はじめに
2026年10月30日、キオクシアホールディングス(285A)が27/3期第2四半期決算を発表しました。Q2(7〜9月)の売上収益は2兆4,800億円で、前期(26/3期)1年分の売上2兆3,376億円を1四半期で上回り、Non-GAAP営業利益率は80.2%に達しました。あわせて上場来初の配当と「余剰資金の100%を株主還元」する方針も打ち出しています。
ところが株価は10/30の13,470円から11/5の9,324円まで、4営業日で約31%下落しました。6月の高値からは約75%の下落です。今回は継続チェックとして、この「最高益なのに株価は半値」というズレの正体を数字で分解していきます。
同社は今回初めて配当(中間30円・分割後換算)を実施しましたが、配当利回りは約0.3%で、当メディアが想定する高配当水準には届きません。以下は「高配当銘柄」としてではなく、成長性・競争力・割安感の視点で「今仕込むべきか」を検討する分析です。配当は参考値として扱います。
また、同社は2026年10月1日付で1株→3株の株式分割を行っています。本記事は分割後ベースで統一し、前回メモ(分割前)の数値は【分割後換算】で比較します。配当IRの「90円」のみ分割前ベース(分割後30円相当)です。
どんな会社か
キオクシアは旧東芝メモリで、スマホ・PC・データセンター向けのNAND型フラッシュメモリ(BiCS FLASH)とSSDを製造する、日本唯一のNAND専業大手です。四日市工場(三重)・北上工場(岩手)を主力拠点とし、Sandisk(旧WD)と製造合弁3社を運営しています。
Q2の売上構成は、SSD & ストレージ65%(うちデータセンター・エンタープライズ向けが60%台半ば、PC向け等が30%台半ば)、スマートデバイス32%、その他3%です(説明資料p.10)。データセンター・エンタープライズ向けは全社売上の約4割強と推計されます(筆者推計:65%×60%台半ば)。
取り上げた理由と注目点
AIデータセンター向けのNAND特需で2026年前半の「スター銘柄」となりましたが、6月高値から約75%下落しています。2Q決算は過去最高・初配当にもかかわらず、Q3ガイダンスが前四半期比+1%にとどまって「AI特需のピークアウト」が意識されました。さらに米中間選挙を受けたデータセンター規制懸念と、信用買い残の投げも重なっています。
所長ダル


会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | キオクシアホールディングス株式会社(Kioxia Holdings Corporation) |
| 証券コード | 285A(東証プライム、2024年12月上場) |
| 設立 | 2019年3月1日(旧東芝メモリ。事業会社キオクシア株式会社は2017年4月発足) |
| 代表者 | 代表取締役 社長執行役員 太田裕雄氏 |
| 主な事業 | NAND型フラッシュメモリ(BiCS FLASH)およびSSD等の開発・製造・販売。メモリ事業の単一セグメント |
| 主力拠点 | 四日市工場(三重)・北上工場(岩手)。Sandisk(旧WD)と製造合弁3社を運営 |
| 時価総額 | 15兆3,501億円(11/5、みんかぶ様)※6/22高値時は約60兆円規模 |
| 決算期 | 3月(IFRS) |
| 発行済株式数 | 1,646,307,702株(自己株式48,402,168株を含む、分割後) |
| 現在株価 | 9,324円(11/5終値、前日比▲1,411円/▲13.14%)(みんかぶ様) |
| みんかぶ様目標株価 | 30,469円(総合「買い」、アナリスト予想36,145円・個人予想16,230円) |
| 権利落ち確認 | 済(中間配当:基準日2026/9/30、支払開始2026/12/8) |
| 増配コミット | 累進配当を基本方針として新たに明記(期末配当は未定) |
出典:27/3期2Q決算短信表紙・サマリー・p.16、連結子会社間合併IR p.2、配当IR、みんかぶ様
世界シェア──「追われる立場」に
NAND売上シェアは世界4位前後です。外部調査(TrendForce、2026年8月)ではCY2026年4〜6月期のシェアは13.6%で、マイクロンに抜かれ4位に後退しました。外部調査(Counterpoint Research、2026年9月)では中国YMTCと並ぶ14%とされています。首位サムスン(約28〜29%)、2位SKハイニックス(約18〜19%)との差は大きく、「シェアで追われる立場」になりつつある点には留意が必要です。
主要財務指標(27/3期 中間期/Q2単体)
| 指標 | 27/3期 中間期(累計) | 27/3期 Q2単体 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 4兆2,472億円 | 2兆4,800億円 | 短信サマリー、p.12 |
| 売上成長率 | 前年同期比+436.8% | QoQ +40.3%/YoY +453.2% | 短信サマリー、説明資料p.9 |
| 営業利益(IFRS) | 3兆2,647億円(76.9%) | 1兆9,947億円(80.4%) | 短信p.10、p.12(利益率は筆者算出) |
| Non-GAAP営業利益 | 3兆3,145億円(78.0%) | 1兆9,883億円(80.2%) | 短信サマリー、説明資料p.9 |
| 親会社所有者帰属利益 | 2兆1,979億円 | 1兆3,557億円 | 短信p.10、p.12 |
