⚠️ 配当に関する注記:助川電気工業の配当利回りは約1.06%(参考値)と高利回りとは言えません。本レポートは配当ではなく、成長性・競争力・割安感の視点で分析しています。
① 会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 助川電気工業株式会社 |
| 証券コード | 7711(東証スタンダード) |
| 設立 | 1949年(茨城県日立市) |
| 主な事業 | 温度測定・加熱製品の製造販売。エネルギー関連事業(原子力関連・研究機関向け)と産業システム関連事業(半導体製造装置・自動車関連)の2本柱 |
| 決算期 | 9月期(非連結) |
| 時価総額 | 約287億円(2026年6月26日時点、みんかぶ様より) |
なぜ今取り上げるのか
2024年秋の自民党総裁選で高市早苗氏が原発推進政策を掲げたことを受け、「高市銘柄」「高市トレード」として急騰。2025年10月には最高値12,250円を記録しましたが、その後、投資家の関心はAI・データセンター関連へとシフト。2026年6月現在は4,905円と、高値から約60%下落しています。
しかし実態業績は最高益更新中で、2026年2Q決算では上方修正+増配も発表。ブームが去り、市場の注目からは外れた今、改めて実力値を冷静に測り直す——そんな視点で本レポートを作成しました。(出典:かぶたん様 週足チャート・日足チャート、2Q決算短信)
所長ダル


② 主要財務指標
以下の数値は特記なき限り2025年9月期通期決算短信(2025年11月6日発表)および2026年9月期第2四半期決算短信(2026年5月7日発表)より。
| 指標 | 直近実績(2025/9期) | 2Q中間期(2026/3末) | 今期通期予想(2026/9期) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,467百万円 | 3,109百万円(中間) | 6,070百万円 |
| 売上成長率 | +10.1% | +5.0%(中間) | +11.0% |
| 営業利益 | 1,165百万円 | 785百万円(中間) | 1,280百万円 |
| 営業利益率 | 21.3% | 25.2%(中間) | 21.1%(予) |
| 経常利益 | 1,177百万円 | 792百万円(中間) | 1,290百万円 |
| 当期純利益 | 794百万円 | 561百万円(中間) | 903百万円 |
| EPS | 144.06円 | 101.81円(中間) | 163.74円 |
| BPS | 886.74円(2025/9末) | 984.46円(IRBANK様) | — |
| ROE | 17.4%(2025/9期) | 16.63%(IRBANK様) | — |
| ROA | 16.1%(2025/9期) | 10.26%(IRBANK様) | — |
| 自己資本比率 | 64.8%(2025/9末) | 61.7%(2026/3末) | — |
| 営業CF | 826百万円 | 219百万円(中間) | — |
| 配当(参考値) | 40円(利回り約1.06%) | — | 52円(予) |
(出典:2025年9月期決算短信P.1、2026年9月期第2四半期決算短信P.1、IRBANK様)
③ 業績推移(過去8期+今期予想)
(出典:IRBANK様、各期決算短信)
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 営業利益率(%) | EPS(円) | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2019/9 | 4,294 | 245 | 5.7 | 29.49 | 産業向け低迷期 |
| 2020/9 | 3,123 | △15 | — | △2.22 | コロナ禍で赤字転落 |
| 2021/9 | 3,584 | 284 | 7.9 | 33.98 | V字回復 |
| 2022/9 | 4,382 | 451 | 10.3 | 55.46 | 収益急回復 |
| 2023/9 | 4,582 | 590 | 12.9 | 71.37 | 原子力需要本格化 |
| 2024/9 | 4,964 | 916 | 18.5 | 115.68 | エネルギー事業急成長・転換点 |
| 2025/9 | 5,467 | 1,165 | 21.3 | 144.06 | 最高益更新・原発再稼働需要加速 |
| 2026/9(予) | 6,070 | 1,280 | 21.1 | 163.74 | 2Q上方修正後の通期予想 |









④ 事業・競争力の評価
【3項目評価】
本業の稼ぐ力:○
売上成長率は3年連続で高水準(+8.5%→+10.1%→+11.0%予)、営業利益率は21%超と精密機器・電気機器セクターとしては際立って高い水準と考えられます。ROE17.4%も同業比較で優位です。エネルギー関連事業が牽引する構造はしばらく継続する可能性があります。一方、産業システム関連事業は2026年2Q時点で前年比-19.9%と苦戦中。二極化リスクは留意が必要です。
財務の健全性:○
自己資本比率61〜65%で堅実。2Q時点で有利子負債(短期借入金590百万円+社債合計1,028百万円)は1,618百万円程度ですが、純資産5,429百万円に対して問題のない水準と考えられます。営業CFは年間800百万円超の実力があり、投資余力は十分です。ただし2Q時点の営業CF(218百万円)は売上債権の急増(+412百万円)により一時的に低下しており、下期での回収に注目が必要です。(出典:2Q決算短信P.7)
経営方針の透明性:△
中期経営計画の公表は確認できず(今回の資料には含まれていません)。決算短信は定期的に発表され、セグメント情報・受注残高も開示されているなど基本的なIRは整っています。ただし、決算説明会は非開催(決算短信に「無」と記載)、IR資料の充実度は大企業と比較するとやや限定的と言えます。配当は増配トレンドが続いており(34円→40円→52円予)、株主還元姿勢は評価できます。(出典:2025年9月期決算短信P.1、2Q決算短信P.1)






