【高配当研究所】オキサイド/6521/利益倍増の上方修正、それでも株価が動かない理由――2Q継続チェック


配当についての注記

オキサイドは無配(2027年2月期の年間配当予想0円、決算短信p.1)です。本記事は「高配当株」としてではなく、成長性・競争力・割安感の観点から「今仕込むべきか」を検討します。配当にはこれ以上触れません。

分析基準日:2026年10月16日終値(3,300円)/作成日:2026年10月17日

所長ダル
車野さん、オキサイドが2027年2月期の2Q決算で通期の営業利益予想を大きく上方修正したそうですね。今回も継続チェックをお願いできますでしょうか。
車野アナリスト
はい、所長。通期の営業利益予想は933百万円から1,367百万円へ46.5%の上方修正でした。ただ、利益が倍増したのに株価はほぼ横ばいで、その理由も含めて数字で整理します。
  • 使用資料:2Q決算短信(10/15)、
  • 2Q決算補足説明資料(10/15)、
  • 通期連結業績予想の修正に関するお知らせ(10/15)、
  • 特別利益(補助金収入)及び特別損失(固定資産圧縮損)の計上に関するお知らせ(10/15)、
  • 半期報告書の大株主の状況(2026/8/31現在)、
  • 事業計画資料p.23、
  • みんかぶ様・株探様・IRBANK様(10/15〜10/16)、
  • 前回継続チェックメモ(7/17時点)
目次

① 会社概要

項目内容
正式名称株式会社オキサイド(OXIDE Corporation)
証券コード6521(東証グロース)
設立2000年(※筆者の既知情報。一次資料での再確認を推奨)
本社山梨県北杜市(第6工場も同市、決算短信p.10)
決算期2月(2018年に9月期から変更、IRBANK様の推移より)
時価総額約384億円(株探様、10/16)/38,376百万円(みんかぶ様)
業種電気機器(みんかぶ様)

どんな事業で稼いでいるか

光学用の単結晶(人工的に育てた結晶)と、それを使ったレーザ・光部品を作る会社です。事業は3つあります。

  • 半導体事業(通期修正予想7,241百万円、売上の約7割):半導体ウエハの欠陥検査装置に使う深紫外レーザと光学単結晶(補足説明資料p.5)。波長変換単結晶で世界シェア95%超、レーザ本体で30%超(事業計画資料p.30、前回メモより)。
  • ヘルスケア事業(同1,219百万円):PET検査装置に使うシンチレータ単結晶(補足説明資料p.9)。
  • 新領域事業(同1,864百万円):AIデータセンターの光通信部品に使うファラデー回転子、量子、パワー半導体、レーザ微細加工など(補足説明資料p.10, p.15)。

なぜ今話題なのか

2Q決算で通期の営業利益予想を933百万円から1,367百万円へ46.5%上方修正し、2028年2月期の中期目標(営業利益率12%)を1年前倒しで達成する見通しになりました(補足説明資料p.12-13)。あわせて、AIデータセンター向けファラデー回転子に追加で約23億円の増産投資を決めており(同p.15、決算短信p.10)、「AI×光通信」のテーマ株として改めて注目されています。

② 主要財務指標

指標数値出典
売上高(中間期)4,935百万円(前年同期比+18.9%)決算短信p.1
売上高(通期修正予想)10,323百万円(前期比+2.8%)業績修正お知らせ
売上成長率(Raicol社除く実質)約+21%(前期100億円のうちRaicol社分約15億円を除いた約85億円と比較、筆者概算)事業計画資料p.23
営業利益中間期641百万円(前年同期▲189)/通期予想1,367百万円(+151.9%)決算短信p.1
営業利益率中間期13.0%/通期予想13.2%補足説明資料p.4, p.12
純利益中間期571百万円/通期予想1,328百万円決算短信p.1
EPS中間期49.24円(潜在株式調整後47.32円)/通期予想114.50円決算短信p.1
BPS460.4円(自己資本5,349百万円÷期末株式数11,618千株、筆者算出/IRBANK様も460.4円)決算短信p.1, p.10
ROE(予)24.83%(一過性の特別利益を含む)IRBANK様
ROA(予)8.63%IRBANK様
自己資本比率34.7%(前期末31.8%)決算短信p.1
営業CF(中間期)+793百万円(うち補助金の受取429百万円)決算短信p.8
配当(参考)0円(無配)決算短信p.1
注意