| EPS(基本的、IFRS) | 1,349.33円 | 838.31円 | 短信サマリー、p.12 |
| Non-GAAP EPS | 1,372.48円 | 833.94円 | 短信p.3〜4 |
| BPS | 1,833円(2Q末) | ― | IRBANK様(筆者検算一致) |
| ROE | 26/3期実績39.64%/中間期年率換算 約203% | ― | IRBANK様、筆者算出 |
| ROIC | 102%(過去12カ月) | ― | 説明資料p.8 |
| ROA | 26/3期実績15.03%/中間期年率換算 約92% | ― | IRBANK様、筆者算出 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 49.8%(前期末37.9%) | ― | 短信サマリー |
| 営業CF | 2兆3,796億円 | 1兆5,132億円(過去最高) | 短信p.15、説明資料p.26 |
| コアFCF | 2兆2,652億円 | 1兆4,380億円(過去最高) | 説明資料p.8、p.26 |
| ネット・キャッシュ | 8,127億円(ネットD/E ▲28%) | ― | 説明資料p.8、p.25 |
| PER(実績) | 27.31倍(みんかぶ様)/30.94倍(IRBANK様、11/4) | ― | 26/3期EPS 341.36円基準 |
| PER(予想) | ―(会社は通期予想を出さず)。筆者推計EPS約3,081円で約3.0倍 | ― | 筆者算出 |
| PBR | 5.09倍(かぶたん様)/5.86倍(IRBANK様) | ― | 各社様 |
| 配当(参考値) | 中間90円(分割前)=30円(分割後)・総額479億円・上場来初配。期末未定。利回り約0.32% | ― | 配当IR |
※ROE・ROAの年率換算値は、利益が急拡大している局面での単純計算のため参考値です。みんかぶ様のPBR10.97倍は前期末BPS基準と考えられます。
業績推移(過去8期+今期推計)
年度推移(IFRS)
| 決算期 | 売上高(億円) | 営業利益(億円) | 営業利益率 | EPS(円・分割後) | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 19/3期 | 10,744 | 459 | 4.3% | ― | 東芝から独立(Pangea買収)初年度 |
| 20/3期 | 9,872 | ▲1,731 | ▲17.5% | ― | メモリ不況で赤字転落 |
| 21/3期 | ― | ― | ― | ― | IRBANK様にデータなし |
| 22/3期 | 15,264 | 2,162 | 14.2% | 68.23 | コロナ下のPC・サーバー需要で回復 |
| 23/3期 | 12,821 | ▲990 | ▲7.7% | ▲88.98 | 市況反転で赤字(1期目) |
| 24/3期 | 10,765 | ▲2,527 | ▲23.5% | ▲156.99 | ★2期連続赤字・サイクルの底 |
| 25/3期 | 17,064 | 4,517 | 26.5% | 173.32 | 黒字転換、2024年12月上場 |
| 26/3期 | 23,376 | 8,704 | 37.2% | 341.36 | AI需要で増収増益、Q4から価格急騰 |
| 27/3期中間(実績) | 42,472 | 32,647 | 76.9% | 1,349.33 | 上期だけで前期の約1.8倍の売上 |
| 27/3期(筆者推計) | 約92,470 | 約72,550 | 約78.5% | 約3,052 | 上期実績+Q3ガイダンス×2(Q4=Q3と仮定) |
出典:19/3〜26/3期はIRBANK様(概数)、27/3期中間は短信p.10。EPSは分割後ベース。19/3・20/3期は上場前で株式数基準が異なるため比較不可。



四半期推移(Non-GAAP)──今回の論点はここ
| 四半期 | 売上収益(億円) | QoQ | Non-GAAP営業利益(億円) | 利益率 | Non-GAAP EPS(分割後) | 為替 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 26/3期 Q1 | 3,428 | ▲1% | 452 | 13% | 11.44円 | 145円 |
| 26/3期 Q2 | 4,483 | +31% | 872 | 19% | 25.74円 | 147円 |
| 26/3期 Q3 | 5,436 | +21% | 1,447 | 27% | 55.09円 | 153円 |
| 26/3期 Q4 | 10,029 | +84% | 5,991 | 60% | 250.59円 | 155円 |
| 27/3期 Q1 | 17,671 | +76% | 13,262 | 75% | 540.60円 | 160円 |
| 27/3期 Q2 | 24,800 | +40% | 19,883 | 80% | 833.94円 | 161円 |
| 27/3期 Q3(ガイダンス) | 25,000 | +1% | 20,000 | 80% | 854.24円 | 157円 |
出典:説明資料p.11、p.14、p.21、p.28






継続チェックメモとの照合(27/3期2Q)
判定記号:◎=基準を良い方向に明確に上回る/○=基準の範囲内/△=境界線上・確認不完全/×=悪い方向に外れる/―=確認不能
毎回チェックする基本項目
