今回は、国内特化のベンチャー投資・バイアウト投資のファンド運用会社「JAFCO(8595)」の2027年3月期 中間期決算について、継続チェックの観点から確認していきます。
所長ダル








① 会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 株式会社JAFCO(JAFCO Co., Ltd.)※2026年10月1日にジャフコ グループ株式会社から商号変更(説明資料3P) |
| 証券コード | 8595(東証プライム) |
| 設立 | 1973年4月5日(統合報告書30P) |
| 主な事業 | 国内に特化したベンチャー投資とバイアウト投資のファンド運用。収益源は「管理報酬(外部出資約束金額の年約2%)」「成功報酬(ファンド利益×外部出資割合×20%)」「キャピタルゲイン(同社の出資持分の売却損益)」の3つ(説明資料10P) |
| 時価総額 | 1,188億円(みんかぶ様、自己株式を含む発行済株式ベース)。自己株式を除くと約1,153億円(当方試算) |
| 決算期 | 3月期 |
| 現在株価 | 2,190円(’26/10/28終値、みんかぶ様・かぶたん様) |
今回の銘柄・配当情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 配当利回り | 6.07%(みんかぶ様、10/28時点) |
| 普通配当 | 133円(中間66.5円は実施済み、期末66.5円は最低額/短信サマリー) |
| 特別配当等 | なし |
| BPS | 2,558.50円(短信サマリー) |
| みんかぶ様の目標株価 | 2,805円(更新日の明記なし) |
| 権利落ち確認 | 済(中間は9/30基準で落ち済み。次回は期末3/31基準で、権利付最終日は2027年3月29日の見込み) |
| 増配コミット | なし(「最低額」としての下限コミットはあり) |
| 配当方針の根拠 | DOE(前期末株主資本に対する年間配当金額の割合)6%と配当性向50%のいずれか大きい金額(短信サマリー注2、説明資料21P) |
| 次期予想配当 | 133円(今期の最低額。来期以降は未開示) |
出典:決算短信、決算説明資料、統合報告書2026、みんかぶ様、かぶたん様、IRBANK様
なお、同社は2026年3月期3Qから単体決算へ移行しています(短信2P)。また、事業特性を理由に業績予想は開示しない方針で、開示されるのは配当の最低額のみです。






② 主要財務指標
当中間期実績(2027年3月期 中間期)
| 指標 | 当中間期 | 参考(前年上半期・単体) | 出典 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,968百万円 | 116億円 | 短信サマリー/説明資料7P |
| 営業利益 | 1,570百万円 | 29億円 | 同上 |
| 中間純利益 | 1,488百万円 | 32億円 | 同上 |
| EPS | 28.27円(2Q単独 約17.5円) | - | 短信サマリー、前回1Q 10.74円から算出 |
| BPS | 2,558.50円(期首2,548.70円) | - | 短信サマリー |
| ROE | 年換算 約2.2%(当方の粗い試算) | 前期通期4.8% | 短信9P・8Pから算出/説明資料7P |
| 自己資本比率 | 84.7%(期首85.0%) | - | 短信サマリー |
| 配当金 | 中間66.5円(実施)+期末66.5円(最低額)=133円 | 前期133円 | 短信サマリー |
| 配当性向 | 中間ベース 約235%(66.5÷28.27) | 前期107.6% | 当方算出/説明資料21P |
| 配当利回り | 6.07%(株価2,190円) | IRBANK様 6.04%(10/27) | みんかぶ様・IRBANK様 |
前期比較の補完(単体決算移行のため3方向で確認)
単体決算への移行で前年同期の財務諸表がないため、3つの方向から補います。まず単体数値での比較では、説明資料7Pの前年上半期単体数値に対し、純利益は32億円から15億円へ約53%減少しました。短信3Pの年換算比較(国内投資分)は次のとおりです。
| 収益項目(国内投資分・年換算) | 前期比 |
|---|---|
| キャピタルゲイン | 30.9% |
| 管理報酬 | 119.4% |
| 成功報酬 | 47.4% |
次に長期のEPSと配当の推移です(統合報告書28P)。
| 期 | 2021/3 | 2022/3 | 2023/3 | 2024/3 | 2025/3 | 2026/3 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| EPS | 416.5円 | 192.5円 | 586.9円 | 137.6円 | 175.6円 | 123.7円 |
| 配当 | 46円 | 51円 | 150円 | 69円 | 88円 | 133円 |
最後に来期予想との比較ですが、業績予想は開示されていないため、比較できるのは配当の最低額133円のみです。












