本レポートの株価(698円)は2026年10月9日終値です。同社は9月30日に通期業績予想を大幅に下方修正しており、10月9日には質疑応答資料も公表されています。配当利回り・PBR等の指標はこの株価を基準にしています。
はじめに
「高配当研究所」へようこそ。当研究所では、配当生活・FIRE(経済的自立と早期退職)を目指す方々に向けて、高配当株の銘柄分析を行っています。私(所長)は投資初心者レベルで、読者の皆さんと同じ目線から素朴な疑問を投げかける役割を担っています。
本日は、デジタル人材の常駐型DX支援を手がける株式会社メンバーズ(証券コード:2130)について、エキスパート投資アナリストの車野蔵人(くるまの くろうど)さんに解説していただきます。
9月30日、同社は2027年3月期の営業利益予想を25億円から2億円へ、実に92%も引き下げました。それでも配当は35円を据え置き、現在の配当利回りは約5.0%です。「15期連続増配の記録は守れるのか」「そもそも業績悪化は本当にAIのせいなのか」——ここが最大の論点です。ぜひ最後までお付き合いください。
会社概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 株式会社メンバーズ(Members Co., Ltd.) |
| 証券コード | 2130(東証プライム) |
| 設立 | 1995年6月26日 |
| 主な事業 | デジタル人材の伴走によるDX現場支援事業(単一セグメント) |
| 時価総額 | 約93.7億円(10月9日時点) |
| 決算期 | 3月 |
| 社員数 | 3,072名(2026年6月末) |
出典:説明資料P33、かぶたん様、短信P13
どんな会社か
メンバーズでは、「デジタルクリエイター(DC)」と呼ぶ約3,000名の社員が顧客企業の現場に常駐し、デジタル活用を一緒に進めます。顧客の社員のように動く「あたかも社員®」が看板のスタイルです。かつての主力はWebサイト運用でしたが、データ活用やUI/UX、アプリ開発といったDX領域へ転換してきました。現在はAIを業務に定着させる「AX」に軸足を移しつつあります。売上は「人の稼働×単価」で決まるため、稼働率が業績を大きく左右するビジネスです。
今回の銘柄情報
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 現在株価 | 698円(2026年10月9日終値) | みんかぶ様・かぶたん様 |
| 配当利回り | 5.01% | かぶたん様・IRBANK様 |
| 普通配当 | 35円(期末一括・中間0円) | 短信P1、修正IR P4 |
| 特別配当等 | なし | 短信P1 |
| BPS | 465.13円(1Q末) | IRBANK様 |
| みんかぶ目標株価 | 924円(買い) | みんかぶ様 |
| 権利付最終日 | 2027年3月29日(月)の見込み | ― |
| 増配コミット | なし(今期35円の据え置きは明言。来期以降は「事業構造転換を完了させたうえで…健全な還元水準を目指す」との表現にとどまる) | 質疑応答IR P3・P4 |
| 次期予想配当 | 資料に記載なし | ― |
主要財務指標一覧
| 指標 | 2026年3月期(実績) | 2027年3月期(修正予想) | 出典 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 24,424百万円 | 25,000百万円(旧26,866) | 修正IR P1 |
| 営業利益 | 1,600百万円 | 200百万円(旧2,500) | 修正IR P1 |
| 当期利益 | 1,213百万円 | 150百万円(旧1,736) | 修正IR P1 |
| EPS | 94.92円 | 11.73円(旧135.79) | 修正IR P1 |
| BPS | 465.13円(1Q末) | ― | IRBANK様 |
| ROE | 18.27%(会社資料では19.5%) | 2.52% | IRBANK様、説明資料P23 |
| 自己資本比率 | 52.0%(1Q末51.5%) | ― | 短信P1 |
| 配当金 | 33円 | 35円 | 短信P1 |
