日本電子材料(6855)はなぜ今話題なのか?
HBM(広帯域メモリー)向けプローブカードの急拡大により、日本電子材料株式会社(証券コード:6855)は2026年3月期に創業以来の過去最高売上・最高利益を達成しました。2026年2月には尼崎新工場(2028年8月竣工予定)の建設を決議し、「生成AI×半導体検査」テーマの本命株として市場の注目が急上昇しています。株価は直近1〜2年で約5倍超に急騰しており、過熱感と成長期待が交錯するフェーズにあります。
車野アナリスト


会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 日本電子材料株式会社 |
| 証券コード | 6855(東証スタンダード) |
| 主な事業 | 半導体検査用プローブカード製造・販売(MEMSプローブカードが主力) |
| 時価総額 | 約1,142億円 |
| 決算期 | 3月期 |
主要財務指標(2026年3月期)
まずは直近の決算(2026年3月期)における主要な財務指標を確認します。
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 売上高 | 29,366百万円 | 決算短信p.1 |
| 売上成長率 | +23.2% | 決算短信p.1 |
| 営業利益 | 7,249百万円 | 決算短信p.1 |
| 営業利益率 | 24.7% | 決算短信p.1 |
| 純利益 | 5,451百万円 | 決算短信p.1 |
| EPS | 425.98円 | 決算短信p.1 |
| BPS | 3,063.93円 | 決算短信p.1 |
| ROE | 15.0% | 決算短信p.1 |
| ROA | 14.6% | 決算短信p.1 |
| 自己資本比率 | 76.7% | 決算短信p.1 |
| 営業CF | 5,758百万円 | 決算短信p.1 |
| 現金及び預金 | 27,110百万円 | 決算説明資料p.9 |
| 配当(参考) | 年間80円・利回り1.02% | みんかぶ様 |
営業利益率24.7%・ROE15.0%・自己資本比率76.7%と、財務・収益力の両面で非常に高い水準にあります。ただし配当利回りは1.02%にとどまり、高配当銘柄ではない点にはご注意ください。
業績推移(2019年3月期〜2027年3月期予想)
同社の業績は半導体メモリーサイクルと強く連動しており、2023〜2024年に底を打った後、2025〜2026年にかけて急回復しています。
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 営業利益率(%) | EPS(円) | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2019/3 | 14,416 | 1,050 | 7.3% | 40.4 | — |
| 2020/3 | 15,606 | 812 | 5.2% | 101.1 | — |
| 2021/3 | 18,521 | 2,665 | 14.4% | 183.93 | ★回復転換点 |
| 2022/3 | 24,583 | 2,836 | 11.5% | 207.25 | — |
| 2023/3 | 20,741 | 1,655 | 8.0% | 40.27 | ▼メモリー市況急冷 |
| 2024/3 | 17,484 | 873 | 5.0% | 73.46 | ▼業績底。半導体サイクル谷 |
| 2025/3 | 23,829 | 4,585 | 19.2% | 273.53 | ★HBM需要急回復 |
| 2026/3(実績) | 29,366 | 7,249 | 24.7% | 425.98 | ★創業以来最高更新 |
| 2027/3(会社予想) | 33,000 | 7,450 | 22.6% | 375.49 | ▲EPS減(希薄化+設備投資先行) |
2023〜2024年はメモリーサイクルの谷でEPSが40〜73円台まで急落しました。2027/3期の会社予想EPS(375.49円)が前期(425.98円)を下回るのは業績後退ではなく、公募増資による株数増加(+16%)が主因です。






テーマ①:HBMとプローブカードの関係を初心者向けに解説
「プローブカード」という言葉はあまり聞き慣れないかもしれませんが、半導体産業においては欠かせない消耗品です。その需要がなぜ急拡大しているのかを、HBMの仕組みから解説します。
HBM(広帯域メモリー)とは?
HBMはAI向けGPUに搭載される高速メモリーです。ChatGPTのような生成AIを動かすには膨大なデータを高速処理する必要があり、そのためにHBMが不可欠な部品となっています。HBMの需要が増えれば増えるほど、製造後に行われる「電気的なチェック(半導体検査)」の回数も増えます。
プローブカードとは?
プローブカードは、その半導体検査に使う消耗品です。チップに細い針(プローブ)を当てて電気信号を流し、正常に動作するかを確認します。検査枚数が増えればプローブカードの消耗・交換も増えるため、HBM増産はプローブカード需要に直結します。
日本電子材料はMEMS(微小電気機械システム)技術を活用した「Mタイプ」プローブカードが主力で、先端半導体(微細化・多ピン化)への対応力が競合との差別化要因となっています。2026/3期における半導体検査用部品事業の売上は29,142百万円(全体の99.2%)、セグメント利益は9,139百万円に達しています(出典:決算短信p.14)。






