今回は、総合ディスプレイ業大手「丹青社(9743)」の2027年1月期 第1四半期決算について、継続チェックの観点から確認していきます。
所長ダル


① 会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 株式会社丹青社 |
| 証券コード | 9743(東証プライム) |
| 設立 | 1949年10月14日 |
| 主な事業 | 総合ディスプレイ業(商業その他施設・チェーンストア・文化施設の3事業) |
| 決算期 | 1月31日 |
| 時価総額 | 約645億円(IRBANK様、’26/6/12時点) |
| 現在株価 | 1,317円(みんかぶ様)/1,332円(IRBANK様、’26/6/12終値) |
出典:決算短信、みんかぶ様、IRBANK様






② 主要財務指標
| 指標 | 今回(’27/1期1Q) | 前回(’26/1期1Q) |
|---|---|---|
| 売上高 | 265億66百万円(前年同期比▲21.9%) | 339億95百万円 |
| 営業利益 | 23億34百万円(▲48.7%) | 45億52百万円 |
| 経常利益 | 23億62百万円(▲48.3%) | 45億71百万円 |
| 純利益 | 16億45百万円(▲47.0%) | 31億06百万円 |
| EPS | 34.77円 | 65.87円 |
| ROE(四半期) | 5.6% | 9.1% |
| BPS | 795.79円(IRBANK様) | – |
| 自己資本比率 | 69.5% | 67.6%(前期末) |
| 受注高 | 269億26百万円(▲0.7%) | 271億25百万円 |
| 受注残高 | 482億80百万円(+0.5%) | 480億41百万円 |
配当については、年間予想80円(中間36円・期末44円〈普通36円+記念配当8円〉)、配当性向66.4%(みんかぶ様、決算短信P1)となっています。配当利回りは6.07%(みんかぶ様)・6.01%(IRBANK様)と考えられます。
※前期(2026年1月期)は万博関連大型案件の集中により売上高が一時的に膨んでいたため、当四半期は減収減益となっていますが、これは「前期比較が困難」というよりは反動減として説明されているものです。補足として以下の情報があります。
- 単体(万博除き):会社側は「万博影響を除けば堅調」と説明(説明資料P13)
- 長期推移:’26年1月期1Q(265億円)は’23年1月期1Q(175億円)・’24年1月期1Q(197億円)・’25年1月期1Q(227億円)を上回り、収益基盤の底上げを示している(説明資料P17)
- 通期予想比:通期売上1,070億円(前期比▲0.2%)に対し1Qは265億66百万円、進捗率約24.8%









③ 継続チェックメモ項目評価
注意点①:万博後の営業CF水準(配当の原資)
| チェック項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| 営業CFは配当総額(約38億円)を上回っているか | ✕(要注意) | 当第1四半期の営業CFは▲5億65百万円となり、配当総額を下回りました(決算説明資料P22)。ただし第1四半期は工事代金の支払サイクル等で一時的にマイナスになりやすい四半期であり、前年同期(’26年1月期1Q:+69億94百万円)でも通期ベースで配当を上回る水準を確保した経緯があります。1Q時点での単純比較で即座に「危険」と判断するのは早計と考えられますが、第2四半期以降の回復を要確認です。 |
| 商業その他施設事業のセグメント利益は30億円以上を維持しているか | △ | 当四半期は13億13百万円(前年同期37億66百万円から大幅減)。これは万博特需の反動が主因で、通期計画では59億円を見込んでおり(説明資料P29)、四半期ごとに利益が積み上がる構造ではない業界特性(説明資料P5)を踏まえると、年間ベースでの確認が必要です。 |
| 万博剥落分をインバウンド・都市再開発・ホテル関連案件で補えているか | ○ | 商業その他施設事業のうち、ホテル・空港施設・スタジアム・エンターテインメント施設等の需要は堅調と説明されています(説明資料P24)。受注高も前年同期と同水準を維持(説明資料P25)。 |
| 受注高は前年同期比でどの程度回復しているか(通期計画1,150億円) | ○ | 1Q受注高269億26百万円は前年同期比▲0.7%とほぼ同水準で、通期計画1,150億円に対する進捗率は約23.4%。過去の四半期パターンからは妥当な進捗と考えられます。 |
| 営業外費用の一時的増加がないか | ○ | 当四半期の営業外費用は11百万円(前年同期10百万円)で、前回問題視された損害賠償金等の特殊要因は見られません(決算短信P4)。 |