| 配当性向 | 34.8% | 約298%(35÷11.73) | IRBANK様、筆者計算 |
| 配当利回り | ― | 5.01% | かぶたん様 |
| 営業利益率 | 6.6% | 0.8% | 説明資料P21、筆者計算 |
1Q実績(2026年4〜6月):売上収益5,750百万円(+5.2%)、営業損失△395百万円(前年同期△70百万円)、EPSは△19.73円でした(短信P1)。
修正後の上期予想:営業損失△430百万円です。1Q単独が△395百万円なので、2Q単独は△35百万円程度とほぼトントンと逆算できます(修正IR P1、筆者計算)。
会社の方針は「DOE5%以上・配当性向25%以上」です(説明資料P22)。今期の配当性向が約298%まで跳ね上がるのは、配当35円を据え置いたまま、利益予想を92%下方修正したためです。会社自身もこの水準が「複数期にわたり継続する状況は想定しておりません」と述べています(質疑応答IR P3)。
1Qの営業CFは△123百万円です。主な要因は法人税の支払320百万円(前期の利益にかかる税)なので、季節的なものと考えられます(決算短信P6・P12)。
EPS推移と配当の関係
高配当株の「落とし穴」とEPSの関係
所長ダル








EPS推移表(過去実績+今期修正予想)
出典:IRBANK様(EPS・配当性向)、説明資料P6・P23、修正IR P1
| 決算期 | EPS(円) | 1株配当(円) | 配当性向(%) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2019年3月期 | 48.88 | 11.5 | 23.5 | |
| 2020年3月期 | 67.17 | 14.0 | 20.8 | |
| 2021年3月期 | 69.69 | 17.5 | 25.1 | |
| 2022年3月期 | 107.73 | 25.0 | 23.2 | 過去最高益(営業利益1,876百万円) |
| 2023年3月期 | 76.18 | 30.0 | 39.4 | 新卒585名の大量入社 |
| 2024年3月期 | 9.71 | 31.0 | 319.3 | 稼働率低下で営業利益41百万円。今回と同じパターン |
| 2025年3月期 | 26.06 | 32.0 | 116.8 | 2024年11月に子会社を合併し、3Qから非連結。かぶたん様ではEPS27.4円 |
| 2026年3月期 | 94.92 | 33.0 | 34.8 | 2026年1月にアジケを子会社化し、4Qから連結(IFRS) |
| 2027年3月期(予) | 11.73 | 35.0 | 約298 | 9月30日に下方修正(旧予想135.79円) |
※2016年3月期には記念配当1.5円がありました(説明資料P23)。それ以外は普通配当のみです。
前期比較が難しい点の補完
連結開始は2026年3月期の4Qからです。そのため、前年同期比はIFRS個別との比較による参考値になります(短信P2)。以下の3方向で補完しました。
- 単体ベースの比較:前年1Q(個別)は売上5,467百万円・営業損失△70百万円でした。今期1Qは売上+5.2%、営業損失は5.6倍に拡大しています。アジケの規模は小さく、主因は単体の稼働率低下と考えられます。
- 長期推移:営業利益は「22/3:1,876 → 24/3:41 → 26/3:1,600 → 27/3予:200」と、山と谷が約2年周期で繰り返しています。
- 来期予想との比較:通期200百万円を達成するには、下期に+630百万円が必要です。前期の下期は+1,337百万円(3Q 489+4Q 848)だったので、前期の半分以下でも届く保守的な水準と考えられます(説明資料P6、筆者計算)。
所長×アナリスト対談
テーマ① 営業利益25億→2億の衝撃 ― AIが奪った「定型工程」の仕事


















テーマ② 配当性向300%でも35円を出せる理由と、来期への「沈黙」












テーマ③ 毎年1Qは赤字? 新卒大量採用と稼働率の「季節性」












テーマ④ 「顧客が離れられる会社」は儲かるのか? 内製化支援のジレンマ












テーマ⑤ 理論株価1,240円 vs 個人予想451円 ― どちらを信じる?