| チェック項目 | 前回(27/3期1Q) | 今回(27/3期2Q) | 判定基準 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 17,671億円 | 24,800億円(ガイダンス比+3.8%) | ガイダンス23,900億円達成 | ○ |
| Non-GAAP営業利益 | 13,262億円 | 19,883億円(ガイダンス比+4.6%) | ガイダンス19,000億円達成 | ○ |
| Non-GAAP営業利益率 | 75.0% | 80.2% | 79.5%近辺/70%割れで反落兆候 | ○ |
| Non-GAAP EPS | 540.60円【分割後】 | 833.94円(ガイダンス778.57円比+7.1%) | ガイダンス達成 | ○ |
| 中間累計実績 | ― | 売上42,472億円(会社予想比+2.2%)/Non-GAAP営業利益33,145億円(同+2.7%)/Non-GAAP純利益22,356億円(同+3.2%) | 会社中間予想に対する着地 | ○ |
| 営業CF | 8,663億円 | Q2単体15,132億円(過去最高)、中間累計23,796億円 | 中間累計1兆5,000億円程度 | ◎ |
| コアFCF | 8,272億円 | Q2単体14,380億円、中間累計22,652億円 | 自社株買い8,000億円をFCFで賄えるか | ◎ |
| 年間配当予想 | 0円・未定 | 中間30円(分割後)を実施、期末は未定 | 配当予想の初開示(最重要) | ◎ |
| ASP(QoQ) | 約70%上昇 | 20%台半ばの上昇(Like-for-likeでは30%台前半) | QoQプラス維持 | ○ |
| 出荷量(ビット、QoQ) | 1桁前半%増 | 10%台前半の増加 | 増加維持 | ◎ |
出典:説明資料p.9、p.26、短信p.4〜5、配当IR









注意点①:メモリ市況の反転リスク → Q2は良好、Q3に△
| チェック項目 | 結果 | 判定 |
|---|---|---|
| ASPはQoQでプラスを維持しているか | 20%台半ばの上昇(説明資料p.9) | ○ |
| 上昇率が大きく鈍化していないか | 約70%→20%台半ばに鈍化。Q3は「Blended ASPは緩やかに上昇」(Q&A p.1)と、1桁%台への減速が示唆されている | △ |
| 出荷量は2四半期連続で増加したか | 1Q:1桁前半%増 → 2Q:10%台前半増。ただしQ3は「Q2から大きく変わらない」見込み(Q&A p.1) | ○(Q3は△含み) |
| 棚卸資産保有日数が110日を超えていないか | 94日(1Q:102日)(説明資料p.13、p.25) | ◎ |
| 会社のNAND市場見通しに下方修正がないか | CY26ビット伸長率10%台後半を維持、CY27は20%台前半と新たに提示(説明資料p.5) | ○ |
| LTAによるCY28カバー率50%に向けた進捗 | CY28は複数年LTAで50%を大きく上回る物量を確約済み、CY27の生産能力はほぼ割り当て完了(SOLD OUT)。CY29・30も顧客との対話を開始(Q&A p.1、説明資料p.18) | ◎ |
| 競合の増産・値下げ | マイクロンが同社を抜き3位に浮上(TrendForce、2026年8月)。中国YMTCが同社と並ぶ14%に(Counterpoint Research、2026年9月)。TrendForceは2027年後半に需給が段階的に緩和するとの見方(IT Reseller、2026年7月) | △ |
Q2の数字だけを見れば、前回の懸念はほぼ解消されています。問題はQ3ガイダンスの中身です。会社側は「一部をQ2に前倒し販売した」「データセンター向けはリードタイムが長くQ4にずれる」「円高(161円→157円)で約550億円のマイナス」と説明しています(Q&A p.1)。つまり、Q3は季節要因と為替でQ2並みに見えるが、Q4に再加速するというのが会社の見立てです。CFOは外部報道(Newsy Today、2026年11月2日)で「3月期(Q4)には急成長に戻る」との見通しを示しています。
ASP上昇が「緩やか」になると会社自身が明言した点は、前回メモのウォッチポイント「上昇ペース鈍化の最初のシグナル」に該当しうるため、△として次回の最大の確認事項とします。
注意点②:株主還元の実行と配当開始 → 大きく前進
| チェック項目 | 結果 | 判定 |
|---|---|---|
| 自社株買いの取得実績(上限8,000億円) | 8,000億円を2026年8月中に取得完了(消化率100%)。CF上の支出8,003億円(説明資料p.17、短信p.15) | ◎ |
| 取得株式数上限3,000万株の分割調整 | 分割前(8月)に取得完了のため調整不要。取得株数は約1,613万株(分割前)=上限の約54%(筆者算出) | ○ |
| 取得した自己株式の扱い | 消却の開示はなく、自己株式として保有中(短信サマリー) | △ |
| 期末自己株式数の変化 | 前期末483株【分割後】→ 48,402,168株【分割後】 | ○ |
| 配当予想の初開示 | 中間30円(分割後)、配当総額479億円。期末は未定(配当IR) | ◎ |
| 追加還元・配当方針の言及 | 「設備投資・研究開発・人的資本・M&A等をまかなった上でネット・キャッシュを維持し、中長期的に余剰資金の100%を株主還元」「機動的な自社株買い+累進配当」を明記。追加の自社株買いは「下期の投資状況を見極めるため一旦保留」(配当IR、Q&A p.2) | ◎ |
