所長ダル車野さん、こんにちは。ニュースを見ていたら、ティアフォーという会社が東証グロースに上場したと出ていまして。自動運転の会社らしいんですが、SNSでもけっこう話題になっていたようです。私も名前だけは聞いたことがあったので、気になってしまって。



所長、こんにちは。ええ、ティアフォー(証券コード593A)ですね。2026年7月22日に東証グロース市場へ上場した会社で、オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」を軸に事業を展開しています。名古屋大学発のスタートアップで、2015年12月の設立です。上場のタイミングでSNS上でも取り上げられることが多く、注目度の高いIPOのひとつでした。



私のような投資初心者からすると、「話題になっている=買うべき銘柄」というイメージを持ってしまいがちなんですが、それはさすがに短絡的ですよね。



おっしゃる通りです。今日は「この銘柄を買うべきか」という投資判断そのものではなく、上場したての企業、いわゆる新規上場銘柄を、どういう視点で眺めればいいのか、という「読み解き方」をティアフォーを実例にしながらお話しできればと思います。所長のように投資判断のプロセスを学びたい方には、ちょうどいい教材だと思いますよ。
目次
ティアフォーとはどんな会社か



まず基本的なところから教えてください。ティアフォーは何をしている会社なんですか。



一言でいえば、自動運転を実現するためのソフトウェアとその実装支援を手がける会社です。代表取締役CEOの加藤真平氏が2015年に開発・公開した「Autoware」というオープンソースの自動運転ソフトウェアが事業の核になっています。Autowareは誰でも無償で利用できるソフトウェアなのですが、それをそのまま商用車に積んでも実際には動きません。ティアフォーは、Autowareを土台にしつつ、実際の車両に合わせて「商用レベルで動く形」に仕上げる部分、いわば最後の橋渡しを担うことで収益を得ています。



なるほど。ソフトは無料で公開しつつ、実装のところでお金をもらう、というイメージですね。



そうです。事業は大きく3つに分かれていて、自治体やバス事業者向けに自動運転バスの導入や保守までを一括で提供する「モビリティサービス」、トヨタ・いすゞ・ヤマハ発動機・スズキ・コマツといった自動車OEMや特殊用途車両メーカーの量産開発を支援する「デベロップメントサービス」、研究機関や企業向けにソフトウェアやコンサルティングを提供する「ソリューションサービス」の3本柱です。2025年9月期の売上高は64.1億円で、2022年9月期からの3年間の年平均成長率(CAGR)は+75%となっています。



売上はかなり伸びているんですね。実績としてはどうなんでしょう。



全国39都道府県127地域(2026年3月時点)で実証実験や実装の実績があり、自動運転レベル4(限定条件下で完全にシステムが運転操作を担う段階)の許認可も取得済みです。創業から2026年5月時点までの公道での人身事故は0件と公表されています。政府も2026年1月に閣議決定した第3次交通政策基本計画で「2030年度までに自動運転サービス車両1万台」という目標を掲げていて、追い風になっている、という状況です。
上場直後の値動きから見えてきたもの



ちなみに株価の方はどうなっているんですか。話題になっていたくらいですから、かなり値上がりしたのかなと想像していたんですが。



それが、意外と単純な話ではありませんでした。公開価格は1,085円だったのですが、上場日(7月22日)に付いた初値は1,009円で、公開価格を7%ほど下回るスタートだったんです。翌7月23日の終値も1,015円と、公開価格割れの状態が続きました。



えっ、そうなんですか。あれだけ話題になっていたのに、初値が公開価格を下回るというのは意外でした。



ところが、本日7月24日には1,240円まで上昇していて、前日比で+22%強という荒い値動きを見せています。つまり、わずか3営業日のあいだに「公開価格割れ」→「急騰」という展開をたどっているわけです。



値動きだけ見ると、期待と失望が入り混じっているような印象ですね。



まさにそこが、今日お伝えしたいポイントのひとつです。上場直後の株価は、企業の実力そのものというより、需給や思惑で大きく振れやすいという性質があります。話題性の高さと、株価がそのまま素直に反映するかどうかは、別問題として捉える必要があるんです。ここから先は、株価の上下ではなく、こうした企業をどう読み解けばいいのか、という視点に移っていきましょう。
赤字が続く企業を、どう見ればいいのか



