先日、ある友人と雑談をしていたとき、「Pump and Dumpの案件だよね、あれ」という言葉が出てきました。
投資の話だということはわかったのですが、正直なところ、その場では「あー、うんうん」とうなずくので精いっぱいで……。
帰り道、ひとりで「ポンプ? ダンプ? なんのこと?」と首をひねってしまいました。
調べてみると、これは世界中の個人投資家が被害を受けている、非常に身近な投資詐欺の手口だということがわかりました。しかも、近年はSNSやWebメディアを通じて日本でも急速に広がりつつあると考えられます。
今回は、このテーマを車野蔵人アナリストに徹底解説してもらいます。高配当株に限らず、株式投資をするすべての方に読んでほしい内容です。
そもそも「Pump and Dump」って何ですか?
所長ダル


Pump and Dumpを日本語に訳すと「吊り上げて、売り抜ける」というイメージが近いでしょうか。英語では「pump up(膨らませる・吊り上げる)」「dump(一気に売り捨てる)」というふたつの動詞からできています。
仕組みをごく簡単に言うと、こういうことです。
① あらかじめ、ある銘柄の株を仕込んでおく
② 「この株は絶対上がる!」という情報をネットや広告で大々的に流す
③ それを見た個人投資家が「本当に?」と買い始め、株価が上がる
④ 仕込んでいた側は、株価が上がったところで一気に売り抜ける
⑤ 宣伝をやめると株価は急落し、後から買った投資家が損をする
つまり、「情報を使って他人に買わせ、自分は高値で売り逃げる」という構造です。






近年の手口は非常に洗練されていて、一見まともな経済ニュースサイトやSNSアカウントの体裁を整えているケースが多いのです。
米国のSEC(証券取引委員会)は長年この問題に警鐘を鳴らしており、その公式サイトでも「グルの推薦、チャットルームでの書き込み、ラジオやテレビのアナリストなど、あらゆる媒体を通じてターゲット銘柄が持ち上げられる」と注意喚起されています(出典:SEC.gov “Pump+Dump.con: Avoiding Stock Scams on the Internet”)。
プロの投資家でさえ騙されることがあると言われていますから、初心者の方が気づきにくいのは無理もないことなのです。
「仕手戦」とは同じことですか?






まず「仕手戦」とは、日本の株式市場で古くから使われる言葉で、特定の勢力が市場での大量売買によって株価を意図的に動かす行為を指します。「仕手筋(してすじ)」と呼ばれる集団が、小型株を大量に買い集めて株価を吊り上げ、高値になったところで売り抜ける──これが伝統的な仕手戦の構造です。
Pump and Dumpと仕手戦を比較すると、こうなります。
【共通点】
・小型株・流動性の低い銘柄をターゲットにする
・人工的に株価を上昇させて売り抜ける
・最終的に個人投資家が損をする
【仕手戦の特徴】
・主な手口は市場での「大量売買」(相場操縦)
・国内の特定勢力が関与することが多い
・市場の板(売買注文)を通じて株価を動かす
【Pump and Dumpの特徴】
・主な手口は「情報操作」(宣伝・煽り)
・海外法人や匿名勢力が関与するケースも多い
・SNS・広告・ニュースサイトを通じて株価を動かす
ひと言で言えば、「仕手戦は市場でケンカする」「Pump and Dumpは情報で騙す」というイメージでしょうか。現代においては、インターネットの普及によって情報操作のコストが劇的に下がったことで、Pump and Dumpのほうが圧倒的にやりやすくなっています。
海外ではどんな事件があったのですか?






まず有名なのが、インターネット黎明期の事例です。ドットコムバブルのころ、当時15歳のジョナサン・レベッド氏という少年が、株式掲示板でいわゆるペニー株(超低位株)を宣伝し、株価が上がったところで売り抜けるという手口を繰り返しました。SECに摘発され民事訴訟となりましたが、この事件は「個人でも情報操作ができてしまう時代が来た」ことを世に知らしめた事案として語り継がれています(出典:Wikipedia “Pump and dump”)。
次に、より現代的な事例として、2022年にSECが摘発したSNSインフルエンサーによる集団事案があります。ツイッター(現X)とDiscordを使い、合計150万人以上のフォロワーを持つ7名のインフルエンサーと1名のポッドキャスター、計8名が特定銘柄を推奨し、株価が上がったところで売り抜けたとして摘発されました。被害総額は約1億1,400万ドル(約170億円相当)とされています(出典:CNN Business “US government charges 8 social media influencers over alleged pump-and-dump scheme” 2022年12月)。
さらに最近の事例では、Bloomberg の2026年1月の調査報道が衝撃的でした。2023年以降にナスダックの小型株市場に上場した企業のうち、4社に1社がWhatsAppのグループチャットで宣伝され、その後株価が暴落または上場停止になったという分析結果が報告されています(出典:Bloomberg “Wall Street’s Stamp of Legitimacy Fuels Suspected Pump-and-Dump Schemes” 2026年1月)。






シカゴの連邦当局による2025年3月の捜査では、Pump and Dumpの疑いで2億1,400万ドル(約320億円相当)もの資産が差し押さえられ、7名が起訴されています(出典:SEC.gov プレスリリース 2025年3月)。
被害規模が年々大きくなっていることが、数字からもおわかりいただけるかと思います。
日本では関係ない話ですか?