| 大株主の持分変動 | 2Q末の大株主は半期報告書(11/6提出予定)で開示予定のため未確認。3/31時点は旧東芝17.59%、ベインキャピタル系合計21.87%(有価証券報告書) | ― |






- 自社株買いの取得単価:8,000億円÷4,840万株(分割後)=平均約16,529円(筆者算出)。現株価9,324円に対して約44%の含み損で、結果的には高値圏での買い付けでした。
- 追加還元の保留理由:Q&Aでは「今後多額の税金の支払いが予定されている」と説明。2Q末の未払法人所得税は9,747億円(前期末1,045億円)まで膨らんでおり(短信p.9)、下期は「利益は高水準でもキャッシュは上期ほど増えない」局面になりえます。
利回りは約0.3%で配当目的の銘柄ではありませんが、「累進配当」の宣言はシクリカル株としては珍しく、不況期にも減配しないのかが今後の試金石になります。
注意点③:利益の「質」 → 乖離は解消、税金が新たな論点
| チェック項目 | 結果 | 判定 |
|---|---|---|
| 訴訟損失引当金の追加繰入 | Q2の追加繰入はなし(1Q:366億円)。訴訟の内容は短信・説明資料とも未記載 | ○(内容は―) |
| 株式報酬費用が四半期200億円規模で定着するか | Q2は▲64億円の戻入(1Q:194億円の費用)(説明資料p.27)。株価下落に連動した戻入の可能性 | △ |
| Non-GAAPとIFRSの営業利益差 | Q2はIFRS(19,947億円)がNon-GAAP(19,883億円)を64億円上回る=差は約0.3%(短信p.3) | ○ |
| その他の包括利益(FVOCI)の反転リスク | Q2単体のFVOCI純変動は▲219億円(1Q:+1,486億円)と反転。中間累計では+1,268億円(短信p.13) | △ |
| 繰延税金資産・未払法人所得税 | 繰延税金資産 631億円→963億円、未払法人所得税 3,400億円→9,747億円(説明資料p.25、短信p.9) | △ |
| 実効税率 | Q2:約31.1%(1Q:約31.8%)(筆者算出、説明資料p.24) | ○ |
| (新規)従業員への特別利益分配金 | 中間期の営業利益の減少要因として新たに記載。金額は非開示(短信p.4) | △ |
1Qで懸念した「IFRSとNon-GAAPの乖離拡大」は、Q2では訴訟引当がなく株式報酬が戻入となったため、むしろ逆転しました。ただし株式報酬費用は株価に連動して振れる性質がうかがえ、「定着」よりも「変動」の要素として扱うのが適切と考えられます。
税金面では、未払法人所得税が約1兆円に達していることが今回最大の新発見です。中間期の法人所得税の実際の支払いは1,107億円にとどまっており(短信p.15)、残りの大半は下期以降のキャッシュアウトとなる見込みです。
安心確認項目
| 項目 | 現状(2Q末) | 維持ライン | 判定 | 前回比 |
|---|---|---|---|---|
| ネットD/Eレシオ | ▲28%(ネットキャッシュ8,127億円) | 0%以下 | ◎ | ▲8%→▲28%(自社株買い後も拡大) |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 49.8% | 45%以上 | ◎ | 50.8%→49.8%(自社株買いの影響で微減) |
| 社債及び借入金 | 6,039億円 | 増加に転じないか | ○ | 6,346億円→6,039億円 |
| 営業CF(四半期) | 15,132億円 | 四半期でプラス | ◎ | 8,663億円→15,132億円 |
| 売上債権回転日数(筆者算出) | 約60日 | 70日以内 | ○ | 約59日→約60日 |
| 棚卸資産保有日数 | 94日 | 110日以内 | ◎ | 102日→94日 |
| CAPEX(Gross) | Q2 846億円、上期累計1,370億円 | 通期計画4,500億円に対し上期40〜50% | △ | 上期進捗約30% |
| AI向け需要コメント | 「AI関連需要はAgentic AIの普及拡大に伴い、引き続き極めて旺盛」 | 減速を示唆する表現がないか | ○ | 継続 |
出典:説明資料p.5、p.24〜26、短信サマリー






株価・バリュエーション(定点観測)
| 項目 | 前回(2026/7/31) | 今回(2026/11/5) | 変化のポイント |
|---|---|---|---|
| 株価 | 46,500円【15,500円】(S高) | 9,324円 | 前回比▲39.8%。分割後高値19,750円(10/5)から約半値、6/22高値【37,567円】から約▲75% |
| PER(実績) | 38.87倍(IRBANK様)/45.40倍(みんかぶ様) | 30.94倍(IRBANK様、11/4)/27.31倍(みんかぶ様) | 26/3期EPS基準で今期の実態を反映していない |
| PER(予想) | ― | ―(筆者推計:今期EPS約3,081円で約3.0倍、ランレートで約2.7倍) | 市場が来期以降の大幅減益を織り込んでいるサイン |
| PBR | 10.60倍(かぶたん様) | 5.09倍(かぶたん様)/5.86倍(IRBANK様) | BPSが2Q末1,833円に急増し大幅低下 |
| 配当利回り | 0%(無配) | 約0.32%(中間30円ベース) | 配当開始。高配当としての妙味はない |
| みんかぶ様目標株価 | 92,521円【30,840円】 | 30,469円 | 分割後換算で▲1.2%とほぼ横ばい。現株価との乖離は+227% |