テーマ②:中計目標を46%超過!経営者の強気はどこまで信じられるか?
日本電子材料の経営陣は積極的な成長投資を続けています。その「強気の業績見通し」はどこまで信頼できるのでしょうか。
中計目標の大幅超過
2024年5月に策定された中期経営計画では、経常利益目標を5,000百万円と設定していました。しかし1年後の実績は7,177百万円と、目標を43%超過して着地しています。次期予想(2027/3期)も7,300百万円へと上方修正が続いており、超過率の高さが際立っています。
会社が掲げる経営KPIは「連結経常利益率:常に10%以上」「ROE:常に10%以上」です。現状実績は経常利益率24.4%・ROE15.5%と、いずれも目標を大幅に上回っています(出典:中計資料p.5〜14)。
コスト構造の変化と稼ぐ力
売上高+23.2%に対して営業利益は+58.1%と、利益の伸びが売上を大幅に上回っています。これは熊本第4工場(2024年11月竣工)の本格稼働による固定費吸収効果(営業レバレッジ)が寄与しています。営業利益率は2010年代の5〜7%台から24.7%へと劇的に改善しました。
一方、2027/3期の設備投資は70億円(前期比+81%)に急増し、減価償却費も1,800百万円へ増加が予想されます。研究開発費も2,200百万円(+31%)へ増加しており、次世代対応への先行投資が本格化しています(出典:決算説明資料p.14)。






テーマ③:尼崎新工場に60億円超。成長投資は英断か、過剰投資か?
2026年2月に決議された尼崎新工場の建設は、同社の成長戦略の核心です。その規模と資金調達の内容を確認します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 決議日 | 2026年2月 |
| 竣工予定 | 2028年8月 |
| 敷地面積 | 7,100㎡ |
| 延床面積 | 8,000㎡(熊本第4工場の約1.3倍規模) |
| 投資総額 | 約125億円 |
| 資金調達 | 公募増資(2026/2/25決議)で約122億円を調達・充当 |
| 3か年設備投資累計 | 当初8,500百万円→現在14,882百万円(+6,382百万円) |
現金残高は27,110百万円(出典:決算説明資料p.9)あり、財務余力は十分です。ただし工場稼働まで2年以上あり、その間は減価償却が先行するものの売上への貢献は2029年度以降の見込みとなります。






テーマ④:プローブカード市場は2030年に7,000億円超?市場成長の信頼性と競合環境
日本電子材料が戦うプローブカード市場の規模感と、競合環境を整理します。
市場規模の試算
同社の試算によると、プローブカード市場は2025年の約4,700億円から2030年には7,000億円超へと拡大する見通しです(従来予測の5,000億円超から大幅上方修正)。この上方修正の根拠は、生成AI向け半導体市場が2030年に150兆円超(従来100兆円超)へ拡大するとの想定です(出典:決算説明資料p.13)。
競合環境と日本電子材料のポジション
主要競合は米FormFactor(世界首位)、韓国のWinTek、国内では日本精工グループ系などです。日本電子材料はメモリー向けMタイプに特化したポジションを確立しており、非メモリー向けは売上の数%にとどまります(2025/3期)。
FormFactorはロジック向けでも強い競争力を持ちます。日本電子材料の市場地位はメモリー特化型で成立しているため、非メモリー(ロジック)市場が回復した局面での相対的競争力には留意が必要です。中計では「300mm一括コンタクト技術・高温プロービング技術をロジック向けに横展開」する方針も示されており、中長期のリスク分散軸として注目されます(出典:中計p.13)。