私、こういう会社を見るとき、まずPER(株価収益率)を調べる癖がついているんですが、ティアフォーのような会社にも使えるものなんでしょうか。



良い質問です。結論から言うと、PERはこの手の企業にはほとんど機能しません。というのも、ティアフォーは2026年9月期の通期予想で、売上高84.8億円(前期比+32.4%)に対して、営業損失112.4億円、経常損失65.9億円、親会社株主に帰属する当期純損失67.4億円を見込んでいるからです。1株当たり損失は138円02銭で、当然ながら配当も0円です。利益が出ていない以上、PERという「利益を基準にした指標」自体が計算できません。





赤字がそんなに大きいんですか。それは大丈夫なんでしょうか、と単純に心配になってしまいます。



この赤字の中身をきちんと見る必要があります。ティアフォーの場合、営業損失の大半は研究開発費です。2025年9月期の研究開発費は約85億円にのぼり、自動運転レベル4の社会実装や、AI・半導体開発への先行投資が主な使い道です。加えて、経済産業省などからの研究開発補助金を営業外収益として受け取っていて、2025年9月期は55億円超の補助金収入がありました。会社側も「経常利益」を重視する経営指標として掲げていて、事業で得た利益と補助金のバランスを見ながら、財務規律をもって研究開発に投資する、という姿勢を打ち出しています。



なるほど、赤字は赤字でも「何にお金を使っているか」を見る必要があるんですね。では、PERの代わりに何を確認すればいいんでしょう。



代表的なのは3つです。1つ目は売上高の成長率。会社は自動運転の社会実装の進捗を示す指標として、売上高そのものを重要な経営指標に位置づけています。2つ目は手元資金の残高、いわゆるキャッシュランウェイです。2026年3月末時点の現金及び預金は87.9億円で、上場にともなう公募資金として約204億円の調達を予定しています。使途は研究開発費用に87.7億円、量産・事業拡張費用に82.7億円、組織拡張費用に34億円と公表されていて、向こう数年分の投資余力は確保している形です。3つ目は、実証実験地域数(127地域)や開発プロジェクト顧客数(13件)といった非財務のKPIです。売上や利益にまだ表れていない事業の広がりを、こうした指標で補って見る、というのが実務的な考え方です。
目論見書や開示資料のリスク要因を読む



値動きや業績以外に、確認しておいた方がいいことはありますか。



はい、上場企業は「事業計画及び成長可能性に関する事項」という資料の中で、事業上のリスクを開示することが義務づけられています。ここを読むと、他の投資家との情報格差をかなり埋められます。ティアフォーの場合、代表的なリスクとして5つが挙げられていました。自動運転車両の事故に関する責任リスク、政府補助金への依存度が高いことに伴う政策動向変化のリスク、法規制変更のリスク、半導体などの部材の需給逼迫リスク、そして創業者である加藤真平CEOへの依存度が高いという経営体制上のリスクです。



特に補助金への依存というのは、少し気になりますね。



そうですね。実際、2025年9月期の経常損失は55億円ですが、55億円超の補助金収入がなければ、赤字幅はさらに大きくなっていた可能性があります。会社側もこのリスクは認識していて、民間企業向け案件や海外展開を進めることで、特定の政策支援に偏りすぎない事業運営を志向する、と説明しています。ただ、この手の企業を見るときは「補助金ありき」の収益構造なのか、「補助金を差し引いても事業として成立しつつあるのか」を分けて考える視点が大切です。
需給要因――大株主とロックアップ



あと、上場直後の銘柄というと、大株主の存在も株価に影響するという話を聞いたことがあります。



その通りです。ティアフォーの大株主を見ると、SOMPOホールディングスが21.3%、創業者の加藤真平氏が11.0%、ベンチャーキャピタルのジャフコ系ファンドが6.9%、ヤマハ発動機が6.6%、いすゞ自動車が5.7%、KDDIが4.0%などとなっていて、事業会社とVCの比率がかなり高い株主構成です。こうした株主には通常、上場後一定期間は株式を売却できない「ロックアップ」という取り決めが設定されます。ティアフォーの場合も、主要株主については上場から180日間、目安として2027年1月17日ごろまでのロックアップが設定されているとみられます。



ということは、そのタイミングでVCなどが売却に動く可能性がある、と。



可能性としては意識しておいた方がいいでしょう。ロックアップが解除されるタイミングで、大株主が保有株の一部を売却すると、需給が緩んで株価の重石になることがあります。ただし、これも「必ず売られる」という話ではなく、あくまで需給面での注意点のひとつとして頭に入れておく、という程度に捉えるのが実務的です。