日本の法律では、こういった行為は主に「風説の流布(ふうせつのるふ)」として金融商品取引法第158条で禁じられています。株価を変動させる目的で虚偽の情報を流した場合、個人であれば10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、法人であれば7億円以下の罰金が科される可能性があります(出典:金融商品取引法第158条、197条)。
証券取引等監視委員会も定期的にこの種の案件を摘発・告発しており、「架空の事業提携を発表して株価を吊り上げた」という国内事案も公表されています(出典:三浦法律事務所様 “危機管理INSIGHTS Vol.16” 2024年1月)。
問題なのは、海外に拠点を置く法人が関与している場合、日本の当局が取り締まりにくいという現実があることです。Webサイトやオンライン広告は国境を越えますので、「海外から日本の個人投資家をターゲットにした」ケースが増えていると考えられます。






どうすれば見破れますか?






怪しい投資情報 7つのチェックポイント
□ 1. 「今すぐ買え」「このタイミングを逃すな」など、急かす表現がある
□ 2. 売上・利益・自己資本比率など、具体的な財務数値に一切触れていない
□ 3. 「著名アナリストが推奨」「業界関係者の間で話題」など、情報源が曖昧なまま権威性を主張している
□ 4. 「○○円で買える貴重なタイミング」など、具体的な株価水準を示して購入を誘導している
□ 5. 記事の末尾に「筆者は当該株を保有している可能性がある」などの利益相反の開示がある(自らの利益相反を認めている!)
□ 6. 運営会社や著者の情報が不明瞭、または海外法人となっている
□ 7. 広告(スポンサー表記)なのに、ニュース記事に見せかけている






「スポンサー」「PR」「広告」という小さな表記がどこかにあるはずなのですが、目立たない場所に置かれていることが多く、気づかずに「客観的なニュース記事だ」と思い込んでしまいやすい構造になっています。
投資に関連する広告が、いきなりおすすめとして表示された場合は、まず「これは広告ではないか?」という目線で確認することをお勧めします。






どんなに「熱い銘柄」として紹介されていても、必ず公式の決算情報やIR(投資家向け情報)を自分で確認するクセをつけてください。
企業の決算情報はTDnet(東京証券取引所の適時開示システム)や、各証券会社のサイト、IRBANKなどの無料サービスで誰でも確認できます。
売上が下がっていないか、赤字が続いていないか、借金が増えていないか──こうした基本的な数字を自分の目で確認する習慣が、何よりの防衛策になります。
「人が騒いでいるほど、冷静に数字を見る」
これが、情報に踊らされない投資家の基本姿勢と言えるでしょう。
まとめ
・「Pump and Dump」とは、あらかじめ株を仕込んだうえで情報操作によって株価を吊り上げ、高値で売り抜ける手口のこと。日本語では「風説の流布」にあたり、金融商品取引法で厳しく禁じられている。
・仕手戦との違いは「手段」にある。仕手戦が市場での大量売買(相場操縦)を主な手口とするのに対し、Pump and Dumpは情報操作が主役。インターネットの普及でコストが下がり、近年は急増していると考えられる。
・海外では毎年のように大型摘発事例が発生している。2022年にSECが摘発したSNSインフルエンサー事案では被害総額が約170億円相当に上った。「有名取引所上場」「著名企業との提携」といった情報も鵜呑みにできない時代になっている。
・日本も例外ではない。海外法人が日本語で日本の銘柄を宣伝するケースが増えており、日本の当局が取り締まりにくいという問題もある。
・見破るポイントは「急かす表現」「財務数値の欠如」「情報源の曖昧さ」「利益相反の自己開示」「広告をニュースに見せかける手法」など。気になる銘柄はかならず自分で決算情報を確認する習慣を持つことが最大の防衛策。
「この銘柄は必ず上がる」という記事を見かけたとき、みなさんはまず何を確認しますか?
「誰が、なぜ、それを教えてくれているのか」──この素朴な問いを持つことが、投資詐欺から身を守る最初の一歩かもしれません。
次回の投資情報リテラシーシリーズでは、「決算書の最低限ここだけ見れば大丈夫」という初心者向けの財務チェック入門をお届けする予定です。どうぞお楽しみに。
■ 免責事項
本記事はAI(Claude/Anthropic社)を活用して作成したコンテンツです。情報の正確性・完全性を保証するものではなく、記載内容に誤りが含まれる可能性があります。
本記事は特定の有価証券への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。株式投資には価格変動リスクがあり、元本が保証されるものではありません。
本記事における業界慣行・手口への言及は、一般的な注意喚起を目的としたものであり、特定の企業・個人・媒体の商品・活動を批判するものではありません。
本記事は税務・法務上のアドバイスを提供するものではありません。法律に関するご判断は、弁護士などの専門家にご相談ください。
情報基準日:2026年5月7日
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ キャラクター注記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。




コメント