市場環境・競合・リスク
原子力発電所の再稼働は、日本のエネルギー政策の重要課題として継続しています。2026年時点で複数の原発が再稼働・再稼働審査中であり、助川電気工業の研究機関向け原子力関連製品および発電所向け関連製品への需要は中長期的に底堅い可能性があります。受注残高は2026年3月末時点で54億1,800万円(前年同期比+31.7%)と積み上がっており、少なくとも今期以降の売上見通しを一定程度支える水準と考えられます(出典:2Q決算短信P.12)。
競合については、温度制御・加熱技術の特化領域であり、直接の上場競合は限定的とみられます。ただし、半導体・自動車向けの産業システム関連事業はより競争が激しく、回復の時期と程度は不透明です。
①顧客集中リスク:上位3顧客(日本原子力研究開発機構13.4%、量子科学技術研究開発機構11.7%、シンワバネス10.5%)で売上の約35%を占めます(出典:2Q決算短信P.12)。国立研究機関2社への依存度が高く、予算削減・発注遅延が業績に直結するリスクがあります。
②原発政策リスク:エネルギー関連事業の成長は原発再稼働政策が前提。政権交代や世論変化により政策が変わった場合、需要が急減する可能性があります。
③産業システム事業の低迷:自動車関連・環境関連設備向けが振るわず、2Q時点では-19.9%。半導体装置向けは増加傾向に転じ始めた(決算短信記載)ものの、本格回復の時期は不透明です。
④PBR・PERの高止まり:高値圏から調整したとはいえ、現在のPBR約5倍・PER約30倍は割高感が残ります。業績が予想を下回った場合、さらなる株価下落の余地があります。
⑤受注集中リスク:エネルギー関連の受注は特定大型案件の影響を受けやすく、受注高が前年同期比-7.8%(92.2%)となっています(出典:2Q決算短信P.12)。
総合評価:B
財務健全性・収益力・成長トレンドはいずれも「良好」と評価できます。特に営業利益率21%超、ROE17%超は小型精密メーカーとして非常に高い水準です。エネルギー関連の受注残高積み上がりも今期以降の業績を一定程度担保していると考えられます。
しかし、「今仕込む価値があるか」という観点では、PBR5倍・PER30倍という水準は成長性を相当程度織り込んでいると考えられ、みんかぶ様の目標株価2,631円(現株価4,905円に対して▲46%)が示すように外部評価は厳しい状況です。成長株として「A」をつけるには、もう一段の株価調整か、産業システム事業の明確な回復シグナルを確認してからでも遅くないと判断し、現時点では「B」が妥当と考えます。
⑤ 対談:5つのテーマで深掘り
テーマ①:「高市銘柄」の実態——政策テーマ株はいつ終わり、何が残ったか?












テーマ②:受注残高54億円の意味——業績は本当に安心できるのか?









テーマ③:「2社で売上の25%」——国立研究機関依存の光と影









テーマ④:PBR5倍は「高すぎ」か「変革の証」か——過去15年のPBR推移を読む









テーマ⑤:二極化する2つの事業——今後の業績は「エネルギー次第」でいいのか?









⑥ 核融合・SMR・大株主について
核融合・SMRとの関係(実態整理)
| 区分 | 内容 | 現業績への貢献 |
|---|---|---|
| 既存原発・研究炉向け機器 | 炉内センサ・液体金属機器等 | ◎ 現在の主力 |
| 核融合(JT-60SA等) | 試験装置・液体金属ループへの実績あり | △ 一部実績あり、売上規模は限定的 |
| SMR・次世代革新炉 | 将来の受注候補として自社が言及 | × 現時点では売上ゼロ |
| 軍事関連 | 資料・検索上で裏付けなし | — 確認できず |