③ 継続チェックメモ項目評価
| # | チェック項目 | 評価 | 結果と解説 |
|---|---|---|---|
| 1 | 配当は年間133円を維持できているか | ○ | 中間66.5円を実施し、期末66.5円(最低額)、年間133円(最低額)を維持。配当予想の修正はなく、方針の表現にも変更なし(短信サマリー、説明資料3P) |
| 2 | キャピタルゲインは回復傾向にあるか | × | 累計15億円(前年同期47億円)。1Qの12億円から見ると2Q単独は約3億円で、ペースは鈍化。年換算では前期国内分の31%水準(短信3P)。一方、上場株の含み益は172億円から217億円へ増加(説明資料13P) |
| 3 | 管理報酬カバー率は90〜100%台を維持できているか | ○ | 1Qの101%から中間は108%に改善(説明資料9P)。SV8の寄与(3.52億円、短信13P)が始まり、一過性ではないと考えられる |
| 4 | SV8シリーズの募集は順調か | △ | 6月末650億円→9月末688億円で、3か月で+38億円。1,000億円目標に対する進捗は68.8%(説明資料3P)。前進はしているがペースは緩やか |
| 5 | 使用可能現預金は大きく取り崩されていないか | ○ | 498億円で1Qと同水準。年間配当支払予想額70億円の約7.1倍。ただしファンド未払込とCB・長期有利子負債を差し引いたネット使用可能現金は141億円(説明資料18P) |
| 6 | 自己資本比率・純資産は急低下していないか | ○ | 自己資本比率84.7%で横ばい。純資産は1,341億円から1,347億円に増加。増加は評価差額(+25億円)による(説明資料19P) |
| 7 | 投資損失引当率の上昇は加速していないか | ○ | 1Qの20.5%から19.9%に低下(前期末19.3%)。繰入額は純額で▲72百万円の戻入(短信4P)。ただし保有9年超の投資先14社は引当後評価倍率0.48倍と弱い(説明資料16P) |
| 8 | 株主資本(DOE算定の基礎)はどの程度減ったか | △ | 1Q末1,124.39億円から1,134.55億円に戻したが、期首1,153.73億円比では▲19億円(短信8P)。この水準のままだと来期のDOE基準額は約129円となり、133円を下回る試算(④・⑤で詳述) |
| 9 | 社名変更は予定通りか | ○ | 2026年10月1日付で実施(説明資料3P) |
| 10 | 新たな自己株式取得の決議はあったか | △ | 新規の決議なし。自己株式取得による支出は0百万円(単元未満株のみ、短信10P)。同社は「EXITの進捗やファンドの募集環境を見ながら検討」としており(統合報告書17P)、方針の範囲内と考えられる |
| 11 | IPO市場の制度動向に変化はないか | △ | グロース市場の4〜9月のIPOは14社で、前年同期の9社から増加。それでも同社は市場を「引き続き低水準」とし、上場維持基準変更の影響を注視するとしている(説明資料3P) |
| 12 | 業績予想の非開示方針に変更はないか | ○ | 非開示方針を継続(短信6P) |