通期の売上成長率が+2.8%と低く見えるのは、イスラエルの子会社だったRaicol社を連結から外したためです。その影響を除くと実質約2割の成長と考えられます。

③ 業績推移(過去8期+今期予想)

決算期売上高(百万円)営業利益(百万円)営業利益率(%)EPS(円)備考
2019/022,6081033.9618.842月期への変更後の初めての通期(2018/02は5か月の変則決算)
2020/023,0651224.0110.20
2021/023,57936510.2241.13利益率が2桁に。2021年4月にIPO
2022/024,75659612.5552.53営業利益率のピーク
2023/025,7525379.3456.50EPSは過去最高
2024/026,606▲983▲14.88▲41.58転換点①:Raicol社の子会社化、部材不具合で新規受注を制限(補足説明資料p.8)
2025/028,3941261.50▲243.91受注再開で営業黒字に戻る。最終赤字は約27億円
2026/0210,0405425.41▲46.99Raicol社の株式譲渡で特別損失。4Q単独で営業利益801百万円と急回復
2027/02予10,3231,36713.24114.50転換点②:Raicol社を除いた初年度。過去最高の利益率へ。純利益に受贈益280百万円を含む

出典:IRBANK様の売上高・営業利益・営業利益率・EPS推移、2027/02予は業績修正お知らせ

四半期の営業利益の流れ(補足説明資料p.18)

26/2期:1Q ▲72 → 2Q ▲117 → 3Q ▲68 → 4Q 801 / 27/2期:1Q 199 → 2Q 442(営業利益率16.1%)(単位:百万円)

ポイント

前期4Qから利益体質が変わった可能性があり、2Qで2四半期続けて2桁近い利益率となりました。ただし、前期の数字にはRaicol社が含まれるため、前年同期比は「Raicol社の除外」と「本業の改善」が混ざっている点に注意が必要です。

所長ダル
車野さん、2024年2月期の赤字から、ここまで利益率が戻ってきたのですね。
車野アナリスト
はい、所長。今期予想の営業利益率13.2%は表の中でも過去最高です。ただ、前期にRaicol社が含まれていた点は割り引いて見る必要があります。

④ 継続チェック(7/17メモの項目ごとに評価)

毎回チェックする基本項目

チェック項目判定基準2Q実績判定解説
売上高(両方向型)上半期予想4,659の±20%(3,727〜5,591)で○4,935百万円(予想比+5.9%)○範囲内。粗利率も改善しており、量・質ともに問題なし(補足説明資料p.4)
営業利益通期当初予想933の上半期進捗:50%(467)以上で◎641百万円(進捗68.7%)◎2Q単独で予想78に対し442と大幅超過。修正後の通期1,367に対しても46.9%
営業利益率7.6〜11.4%で○、11.4%超かつ粗利率維持で◎13.0%◎粗利率39.2%(基準34%以上)とセットで確認でき、特則上も◎
純利益/EPS通期当初予想597の50%(299)以上で◎、特別損益を除いた水準も併記571百万円(95.6%)/EPS49.24円◎(注記あり)特別損益は差し引き+193百万円(受贈益160など、決算短信p.6)。除いた筆者試算でも約390百万円(経常558×税率30%想定)で◎の水準
営業CF黒字か、有利子負債の返済原資になっているか+793百万円△黒字だが、補助金の受取429百万円を含む。設備投資(有形+無形1,698百万円)を差し引くと約▲905百万円。有利子負債の削減はRaicol社株式の売却収入1,000百万円で賄った形(決算短信p.8)
年間配当予想無配継続で○0円○想定どおり
半導体売上(両方向型)2Q予想1,639の±20%(1,311〜1,967)で○1,683百万円(+2.7%)○範囲内。受注残高・粗利率も維持。1Qの◎から○へ
新領域売上約610以上で○、500未満で×511百万円(上半期800)△境界線上。ファラデー回転子は「概ね計画どおり」に回復したが、その他分野の一部案件が下期へ期ずれ(補足説明資料p.10)
ヘルスケア売上約511+価格転嫁の協議結果548百万円(予想比+138)×2Qは超過したが、協議は継続中。下期予想は3Q 285・4Q 59百万円へ大幅に下方修正(通期1,851→1,219、補足説明資料p.12)
粗利率(質の指標)34%以上39.2%(前年同期31.7%、筆者算出)◎2Q単独は約41%(筆者概算)。会社も「売上総利益率の改善」を増益の主因と説明
研究開発費(両方向型)上半期累計500〜600百万円で○509百万円(予想540)○範囲内。2Q単独254百万円で、1Qの抑制は継続していない