配当継続性スコア
S(○5つ):全項目良好。配当継続性について特段の懸念なし。
A(○4つ△1つ):ほぼ良好。軽微な注意点あり。
B(○3つ△2つ):概ね良好だが注意点あり。モニタリングが必要。
C(○2つ以下または×あり):注意点が多い。投資前の慎重な検討が必要。
D(×2つ以上):要注意。配当リスクが高い。
※2026年7月より評価体系をS/A/A-/B+/B/B-/C+/C/C-/D/Eの11段階に変更しました。旧5段階(S/A/B/C/D)のA・B・Cの間にそれぞれ「+(プラス)、-(マイナス)」ランクを新設しています。これは、同一ランク内でも「条件が揃えば上のランクに相当する」銘柄と「下のランクに近い懸念がある」銘柄を区別するためです。たとえばB-は「Bの要件は満たすが、Cに近い注意点を抱えている」状態を示します。
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 配当の中身 | △ | 普通配当のみで記念配当はなく、15期連続増配の予定。ただし今期の配当性向は約298%。来期以降は「健全な還元水準」とするのみで、増配の言質がない(質疑応答IR P3)。 |
| 本業の稼ぐ力 | △ | 14期連続増収、単価は+7.8%と改善。一方で、生成AIによる定型業務の代替で、営業利益率は6.6%から0.8%予想へ。上期の売上影響は外部環境で約△550百万円、稼働率で約△250百万円(修正IR P2)。 |
| 財務の健全性 | ○ | 自己資本比率51.5%。有利子負債はリース負債約6億円のみで、実質無借金。現金は37.4億円(短信P7・P8)。 |
| 配当の原資 | △ | 前期の営業CF15.8億円は配当の約3.9倍で十分。ただし今期は、利益1.5億円+減価償却(年換算約6.3億円)からリース返済(年換算約5.9億円)を差し引くと、実質的な余力は配当総額約4.5億円を下回る可能性がある。利益剰余金47.7億円があるため、今期分の支払いに問題はないと考えられる。 |
| 経営方針の透明性 | ○ | 月次稼働率の開示、7問の質疑応答、社長メッセージでの「判断の遅れ」の自認など、開示姿勢は誠実と考えられる。ただし1Q時点で予想を据え置き、その2か月後に92%下方修正した点はマイナス。 |
| 総合スコア | B | ○2つ・△3つ。財務が強く増配の実績もあるためB-以下にはせず、本業の構造変化リスクがあるためB+にも届かないと判断しています。 |
△が3つあるため、A以上にはしていません。今期の35円は、まず出ると考えられます。財務余力が大きく、会社も据え置きを明言しているためです。
焦点は来期(2028年3月期)の配当です。DOE5%の下限を機械的に当てはめると、配当は約25円になります(後述の弱気シナリオ参照)。「増配記録を守るか、方針の下限まで下げるか」が、会社として未確定の状態です。
補足①:手元資金の水準
会社は「適正流動性資金:月間コスト3か月分以上」を目標にしています(説明資料P22)。1Qの費用(売上原価+販管費 約6,147百万円)から単純計算すると月間コストは約20億円です。現金37.4億円は約1.8か月分にとどまる可能性があります。会社の定義が異なる可能性もありますが、確認したい論点です。
補足②:大株主・アクティビストリスク
出典:有価証券報告書(2026年3月末)
- 創業者の剣持忠氏が22.48%を保有し、資産管理会社「晴」の1.95%と合わせて約24.4%です。従業員持株会も6.19%あります。
- いわゆるアクティビストに該当する株主は確認できず、リスクは低いと考えられます。
- 光通信KK投資事業有限責任組合(3.59%)が注目点です。高配当・安定配当の企業を好む投資家として知られており、仮に減配となった場合、保有方針に影響する可能性があります。
- 博報堂DY ONE(3.02%)は事業パートナーと考えられます。
補足③:「人が資産」ビジネスとしての従業員と株主のバランス