1Q単独では営業CFが配当総額を下回りましたが、これが2期連続(通期ベース)で発生するかどうかが本来の判断基準と考えられます。現時点では「要注意の兆候」としてマークしつつ、2Qでの推移確認が重要です。
注意点②:万博後の業績回復シナリオの具体性
| チェック項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| 2Q受注高は計画(通期1,150億円)に対して順調に進捗しているか | ○ | 1Q時点で前年同期比ほぼ同水準を確保しており、通期計画との整合性は維持されていると考えられます。 |
| 商業その他施設事業でホテル・エンタメ・都市再開発案件が積み上がっているか | ○ | 説明資料P24・P40・P41で具体的に言及があり、特にホテル(インバウンド需要)、テーマパーク、スタジアム・アリーナ等の市場見通しが示されています。 |
| インバウンド関連受注の具体的な言及があるか | ○ | 説明資料P48でインバウンド消費額9.5兆円(2019年比約2.0倍)への急拡大が示され、宿泊・商業・文化施設への投資機運を後押しすると明記されています。 |
| 2028年1月期以降の大型案件受注について言及があるか | ○ | 「2028年1月期以降の大型案件の受注が増加するため、受注高は引き続き過去最高水準となる見込み」と明記(説明資料P28・P36)。 |
| 受注残高に文化施設事業の回復兆候が見えるか(’27/1期計画120億円) | ○ | 文化施設事業の受注残高は159億03百万円となり、前年同期比+14億72百万円の増加。セグメント利益も1億80百万円(前年同期1億15百万円)に改善(説明資料P26・P24)。 |






前回懸念されていた「成長シナリオの具体性不足」に対し、今回の決算説明資料ではインバウンド・都市再開発・IR開業(2030年予定)等の中長期需要を時系列で示す資料が新たに提示されており、具体性が向上したと考えられます。
継続ウォッチ①:建設コスト高騰の影響
| チェック項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| 売上総利益率は18%台以上を維持しているか | ○ | 当四半期20.6%(前年同期21.8%からは低下したが、過去5年の1Q平均を上回る高水準)(説明資料P18)。 |
| 「コスト高騰による計画延期・中止」への言及があるか | △ | 「一部でプロジェクトの延期や中止、見直しの懸念もあり」との表現があり(説明資料P40)、リスク要因として認識されていますが、現時点で大きな影響は出ていないと考えられます。 |
| 受注単価上昇トレンドは続いているか | ○ | 売上総利益率の高水準維持から、収益性重視の受注活動は継続していると考えられます(説明資料P18・P19)。 |
| 協力会社の確保状況に問題はないか | ○ | 戦略3「サプライチェーンの基盤整備」として協力会社新規開発に取り組み中(中期計画進捗△:進展あるが課題あり)(説明資料P34)。 |
| 工事損失引当金の残高(前回2.41億円)の動向 | ー | 今回の開示資料中に該当項目の明示的記載が確認できませんでした。次回確認が必要です。 |






売上総利益率は20.6%と高水準を維持しており、収益性重視の受注活動は継続していると考えられます。コスト高騰によるプロジェクト延期・中止への懸念は言及があるものの、現時点で大きな影響は確認されません。工事損失引当金の動向は次回確認が必要です。
継続ウォッチ②:文化施設事業の赤字継続
| チェック項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| セグメント損益は黒字転換しているか(通期計画3億円) | ○ | 当四半期は1億80百万円の利益となり、前年同期の1億15百万円からさらに改善。2期連続赤字(’25年1月期▲95百万円、’26年1月期▲616百万円)からの回復軌道に乗っていると考えられます。 |
| 受注残高に文化施設案件の積み上がりが見えるか(前回154.62億円) | ○ | 159億03百万円となり、前年同期比+14億72百万円増加(説明資料P26)。 |
| PPP/PFI関連受注への言及があるか | ○ | 「整備手法としてPPP/PFIは今後一層拡大していく見通し」と記載(説明資料P40)。 |
| 大型文化施設プロジェクトの遅延はないか | ○ | 「需要は回復傾向にあり、主に博物館・企業資料館等の案件が増加」と前向きな記載のみで、遅延に関する言及はありません。 |