テーマ⑤:株価は1年で5倍。今が「買い」?それとも「見送り」?シナリオ別に考える
現株価7,790円(2026年6月4日時点、みんかぶ様)は、さまざまな切り口から見てどのような水準にあるのでしょうか。4つのシナリオで考えます。
EPS×PER法による適正株価試算(4シナリオ)
| シナリオ | 想定EPS | 想定PER | 適正株価 | 現株価比 | 備考・前提条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 強気 | 520円 | 20〜22倍 | 10,400〜11,440円 | +34〜+47% | HBM需要継続・尼崎工場早期寄与でEPS更新 |
| 中立 | 375円 | 18倍 | 6,750円 | ▲13% | 会社予想EPS据え置き・現PER維持 |
| 保守的 | 300円 | 12〜14倍 | 3,600〜4,200円 | ▲46〜▲54% | 増益一服・業種平均PER収縮 |
| 弱気 | 40〜75円 | 8〜10倍 | 320〜750円 | ▲90〜▲96% | 2023〜2024年の業績再現 |
BPS×適正PBRによる株価水準の確認
| PBR倍率 | 適正株価(円) |
|---|---|
| 1.0倍(解散価値目安) | 3,064円 |
| 1.4倍(過去ピーク水準) | 4,290円 |
| 1.7倍(2026/3末実績) | 5,209円 |
| 2.5倍(現在水準) | 7,660円 |
現在のPBR2.54倍(みんかぶ様)は、過去10年レンジ(0.44〜1.70倍)の上限を大幅に超えた水準です(出典:IRBANK様)。みんかぶ様アナリスト目標株価は5,810円で、現株価7,790円は約34%上回っており、外部評価から見ると割高圏の可能性があります(出典:みんかぶ様)。






中立シナリオの適正株価(約6,750円)以下まで調整した場面での打診買いが考えられます。6,000〜6,500円台は一定のバッファとなる水準です。5,000円割れは過度な悲観とも読める水準で、長期投資家の本格仕込みゾーンになりうる可能性があります。ただしHBMサイクルの継続確認が大前提です。
事業・競争力の総合評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 本業の稼ぐ力 | ○ | 営業利益率24.7%・売上成長率+23.2%・ROE15%と高水準。MタイプがHBM向けで独自ポジションを確立。ただしメモリー集中リスクあり。 |
| 財務の健全性 | ○ | 自己資本比率76.7%・現金27,110百万円と盤石。ネットキャッシュは大幅プラス。公募増資で新工場資金も確保済み。 |
| 経営方針の透明性 | ○△ | 数値KPIの明示・中計目標の開示・資金使途の明確化が確認できた。一方、2030年以降の長期ビジョンは示唆にとどまり、次期中計の詳細は未開示。 |
| 市場環境 | ○ | HBM需要拡大が継続中。プローブカード市場は2030年に7,000億円超が見込まれ、追い風は当面継続する可能性がある。非メモリー向けの低迷は継続。 |
主なリスク要因
- メモリーサイクルの急反転(最大リスク)
- 為替円高(海外売上比率40〜58%)
- 設備投資先行による減価償却増
- 主要顧客集中リスク
- 公募増資によるEPS希薄化
まとめ:日本電子材料(6855)の総合評価
①【なぜ今話題なのか】HBM需要急拡大でプローブカードが消耗品として大量受注。創業以来最高業績で尼崎新工場建設を発表した「生成AI×半導体検査」の本命テーマ株。
②【外部目標株価との比較】みんかぶ様アナリスト目標5,810円に対して現株価7,790円と約34%割高(出典:みんかぶ様)。
③【割高・割安感】PER18倍は過去平均に近いが、PBRは2.5倍超と過去最高水準に接近。EPS減少予想(2027/3期)も含め割安感は乏しい。
④【強気シナリオの根拠】HBM第5世代以降の新規受注拡大+尼崎新工場稼働後の生産能力2倍化でEPS500円超が実現すれば、株価1万円台も視野。
⑤【最大のリスク】メモリーサイクルの反転(2023〜2024年の再来)。
⑥【今仕込む判断の目安】中立シナリオ適正株価(約6,750円)以下での打診買い。6,000〜6,500円台は一定のバッファ。5,000円割れは長期投資家の本格仕込みゾーンになりうる。ただしHBMサイクルの継続確認が大前提。






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情報基準日:2026年6月3日
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
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