| 前回適正株価との位置 | 中立【20,067円】と保守的【13,000円】の中間 | 保守的【13,000円】をも下回る | 前回の弱気水準に接近 |
| 単元購入額 | 約155万円(分割後換算) | 約93.2万円(みんかぶ様) | 分割で個人が参加しやすく |
前回4シナリオとの照合では、現在の株価は保守的シナリオ(13,000円)を約28%下回り弱気寄りです。ただし業績は「強気〜中立」の前提どおりに推移しており(中立シナリオの前提「営業利益率79.5%がQ3・Q4も維持」はQ3ガイダンス80%で崩れていない)、業績と株価が逆方向に動いたのが今回の特徴です。
証券各社の目標株価は、SMBC日興 42,000円(分割調整)、岩井コスモ 45,100円、UBS 35,000円、モルガン・スタンレー 37,000円→24,000円(引き下げ)(かぶたん様)、JPモルガン 43,334円据え置き(Investing.com)となっています。
信用需給ウォッチ → ×(悪化)
| 日付 | 売り残 | 買い残 | 信用倍率 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2026/7/24 | 542.8千株【1,628.4千株】 | 11,385.7千株【34,157.1千株】 | 20.98倍 | 前回最終(【】は分割後換算) |
| 2026/10/02 | 2,575.9千株 | 41,467.7千株 | 16.10倍 | 以下、分割後の株数 |
| 2026/10/09 | 1,503.4千株 | 44,798.3千株 | 29.80倍 | |
| 2026/10/16 | 1,536.3千株 | 47,831.1千株 | 31.13倍 | |
| 2026/10/23 | 1,614.8千株 | 48,234.5千株 | 29.87倍 | |
| 2026/10/30 | 1,452.7千株 | 47,892.4千株 | 33.04倍 | 決算発表日 |
出典:かぶたん様
| チェック項目 | 結果 | 判定 |
|---|---|---|
| 信用倍率が20倍台から低下しているか | 20.98倍 → 33.04倍に上昇 | × |
| 買い残の発行済株式数比(2%超で要注意) | 約2.91%(7/24:約2.1%) | × |
| 買い残が直近出来高を上回っていないか | 11/5出来高147,500.9千株(みんかぶ様)に対し買い残は約3分の1 | ○ |
| S高後に買い残が急増していないか | 分割後換算で34,157千株→47,892千株(約+40%)。下落局面でナンピン買いが進んだと考えられる | × |






即座に見直しが必要なシグナル(照合結果)
| シグナル | 結果 | 該当 |
|---|---|---|
| Q2実績がガイダンスを大幅未達 | 売上・Non-GAAP営業利益ともに超過 | 非該当 |
| ASPのQoQマイナス転換 | 20%台半ばの上昇 | 非該当 |
| 出荷量の2四半期連続マイナス | 2四半期連続で増加 | 非該当 |
| Non-GAAP営業利益率60%割れ | 80.2% | 非該当 |
| ネットD/Eがプラスに逆戻り | ▲28% | 非該当 |
| Q3ガイダンスが減収減益(QoQマイナス) | 売上+0.8%、Non-GAAP営業利益+0.6%、IFRS営業利益+0.0%(短信p.6) | 非該当だが境界線上(△) |
| AI向けDC需要の減速を示唆するコメント | 会社は「極めて旺盛」と継続 | 非該当 |
| 訴訟関連の追加損失が営業利益の5%超 | Q2追加なし | 非該当 |
| 大株主による大量売却 | 該当開示は確認していない | ― |
| 米中貿易摩擦・関税による輸出規制強化 | 直撃はない | 非該当 |
| (新規)米国のデータセンター建設規制 | 中間選挙で民主党が上下両院を獲得、テキサス・ジョージア・オハイオで建設制限を掲げた知事が当選(Fortune、2026年11月4日)。実際の規制はまだ導入されていない | △(新規ウォッチ) |
「最高益なのに半値」──+1%ガイダンスが招いた失望の正体
Q3ガイダンスは売上25,000億円(+0.8%)、Non-GAAP営業利益20,000億円(+0.6%)(短信p.6)。市場コンセンサスは売上約2.87兆円・営業利益約2.35兆円とされ、約15%の下振れでした(Investing.com、2026年11月)。株価は10/30終値13,470円 → 11/2 11,345円(▲15.8%)→ 11/4 10,735円 → 11/5 9,324円(▲13.1%)と推移しています。
- 11/2=ガイダンス失望(同社固有の要因)
- 11/4=米中間選挙で民主党が上下両院を獲得し、データセンター建設規制への警戒が強まった(AIインフラ全体の要因)。ロイターは、TSMC・サムスン・SKハイニックスとともに同社もアジアで売られたと報じています(ロイター〔Tribune India経由〕、2026年11月)






事業・競争力の評価
本業の稼ぐ力:◎
Q2売上QoQ+40%、Non-GAAP営業利益率80.2%、ROIC 102%(説明資料p.8〜9)。全アプリケーションで過去最高を記録しています(同p.10)。ただし伸び率はQ3で急減速(+1%)する見込みです。
財務の健全性:◎
8,000億円の自社株買い後もネットキャッシュ8,127億円・ネットD/E▲28%、持分比率49.8%(説明資料p.25)。営業CF・コアFCFとも過去最高です。下期は約1兆円の税金支払いが控える点のみ留意が必要です。