文化施設事業は前年同期からさらに改善し、2期連続赤字からの回復軌道に乗っていると考えられます。受注残高の増加やPPP/PFI関連受注への言及も含め、現時点で警戒シグナルは確認されません。
継続ウォッチ③:新規事業R2の進捗
| チェック項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| R2事業の進捗・物件数・稼働状況への言及があるか | △ | 中長期的な投資方針(次期中計累計で不動産事業投資30億円)としての言及はありますが(説明資料P44)、1Q時点での個別の進捗・稼働状況の具体的言及は見当たりませんでした。 |
| 有利子負債の増加が財務健全性を損なっていないか | ○ | 長期借入金は415百万円で前期末から変動なし(決算短信B/S)。自己資本比率は69.5%へ上昇しており、現時点で問題ないと考えられます。 |
| R2向け投資額は計画(30億円)の範囲内か | ー | 1Q投資活動によるキャッシュ・フローは▲6億31百万円(決算説明資料P22)ですが、R2向けかどうかの内訳は明示されていません。 |
| R2事業の収益貢献(売却益・賃料収入)は示されているか | ー | 今回資料中に具体的な記載は見当たりませんでした。 |






長期借入金は前期末から変動なく、自己資本比率は69.5%へ上昇しており、財務健全性は良好です。R2事業の個別進捗については1Q時点で具体的な開示が見当たらず、次回以降の確認が必要と考えられます。
④ 配当継続性スコア(5項目評価)
| 評価項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| 配当の中身 | ○ | 普通配当ベースでは72円→76円(中間36円+期末普通36円+記念配当8円のうち、普通部分のみで76円)へ実質増配。記念配当8円は創業80周年の一時的なものと明示されており(説明資料P30)、透明性は高いと考えられます。 |
| 本業の稼ぐ力 | △ | 1Qは前年の万博特需の反動で大幅減益(営業利益▲48.7%)ですが、通期計画は概ね計画通りに進捗中(決算短信P2)。万博を除いた基盤としては底上げされている(説明資料P17)。 |
| 財務の健全性 | ○ | 自己資本比率69.5%(前年同期比+1.9pt)、現金預金147億円。財務基盤は良好と考えられます。 |
| 配当の原資 | △ | 1Q単独の営業CFはマイナス(▲5.65億円)。配当総額(約38億円)との比較は通期ベースで判断すべきですが、注意点①で指摘した懸念が完全に解消したとは言えない状況です。 |
| 経営方針の透明性 | ○ | 配当性向50%以上の方針は維持され、次期中計からDOE8%との「いずれか高い方」を下限とする方針も新たに開示(説明資料P31)。方針の後退は見られません。 |
B→B(変更なし)
1Qは万博特需の反動による大幅減益という、事前に予想されていた範囲内の結果と考えられます。注意点②(成長シナリオの具体性)についてはインバウンド・都市再開発等の中長期需要が具体的に示され改善傾向が見られる一方、注意点①(営業CFと配当原資)については1Q単独でマイナスとなったことで、依然として2Q以降の確認が必要な状況です。文化施設事業の黒字転換が進んでいる点はポジティブですが、総合的には前回からの大きな改善・悪化はなく、B評価を維持するのが妥当と考えられます。
S:非常に優れている/A:優れている/A-:Aの要件を満たすがBに近い注意点がある/B:良好/B-:Bの要件を満たすがCに近い注意点がある/C:やや懸念がある/C-:Cの要件を満たすがDに近い注意点がある/D:懸念が大きい/E:重大な懸念がある
※2026年5月より評価体系をS/A/A-/B/B-/C/C-/D/Eの9段階に変更しました。旧5段階(S/A/B/C/D)のA・B・C・Dの間にそれぞれ「-(マイナス)」ランクを新設しています。これは、同一ランク内でも「条件が揃えば上のランクに相当する」銘柄と「下のランクに近い懸念がある」銘柄を区別するためです。たとえばB-は「Bの要件は満たすが、Cに近い注意点を抱えている」状態を示します。