注意点①:新領域(ファラデー回転子)の期ずれ回収

チェック項目判定解説
2Q売上が約610以上、上半期で約900に届いたか×2Q 511、上半期800(予想900に対し▲99)
期ずれが2Qで回収できたか、3Qへ繰り越されていないか△ファラデー回転子は回収できた模様。ただし別の案件が下期へ期ずれ(補足説明資料p.10)
通期予想(新領域1,575)は維持か修正か◎1,864百万円へ上方修正(+288)。理由はファラデー回転子の出荷増加(補足説明資料p.12)
資材調達の安定化策─(偶発的)今回の資料に言及なし
量子分野の売上計上─(偶発的)今回の資料に言及なし
特定顧客への出荷集中度─(構造的)開示なし
降格の判断

ファラデー回転子そのものの期ずれは解消し、通期も上方修正となったため、「期ずれ」という懸念は注意点①から降格してよいと考えられます。代わりに、総額約23億円のファラデー増産投資が回収できるかという新しい論点が浮上しました。

注意点②:半導体の上振れの継続と「質」

チェック項目判定解説
2Q売上が1,311〜1,967に収まったか○1,683百万円。上半期は前年同期比+70%(補足説明資料p.5)
受注残高が2,798〜4,198か○2Q末3,390百万円(前期末3,498から▲3.1%)。上半期の受注高は上半期として過去最高の3,456百万円(同p.8)
粗利率34%以上、製品保証引当金が急増していないか△粗利率は39.2%で良好。一方、製品保証引当金は143.5百万円(前期末100.1、+43.4%、決算短信p.5から筆者算出)で、設定した上限ライン(145、+45%)の目前
メンテナンス売上の進捗─(偶発的)今回の資料に開示なし
人員確保の進捗─(偶発的)質疑応答要旨が未添付のため確認不能
不具合・遅延・クレームの新たな開示○今回の資料の範囲ではなし

会社はSEMI様の予測(2026年の半導体製造装置市場は前年比+23.2%)を背景に挙げています(補足説明資料p.5)。下期の半導体は3Q 1,820・4Q 2,160と、4Qに大きく偏った計画になっている点は次回の確認ポイントです。

注意点③:利益の質と財務

チェック項目判定解説
営業利益の増減要因の内訳△前年同期比+830のうち、粗利の増加+615、販管費の減少+216(筆者算出)。研究開発費の減少(▲197、補足説明資料p.4)も寄与。本業の改善が主因と考えられるが、会社による定量的な分解はない
税率の前提△上半期の税負担率は24.0%(1Qの約55.8%から正常化)。一方、通期は純利益1,328が経常利益1,234を上回り、税負担率は約14%(筆者概算)と低めの前提
特別損益(一過性の損益)△上半期は受贈益160、補助金収入96、固定資産売却益29、圧縮損▲92。通期では受贈益280を見込む(業績修正お知らせ)。純利益を押し上げる一過性の要因がある
有利子負債が2Q末も減少しているか○70.6億円(1Q末71.5、前期末75.4、決算短信p.5から筆者算出)
ネット有利子負債/EBITDA○会社算出2.6倍(前期末3.7倍、補足説明資料p.14)。通期予想EBITDA 2,076で計算すると約2.5倍(筆者算出)
棚卸資産○31.6億円(前期末28.3億円、+11.6%)。売上の伸び(+18.9%)の範囲内で、製品在庫はむしろ減少。増えたのは仕掛品・原材料で、受注増への備えと考えられる
自己資本比率33%以上○34.7%

