日本製鉄(5401)の配当利回りは約4.45%とそれなりの水準ですが、業績連動型(配当性向30%目安)のため、業績次第で大きく変動します。本レポートは「成長株・話題株」として「今仕込むべきか」という観点で分析します。配当を目的とした投資には向かない可能性があることをあらかじめご了承ください。
① 会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 日本製鉄株式会社 |
| 証券コード | 5401(東証プライム) |
| 設立 | 2012年(前身の新日本製鐵は1970年) |
| 主な事業 | 製鉄(鉄鋼製品製造販売)、エンジニアリング、ケミカル&マテリアル、システムソリューション |
| 時価総額 | 約2兆8,942億円(2026年6月30日現在・みんかぶ様) |
| 決算期 | 3月期(IFRS適用) |
| 本社所在地 | 東京都千代田区 |
なぜ今話題なのか
所長ダル


② 主要財務指標
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 10兆632億円(前期比+15.7%) | 決算短信p.1 |
| 実力ベース事業利益 | 6,504億円(前期比▲18.1%) | 決算説明会資料p.4 |
| 営業利益 | 2,429億円(前期比▲55.7%) | 決算短信p.1 |
| 営業利益率(ROS) | 5.1%(実力ベース) | 決算説明会資料p.4 |
| 親会社帰属当期利益 | 171億円(前期3,502億円から▲95.1%) | 決算短信p.1 |
| EPS(連結・実績) | 3.28円 | 決算短信p.1 |
| EPS(連結・予想) | 42.09円(2027年3月期) | IRBANK様 |
| BPS | 1,058.19円 | 決算短信p.1 |
| ROE(実績) | 0.31%(一過性除き約6%) | 決算説明会資料p.15 |
| ROE(予想) | 3.98% | IRBANK様 |
| ROA(実績) | 0.12% | IRBANK様 |
| 自己資本比率 | 37.72%(連結) | IRBANK様 |
| 有利子負債 | 5兆1,742億円 | 決算説明会資料p.14 |
| 調整後D/Eレシオ | 0.71倍 | 決算説明会資料p.14 |
| 営業CF | 7,169億円 | 決算短信p.1 |
| 配当(参考値) | 24円(利回り約4.45%)※下限配当として2030年まで確約 | 決算短信p.1 |
出典:日本製鉄2026年3月期決算短信、決算説明会資料(2026年5月13日)、IRBANK様
当期利益が急減した主因は、AM/NS Calvert持分譲渡▲2,321億円・USIMINAS撤退▲176億円など「個別開示項目(一過性損失)」の計▲2,712億円によるものです。実力ベースでは6,504億円を確保しており、本業の収益力は一定程度維持されています(決算説明会資料p.4)。



③ 業績推移(過去8期+今期予想)
| 決算期 | 売上収益(億円) | 実力ベース事業利益(億円) | ROS% | EPS(円)分割調整後 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2020年3月期 | 58,800 | 1,557 | — | ▲7 | コロナ前・需要低迷 |
| 2021年3月期 | 52,700 | 6,900 | — | 138 | 鋼材市況急回復・大幅増益 |
| 2022年3月期 | 73,400 | 9,350 | 12.7% | 151 | ピーク年度・過去最高益圏 |
| 2023年3月期 | 86,955 | 7,937 | 9.1% | 119 | 原料高・構造改革続く |
| 2024年3月期 | 86,955 | 7,937 | 7.9% | 70 | 設備休止関連損失▲1,352億円を計上 |
| 2025年3月期 | 86,955 | 7,937 | 7.9% | 70 | 構造改革継続(IRBANK様データ参照) |
| 2026年3月期(実績) | 100,632 | 6,504 | 5.1% | 3.28 | USS買収完了・一過性損失▲2,712億円が直撃 |
| 2027年3月期(予想) | 110,000 | 7,000以上 | 約6.4% | 42.09 | USS収益回復期待・中東影響未織込 |
出典:決算説明会資料p.4・p.11・p.15・p.21、決算短信p.1、IRBANK様






④ 事業・競争力の評価
【3項目◯△×評価】
本業の稼ぐ力:△(環境悪化局面だが体質は改善中)



