借金・ROE32.58%と財務基盤は極めて強固です。
  • 営業利益率38%超の源泉は「設備の軽さ」ではなく、コンテンツの固定費化・講師と営業と開発の分離・前受金による運転資金の内部調達・データベース化による高速カスタマイズという4つの仕組みです。売上総利益率76.3%はソフトウェア企業に近い水準です。
△ 注意しておきたい点

EPS成長率が+23.1%から+6.5%へ急減速し、2026年5月に通期下方修正を出しています。先行指標である前受金の伸びも1Q+19.2%→1H+10.2%→3Q+4.2%と明確に鈍化しており、需要の減速サインと読める可能性があります。

個別サービス単位では当たりハズレが明確に存在します。映像制作+71.5%に対しWebマーケティング▲75.6%、DXサービス+24.0%に対しコミュニケーション▲5.1%。公開講座は開催回数+21.9%に対し受講者+0.8%で1開催当たり▲17.3%、売上総利益率も▲3.4ptと空振りコストが現れ始めています。

現株価774円は配当逆算法の中立778円・PBR現状評価775円と一致するフェアバリュー水準ですが、上振れ余地(+15〜18%)より下振れ余地(▲11〜45%)が大きい非対称なリスク構造です。2026年11月に新中期経営計画の発表が予定されており、ここで配当方針と成長目標がどう示されるかが重要な確認ポイントになります。

💡 当ラボの視点

「無借金・自己資本比率81%×ROE32%×DOE18%の下限方針」は極めて魅力的なセットです。ただし本銘柄は高配当株というより「成長株が配当性向を切り上げた結果、利回りが4%台に見えている銘柄」です。27年9月期の普通配当が29.5円を維持できるか、前受金の伸びが下支えされるか、AI関連サービスの計画が実績として現れてくるか——この3点を四半期ごとに確認しながら保有判断することが重要と考えられます。

出典・参照資料一覧

No.資料名備考
12026年9月期 第3四半期 決算短信〔日本基準〕(連結)株式会社インソース 2026年公表
22026年9月期 第3四半期 決算説明資料株式会社インソース 2026年公表
3配当予想の修正(記念配当)・自己株式の取得および消却に関するお知らせ株式会社インソース 2026年7月21日公表
4半期報告書(大株主の状況)2026年3月31日現在
5株価情報・目標株価(みんかぶ様)6200 インソース 株価情報(2026年7月29日終値ベース)
6株式指標・配当情報・配当履歴・EPS推移(IRBANK様)6200 インソース 各種財務・配当データ(2026年7月時点)

免責事項

免責事項

本記事はAI(Claude/Anthropic社)を活用して作成したコンテンツです。情報の正確性・完全性を保証するものではなく、記載内容に誤りが含まれる可能性があります。

本記事は特定の有価証券への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。株式投資には価格変動リスクがあり、元本が保証されるものではありません。

本記事に記載されている将来予測・試算・適正株価に関する記述は、あくまで参考情報であり、実際の将来の業績・株価・配当を保証するものではありません。

本記事で参照しているみんかぶ様・IRBANK様などの第三者提供データについて、当ラボはその正確性・完全性について責任を負いません。最新情報は各社の公式サイトおよび企業のIR情報をご確認ください。

本記事は税務・法務上のアドバイスを提供するものではありません。税金・法律に関するご判断は、税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。

本記事における業界慣行への言及は、一般的な注意喚起を目的としたものであり、特定の企業の商品・営業活動を批判するものではありません。

情報基準日:2026年7月30日(株価は2026年7月29日終値)

本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。

© 高配当研究所 ※本記事はAIによる分析を含みます。投資推奨ではありません。

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