経営方針の透明性:○
「余剰資金100%還元・累進配当・ネットキャッシュ維持」という還元方針を明文化し、Q&A集も公開しています。一方、通期予想は出さず四半期ガイダンスのみ、Non-GAAPは監査対象外、訴訟の内容は未開示という点は残ります。
市場環境
需要面:データセンター・エンタープライズ向けは「Agentic AIの普及」「KVキャッシュ向け需要」「QLC大容量SSDの採用」で極めて旺盛とされ、スマホ・PC向けの軟化を吸収してCY28まで成長が続くと同社は見ています(説明資料p.5)。外部調査(Counterpoint Research、2026年8月)では、NAND出荷に占めるエンタープライズSSDの比率が前年同期の26%から48%へ急上昇しています。
供給面:同社はCY27の生産能力をすでに割り当て済み(SOLD OUT)、CY28も50%超をLTAで確約済みです(Q&A p.1)。一方、TrendForceは2027年後半に需給が段階的に緩和すると見ており(IT Reseller、2026年7月)、「CY27はタイト、CY28以降は供給増次第」という構図と考えられます。
競合比較:CY2026年4〜6月期のNAND売上シェアは、サムスン29.3%、SKハイニックス18.2%、マイクロン15.1%、キオクシア13.6%、Sandisk 11.4%(TrendForce、2026年8月)。マイクロンの伸び(QoQ+99%)が同社(+80%)を上回り、中国YMTCも同社と並ぶ14%に迫っています(Counterpoint Research、2026年9月)。DRAM・HBMを持たないNAND専業である点は、AIメモリの中で「最も儲かる製品群」を持たないという意味で、外部報道(TradingKey、2026年11月4日)でも売られた理由の一つに挙げられています。
市場規模:同社はCY27の市場ビット成長率を20%台前半と見込み、同社自身も市場並みの成長を想定しています(説明資料p.18)。
「CY27は完売」──LTAはシリコンサイクルを変えるか
北上工場K3棟の建設予定地整備を開始し、2029年度中の稼働を予定しています(説明資料p.6)。2027年4月1日付でキオクシア岩手をキオクシア株式会社に吸収合併し、製造力を強化します(連結業績への影響は軽微、連結子会社間合併IR)。






補足コメント
大株主・アクティビストリスク:3/31時点の上位株主は旧東芝・ベインキャピタル系・海外カストディ口座が中心で、アクティビストとみられる株主は確認できません(有価証券報告書)。むしろ「大株主の持分売却(オーバーハング)」が需給面のリスクと考えられます。2Q末の大株主は11/6提出予定の半期報告書で確認が必要です。
設備投資・減価償却:減価償却費は四半期約775億円で横ばい、CAPEXは売上比3%と極めて低水準です(説明資料p.24)。北上K3棟の建設が本格化する数年後には、減価償却負担が増える可能性があります。現状は「投資を抑えて現金を積み上げている」局面で、回収の心配よりも「投資不足でシェアを失わないか」の方が論点と考えられます。
為替:Q3ガイダンスはすでに約550億円の円高影響を織り込み済みです(Q&A p.1)。
リスク要因
- 業績サイクル:過去2期連続赤字の実績があり、ASPが反転すれば営業利益率80%は短期間で崩れる可能性があります。営業利益の約8割が「価格」で生まれている構造は変わっていません
- 需給(株価面):信用買い残4,789万株(発行済株式の2.9%)は、戻り局面での上値の重さにつながりやすいと考えられます
- 地政学・政策:米中貿易摩擦・関税に加え、米中間選挙(11/3)後のデータセンター建設規制リスクが新たに浮上(詳細は次章)
- 為替:四半期あたり1円の円高で売上▲150億円、営業利益▲140億円(説明資料p.14)。Q3は157円を想定
- 主要顧客集中:データセンター・エンタープライズ向けが全社売上の4割強(筆者推計)を占め、少数のハイパースケーラーへの依存度が上昇。顧客名・集中度は非開示
- 大株主の売り出し:旧東芝(17.59%)・ベインキャピタル系(合計約21.9%)が合計約4割を保有(有価証券報告書、2026/3/31時点)。売出し・ブロックトレードによる需給悪化の可能性
- 税金のキャッシュアウト:未払法人所得税9,747億円(短信p.9)の支払いで、下期のキャッシュ創出は上期より細る可能性
【補論】米中間選挙とデータセンター規制リスク
何が起きたのか(事実関係)
11月3日の米中間選挙で民主党が上下両院の多数派を獲得しました(Fox Business、2026年11月4日/Morningstar、2026年11月)。州知事選では、データセンター建設の制限を公約に掲げた民主党候補が、テキサス(ヒノホサ氏)、オハイオ(アクトン氏)、ジョージア(ボトムズ氏)で当選しています(Fortune、2026年11月4日)。テキサスの新知事は新規建設のモラトリアム(一時停止)と税優遇の廃止を、ジョージアの新知事は州全体での新規建設の一時停止を公約していました(同)。
同日には10州で少なくとも41件のデータセンター開発案件が住民投票にかけられ、電力・水の使用量上限などが争点になりました(Korea Economic Daily〔bloomingbit経由〕、2026年10月)。
市場の見方