今回新たに見えた論点
中間純利益の質:法人税等合計はわずか10百万円でした(法人税等調整額▲345百万円、短信9P)。2Q単独のEPS(約17.5円)が1Q(10.74円)を上回ったのは、本業の加速よりも税効果と引当戻入の寄与が大きいと考えられます。
ティアフォーのロックアップ:上場時の売出し等の後も4.3%を保有しており、2027年1月17日までロックアップがかかっています(説明資料29P)。下期のキャピタルゲインを左右する材料と考えられます。
バイアウト投資の動向:新規の投資実行はゼロでした。一方で「来年1月の税制改正前の事業承継案件が急増」と記載されています(説明資料3P)。
チェック項目12項目の結果は○7・△4・×1でした。×はキャピタルゲインの回復(累計15億円、前年同期47億円)で、○の主な内容は管理報酬カバー率108%への改善と引当率19.9%への低下です。安定収益の土台は強まった一方、変動収益は弱く、株主資本も期首を下回っている点が、来期の配当に関わる論点として残ると考えられます。
④ 配当継続性スコア(5項目評価)
| 評価項目 | 評価 | 解説 |
|---|---|---|
| 配当の中身 | ○ | 普通配当のみで、記念配当・特別配当なし。期首に最低額を開示し、中間配当も実施済み |
| 本業の稼ぐ力 | △ | 管理報酬が販管費を上回る「基礎収支」の黒字は定着しつつある(カバー率108%)。しかしキャピタルゲインは前年同期の1/3以下で、中間EPS28円は配当の半分にも届かない。×に近い△ |
| 財務の健全性 | ○ | 自己資本比率84.7%、使用可能現預金498億円。CB150億円を差し引いてもネット141億円が残る |
| 配当の原資 | △ | 表面上は営業CFが配当を上回るが、実質的には利益より手元資金・資本に依存(下表参照) |
| 経営方針の透明性 | ○ | DOE6%と配当性向50%の算式が明確で、最低額を事前に開示。年換算の比較表など開示も丁寧 |
「配当の原資」の内訳
| 比較 | 金額 | 判定 |
|---|---|---|
| 中間営業CF vs 中間配当総額 | 56.70億円 vs 約35.0億円 | ○(1.6倍) |
| 営業CFから前期の売却代金回収(未収入金の減少30.41億円)を除いた額 vs 中間配当総額 | 約26.3億円 vs 約35.0億円 | 不足 |
| フリーCF(営業CF−投資CF) vs 期中の配当支払額 | 約24.7億円 vs 35.09億円 | 不足(投資CFには海外ファンドへの払込32.55億円を含む) |
出典:短信10P。中間配当総額は66.5円×自己株控除後の52,659,538株で算出(当方試算)。












B-→B-(据え置き)
今回は5項目すべてを実際の数値で確認できたため、運用ルール上は格上げも検討できる回でした。しかし実体を伴う△が2項目(本業の稼ぐ力・配当の原資)あり、前回から改善した項目もありません。格上げの理由がないため据え置きとしました。
同社の配当はDOE6%という「資本に対する利回り」で決まります。足元のROE(年換算約2%、前期4.8%)を大きく上回っており、利益で賄う配当というより、計画的な資本の返還に近い性格と考えられます。財務余力が厚いため直ちに危ういわけではありませんが、株主資本が目減りすれば最低配当額も自動的に下がる仕組みです。
格下げの条件(次回以降):①3Q累計のキャピタルゲインが20億円未満で、上場株の含み益も大きく減少した場合は稼ぐ力を×に、②来期の最低配当額が133円を下回って開示された場合(実質的な減配)は配当の中身を△とし、いずれかを確認した場合はC+とします。
格上げの条件:通期の営業CFが配当総額(約70億円)を未収入金の回収を除いても上回ること、あわせて通期のキャピタルゲインが50億円以上に回復すること。両方を満たせばBへ格上げします。
クリックして評価ランクの説明を見る
S:非常に優れている/A:優れている/A-:Aの要件を満たすがBに近い注意点がある/B+:Bの要件を満たしAに近い水準にある/B:良好/B-:Bの要件を満たすがCに近い注意点がある/C+:Cの要件を満たしBに近い水準にある/C:やや懸念がある/C-:Cの要件を満たすがDに近い注意点がある/D:懸念が大きい/E:重大な懸念がある
※評価体系をS/A/A-/B+/B/B-/C+/C/C-/D/Eの11段階に変更しました。旧5段階(S/A/B/C/D)のA・B・C・Dの間にそれぞれ「+(プラス)-(マイナス)」ランクを新設しています。これは、同一ランク内でも「条件が揃えば上のランクに相当する」銘柄と「下のランクに近い懸念がある」銘柄を区別するためです。たとえばB-は「Bの要件は満たすが、Cに近い注意点を抱えている」状態を示します。
⑤ 適正株価試算(普通配当逆算法)
前提:現在株価2,190円(’26/10/28終値)、年間配当133円(最低額)、現在利回り6.07%、BPS2,558.50円。自己株控除後の株数は52.66百万株で一定と仮定しています(いずれも当方試算)。
来期の最低配当額を左右する計算
- 期末の株主資本 ≒ 中間末1,134.55億円 + 下期純利益 − 期末配当 約35.0億円
- 来期のDOE基準額 = 期末株主資本×6% ÷ 株数
- 来期も133円を維持するには、期末株主資本が約1,167億円以上必要。逆算すると、通期の純利益が約83億円(EPS約157円)必要
シナリオ別試算
| シナリオ | 想定配当額 | 想定利回り | 適正株価(計算式) | 適正株価 | 前提 |
|---|---|---|---|---|---|
| 強気 | 140円 | 5.0% | 140÷0.050 | 2,800円 | 今期の純利益が中期目標の140億円に到達。期末株主資本は約1,225億円となり、DOE6%で約140円 |
| 中立 | 133円 | 5.5% | 133÷0.055 | 2,418円 | 会社が開示した今期の最低額をそのまま使用 |
| 保守的 | 133円 | 6.0% | 133÷0.060 | 2,217円 | 増配なしの現状維持 |
| 弱気 | 127円 | 6.5% | 127÷0.065 | 1,954円 | 通期純利益が約30億円(下期も上期並み)。期末株主資本は約1,115億円となり、DOE6%で約127円 |
弱気シナリオ:「方針を曲げざるを得ない前提条件」
弱気シナリオの127円は、方針どおりに計算した結果としての減額で、方針そのものは曲げていません。同社がDOE6%を引き下げざるを得なくなる前提条件としては、次のような状況が考えられます。
- ROEが6%を下回る状態が数年続く
- 使用可能現預金が中期目標の必要資金水準(250億円、統合報告書12P)に近づく
- SV8への払込やCB150億円の返済が重なる(CBの償還時期は【要確認:CB150億円の償還時期】)
仮にDOEを2024年3月期以前の3%水準に戻した場合、配当は約63円まで下がる計算です。
BPS×適正PBR倍率(2点セット確認)
BPS:2,558.50円(短信サマリー)
| 想定PBR | 適正株価 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 0.8倍 | 2,047円 | 過去10年の中心レンジ(統合報告書28P) |
| 0.9倍 | 2,303円 | 前期末水準 |
| 1.0倍 | 2,559円 | 解散価値 |
現在のPBRは約0.86倍です。国内投資先の税後公正価値を反映したBPSは2,750円で(説明資料19P)、これに0.8倍を掛けると2,200円となります。配当逆算法の保守〜中立レンジ(2,217〜2,418円)とPBRベース(2,047〜2,303円)はおおむね重なり、現在株価2,190円は適正レンジの下限付近と考えられます。