- 2026年4月に8.1%の賃上げを実施しました。基準グレード年収は2020年比+27.2%の636万円で、2030年に800万円(1.6倍)を目指しています(説明資料P19)。
- 社員株主比率は63.9%で、社員と株主の利害を一致させる設計は評価できると考えられます。
- 一方、稼働率が下がる局面で賃上げ(固定費増)と増配を同時に進めた結果、利益が大きく圧迫されました。
- 人員削減は「計画していない」としています(質疑応答IR P3)。従業員を優先する姿勢は明確で、そのぶん株主還元の調整弁は「配当」と「新卒採用数」になる可能性があります。
ラボ独自考察:適正株価を考えてみた
※AIによる試算であり投資推奨ではありません。あくまで参考情報としてご覧ください。
評価手法:普通配当逆算法(想定配当(円)÷ 想定利回り(%)= 適正株価)
普通配当:会社予想35円(特別配当・記念配当の明示なし)
シナリオ別 適正株価試算
| シナリオ | 想定配当額 | 想定利回り | 適正株価 | 前提 |
|---|---|---|---|---|
| 強気 | 37円 | 3.5% | 1,057円 | 下期にAXが立ち上がり、来期に営業利益が前期並み(16億円)へ回復。16期連続増配を継続。修正前の株価水準(利回り3%台)に戻る。 |
| 中立 | 35円 | 4.5% | 778円 | 会社予想の35円を据え置き。業績回復は道半ばで、利回りに一定のリスクプレミアムが乗る。 |
| 保守的 | 35円 | 5.0% | 700円 | 35円で増配がストップ。現在の株価698円はほぼこのシナリオを織り込んだ水準。 |
| 弱気 | 25円 | 5.5% | 455円 | DOE下限5%を適用(詳細は下記)。 |
方針を曲げざるを得ない状況:来期も営業利益が数億円規模にとどまり、配当性向数百%が2期連続となる場合です。その場合、会社は「15期連続増配の記録」を断念し、DOE下限5%まで配当を引き下げると想定しました。
試算:2027年3月末の自己資本見込み約6,390百万円×5%=約319百万円。これを株式数約12.84百万株で割ると約25円です。配当性向25%基準を当てはめると更に低くなりますが、DOE下限の方が高いためDOEを採用しました。この455円は、みんかぶ様の個人予想451円とほぼ一致しています。
BPS×適正PBRとの2点セット確認
BPSは465円(1Q末)で、2027年3月末は約497円(下期の利益と株式報酬で増加)の見込みです。
| PBR倍率 | 株価 | 意味合い |
|---|---|---|
| 1.0倍 | 465円 | 解散価値ライン(弱気シナリオ455円とほぼ一致) |
| 1.5倍 | 698円 | 現在の株価 |
| 2.0倍 | 930円 | ROEが15%程度に回復した場合(みんかぶ目標924円とほぼ一致) |
| 2.26倍 | 1,051円 | 過去2年の平均(強気シナリオ1,057円とほぼ一致) |
配当逆算法とPBR法の結果が驚くほど噛み合っており、試算の整合性は高いと考えられます。
みんかぶ理論株価(1,240円)の妥当性
- 採用された比較軸:過去比較(相対比較より連動性が高いと判断)
- 主指標:PSR(過去2年平均0.68倍、現在0.38倍)
- 検算:698円×0.68÷0.38=約1,249円で、理論株価とほぼ一致します。
他の3指標で同様に試算すると、以下のとおりです(過去比較軸、筆者計算)。
| 指標 | 試算株価 | 計算 |
|---|---|---|
| PSR(主指標) | 約1,240円 | ― |
| PER(調整後・実績) | 約5,380円 | 実績EPS 94.92円×56.62倍。予想EPS11.73円なら約664円 |
| PBR | 約1,051〜1,119円 | BPS×2.26倍 |
| 配当利回り | 約1,211円 | 35円÷2.89% |
妥当性コメント
- PSR軸は「売上に対して株価が安い」という見方です。これは営業利益率が過去並み(5〜7%)に戻る前提であれば成り立ちます。