引き続き良好なら安心できる項目

項目2Q末維持ライン判定前回比
自己資本比率34.7%32%以上○1Q末32.9%→+1.8pt
有利子負債70.6億円73億円以下○1Q末比▲0.9億円
営業利益率13.0%7.6%以上◎1Q 9.1%→2Q単独16.1%
粗利率39.2%34%以上◎1Q 37.0%→上半期39.2%
製品保証引当金143.5百万円145百万円以下△1Q末120.8→+18.8%。上限の目前
受注残高(半導体)3,390百万円2,800百万円以上○1Q末は未開示、前期末比▲3.1%
発行済株式数11,620千株11,798千株以内○前期末比+0.46%。ただし潜在株式による希薄化は約4%(EPS 49.24円→47.32円から筆者算出)。新株予約権の発行もあり(決算短信p.5, p.9)

株価・バリュエーション

項目7/17(1Q後)10/16(2Q後)変化のポイント
株価3,385円3,300円(▲2.5%)利益予想は倍増したが株価はほぼ横ばい
PER(予想)65.8倍28.8倍(株探様28.9倍)低下の理由は株価ではなく予想EPSの引き上げ(51.53円→114.50円)
PER(一過性除く)─約44倍(筆者試算の実力EPS 74.5円で計算)受贈益を除くと、まだ割安とは言いにくい
PBR8.22倍7.17倍(株探様・IRBANK様)/8.17倍(みんかぶ様)BPS上昇(412円→460円)による。みんかぶ様の8.17倍は前期末BPSを使っている可能性
PSR─3.82倍(過去2年平均3.29倍、みんかぶ様)過去比較では割高
みんかぶ様目標株価3,403円(買い)2,828円(売り)▲575円(▲16.9%)、判定も反転。更新日は画面で確認できず
みんかぶ様理論株価─1,929円(割高)
個人予想(みんかぶ様)─4,178円(買い81%)個人投資家は強気が多い
どのシナリオに近いか中立中立(会社予想EPS×現状PER)

信用需給(株探様)

日付売り残買い残信用倍率
9/110.0千株712.9千株─
9/180.4千株675.1千株1,687倍
9/250.1千株682.0千株6,820倍
10/20.1千株667.7千株6,677倍
10/90.0千株690.9千株─
チェック項目判定解説
信用倍率が低下しているか×売り残がほぼゼロのため倍率が出ない状態。踏み上げ(買い戻し)は期待しにくい
買い残が発行済株式数の2%超か×690.9千株=約5.9%(目安の約3倍)
買い残が直近の出来高を上回るか×10/16出来高473千株、5日平均約401千株(IRBANK様)を上回る
買い残の整理が進んでいるか△9月以降67万〜71万株で横ばい。整理は進んでいない
好決算でも株価が伸びない最大の理由

最大の理由は、この需給と考えられます。5月の高値7,420円付近で買った信用買いの一部が残っている可能性があり、株価が上がるたびに「やれやれ売り」が出やすい状態です。

チャートの位置(株探様・IRBANK様、10/16):25日線(約3,254円)は上回る(+1.41%)、75日線(約3,440円、乖離▲4.15%から筆者逆算)と200日線(約3,710円、同▲11.14%)は下回る。8月以降は3,000〜3,500円の範囲で横ばい。「下落は一服したが、上昇トレンドへの転換はまだ」という局面と考えられます。

所長ダル
車野さん、利益予想が2倍以上になったのに、株価が動かないのは不思議に感じます。
車野アナリスト
所長、信用買い残が690.9千株で、発行済株式数の約5.9%あります。売り残はほぼゼロなので、5月の高値付近で買った方の「やれやれ売り」が上値を抑えている可能性が高いです。