そういえば、上場した7月22日付けで、ティアフォーからもう一つIRが出ていたんですが、見ておいた方がいいですか。



ええ、「その他の関係会社及び主要株主の異動に関するお知らせ」ですね。ここまでお話しした大株主構成は、上場前(2026年6月29日時点)の情報だったのですが、上場に伴う公募増資で発行済株式数が4,607万株から6,352万株に増えたことで、上場後(7月22日時点)の持株比率は変化しています。まずSOMPOホールディングスは、保有株数自体は1,111万2,500株のまま変わっていないのですが、比率は24.12%から17.49%に下がり、会社区分上の「その他の関係会社」からは外れました。ただし、筆頭株主・主要株主の地位は引き続き保持しています。



保有株数は変わっていないのに区分が変わるのは、単純に分母(発行済株式数)が増えたことによる希薄化ですね。



その通りです。もう一点、こちらの方が需給面では見ておきたい情報です。創業者の加藤真平CEOの持株比率が、上場前の10.85%(大株主2位)から、上場後は2.81%(7位)まで下がっています。これは、オーバーアロットメント(公募・売出しの需要が多い場合に備えた追加売出し枠)にあてる321万2,700株を、加藤氏が主幹事のSMBC日興証券に貸し出したことによるものです。貸株の期限は2026年8月21日で、日本のIPOでよく使われる仕組みではあるものの、創業者が保有株のかなりの部分をこの枠に充てていた、という点は事実として押さえておく価値があります。



なるほど、これは即座に「創業者が売り抜けた」という話ではないんですね。



そうです。オーバーアロットメントが行使されるかどうか、行使された場合に加藤氏の株がどう処理されるか(第三者割当増資による株式の返還など)によって実質的な意味合いは変わってきます。ただ、記事内で紹介した大株主構成の数字は上場前時点のものであり、上場直後の実態としてはSOMPOが17.49%、加藤真平氏が2.81%(8月21日の貸株期限まで)となっている、という点は、正確性のために補足しておきたいところです。


話題性と、いまの立ち位置



最後に、最初に話していた「話題になっていたのに初値が公開価格を下回った」という点、あれはどう捉えればいいんでしょうか。



あくまで中立的な観察として申し上げると、SNSやニュースでの注目度の高さと、会社の現在地は、必ずしも一致するとは限らない、ということだと思います。ティアフォーは「日本発の自動運転技術」「大手OEMとの連携」といった夢のある切り口で語られやすい会社ですが、実態としては、売上64億円に対して営業損失112億円を見込む、投資段階の企業です。国内の自動運転レベル4の実装実績という点では独自の強みを持っていますし、政府目標という追い風もありますが、それがどのくらいのペースで収益化されていくかは、まだこれからの部分が大きい。話題性の高さは「知名度」であって、そのまま「事業の完成度」を意味するわけではない、という当たり前のことを、今回の値動きは改めて示してくれた形かもしれません。



話題性と実態は別物、ということですね。今日は個別の株を「買うべきか」ではなく、こういう銘柄をどう眺めればいいのか、という視点を教えていただいた気がします。



その通りです。上場したての企業を見るときは、PERのような使い慣れた指標がそのまま使えないことが多いので、売上高の伸び、手元資金の余力、開示されているリスク要因、そして株主構成やロックアップといった需給面を、それぞれ分けて確認する。今日お話しした内容が、今後似たような銘柄に出会ったときの一助になれば嬉しいです。
以上、今回はティアフォー(593A)の上場を題材に、上場直後の企業をどう読み解けばいいか、という視点を整理してきました。あくまで一般的な情報の整理であり、個別の投資判断を推奨するものではありません。
免責事項
本記事は、公開されている情報をもとに一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。株式投資は元本割れを含むリスクを伴います。投資に関する最終的なご判断は、ご自身の責任において、最新の一次情報(有価証券届出書、決算短信、適時開示資料等)をご確認のうえ行ってください。
本記事の内容は、生成AIを活用して作成された部分を含みます。情報の正確性には配慮しておりますが、誤りが含まれる可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
本記事に登場する「車野蔵人」は架空の人物であり、実在する人物・団体等とは一切関係がありません。
企業の株主構成、業績、リスク情報等は、東京証券取引所およびティアフォーが公表した開示資料(新規上場会社概要、コーポレートガバナンス報告書、決算短信、事業計画及び成長可能性に関する事項)ならびに公開情報に基づいています。記載内容は作成時点の情報であり、今後変更される可能性があります。






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