- 今期の予想利益率は0.8%で、利益を伴わない売上を過去と同じ倍率で評価するのは楽観的と考えられます。
- 予想EPSベースのPER試算(約664円)が現在値に近いことから、市場は「利益の回復」をまだ織り込んでいないと読めます。
- 相対比較の値には補足が必要です。PSRは-0.44倍とデータが異常値に見えます。PER 34.69倍×11.73円は約407円、PBR 0.70倍×465円は約326円で、いずれも厳しい評価です。
深掘り:業績悪化は本当に「AIのせい」なのか? ― 数字で分解する下方修正の正体
対談①では「AIに仕事を取られた」という見方を紹介しました。ここでは、その答え合わせをします。「結局、外注に戻るのでは?」「データ漏洩が怖くてAI離れが起きるのでは?」といった所長の素朴な疑問にも、数字で答えていきます。
パート1:1Qの数字を分解すると「売上は減っていない」
| 項目(百万円) | 前年1Q | 今期1Q | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 5,467 | 5,750 | +283(+5.2%) |
| 売上総利益 | 1,041 | 1,055 | +14(+1.4%) |
| 販管費 | 1,112 | 1,452 | +340(+30.5%) |
| 営業利益 | △70 | △395 | △325 |
出典:決算説明資料P4
営業損失の拡大幅(△325百万円)は、ほぼそのまま販管費の増加(+340百万円)で説明できると考えられます。会社は販管費の増加を「採用/育成/営業・マーケへの投資を強化しており、想定通り」としています(説明資料P4)。新卒247名(前年87名)の受け入れと、ベアと定昇を合わせた8.1%の賃上げは、いずれも成長が続く前提で決めたものです(説明資料P7・P19)。
つまり、AIで売上が消えたのではなく、「売上の伸びが鈍ったところに、伸びる前提の固定費が乗った」構図と考えられます。






パート2:AIは「縮む側」と「伸びる側」の両方にいる
1Q付加価値売上の領域別推移です(筆者計算、元データ:説明資料P3・P12)。
| 領域(百万円) | 前年1Q | 今期1Q | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 従来型領域(Web運用など) | 約2,536 | 約2,313 | 約△9% |
| DX領域 | 約2,758 | 約3,233 | +17.2% |
| AI/データ関連売上 | ― | 売上比率15.0% | +83.6% |
※計算方法:付加価値売上高(前年5,294/今期5,546)× DX比率(52.1%/58.3%)でDX領域を算出し、残りを従来型領域としました。
- 外部環境要因:約△550百万円(中東情勢による投資削減と、生成AIによる定型工程の代替を含む。修正IR P2)
- 事業構造転換に伴う稼働率低下:約△250百万円(低単価案件からの撤退という「自ら選んだ痛み」を含む。修正IR P2)
- 社長メッセージでは、下方修正の根本要因を「前期までのDX領域の高成長を過信して市場変化の兆候を軽視し、対応が遅れたこと」としています(質疑応答IR P4)。
AIは引き金ですが、利益を大きく削ったのは「成長前提の固定費」と「転換の遅れ」と考えられます。
パート3:所長の疑問①「結局、外注に戻るのでは?」
「AIはすごいが、実際に運用するのは難しい」という実感は、メンバーズの再成長シナリオそのものと考えられます。会社は、AI導入がPoC(お試し)で止まる「構想と実装のギャップ」を、常駐型の伴走で埋めることをAX戦略の柱にしています(短信P2、説明資料P10)。ただし、戻ってくる外注は形が変わる可能性があります。
| 以前の外注 | これからの外注 | |
|---|---|---|
| 中身 | 要件の決まった作業 | 業務理解・AI活用設計・定着支援 |
| 課金 | 人数×期間(人月) | 成果・価値ベース |
| 体制 | 大人数 | 少人数・高単価 |