財務の健全性:△(USS買収によるレバレッジ増大が最大懸念)



経営方針の透明性:○(鉄鋼大手としては高水準のIR)



市場環境コメント
世界鉄鋼市場は中国の過剰生産問題が最大の構造的課題です。中国の鋼材輸出は2025年に過去最高の1.06億トンを記録し、国際市況を押し下げています(決算説明会資料p.7)。国内鋼材需要は当初中計想定の54百万t/年から49百万t/年へと実際には約9%下振れており、構造的な縮小局面にあります。
一方、USS買収により参入した米国市場は対照的に堅調です。米国の鉄鋼需要は約90百万t/年で安定しており、50%の鉄鋼関税も追い風になり得ます。足元のHCスポット価格は1,000ドル/stを超えており、2026年度の米国事業は大幅増益(前年度比+1,060億円)を見込んでいます(決算説明会資料p.36)。またインドは最大の成長市場として期待が大きく、AM/NS Indiaの能力拡張(9→15百万t/年)に加え、新製鉄所建設も着工済みです。
リスク要因
①中東情勢の長期化リスク(最大・定量化不能)
第1四半期だけで▲500億円の影響が想定されます。紛争が長引けば累積インパクトは数千億円規模になりえます。エネルギーコスト・需要減・鋼材需給悪化の三重苦となる可能性があります。
②中国の過剰輸出継続リスク
中国の粗鋼生産量は9.6億tで高水準を維持しています。輸出増→国際市況下落→マージン圧縮のサイクルが続く可能性が高いです。
③USSの収益回復が遅れるリスク
収益改善の主体である設備投資効果(25億ドル)の本格発現は2027〜2030年です。それまでの間、金利負担1,000億円超が純利益を圧迫し続けます。
④為替リスク
海外事業比率が高まったことで、円高は逆風です。2026年度は155円/ドルを前提としますが、急速な円高局面では業績見通しが下振れる可能性があります。
⑤室蘭製鉄所トラブルのような一過性リスク
2025年度は高炉・熱風炉の連続トラブルで▲500億円の一過性損失が発生しました。製造業特有の設備リスクは常に存在します。
総合評価:B(成長株として今仕込む価値があるかの観点)
「成長株として今仕込む価値があるか」という観点では、現在が「底値圏の苦しい踊り場」にある可能性が高いと考えられます。PBR0.52倍という歴史的割安水準、下限配当24円の確約、USS本格稼働による2026〜2027年度の回復見通しは強気材料です。
一方、中東情勢影響が定量化できないこと、金利負担の長期継続、中国リスクの構造的問題から、「すぐに上がる」とは言いにくい状況でもあります。2030年の「実力利益1兆円」という目標が本当に達成可能なら、現在の株価は著しく割安と考えられますが、不確実性が高いため積極的なA評価とはなりませんでした。「じっくり中長期で持てる方」にとっては検討に値する水準と考えられます。
⑤ 対談:テーマ別深掘り分析
テーマ①:USスチール買収は「失敗」なのか——3兆円M&Aの真相















テーマ②:中東情勢——なぜ日本の鉄鋼大手が直撃を受けるのか









テーマ③:株価が割安かどうかをどう判断するか——PBR0.52倍の意味









テーマ④:2030中長期経営計画「実力利益1兆円」は本当に達成できるのか









テーマ⑤:配当は本当に「安全」か——下限24円の信頼性















テーマ⑥:「つぶれる?失敗した?オワコン?」——日本製鉄をめぐる3大不安に正直に答える






Q1:「大赤字でつぶれるんじゃないか?」









Q2:「USS買収は結局やらかし案件だったんじゃないか?」






Q3:「中国のダンピングで鉄鋼業自体がオワコンになったんじゃないか?」












⑥ 大株主構成
出典:IRBANK様・有価証券報告書(2026年3月期)注釈4
| 株主 | 保有比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 14.8% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 5.3% |
| 野村グループ合計(注釈4・実質) | 5.23% |
| 日本生命保険 | 1.8% |
| 明治安田生命保険 | 1.3% |
| 日本製鉄グループ従業員持株会 | 1.2% |
| みずほ銀行 | 1.1% |
| 外国法人等 全体合計 | 23.61% |