ゴールドマン・サックスは、民主党が規制を導入しそうな州が米国で計画中のデータセンター容量の約45%を占めると試算し、税優遇の終了、環境・水・電力規制の厳格化、地方自治体による独自のモラトリアムが起こりうるとしています(Morningstar、2026年11月)。同社は一時的な建設停止は起こりうるが短期間にとどまるとの見方も示しています(ロイター〔Tribune India経由〕、2026年11月)。連邦議会より州政府の構成の方が個別プロジェクトに与える影響は大きいとの分析もあります(Morningstar、同)。
4〜6月期には、すでに少なくとも45件・680億ドル規模のデータセンター計画が地元の反対で頓挫していたとされ(Data Center Watch、Investing.com〔Yahoo Finance経由〕、2026年11月)、選挙前から逆風は始まっていた点にも注意が必要です。
一方、規制強化法案が議会を通過しても大統領が拒否権を行使できるとの指摘もあります(BigGo Finance、2026年11月)。データセンター建設が鈍化すれば既存設備の価値が上がり、ビッグテックの過大な投資を抑えるとの見方から、米ハイパースケーラー株は売りに逆行したとも報じられています(ロイター〔Yahoo Finance経由〕、2026年11月4日)。
キオクシアへの影響の整理(筆者見解)
| 時間軸 | 影響 | 考え方 |
|---|---|---|
| 短期(Q3〜Q4) | 小さいと考えられる | CY27の生産能力はほぼ割り当て済み(Q&A p.1)で、足元の出荷は既存の受注で埋まっている。規制が効くのは「これから建てるデータセンター」 |
| 中期(CY28〜) | 要警戒 | CY28分はLTAで50%超を確約済みとされるが、LTAの価格条件・拘束力は非開示。米国の建設が遅れれば、ハイパースケーラーが2028年以降の調達量・価格を見直す可能性 |
| 株価(バリュエーション) | すでに大きく影響 | 規制の実害が出る前に「AIインフラ全体のPER引き下げ」として織り込まれている。11/4の同社株▲5.4%(IRBANK様)はこの要因が中心と考えられる |
| 緩和要因 | ― | ①州ごとの規制のため事業者が他州・海外へ移る可能性、②大統領の拒否権、③規制は電力・水への対応を求めるもので全面禁止ではないケースが多い、④AI需要は米国以外(アジア・中東・欧州)でも拡大 |
規制は「建設ペースの鈍化 → ハイパースケーラーのCAPEX鈍化 → NAND需要の伸び鈍化 → ASP上昇の鈍化」という順で効いてくると考えられます。つまり、注意点①(ASP・出荷量)の監視がそのまま規制リスクの監視になります。直接の確認先は、米ハイパースケーラー各社の2027年CAPEX計画(2027年1〜2月の決算発表)です。
総合評価:A-(据え置き)
事業面だけを見れば、ガイダンス超過・過去最高益・ネットキャッシュ拡大・初配当と、A評価に値する内容です。本業◎/財務◎/透明性○という評価になります。
一方、「成長株として今仕込む価値があるか」という観点では、①Q3ガイダンスで伸び率が初めて「ほぼゼロ」になったこと、②ASP上昇が「緩やか」に移行すると会社自身が述べたこと、③信用需給が悪化したこと、の3点から、サイクルのどの位置にいるかの不確実性がむしろ高まったと判断しました。
シクリカル株は「業績が最も良いときに株価が天井を打つ」ことが多く、今回の「好決算で急落」はその典型的な反応と考えられます。事業評価の上方圧力と、サイクル位置の不確実性が相殺し、A-を据え置きとしました。
Q4ガイダンスで再加速(物量増・ASP上昇)が示されればAへ、ASPの横ばい・下落が示されればB+〜Bへの見直しを想定しています。
適正株価試算(分割後ベース)
想定EPSの整理(筆者算出、Non-GAAPベース)
| 基準 | EPS | 算出方法 |
|---|---|---|
| ランレート | 3,417円 | Q3ガイダンス854.24円×4(説明資料p.14) |
| 今期推計 | 3,081円 | 中間実績1,372.48円(短信p.4)+Q3ガイダンス854.24円×2(Q4=Q3と仮定) |
| 直近4四半期実績(TTM) | 1,680円 | 55.09+250.59+540.60+833.94円(説明資料p.28) |
| 前期実績(IFRS) | 341円 | 26/3期 341.36円(IRBANK様) |
EPS×PER法(4シナリオ)
現在株価9,324円(11/5終値、みんかぶ様)を基準としています。
| シナリオ | 想定EPS | 想定PER | 適正株価 | 現株価比 | 前提条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 強気 | 3,417円(ランレート) | 7倍 | 約23,900円 | +156% | CY27完売・CY28 LTA確約どおり、Q3水準の利益が2年程度続き、市場が「ピーク利益の一時的な高原状態」として評価し直す場合。モルガン・スタンレーの引き下げ後目標(24,000円)とほぼ同水準 |
| 中立 | 3,081円(今期推計) | 3.0倍(現状維持) | 約9,240円 | ▲1% | Q3ガイダンスをそのまま使い、PERが現状水準のまま。=現株価は「今期がピーク、来期以降に大幅減益」をすでに織り込んだ水準 |
| 保守的 | 1,680円(TTM並み) | 5倍 | 約8,400円 | ▲10% | 来期(28/3期)にASPが下落し、EPSが直近4四半期実績並み(今期推計の約半分)に落ちる場合 |
| 弱気 | 341円(前期実績並み) | 15倍 | 約5,100円 | ▲45% | 業績急落シナリオ(下記の条件) |