大株主について
大株主一覧(2026年3月31日現在、半期報告書より)を確認すると、筆頭株主は株式会社ドウメキエンタープライズ(17.02%)です。「百目鬼(どうめき)」は創業者一族の名字で、大株主10位内にも「百目鬼 孝一」個人(0.92%)が入っており、創業家による安定保有構造となっています。
第2位は東京中小企業投資育成株式会社(6.48%)。「中小企業投資育成株式会社法」に基づく政策実施機関(現在は民間法人化)で、経営干渉・役員派遣を行わない友好的・長期安定株主です。出資を受けていること自体が「成長性と収益力を兼ね備えた企業と認められた証」とされており、信用力の補完材料と言えます。
上位3株主(創業家17.02%+政策系機関6.48%+地元メインバンク常陽銀行4.78%)だけで約28%を占め、全員が長期・友好的という安定した株主構成です。外資系アクティビストファンドや物言う株主の名前は上位10位以内には見当たらず、現時点でのアクティビストリスクは低いと判断されます。
⑦ 適正株価試算
現在株価(2026年6月26日):4,905円
今期会社予想EPS:163.74円(2Q決算短信より)
直近BPS:984.46円(IRBANK様より)
■ EPS×PER法(4シナリオ)
| シナリオ | 想定EPS(円) | 想定PER(倍) | 適正株価(円) | 現株価比 | 備考・前提条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 強気 | 190 | 35 | 6,650 | +35.6% | EPS成長継続(+16%)、原発再稼働追い風が持続、産業システムも回復 |
| 中立 | 163.74 | 30 | 4,912 | ±0% | 会社予想EPS通り、現PER水準を維持。ほぼ現株価と一致 |
| 保守的 | 155 | 22 | 3,410 | ▲30.5% | 増益一服・横ばいEPS、PERが精密機器業種平均水準まで収縮 |
| 弱気 | 71 | 18 | 1,278 | ▲73.9% | EPS急落(2022/9期水準)、原発需要急停止+産業システム低迷長期化 |
①日本政府が原子力政策を大幅転換(脱原発回帰)、②国立研究機関への予算が大幅削減されて大口受注が消滅、③半導体・自動車市場の同時低迷が長期化、の3条件が重なった場合に想定されるシナリオです。単独では弱気シナリオの全面的な実現は考えにくいですが、特に①の政策変更リスクは一定程度注視が必要と考えられます。
■ BPS×適正PBR(2点セット)
現在BPS:984.46円(IRBANK様・2026/3末)
| PBR倍率 | 適正株価(円) | 根拠・コメント |
|---|---|---|
| 5.0倍(現在水準) | 4,922円 | 現在のPBR水準(約5倍)。過去最高PBR水準 |
| 3.0倍(ROE見合い) | 2,953円 | ROE17%の会社に対してPBR3倍はやや保守的だが、過去の実績レンジ内 |
| 2.0倍(過去中央値水準) | 1,969円 | 2010〜2023年の歴史的PBRレンジの中央値付近(IRBANK様 PBR推移より) |
| 1.5倍(下値目途) | 1,477円 | 歴史的下限まで下落した場合は非現実的だが、1.5倍は意識される水準 |
IRBANK様のPBR推移を見ると、2022年以前は概ね1〜2倍台で推移していたことがわかります。現在の5.21倍(2025年9月末)は歴史的に見て明確な「割高ゾーン」と言えます。ROE向上を理由にPBRの適正水準が上がったという見方はありますが、過去の推移からすると3〜4倍程度が現実的な上限との見方もできます。
■ みんかぶ様 目標株価との比較
みんかぶ様の目標株価は2,631円(出典:みんかぶ様)。これは現在株価4,905円に対して約▲46%という水準で、個人予測は「売り」、株価診断は「割高」となっています。
この目標株価は相当に悲観的な水準であり、おそらくPBRやPERの過去平均への回帰を前提とした算出と考えられます。業績は確かに拡大しており、みんかぶ目標株価まで下落するには業績の大幅な悪化が伴う必要があると思われます。ただし、現株価とのギャップが大きいことは、市場参加者が慎重な見方をしていることを示していると言えるでしょう。






⑧ まとめ
①なぜ今取り上げるのか:高値から▲60%調整した「高市銘柄」の今。業績は最高益更新中・受注残高も高水準で、「株価だけが過熱して落ちた」のかを検証する局面が来た。
②外部目標株価との比較:みんかぶ様 目標株価2,631円は現株価比▲46%。市場は依然として割高と判断している。
③割高・割安感(PER・PBR両面):PER約30倍・PBR約5倍はいずれも歴史的高水準。収益力向上でPBR適正水準は上がったが、3〜4倍程度が妥当との見方もあり、現状はやや割高ゾーンとみられる。
④強気シナリオの根拠:受注残高54億円(売上1年分相当)の積み上がり、エネルギー関連事業の継続成長、産業システム事業の回復兆しが揃えば、EPS200円台・株価6,000〜7,000円台も視野に入る可能性がある。
⑤最大のリスク(一言で):「原発政策変更×顧客集中」リスク
⑥「今仕込む」判断の目安:株価3,500〜4,000円台まで調整し、かつ産業システム事業の回復シグナル(前年比プラス転換)が確認できた場合が、リスクリワードが改善するタイミングと考えられます。現水準(4,900円台)での新規投資は「保守的シナリオ(3,400円)への下落余地あり」を許容できる方向けと言えるでしょう。
- 営業利益率21%超・ROE17%超と、小型精密メーカーとして際立った収益力を持つ
- 受注残高54億円(売上1年分相当)の積み上がりが、短期的な業績下振れリスクを抑制している
- 創業家・政策系機関・地元銀行で約28%を安定保有し、アクティビストリスクは低い
- 増配トレンドが継続中(34円→40円→52円予)で、株主還元姿勢は評価できる
- 産業システム事業(半導体向け)に底打ちの兆しがあり、回復すれば業績の第2エンジンとなりうる
- PBR5倍・PER30倍は割高ゾーンにあり、株価3,500〜4,000円台まで調整した局面が「仕込みの目安」と考えられる






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情報基準日:作成日20260628
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
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