即座に見直しが必要なシグナル

シグナル該当コメント
業績予想の下方修正非該当上方修正。ただしヘルスケアは事業単位で▲632の下方修正
粗利率32%割れ非該当39.2%
自己資本比率30%割れ非該当34.7%
有利子負債が75.4億円超非該当70.6億円
受注残高2,800百万円割れ非該当3,390百万円
製品保証引当金145百万円超非該当(目前)143.5百万円。次回は最重要確認事項
新領域が2期連続で予想比2割以上の未達非該当2Qは予想比+42%
営業CFマイナス非該当+793百万円
発行済株式数+2%超の希薄化非該当+0.46%(潜在株式は約4%)
主要顧客・主要株主の悪材料非該当むしろKLAグループの持株比率が上昇
海外パートナーの地政学リスク注意Raicol社からの育成炉の無償譲受は「不透明な国際情勢」で遅れていたが、今期に段階的に実施中(決算短信p.10)

⑤ 事業・競争力の評価

項目7/1710/17理由
本業の稼ぐ力○○上半期の営業利益率13.0%、通期予想13.2%は過去最高水準。半導体の受注高は上半期として過去最高。ただしヘルスケアの失速があり◎には届かない
財務の健全性△△(改善中)自己資本比率34.7%、Net Debt/EBITDA 2.6倍と着実に改善。一方、Raicol社の売却収入を除いた実質のフリーCFはマイナスで、今期の設備投資は約30億円弱+10/14決議分8.41億円と大きい
経営方針の透明性○○四半期・事業別の予想と実績、受注高・受注残、EBITDA、Net Debt/EBITDAまで開示。「下期の進捗を見極めて中期目標の見直しを検討」と明言(補足説明資料p.13)。ヘルスケアの協議の中身は不透明

市場環境コメント

  • 半導体:SEMI様の予測では、2026年の半導体製造装置市場は前年比+23.2%(補足説明資料p.5)。同社はウエハ欠陥検査装置向けで高いシェアを持つため、市場の追い風を直接受けやすい立場です。
  • AIデータセンター:光通信のトランシーバーには、光が逆流しないようにする「光アイソレータ」が必要で、その中核部品がファラデー回転子です(同p.15)。生成AIの普及で需要が増えていると会社は説明しています。
  • 新しい成長分野:Fluence社と共同で深紫外フェムト秒レーザを開発(8/18開示)。CoWoSなどの先端半導体パッケージ、光電融合(CPO)の微細加工を狙います(同p.6)。東芝で半導体事業を率いた香山晋氏を経営戦略アドバイザーに招きました(同p.7)。
  • 比較される銘柄(株探様):シキノハイテック、santec、フェローテック。

リスク要因

  1. 半導体サイクル:売上の約7割が半導体。製造装置市場が減速すれば受注に直結します。下期計画は4Qの半導体2,160百万円に大きく依存しています。
  2. 主要顧客への集中:KLAグループが大株主(合計約11.7%)であり、主要顧客と推定されます。関係の強さは安心材料である一方、同社の発注動向に業績が左右されやすい構造と考えられます(顧客別売上は開示なし)。
  3. 大型設備投資と償却負担:今期の設備投資は約30億円弱(前期4.67億円の約6倍、補足説明資料p.16)に、10/14決議の8.41億円が加わります。通期予想の償却費は約7億円(EBITDA 2,076−営業利益1,367、筆者算出)ですが、来期以降は増える可能性が高く、ファラデー回転子の需要が想定を下回ると利益を圧迫します。投資の回収見込みは開示されていません。
  4. ヘルスケアの原材料:調達環境の悪化と価格高騰で、4Qの売上予想は59百万円まで落ちています。協議が決裂すれば事業の縮小もありえます。
  5. 品質:24/2期に部材不具合で新規受注を制限した前例があり、製品保証引当金が上限ラインの目前まで増えています。
  6. 地政学:Raicol社の前例。新パートナーのFluence社など海外連携にも同様のリスクがありえます。
  7. 為替:上半期の為替差損は5百万円と小さいものの(決算短信p.6)、海外売上比率は今回の資料では確認できません。
  8. 需給:信用買い残が発行済株式数の約5.9%。

大株主構成とアクティビストリスク(半期報告書、2026/8/31現在)