需要が戻っても、「同じ売上を以前より少ない人数で稼ぐ世界」になる可能性があります。その場合、約3,000人の大人数モデルは人員構成の作り直しが避けられないと考えられます。会社も「価値ベース・非人月売上モデルへの転換」(修正IR P3)や、「社員1人当たり付加価値売上高の重視」(質疑応答IR Q7)を打ち出しています。単価は+7.8%で、その内訳は「ミックス改善が約半分、実質値上げが約半分」と説明されています(説明資料P18、質疑応答IR Q3)。
パート4:所長の疑問②「データ漏えいが怖くて、AI離れが起きないか?」
①メンバーズが失った仕事は、データ漏洩の懸念が最も小さい領域だった
減少しているのは、運用保守、コーディング、リサーチ、デザイン制作などの定型的な実行工程です(修正IR P2)。これらは機密データをあまり扱わないため、企業が社内でAIに置き換えやすい仕事と考えられます。つまり、データ規制や漏えいへの懸念は、メンバーズが失った仕事を守ってはくれない構図です。
②懸念が強まるほど、「常駐型」には追い風になり得る
あたかも社員®は、顧客の社内に入り、顧客の環境とルールの中でデータを扱うモデルです(説明資料P29)。データを外部に出さない「ローカルLLM×VLM」の構築事例もあります(説明資料P14)。プライバシーマークやISMSの取得(説明資料P33)も、委託先として選ばれる条件になると考えられます。
③ただし、矛先が「委託先」に向くリスクもある
国内の情報漏えいでは、委託先・再委託先を経由した事故がたびたび問題になってきました。「AIが危ない」という風潮より、「外部の人に社内データを触らせるのが危ない」という風潮の方が、常駐型ビジネスには逆風になる可能性があります。選別が厳しくなる中で、「選ばれる委託先」側に残れるかが問われると考えられます。
結論:「AI離れ」より「管理されたAI活用」へ
会社資料では、2040年に「AI・ロボット等の利活用を担う人材」が339万人不足するという推計を引用しています(説明資料P31、出典:経済産業省)。人手不足を背景に考えると、起こりやすいのは「AIをやめる」ことではなく、「ガバナンスを効かせてAIを使う」方向と考えられます。その際に必要となるデータ整備やガバナンス設計は、手間のかかる工程です。会社が「データ整形という地道な工程まで一気通貫で引き受ける」と強調しているのは、この需要を狙ったものと考えられます(修正IR P4)。






パート5:まとめ表と、答え合わせのポイント
| 読者の見立て | 当研究所の評価 |
|---|---|
| AIで業績が悪化した | 引き金ではあるが、主因は「成長前提の固定費」と「転換の遅れ」と考えられる |
| 結局、外注に戻る | 方向性は正しい可能性が高い。ただし少人数・高単価型へ変わる |
| データ懸念でAI離れが起きる | 起きにくいと考えられる。ガバナンス込みの支援需要が増える可能性。委託先リスクには注意 |
AI/データ関連売上比率:15.0%から上昇が続くか(「外注は戻る」の検証)
従来型領域の縮小ペース:約△9%で収まるか、さらに加速するか
1人当たり付加価値売上・売上単価:人数ではなく単価で稼ぐ形に移れているか
月次稼働率:9月の76.9%から、下期に前期並みの80%台へ戻るか(質疑応答IR P1)
全シナリオが崩れる条件
- 下期も月次稼働率が75%を下回って推移し、修正計画の前提(稼働率75%・単価+8%)が崩れる場合(質疑応答IR P2)
- 単価+8%のうち約半分を占める「値上げ」が、AIによる価格下落圧力で維持できなくなる場合(質疑応答IR Q3)
- 2期連続の大幅下方修正で、2028年3月期も営業利益が数億円にとどまり、DOE5%も割り込む減配に踏み切る場合
- 営業CFが通期でマイナスとなり、手元資金が配当とリース返済で目減りしていく場合
- 人員削減や新卒採用の凍結など、「人を育てて稼ぐ」ビジネスモデルそのものの修正に追い込まれる場合
- 光通信など、配当目的の大株主がまとまって売却する場合
結論
① 外部目標株価との比較