テーマ別深掘り対談
テーマ①:中間EPS28円で配当66.5円、配当性向235%は「危険信号」なのか


















テーマ②:DOE6%の“落とし穴”――株主資本が減れば最低配当も下がる


















テーマ③:含み益217億円とティアフォーのロックアップ解除――下期キャピタルゲインの鍵


















テーマ④:管理報酬が販管費を超えた――「基礎収支」黒字化の意味


















テーマ⑤:理論株価4,450円、目標株価2,805円、アナリスト2,350円――評価がここまで割れる理由


















予備テーマ①:税効果で膨らんだ中間純利益












予備テーマ②:税制改正前に駆け込みが起きているバイアウト案件












予備テーマ③:個人投資家や投資組合が名を連ねる株主構成












予備テーマ④:信用倍率5.69倍、移動平均線がすべて下向きという需給












全シナリオが崩れる条件
- IPO市場の凍結と株価急落が重なり、上場株の含み益(217億円)が大きく縮小した場合
- 投資損失引当や強制評価損が急増し、株主資本が大きく減った場合(保有9年超の投資先が評価倍率0.48倍である点に注意)
- SV8の募集が大幅に未達となり、管理報酬が想定に届かない場合
- 同社がDOE6%の方針自体を引き下げた場合
- ファンドへの未払込207億円の払込やCB150億円の返済が重なり、ネット使用可能現金(141億円)が枯渇方向に向かった場合
まとめ



























外部目標株価との比較:みんかぶ様の目標株価2,805円(現在株価比+28%、更新日は未確認)、アナリスト予想2,350円(+7%、1人)、理論株価4,450円(+103%)。高配当研究所の中立シナリオ2,418円は、アナリスト予想と目標株価の間に位置します。
割高・割安感:現在株価2,190円は、保守シナリオ(2,217円)とPBR0.9倍(2,303円)をやや下回る水準で、適正からやや割安の範囲と考えられます。ただし、来期の最低額が下がるリスクを織り込んだ水準とも解釈できます。
長期投資家への視点:利回り6%台の実体は「利益の分配」より「資本の計画的な返還」に近いと考えられます。来期の最低配当額は2027年3月期末の株主資本で決まるため、通期の純利益が約83億円を超えるかどうかが最大の分岐点です。
免責事項
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本記事における業界慣行への言及は、一般的な注意喚起を目的としたものであり、特定の企業の商品・営業活動を批判するものではありません。
情報基準日:2026年10月28日
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
© 高配当株研究所 ※本記事はAIによる分析を含みます。投資推奨ではありません。






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