筆頭株主はKLAテンコール株式会社(8.17%)で、KLA-TENCOR(SINGAPORE)3.52%と合わせKLAグループで約11.7%。創業者の古川保典氏は7.69%(6/5記事の9.49%から低下)、NTTグループ合計10.06%、ニコン・レーザーテック・島津製作所がそれぞれ1.7〜2.2%を保有しています。取引先や業界の事業会社が中心で、アクティビストリスクは低いと考えられます。KLA日本法人が上位に入った経緯と、古川氏の持株減少の理由は今回の資料では確認できません。

総合評価:A-(BからA-へ一段階引き上げ)

前回は「実力はあるが、期待が先行している」としてBでした。今回は、利益が期待に追いつき始めたことを確認できました。営業利益率は過去最高水準に入り、中期目標の前倒し達成も見込まれ、予想PERは65倍から29倍まで下がっています。

一方で、①純利益には受贈益という一過性の要因が含まれ、実力ベースのPERは約44倍とまだ高い、②実質のフリーCFはマイナスで、大型投資の回収はこれから、③信用買い残が重く、みんかぶ様の目標株価も現株価を下回る、という3点から、AやSには届かないと判断しました。「業績の方向性は良いが、買い場は慎重に選ぶべき銘柄」という位置づけです。

所長ダル
評価が一段階上がったのですね。それでも「慎重に」という点が、車野さんらしい見方だと感じます。
車野アナリスト
ありがとうございます、所長。利益は確かに期待に追いついてきましたが、一過性の利益と重い需給が残っているため、A-にとどめました。

⑥ 適正株価試算

前提となるEPSの整理

  • 会社予想EPS:114.50円(受贈益280百万円などの一過性の特別利益を含む)
  • 実力EPS(筆者試算):74.5円=経常利益予想1,234百万円×(1−税率30%)÷約1,160万株
  • 中期目標(29/2期:売上130億円・営業利益率14%)達成時のEPS(筆者試算):約103円
シナリオ想定EPS想定PER適正株価現株価(3,300円)比考え方
強気110円40倍4,400円+33.3%28/2期に売上120億円・営業利益率16%(4Q修正予想16.3%の通年化)を達成。AI・半導体のテーマプレミアムが乗る(筆者想定)
中立114.50円28.8倍3,298円±0%会社の修正予想どおりに着地し、PERは現状維持
保守的74.5円25倍1,863円▲43.5%受贈益がなくなり実力EPSで横ばい、PERは業種平均に近い水準へ収縮。みんかぶ様の理論株価1,929円とほぼ同水準
弱気赤字評価不能1,381円(PBR3.0倍)/930円(PBR2.02倍)▲58.2%/▲71.8%PBRで代替評価
弱気シナリオが現実になる条件

半導体製造装置市場の減速で受注が急減し、そこへ品質トラブルの再発(製品保証引当金の急増や受注制限)、ヘルスケアの協議決裂による事業縮小、ファラデー回転子の需要の伸び悩みによる「償却費だけが増える」状態が重なった場合です。24/2期〜26/2期のような最終赤字(EPS▲41〜▲244円)に戻る可能性があります。

BPS×PBRとの2点セット確認(BPS 460.4円)

PBR株価現株価比
3.0倍1,381円▲58.2%
5.0倍2,302円▲30.2%
6.5倍(2022年以降のレンジ2.02〜11.01倍の中央付近)2,993円▲9.3%
7.17倍(現状)3,300円±0%
8.0倍3,683円+11.6%

PBRで見ると、現株価は過去レンジの中央よりやや上です。中期目標達成時のEPS約103円で計算すると、現株価はPER約32倍に相当し、「中期目標の達成」をすでにかなり織り込んだ水準と考えられます。

みんかぶ様目標株価との比較

目標株価2,828円(売り)に対し、現株価は約17%上回っています。7/17の3,403円(買い)から引き下げられており、業績の上方修正後もAIの評価は厳しいままです。ただし、みんかぶ様の目標株価はPSRやPBRの過去比較を重視する傾向があるため、利益の急改善はまだ十分に反映されていない可能性があります。

所長ダル
車野さん、強気シナリオなら4,400円、保守的なら1,863円と、振れ幅がかなり大きいのですね。
車野アナリスト
はい、所長。一過性の受贈益を含むEPSで見るか、除いた実力EPSで見るかで、評価が大きく変わるためです。今は中立シナリオの3,298円とほぼ同じ水準で、割安とまでは言いにくいと考えています。