みんかぶ様の目標株価924円は、現在値比+32%です。理論株価は1,240円(+78%)ですが、売上基準(PSR)のため楽観的と考えられます。個人予想は451円(△35%)です。当方の試算は中立778円・保守的700円で、現在値はほぼ保守的シナリオを織り込んだ水準と考えられます。
② 当ラボが考える割高・割安感
配当利回り(5.01%)とPBR(1.5倍、過去平均2.26倍)で見れば割安圏です。一方、予想PER59.65倍と利益面では割高です。「配当と過去実績から見れば割安、足元の利益から見れば割高」というねじれた状態と考えられます。
③ 長期投資家への視点
15期連続増配の実績、実質無借金、社員株主比率63.9%という土台は魅力的です。ただし今期は「AI時代に人材ビジネスが生き残れるか」の検証期間と位置付けるのが妥当と考えられます。2Q決算(2026年10月30日予定、かぶたん様)と、下期の月次稼働率の回復を確認してからでも遅くない可能性があります。
④ 強気シナリオの根拠
1人当たり単価が+7.2〜7.8%と改善を続けていること(質疑応答IR P1、説明資料P18)、AI/データ関連売上が+83.6%・売上比率15.0%と急拡大していること(説明資料P12)、月次稼働率が5月の71.2%を底に9月は76.9%まで回復していること、修正計画がAX案件の受注を織り込まない「最低ライン」であること(質疑応答IR Q1)、下期に必要な営業利益が前期下期の半分以下であることが挙げられます。
まとめ
- 9月30日に通期営業利益を25億円から2億円へ92%下方修正。配当35円は据え置きで、利回りは約5.0%、配当性向は約298%に跳ね上がっています。
- 財務は強固です。自己資本比率51.5%、実質無借金、現金37.4億円、利益剰余金47.7億円があり、今期の35円は出ると考えられます。
- 1Qは売上+5.2%の増収で、営業損失の拡大は販管費増(新卒247名・賃上げ8.1%)でほぼ説明できます。AIは引き金で、主因は成長前提の固定費と転換の遅れと考えられます。
- 【注意】来期の配当は増配コミットなし。DOE下限5%なら約25円で、「15期連続増配」を守るかが最大の焦点です。過去にも2024年3月期に同じパターンがありました。
- 【注意】評価は理論株価1,240円、目標株価924円、個人予想451円と大きく割れています。現在値698円は当ラボの保守的シナリオ(700円)水準で、2Q決算(10月30日)と月次稼働率の回復確認が次の節目です。
出典・参照資料一覧
| No. | 資料名 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 2027年3月期 第1四半期 決算短信(連結) | 株式会社メンバーズ(短信) |
| 2 | 決算説明資料 | 株式会社メンバーズ(説明資料) |
| 3 | 業績予想の修正に関するお知らせ | 株式会社メンバーズ 2026年9月30日公表(修正IR) |
| 4 | 質疑応答資料 | 株式会社メンバーズ 2026年10月9日公表(質疑応答IR) |
| 5 | 有価証券報告書(2026年3月期) | 大株主の状況 |
| 6 | 株価情報・目標株価・理論株価(みんかぶ様) | 2130 メンバーズ(2026年10月9日時点) |
| 7 | 株式指標・信用取引情報(かぶたん様) | 2130 メンバーズ(2026年10月時点) |
| 8 | 配当情報・EPS推移(IRBANK様) | 2130 メンバーズ 各種財務・配当データ |
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情報基準日:2026年10月9日
本記事に登場する「車野蔵人(くるまの くろうど)」は、AIが生成した架空のキャラクターです。実在する人物・アナリストとは一切関係ありません。
© 高配当株研究所 ※本記事はAIによる分析を含みます。投資推奨ではありません。








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