- ASPのQoQマイナスが2四半期以上続く
- ハイパースケーラーのAI設備投資が削減・延期される(特に、テキサス・ジョージア等の州で建設モラトリアムが実施され、2028年以降の調達計画が下方修正される場合)
- 中国YMTCなどの増産やマイクロン・SKハイニックスの供給増で、2027年後半から需給が緩和する
- 棚卸資産保有日数が110日を超えて増加に転じる
この場合、利益は26/3期(営業利益率37%)水準まで戻り、過去の赤字期のような局面ではPERが機能しなくなる可能性もあります。
PER3倍は割安か、ピークの罠か






BPS×PBR(2点セット確認)
| BPS | PBR 2倍 | PBR 3倍 | PBR 5倍 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1,833円(2Q末実績) | 3,666円 | 5,499円 | 9,165円 | 現株価はPBR5.09倍(かぶたん様) |
| 約3,500円(今期末推計) | 7,000円 | 10,500円 | 17,500円 | 筆者推計:2Q末持分+下期利益約2.7兆円−中間配当479億円。追加自社株買い・期末配当は考慮せず |
BPSは利益の積み上がりで急増しており、今期末には約3,500円(推計)に達する可能性があります。その場合、現株価は今期末BPSに対してPBR約2.7倍です。IRBANK様によると2025年以降のPBRレンジは0.59〜9.52倍であり、底値圏(2倍)と見ても約7,000円が一つの目安となります。弱気シナリオ(5,100円)は、2Q末BPS基準ではPBR約2.8倍に相当します。
みんかぶ様目標株価との比較
みんかぶ様の目標株価30,469円(アナリスト予想36,145円)は現株価の約3.3倍で、当方の強気シナリオ(23,900円)をも上回ります。証券各社の目標も24,000〜45,100円に分布しており(かぶたん様)、「アナリストは業績の持続性を前提に、市場はピークアウトを前提に評価している」という極端な見方の分断が生じていると考えられます。目標株価の多くは急落前の業績前提に基づいており、今後引き下げが続く可能性にも注意が必要です。
「今仕込む」判断の目安となる株価水準
| 株価水準 | 位置づけ |
|---|---|
| 約5,100円(弱気シナリオ) | 業績が26/3期並みに急落した場合の水準。このリスクも想定し、資金の一部にとどめるのが無難と考えられます |
| 約7,000円(今期末推計BPS×PBR2倍) | 財務価値から見た底値圏の一つの目安 |
| 8,400円前後(保守的シナリオ) | 来期にEPSが半減しても説明できる水準。分割購入を検討する一つの目安 |
| 9,240円前後(中立シナリオ=現在水準) | 現株価とほぼ一致。「今期ピーク・来期減益」を織り込んだ水準で、一括購入より分割が現実的 |
| 約23,900円(強気シナリオ) | Q3水準の利益が2年程度続くと市場が再評価した場合 |
「業績は強気シナリオどおり、株価は弱気シナリオ寄り」という逆転が起きています。PER3倍は数字上は割安ですが、シクリカル株ではピークのサインにもなりえます。一括購入ではなく、①保守的水準(8,400円前後)への接近、②信用買い残の減少(発行済株式比2%割れ)、③Q3決算(2027年2月)でQ4ガイダンスがASP上昇・物量増の再加速を示すこと──のいずれかを確認してからの分割購入が一つの考え方と考えられます。
次回(27/3期3Q)の最重要確認事項
- Q3実績がガイダンス(売上25,000億円・営業利益20,000億円)を達成したか
- Q4ガイダンスで「再加速」が数字で示されるか(物量増・ASP上昇)
- ASP上昇率が1桁%台に落ちたか、マイナスに転じていないか
- 未払法人所得税の支払いで営業CF・ネットキャッシュがどう変わったか
- 追加自社株買い・期末配当予想の有無
- 信用買い残の減少(発行済株式比2%割れ)
- 米国のデータセンター規制の具体化(新知事就任〔2027年1月〕後のモラトリアム実施の有無、新議会での関連法案)と、米ハイパースケーラー各社の2027年CAPEX計画。同社のQ&Aで米国規制の影響に言及があるか
まとめ
- Q2売上24,800億円(QoQ+40%)・Non-GAAP営業利益率80.2%で全項目ガイダンス超過・過去最高。Q2単体で前期1年分の売上を超えた
- Q3ガイダンスは+1%で市場予想を約15%下回り、「伸び率の急ブレーキ」が株価急落の直接の理由
- 11/4の下げは米中間選挙後のデータセンター規制懸念が中心。短期の影響は小さいが、CY28以降は要警戒
- 初配当(中間30円)と「余剰資金100%還元・累進配当」方針を明文化。ただし自社株買いの平均取得単価約16,529円は現株価比▲44%
- 未払法人所得税9,747億円の支払いで、下期のキャッシュ創出は細る可能性
- 信用買い残4,789万株(発行済比2.9%)・倍率33倍で需給は悪化
- 総合評価はA-据え置き。PER3倍はピークの罠にもなりうるため、8,400円前後への接近や需給整理を待った分割購入が一つの考え方






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情報基準日:作成日20261105
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
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