結論

結論ボックス

①なぜ今話題なのか
2Q決算で営業利益予想を46.5%上方修正、中期目標を1年前倒し。AIデータセンター向けファラデー回転子に約23億円の増産投資。

②外部目標株価との比較
みんかぶ様2,828円(売り)、理論株価1,929円(割高)。現株価3,300円はいずれも上回る。

③割高・割安感
会社予想PER28.8倍は前回65.8倍から大幅に低下。ただし一過性を除くと約44倍、PBR7.17倍は過去レンジの中央より上。「割安になった」とまでは言いにくい。

④強気シナリオの根拠
上半期として過去最高の半導体受注、4Q修正予想の営業利益率16.3%、ファラデー回転子の増産、会社自身が中期目標の見直しを示唆。

⑤最大のリスク(一言で)
「重い信用買い残と、大型投資の回収リスク」

⑥「今仕込む」目安
実力EPS74.5円×PER35〜38倍の約2,600〜2,850円(みんかぶ様目標株価付近)が一つの目安。3Q決算で①半導体3Q1,820百万円の達成、②製品保証引当金145百万円以内、③ヘルスケア協議の決着、④信用買い残の減少(50万株以下)を確認できれば、3,300円前後でも検討の余地があると考えられます。一度に買わず、分けて買うのが無難です。

対談:オキサイドを深掘りする5つのテーマ

テーマ①:「利益は倍、株価は横ばい」――なぜ上方修正でも株価が上がらないのか

所長ダル
車野さん、7月から10月にかけて予想EPSは倍以上になったのに、株価は少し下がっていますね。これはどう考えればよいのでしょうか。
車野アナリスト
所長、予想EPSは51.53円から114.50円へ上がり、株価は3,385円から3,300円へ▲2.5%でした。その結果、PERは65.8倍から28.8倍に下がっています。「株価が下がって割安になった」のではなく、「利益が増えて割安に見えるようになった」という違いがポイントです。
所長ダル
なるほど、初心者の方は混同しやすそうですね。株価が動かない理由は何でしょうか。
車野アナリスト
最大の理由は需給です。信用買い残が690.9千株で発行済株式数の約5.9%、売り残はほぼゼロです。5月高値7,420円で買った方の「やれやれ売り」が上値を抑えている可能性があります。みんかぶ様の目標株価も3,403円(買い)から2,828円(売り)へ下がりました。
所長ダル
業績と株価がずれるとき、車野さんならどちらを信じますか。
車野アナリスト
業績は方向性、株価は需給とタイミングを映すものと考えています。所長、ですので業績が良くても買い場は需給の整理を見てから選ぶ、というのが私の基本姿勢です。

テーマ②:純利益1,328百万円の”中身”――タダでもらった育成炉が利益になる話

所長ダル
車野さん、純利益の予想が経常利益より大きいというのは、珍しい形ですね。
車野アナリスト
はい、所長。純利益予想1,328百万円に対し、経常利益予想は1,234百万円です。売却したRaicol社から単結晶の育成炉を無償で譲り受けたことによる受贈益280百万円が計上されるためです(業績修正お知らせ、決算短信p.10)。
所長ダル
上半期にも特別損益が出ていたのですよね。
車野アナリスト
受贈益160、補助金収入96(NEDOのグリーンイノベーション基金)、圧縮損▲92が計上されています。これらを除いた実力EPSは約74.5円(筆者試算)で、実力ベースのPERは約44倍になります。営業CF793百万円にも補助金429百万円が含まれる点も押さえておきたいところです。
所長ダル
「EPSは中身を分解して見る」というのは、初心者の方にも大切な教訓ですね。