⑤ 適正株価試算(普通配当逆算法)
前提:現在株価1,317円(みんかぶ様)/1,332円(IRBANK様、’26/6/12終値)、BPS:795.79円、PBR:1.67〜1.69倍
シナリオ別試算(修正版)
| シナリオ | 想定配当額 | 想定利回り | 適正株価 | 現株価比 |
|---|---|---|---|---|
| 強気 | 88円(普通配当が72円→88円程度へ増配。次期中計目標営業利益率8.0%以上・ROE15%達成に伴う増配ペース継続を想定) | 5.5% | 1,600円 | +21.5% |
| 中立 | 80円(’27/1期会社予想・記念配当込み) | 6.0% | 1,333円 | +1.2% |
| 保守的 | 72円(記念配当除く普通配当のみ、現状維持) | 6.0% | 1,200円 | ▲8.9% |
| 弱気 | 53.5円(EPS120.46円×配当性向50%) | 6.5% | 823円 | ▲37.5% |
強気シナリオは「来期予想配当(記念配当除く普通配当72円)からさらに増配が進む」というEPS成長前提で設定しています。88円・利回り5.5%は一例の置き方であり、次期中期経営計画(’28/1期〜’30/1期)の詳細が未開示のため、より保守的に「80円台前半・利回り5.5〜6.0%」のレンジで見るのが実態に近い可能性もあります。
中立シナリオは、会社の次期予想配当(記念配当込み80円)をそのまま使用しています。弱気シナリオの前提条件:通期予想EPS120.46円に対し配当性向を方針の下限である「50%」まで戻した場合、想定配当額は120.46×0.5≒53.5円となります。これは「配当性向50%」という下限方針を厳格に適用した場合の試算であり、万博反動に加えて受注高の大幅減少やコスト高騰など複数の下振れ要因が重なり、記念配当の実施が困難になる状況を想定したものと考えられます。
BPS×適正PBR倍率(2点セット確認)
BPS:795.79円(IRBANK様、’27年1月期1Q)
| PBR倍率 | 適正株価 |
|---|---|
| 1.0倍 | 796円 |
| 1.5倍(過去の標準的水準) | 1,194円 |
| 1.67倍(現在の実績PBR) | 1,329円 |
| 2.0倍 | 1,592円 |
現状PBR1.67〜1.69倍は、丹青社の過去の値動き(0.43〜2.81倍)の中ではほぼ中央に位置しており、極端な割高・割安ではないと考えられます。中立シナリオでの適正株価1,333円とも概ね整合的です。









全シナリオが崩れる条件
- 営業CFが2期連続で配当総額(約38億円)を下回り、配当性向方針の見直し・撤回が示唆される場合
- 受注高が2期連続で前年比▲15%超の大幅減少となり、2028年以降の成長シナリオ(インバウンド・都市再開発・IR)が破綻する場合
- 建設コスト高騰により売上総利益率が16%台以下に低下し、収益性重視の受注活動の崩壊が確認される場合
- 自己資本比率が55%を下回るような有利子負債の急増(R2事業拡大等)
まとめ



























免責事項
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本記事に記載されている将来予測・試算・適正株価に関する記述は、あくまで参考情報であり、実際の将来の業績・株価・配当を保証するものではありません。
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本記事における業界慣行への言及は、一般的な注意喚起を目的としたものであり、特定の企業の商品・営業活動を批判するものではありません。
情報基準日:2026年6月12日
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
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