⑦ 適正株価試算
現在株価:538.6円(2026年6月30日・みんかぶ様)
BPS:1,058.19円(2026年3月期末)
次期予想EPS:42.09円(2027年3月期・IRBANK様)
■ EPS×PER法(4シナリオ)
| シナリオ | 想定EPS(円) | 想定PER(倍) | 適正株価(円) | 現株価比 | 備考・前提条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 強気 | 80〜90 | 12〜15 | 960〜1,350 | +78〜+151% | USS+インドの投資効果フル発揮、中東影響収束、EPS回復。2030年以降の達成シナリオ |
| 中立 | 42 | 13 | 546 | +1.4% | 会社予想EPS42円をそのまま採用、現状PER13倍維持(みんかぶ様データ) |
| 保守的 | 30〜35 | 10〜12 | 300〜420 | ▲22〜▲44% | 中東影響が業績見通しを下振れさせ、増益一服。PERが鉄鋼業平均10倍程度に収縮 |
| 弱気 | 3〜10 | 8〜10 | 24〜100 | ▲81〜▲98% | 中東情勢の極度長期化、世界鉄鋼需要の急減、USS投資失敗が重なるシナリオ |
①中東紛争が2026年度通期にわたり拡大し、累積影響が2,000億円超に達する、②米国経済が景気後退局面に入り米国市況が600ドル台まで急落する、③円が130円台に急伸し海外事業の円換算利益が大幅に目減りする、の3条件が重なる場合。現時点では低確率と考えられますが、ゼロではありません。
■ BPS×適正PBR
| PBR倍率 | 適正株価(円) | コメント |
|---|---|---|
| 0.27倍(過去最低水準) | 286 | 最悪シナリオの底値参考値(IRBANK様:2010年以降の最低) |
| 0.52倍(現在) | 550 | ほぼ現状株価と整合。割安感はあるが底値保証ではない |
| 0.7倍 | 741 | 2030中期計画でD/Eを0.7以下に改善すれば到達しうる水準 |
| 1.0倍 | 1,058 | 純資産と株価が等しい「理論的公正価値」。長期目標値 |
| 1.62倍(過去最高水準) | 1,714 | 2022〜2023年の市況ピーク時の水準(IRBANK様) |
■ みんかぶ目標株価との比較



⑧ 「今仕込む」判断の目安









・中東紛争が2026〜2027年度にわたり継続・拡大し、年間1,000〜2,000億円規模の影響が継続する場合
・USS(Gary・Mon Valley等)で大型設備トラブルや労使紛争が発生し、シナジー改善計画が大幅に遅れる場合
・中国政府が鋼材輸出をさらに拡大し、アジア・欧州のスプレッドが$100/t水準まで崩壊する場合
・米国が鉄鋼関税を突如撤廃し、輸入鋼材が再流入して米国市況が急落する場合
まとめ
- 日本製鉄(5401)は2025年6月にUSスチール買収(約2.1兆円)を完了し、国内最大の鉄鋼メーカーがグローバル大手へと変貌した。
- 2026年3月期のEPS3.28円は「大赤字」に見えるが、主因は一過性損失(▲2,712億円)。実力ベース事業利益は6,504億円を確保している。
- PBR0.52倍は過去レンジ(0.27〜1.62倍)の下位圏で歴史的割安水準。予想PER約12.8倍もグローバル鉄鋼大手並みかやや割安。
- 下限配当24円(2030年まで確約)があるが、現期の配当性向は約57%と実質的なタコ足配当に近い構造であり、業績本格回復までの一時的措置と理解すべき。
- 最大のリスクは「中東情勢の長期化」で、通期影響が定量化できない唯一の変数。紛争終結のタイミングが株価を左右する。
- 総合評価はB。「じっくり中長期で持てる方」には検討に値する水準だが、USS本格寄与が確認できる2026年度下期〜2027年度の決算が評価の真の分岐点となる。
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情報基準日:作成日20260630
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
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