テーマ③:AIデータセンターの”光の一方通行バルブ”――ファラデー回転子に約23億円を賭ける

所長ダル
車野さん、ファラデー回転子とは、どのような部品なのでしょうか。
車野アナリスト
光通信では、反射して戻ってきた光がレーザを不安定にしてしまいます。それを防ぐ光アイソレータの中核が、ファラデー回転子です(補足説明資料p.15)。いわば光の一方通行バルブです。
所長ダル
投資額もかなり大きいと伺いました。
車野アナリスト
8/19に14.55億円、10/14に8.41億円の追加投資を決議しました。今期の設備投資総額は約30億円弱で、前期4.67億円の約6倍になります(補足説明資料p.16、決算短信p.10)。新領域の通期予想は1,575→1,864百万円へ上方修正されましたが、投資の回収見込みは開示されていません。
所長ダル
財務の面ではいかがでしょうか。
車野アナリスト
Raicol社の売却収入10億円を除くと、実質フリーCFは約▲9億円です。「攻めの投資」と「財務改善」を両立できるかが、今後の注目点です。

テーマ④:ヘルスケア4Q売上59百万円の衝撃――”売らない”という選択

所長ダル
車野さん、ヘルスケアの下期予想がかなり小さくなっていますね。
車野アナリスト
はい、所長。PET検査装置向けシンチレータ単結晶は、原材料の調達難と価格高騰で顧客と取引条件を協議中です。2Qは548百万円と予想を上回りましたが、下期予想は3Q 285、4Q 59百万円まで下がり、通期は1,851→1,219百万円(▲632)となりました(補足説明資料p.12)。
所長ダル
売上が減るのは心配に感じますが、会社の姿勢はどうなのでしょう。
車野アナリスト
会社は「引き続き収益性を重視し、適正な取引条件の確保に努める」と説明しています。採算の悪い取引を続けるより、値上げを優先する姿勢と読めます。協議がまとまれば来期に上振れ余地があり、決裂すれば事業縮小もありえます。
所長ダル
「売上が減る=悪」とは限らない、という視点ですね。勉強になります。

テーマ⑤:KLAが筆頭株主に――大株主から読む「顧客との絆」と「依存リスク」

所長ダル
車野さん、大株主の顔ぶれにも変化があったそうですね。
車野アナリスト
2026/8/31現在、筆頭株主はKLAテンコール株式会社の8.17%で、シンガポール法人3.52%と合わせて約11.7%です(半期報告書)。創業者の古川氏は7.69%に低下しました。ほかにNTTグループ約10%、ニコン・レーザーテック・島津製作所と、半導体・光学の事業会社が並ぶ「業界のお墨付き」型の株主構成で、アクティビストリスクは低いと考えています。
所長ダル
心強い顔ぶれですが、気になる点はありますか。
車野アナリスト
半導体の上半期受注高は上半期として過去最高の3,456百万円、受注残は3,390百万円と好調です(補足説明資料p.8)。一方で、主要顧客への依存度が高い可能性があります。大口顧客が株主であることは安心材料であると同時に、発注動向に業績が左右される怖さもあります。

まとめ

  • 2Q決算で通期の営業利益予想を46.5%上方修正(933→1,367百万円)、営業利益率13.2%で中期目標を1年前倒し
  • 半導体の上半期受注高は上半期として過去最高の3,456百万円、粗利率も39.2%に改善
  • 純利益には受贈益280百万円などの一過性の要因を含み、実力EPSは約74.5円、実力ベースのPERは約44倍
  • 信用買い残が発行済株式数の約5.9%と重く、売り残もほぼゼロで、上値が抑えられやすい需給
  • ファラデー回転子への約23億円の増産投資は、回収見込みが未開示。製品保証引当金は上限ライン145百万円の目前(143.5百万円)
  • 総合評価はA-。仕込みの目安は約2,600〜2,850円、3Q決算で条件を確認できれば3,300円前後も検討余地あり(分割購入が無難)

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AI(Claude/Anthropic社)を活用して作成したコンテンツです。情報の正確性・完全性を保証するものではなく、記載内容に誤りが含まれる可能性があります。

本記事は特定の有価証券への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。株式投資には価格変動リスクがあり、元本が保証されるものではありません。

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本記事は税務・法務上のアドバイスを提供するものではありません。税金・法律に関するご判断は、税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。

情報基準日:20261017

本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。

© 高配当株研究所 ※本記事はAIによる分析を含みます。投資推奨ではありません。

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